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イノベーションと国際開発 〜世界銀行の現場から〜 前編
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金平直人さん: 世界銀行本部


金平直人

「国際仕事人に聞く」第21回では世界銀行で活躍されている金平直人さんに世銀改革、SDGsと科学技術・イノベーション、日本の取り組みとグローバルな潮流についてご自身のご経験をもとにお話を伺いました。前編・後編と続きます。(2015年8月29日 於東京) 



金平直人 (かねひらなおと) 
1977年富山県出身。2000年慶応大学総合政策学部卒、2008年ハーバード大学ケネディ行政大学院・MITスローン経営大学院修了。大学在籍時モバイルインターネット分野で起業、卒業後マッキンゼー・アンド・カンパニーにて主に通信・電機・自動車業界の成長戦略策定に携わる。UNDPマケドニア事務所およびコソボICO/EUSR(欧州連合特別代表部)にて民族融和と民間セクター開発に従事。非営利法人ソケット代表を務める傍ら2010年にYPPとして世銀入行、欧州地域・南アジア地域の産業競争力研究、中小企業振興、イノベーション政策を担当。現在は予算編成・業績評価・戦略企画総局にて財務面から世銀改革に関る経営層の意思決定と施策実施を支援、また持続可能な開発目標の達成に向けた科学技術・イノベーション国連機関タスクチーム(IATT)設立・運営に世銀グループ担当として参画。

国際機関の一つである世界銀行(以降「世銀」と記載。※語句説明1)で現在携わっている業務について教えてください。

世界銀行を将来にわたって世界の開発ニーズに応え続ける機関に作り変えるための、一連の内部改革に携わってきました。世銀グループの仕事は貧困削減と経済成長に関わるほぼ全ての分野に及び、その実施手段は各国政府および民間企業への融資、投資、信用保証から、調査研究にもとづく発信や政策助言、官民や市民社会との対話と協業を通じた国際潮流形成まで、非常に多岐に渡ります。設立当初の戦後復興期は、1950-60年代の日本の世銀プロジェクト(※語句説明2)にも現れているように、発電所や高速鉄道など大規模インフラ、製鉄所や自動車工場といった「ハードウェア」の資金提供が主でした。以来、医療・教育・社会保障といった人的資本への投資、財政支援や行政機構・産業構造・金融市場・都市計画など「ソフトウェア」の改革支援、また貿易・地域経済統合や紛争後の脆弱国と難民問題など周辺国をまたぐ取り組み、そして気候変動やパンデミック対策のような地球公共財の増進・保全まで、業務範囲は拡大する一方です。

他方で、国際開発を取り巻く状況と支援ニーズ、また代替手段も様変わりしています。新興国・途上国への公的資金だけをみても二国間支援や地域開発銀行に加え、官民の基金や財団、アジアインフラ投資銀行 (AIIB)(※語句説明3)や新開発銀行(※語句説明4)をはじめ新興ドナーや新興機関が各々の得意分野で活躍しています。融資の金額よりも国・地域を超えた最先端の政策知見、望む開発成果を得るための実施ノウハウや民間資金を含む資源動員がますます求められるなか、政策助言では民間のコンサルティング会社、開発政策に関わる規範や合意の形成でも世界経済フォーラム(ダボス会議)(※語句説明5)やOECD(※語句説明6)など、従来なかった領域での競合や協業がみられるようになりました。

世銀は設立後70年で4度ほど、世界の変化やステークホルダーの要請に適応するダイナミックな転換を経験しています。2012年に就任したキム総裁は文化人類学者・医師・大学学長という世銀総裁としては異例の経歴で、5度目の改革にうってつけのリーダーです。世界がポストMDGs(収録当時。現在は「持続可能な開発のための2030アジェンダ」)(※語句説明7)の野心的な開発アジェンダに舵を切る中、世銀加盟国、国連内外の協業相手、そして職員との真摯な対話のもと、2030年を見据えた世銀グループ全体の事業戦略を定義することから始めました。国別の開発戦略と地域共通の重要課題分野にもとづく大きな組織変更を行い、さまざまな制度の見直しを経て、現在は世銀の財務再建が焦点になっています。

私は世銀に入行して最初の1年間、欧州地域で融資や政策支援の実務に従事した後、改革事務局へ移り、そこから一貫して世銀改革について経営陣のサポートをしています。改革推進の体制は刻々変わり、名刺も毎年刷り直しになるのですが、日々の業務内容は内外の現状分析や各種改革プログラムの企画設計、意思決定がなされる経営会議の事務局、また検討や実施にあたっての世銀グループ各機関、各部局間の合意形成の取りまとめや説得といった、地道なものです。

