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国連とビジネス・トップ
企画の目的と内容

概論(説明と目次)
1.さまざまな切り口
      (田瀬和夫)
2.環境セクターの一考察
      (宇野智之)

3.パートナーシップ
      (井上良子)

4. ICTと開発 (今泉沙織)
5. BOPビジネス(武藤康平)
 BOPについての議論
6. CSRとCSV (前川昭平)
7. 赤道原則:持続可能な金融に向けた取り組み
      (柴土真季)

8. マーケティング: その進化が投げかける可能性
      (豊島美弥子)

シリーズ
国連グローバル・コンパクト
プロローグ
1. グローバル・コンパクト・セッション(野村彰男さん)
2. 橋田さんインタビュー「グローバル・コンパクト 本部とローカル・ネットワークの連携」(橋田由夏子さん)
3. グローバル・コンパクト・セッション(野村彰男さん、甲賀聖士さん)  


シリーズ
『国連とビジネス』の具体的事例
ユニセフイノベーションチーム、Terra Weikelさんインタビュー

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フォーラムトップ > 国連とビジネス > シリーズ「国連グローバル・コンパクト」プロローグ


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シリーズ:国連グローバル・コンパクト


2015年2月




概論の「CSRとCSV」では、CSRとCSVの定義・共通点・違いについて述べると共に、CSR促進に向けた国連の取り組みについてもいくつか事例の紹介を行いました。その中の一つである「国連グローバル・コンパクト」は、国連が取り組むビジネスとの恊働のなかでも中心とも呼べるものです。「国連とビジネス」では今後「シリーズ:国連グローバル・コンパクト」と題し、国連グローバル・コンパクトについて、様々な観点からご紹介していきます。今回はプロローグとして、国連グローバル・コンパクトについて、その概要をご説明致します。

国連グローバル・コンパクトとは

 "世界共通の理念と市場の力を結びつける力を探りましょう。民間企業のもつ創造力を結集し、弱い立場にある人々の願いや未来世代の必要に応えていこうではありませんか。" (1999年1月、コフィー・アナン国連事務総長(当時)の世界経済フォーラムにおける発言)

 国連グローバル・コンパクト(以下、UNGC)は、1999年に当時国連事務総長であったコフィー・アナン氏の提唱で2000年7月に発足した、持続可能性と責任あるビジネスの枠組みを設定するイニシアチブであり、その枠組みの実践を約束する加盟企業とステークホルダーのプラットフォームです。また、UNGCはビジネス活動を国連の設定する目標(MDGsやSDGs)を達成する力としていくために、積極的な方向性を策定する取り組みでもあります。

持続可能性と責任あるビジネスの枠組みとしてのUNGC

 UNGCは持続可能性と責任あるビジネスの枠組みとして、加盟企業が遵守すべき10原則を設定しています。10原則は、「人権」(原則1〜2)、「労働」(原則3〜6)、「環境」(原則7〜9)、「腐敗防止」(原則10)の4つのカテゴリーで成り立っています。この4分野の10原則は、いずれも各領域における世界的・普遍的な合意である以下の協定や宣言をもとにしています1

 概論(6)「CSRとCSV」で記載の通り2、CSRとは自社の事業運営において自社を取り巻くステークホルダーの要請に応える責任をまっとうすることであると考えることができますが、上述のUNGCの10原則は、企業一般に対する環境面及び社会面のステークホルダーからの要請の一部を示したものと捉えることができます。その意味で、UNGCの定める原則に従うことは、企業にとってCSRの実践を前に進めていくことにつながります。また上述の通り、あらゆるステークホルダーが企業の提出するCOPにアクセスすることができるため、企業はUNGCをステークホルダーエンゲージメントの場として活用することも可能です。

国連グローバル・コンパクトが掲げる4分野10原則

※グローバル・コンパクト・ジャパン・ネットワーク仮訳を参照、一部筆者による意訳3

 この10原則に賛同する企業がトップ自らのコミットメントのもとに自発的にUNGCへ加盟し、現在では世界約145カ国で1万2000を超える団体4 (そのうち企業が約7,000)が、上述の4分野・10原則を軸に活動を展開しています。