現在の焦点の財務再建について聞かせてください。

世銀の収入が支出を上回り、開発支援事業を継続、拡大できる収支構造と財務体質を取り戻すことが目的です。世銀の事業の根幹は金融ですから、株主から出資を受けた資本をもとに市場で債券を発行し、調達した資金を貸与して金利をつけて返済してもらい、収入と支出の差額である利益の一部を内部留保として資本に再投資することで業容を維持拡大する、という事業構造になっています。市中の銀行と異なる点として、株主が世銀加盟国188ヵ国の政府であり、その多くが借入国でもあることから理事会を通じて加盟国の共同組合のようなガバナンスを持つこと、利益は目的でなく、本当の目的すなわち開発効果を持続的に達成するための要件であること、また借入国からの元本返済と金利支払いは経済成長と税収増によるため、融資案件や借入実施機関でなく国の財政が与信管理の単位となること、などがあります。借入国が国の発展の基礎となるさまざまな投資をおこなうにあたり、世銀融資を他のどの資金源より有利な条件で受けられるためには、世銀が市場で資金調達するための債券(世銀債)が最も低いコストで発行できること、つまりAAAの格付け(※語句説明8)を保つ優れた財務体質を維持することが重要です。

これらは世銀グループの各機関のうちとくに中所得国に市場金利で融資する国際開発復興銀行 (IBRD)(※語句説明9)にあてはまりますが、IBRDの利益の一部を同じく世銀グループ内で最貧国を対象に無利子に近い条件で資金提供する国際開発協会 ( IDA)(※語句説明10)に内部移転することで、高所得国は最貧国を支援する上で、IDAへの拠出で自国の二国間支援より高い資金効率を得られます。このように世銀グループ全体としての収支構造と財務体質は、高所得国の資金にレバレッジ(※語句説明11)をかけて新興国・途上国が必要とする資金を確保しつつ、新興国・途上国が株主として自国のニーズにもとづいて資金の使途の決定に影響を及ぼすために重要な役割を担っています。

2009年の金融危機以降、市場金利が歴史的な低水準で推移し、世銀の金利収入もそれに伴って低下してきました。一方、世銀の支出はフラットバジェットと呼ばれ、10年程前に株主を代表する世銀理事会と世銀経営陣の合意によって毎年、実質ベースで固定されていたため、現在の予算枠組みのままでは近い将来、収入で支出をまかなえなくなるとの懸念を、2014年に経営陣から株主諸国に課題提起しました。この状況を解決するには収入を増やすこと、負債比率を引き上げて貸出余力を増やすこと、支出を減らすこと、の3つの手段があり得ます。収入を増やすには貸出金利の引き上げが必要で、これが収入に影響するのは新規融資の返済時期ですから5年から7年かかります。負債比率の引き上げにあたっては世銀債のAAA格付けを保つことが必要で、格付け機関が世銀の財務状況を総合的に判断して格下げをしないよう、他の財務施策と歩調を合わせて慎重に行わなければなりません。これら両方にも着手する前提で、比較的短期で可能な支出の削減と予算の改革を行うことが理事会によって了承されました。これは、金利引き上げで不利益をこうむる借入国、資本負債比率の引き上げで出資した資本へのリスクが高まる非借入国、支出削減で身を切る世銀経営陣および職員、三者間の痛み分けの政治合意ともいえます。

支出の削減と予算の改革はどのように行いましたか。

世銀グループは年間500億ドルから1,000億ドルの新規の融資、投資、投資保証を行い、そのための年間予算は2013年度の物価水準で約50億ドル、5,000億円で、いわゆる正規職員16,000人の人件費や福利厚生にかかる固定費がおよそ7割です。ここから、4億ドル、400億円を2017年までに削減することを経営層で合意しました。これは、すべて人員削減でまかなうならば1,000人超という計算ですから、職員組合が反対し、新聞各社が世銀の経営陣を糾弾する記事を出すなど、大騒ぎになりました。現在は目標削減額に見合った全ての施策が合意され、費用削減効果が見積もられ、2017年度までの各部門予算にほぼ織り込まれています。費用削減の大部分は人件費以外で、例えば出張旅費は年額500億円にのぼりましたが、内部規定の見直し、航空会社やホテルチェーンとの契約見直し、出張手配する旅行代理店の集約などで10%から15%の効率向上を達成しています。

出張費用に限らず費用削減策全般の設計と実施について、短期的な一律予算カットでなく持続可能で高効率な組織体質に移行する、そのためには世銀事業の質と量を妥協することなく投入資源の単価を下げる、バックオフィスや各種支援業務から効率化し前線の負担を小さくする、また人件費でなく変動費や人以外の固定費を優先して下げる、といった原則を貫いています。世銀では何をするにも客観データと分析をもとに議論を尽くす文化がありますが、予算削減も例外でなく、さまざまな効率性指標で世銀内外のベンチマーキングから費用削減額を決め、諸々の施策案の費用対効果分析を繰り返してきました。

今後は、中長期の開発戦略に適した機動的な予算に移行すること、また持続可能な開発目標(SDGs)(※語句説明12)の野心的な目標への貢献の度合いを高めるべく、世銀グループの業容そのものを拡大することが重要な経営課題となっています。以前の予算枠組みでは予算総額が固定されていることから、部門や分野ごとの予算配分も前年度から大きく変化することなく踏襲され、戦略を作っても資源再配分や重点投資が伴わないという問題がありました。今回、各部門の3ヵ年予算見込に費用削減効果を反映した上で、戦略議論と予算配分を直結させる過程を新たに導入して、向こう数年で収益が増えるにつれ、効率向上の成果を保ったまま優先分野での予算増と業容拡大を機動的におこなえるようにしています。私の所属先は「予算編成・業績評価・戦略企画総局」という長い名前の部局ですが、この仕事をするために2年前に新設されたものです。世界的な財政難でどの国際機関も加盟国や資金拠出元から費用対効果を厳しく問われる中、世銀グループの今回の取り組みは注目を浴び、他機関から詳細な問い合わせや支援要請を受けることも増えています。

世銀と国連、またSDGsとの関係について教えてください。

世銀は国連システムの専門機関(※語句説明13)のひとつで、世銀の加盟国すなわち株主は国連の加盟国とほぼ一致しています。世銀の最高意思決定機関は総務会と呼ばれ、理事会の上位にあるものですが、財務大臣で構成され、各国が株主としての出資比率に応じた議決権を持ちます。国連は総会で一国一票の多数決による意思決定がなされ、各国が設置する国連代表部は外務大臣の管轄です。また、世銀は独自の財務基盤と収益構造にもとづき一定程度、自律的な事業運営をしながら株主の中長期の経済的な要請に応えますが、国際開発に関わる国連機関は加盟国の自発的な拠出金に依存しながら、短期の政治的な要請にも応える傾向にあります。こうした業態や意思決定における各国間のバランスの違いから、国連と世銀は実務上では一心同体とはいえませんが、加盟国全体の利益を調整しながら成果と存続意義を証明し続ける上では、運命共同体と言ってよいと思います。

来月(2015年9月)の国連総会で採択される予定のSDGsを含む2030年アジェンダは、ミレニアム開発目標(MDGs)の経験にたち今後15年にわたる国際社会共通の開発目標です。SDGs策定に先立ち、2013年に発表した世銀グループ戦略(※語句説明14)では、国連との密な協議も踏まえ、事業目的として貧困の終焉と繁栄の共有というツイン・ゴールを掲げました。これは2030年までに絶対貧困ライン以下で生きる人々を地球人口の3%以下にする、また全ての国で所得水準の下位40%に位置する人々の所得成長を加速し格差を縮小する、というもので、これらの目標と指標はそのままSDG1(貧困)とSDG10(不平等の是正)に盛り込まれています。また、SDGsは全体で17分野169ターゲットにわたる広範なものですが、世銀の業務はほぼ全てを含むため、国連統計局が主導する各ターゲットの内容や指標の技術的な検討に、早い時期から世銀も参画しています。