枠組みの実践を約束する加盟企業とステークホルダーのプラットフォーム

 UNGCへの加盟はあくまで自発的なものであり、UNGCの定める原則を遵守・実践するかは加盟企業次第です。一方で、UNGCは署名企業に対し、どのような形で10原則を遵守・実践したかを報告するCommunication on Progress(COP)を毎年提出することを要求しており、COPを提出しなかった場合には署名企業をUNGCから除名することができます。提出されたCOPはウェブサイト上で公開されており、誰もがアクセスすることができます。 

 UNGCは企業からすればしっかりとステークホルダーの要求に応えていることをアピールする場、またステークホルダーからすれば独善的な企業活動を行っていないかを確認する場であり、企業とステークホルダーのプラットフォームとなっていると言えます。

ビジネス活動を国連の設定する目標を達成するための力としていくための取り組み

 UNGCの定める10原則やCOPを含む多くの取り組みは、全体としてUNGCを「ビジネス活動を国連の設定する目標達成の力としていくためのイニシアチブ」たらしめています5 。UNGCが掲げる「国連の設定する目標」とは、ミレニアム開発目標(Millennium Development Goals: MDGs)などを含む、国連の目標です6 。ミレニアム開発目標は2000年に国連ミレニアム・サミットで採択された国連ミレニアム宣言をもとにまとめられ、2015年までに達成すべき8つの目標を掲げています。

ミレニアム開発目標(Millennium Development Goals)と主なターゲット

※外務省ウェブサイトを参照7

 そしてMDGsの達成期限が近づいてきたことで、2015年以降の国際的な開発目標(ポスト2015開発アジェンダ)をどうするかを議論すべく、2012年7月には潘基文(パン・ギムン)国連事務総長がハイレベル・パネルを立ち上げ、2013年3月には持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)に関するオープン・ワーキンググループが発足するなど、様々な取り組みが既に始まっています8 。国連が主導し設定するこれらの開発目標は、各地域の発展途上国の急速な経済成長や将来のポテンシャルを取り込んでいきたいビジネスにとり、社会に貢献するヒントを与えるものであり、また大きな事業機会でもあります。UNGCは国連のこれらの目標とビジネスをつなぎ、MDGsやSDGs達成に寄与する企業活動のあり方について、積極的な方向性を策定する重要な役割を担っていると言えます。

「国連とビジネス」では、「シリーズ: 国連グローバル・コンパクト」で、国連グローバル・コンパクトについて、今後様々な形でご紹介して参ります。

    [注釈]
  1. ライブラリ 各種宣言・条約(グローバル・コンパクト・ジャパン・ネットワーク)
    http://ungcjn.org/gc/declarations.html
  2. 国連フォーラム「国連とビジネス」概論 (6)「CSRとCSV」
    http://www.unforum.org/business/gairon6.html
  3. 国連グローバル・コンパクトの10原則(グローバル・コンパクト・ジャパン・ネットワーク)
    http://ungcjn.org/gc/principles/index.html
  4. Overview of the UN Global Compact, United Nations Global Compact
    https://www.unglobalcompact.org/AboutTheGC/index.html
  5. Overview of the UN Global Compact, United Nations Global Compact
    https://www.unglobalcompact.org/AboutTheGC/index.html
  6. UN Global Compact パンフレット(グローバル・コンパクト・ジャパン・ネットワーク)
    http://ungcjn.org/gc/pdf/GC_Pamphlet_a_201210_s_K2.pdf
  7. ミレニアム開発目標(MDGs)とは(外務省)
    http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/doukou/mdgs/about.html#goals
  8. ミレニアム開発目標(MDGs)とポスト2015年開発アジェンダ(外務省)
    http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/hakusyo/13_hakusho/mdgs.html
  9. ※トップページの写真: UNPhoto by Eskinder Debebe

前川昭平
2015年2月8日