SDGs全ての目標の達成に必要となる実現手段、Means of Implementationとして大きく3つの柱が合意されていますが、特に世銀の役割が期待されるのが1つめのファイナンスです。これはSDGs達成に必要となる資金の調達動員に関わるもので、世銀が国連経済社会局の依頼を受けて具体化の検討を主導し、IMFや各地域開発銀行の参加も得て先月(2015年7月)エチオピアで開催された開発資金国際会議にて、詳細な計画や達成指標を盛り込んだアディスアベバ行動目標(※語句説明15)が採択されました。先にお話した世銀の費用削減や予算枠組の改革は、世銀が加盟国のSDGs達成を支援する開発金融で引き続き、主導的な役割を果たしてゆく出発点でもありました。今後、世銀の経営陣は、SDGs達成に求められる資金規模に見合った国際開発金融の基盤づくりのため、株主各国と世銀の増資に向けた交渉に臨むことになります。世銀の運営が非効率に行われるようでは、財政の厳しい株主各国は世銀への血税投入を国民に説明できませんから、世銀が収入見込みに応じて支出をコントロールできるようになることは、増資交渉を開始する必須条件でした。

※以下、後編に続きます。

 



【語句説明】

1.世界銀行

貧困削減や開発支援を目的とし、途上国を対象とした資金源、技術援助機関。世銀グループは5つの機関で構成されており、重要意思決定は加盟国が行う。本部所在地は米国ワシントンD.C.で、1944年に設立され1万人以上の職員が世界120か国以上で業務にあたる。2016年4月にナウル共和国がIBRDに加盟し、本記事掲載時点では世銀加盟国は189ヵ国。
参考:http://www.worldbank.org/ja/about/what-we-do (日本語)

2.日本の世銀プロジェクト
1953年から1966年にかけて、世銀が日本と調印し、日本国内でおこなわれた31件の融資プロジェクト。東海道新幹線、東名高速道路、首都高速道路、黒四ダム、愛知用水事業、八幡製鉄、石川島重工、トヨタ自動車などを含む。
参考:http://www.worldbank.or.jp/31project/(日本語)

3.アジアインフラ投資銀行  (AIIB)
中国が提唱し57ヵ国を創設メンバーとして2015年に設立した国際開発金融機関。
参考:http://www.asahi.com/topics/word/アジアインフラ投資銀行.html (日本語)

4.新開発銀行
BRICSの五ヶ国(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)が2014年に設立した国際開発金融機関。
参考:http://www.ndbbrics.org/ (英語)

5.世界経済フォーラム(ダボス会議)
スイスのジュネーブに本部を置き、世界情勢の改善につとめる非営利財団。ダボス会議とよばれる年一回の年次総会のほか、国際競争力、グローバルリスク、持続可能性などについて分科会からの研究発信を通じて官民対話を推進している。
参考:http://www.weforum.jp/(日本語)

6.OECD
OECDは「Organisation for Economic Co-operation and Development:経済協力開発機構」の略。本部はフランスのパリに設置されている。現在加盟国35か国。先進国間の自由な意見交換・情報交換を通じて、経済成長、貿易自由化、途上国支援に貢献することを目的とする。OECDの最高機関で、全ての加盟国が参加する閣僚理事会は年1回開催。閣僚理事会における経済成長、多角的貿易等に関する議論はG7やG20などの主要国首脳会議における同分野の議論の方向性に大きな影響を与えている。
参考:http://www.meti.go.jp/policy/trade_policy/oecd/html/ (日本語)

7.ポストMDGs
ミレニアム開発目標(MDGs)の達成期限である2015年当時、2015年より先の国際開発目標(ポスト2015年開発アジェンダ)の策定に向けた国際社会での議論が行われていた。2015年9月25日に持続可能な開発のための2030アジェンダ(2030アジェンダ)が,ニューヨーク国連本部で開催された国連サミットで正式に採択される前の呼称。
参考:http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/doukou/mdgs/p_mdgs/index.html 
(日本語)

8.AAAの格付け
格付けとは、信用格付け機関とよばれる民間機関(ムーディーズ、スタンダード&プアーズなど)が政府や企業などの債務返済能力に関する調査を行い、政府・企業やその発行する債券の信用力を等級で評価したもの。最高位がAAA(トリプルA)、以下AA、A、BBB、BB、Bといった格付けがあり、信用度が高いほど、債券発行に際して市場で支払わなければならない金利(資金調達コスト)が安くなる。世銀債は過去全ての格付けにおいてAAA。日本国債については主要格付け機関が2000年前後を境にAAAからAAに下げ、2015年現在AないしA+(投資適格程度)となっている。
参考:http://www.financial-glossary.jp/aaa(日本語)

9.国際開発復興銀行 (IBRD)
国際復興開発銀行は、世界銀行グループの初期の頃からの機関。中所得かつ信用貸しのできる貧しい国が貧困を削減するため、融資、保証、危機管理製品や分析、諮問サービスを通して持続可能な開発を促進する。資金のほとんどを世界の金融市場から得ている。IBRDは、その189加盟国の利益のために所有かつ運営される協同組合のように構築されている。
参考:http://www.unic.or.jp/info/un/unsystem/specialized_agencies/ibrd/ (日本語)

10.国際開発協会 ( IDA)
もっとも貧しい人々のための世界銀行の基金であり、世界でもっとも大きな援助機関の1つ。加盟国は170カ国。世界の79カ国の最貧国を対象に健康と教育、インフラと農業、経済開発と組織開発のための支援を提供する。IDAの財政的支援の5分の1は贈与として提供され、残りは無利子の長期貸し付けの形で行われる。
参考:http://www.unic.or.jp/info/un/unsystem/specialized_agencies/ida/ (日本語)

11.レバレッジ
企業や公共事業体が自己資金(資本)をもとに借入(負債)を行い、事業に用いることのできる資金量を大きくすることをレバレッジと呼び、その指標である負債の資本に対する比率を負債比率と呼ぶ。負債比率が低すぎれば事業規模が限定され、負債比率が高すぎると債務返済にかかるリスクが高まる。
参考:https://kotobank.jp/word/%E3%83%AC%E3%83%90%E3%83%AC%E3%83%83%E3%82%B8-661865#E3.83.87.E3.82.B8.E3.82.BF.E3.83.AB.E5.A4.A7.E8.BE.9E.E6.B3.89 (日本語)

12. SDGs(持続可能な開発のための2030アジェンダ
全世界であがっている貧困や不平等、気候変動に取り組むリーダーシップを求める要求を行動に移すため、世界のリーダーがニューヨークの国連本部に参集し2015年9月25日に採択された。この2030アジェンダには、今後15年間にわたって政策と資金確保の指針となる新たな17の持続可能な開発目標(SDGs)が盛り込まれている。グローバル・ゴールズとも呼ばれるこれら目標の起点は、あらゆる場所で、恒久的に貧困に終止符を打つという歴史的な誓約である。SDGsの理念は、2012年の「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」で生まれ、環境、社会、経済という、持続可能な開発の3つの次元をバランスさせ、普遍的に適用可能な一連の目標を作り出すことを目的とし、平和で包括的な社会を推進し、より良い仕事を作り出し、気候変動をはじめとする現代の環境課題に取り組むものとして、すべての国々に適用される。
参考:http://www.jp.undp.org/content/tokyo/ja/home/sdg.html (日本語)

13.国連システムの専門機関
経済・社会・文化・教育・保健等の分野における専門の国際機関であり、国際連合憲章第63条の規定に基づいて国際連合経済社会理事会との間で協定を締結し、国際連合と連携関係にある国際連合機関。
参考:http://www.unic.or.jp/files/organize.pdf (日本語)

14.世銀グループ戦略
2013年に10月に作成。貧困、開発等に関する世界銀行としての取り組み、各国ごとの目標達成等に関する戦略を世界銀行グループ全体として包括的にまとめたもの。
参考:https://openknowledge.worldbank.org/bitstream/handle/10986/16095/32824_ebook.pdf (英語)
http://www.worldbank.org/ja/news/speech/2013/10/01/world-bank-group-president-jim-yong-kim-speech-at-george-washington-university(日本語)

15.アディスアベバ行動目標
第3回開発資金国際会議の開幕にあたって採択された。グローバルな金融慣行を一新し、幅広い経済的、社会的、環境的課題に取り組むための投資を生み出す一連の大胆な措置が盛り込まれている。以前の成果を土台としつつ、すべての資金源に目を向け、技術や科学、イノベーション、貿易、能力構築など、幅広い問題に関する協力を取り扱うものとなっている。
参考:http://www.unic.or.jp/files/a_res_69_313.pdf(日本語)
http://www.unic.or.jp/news_press/features_backgrounders/15274/ (日本語)

 

2015年8月29日、東京にて収録
聞き手:田瀬和夫、志村洋子、瀧澤菜美子
写真:田瀬和夫
ウェブ掲載:田瀬和夫
担当:奥田、亀井、木曽、佐藤、志村、瀧澤、野尻、鳩野
2016年10月10日掲載
※記事に掲載されている情報は2015年8月当時のものです。
記事内容はインタビューに基づく個人の意見であり、世銀や国連機関の公式見解ではありません。



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