Goal 17 パートナーシップで目標を達成しよう」カテゴリーアーカイブ

センパイ1

第1回キャリア企画 国際協力のセンパイと考えよう!「国際協力に携わる職業と役割~国際機関・民間組織・学術機関~」

第1回キャリア企画
国際協力のセンパイと考えよう!
「国際協力に携わる職業と役割
~国際機関・民間組織・学術機関~
開催報告



2020年8月8日 実施
国連フォーラム関西支部


目次

  1. 開催概要
  2. 開催報告
  3. 参加者の声

センパイ1


2020年8月8日(土)に、オンラインにて、「国際協力のセンパイと考えよう!国際協力に携わる職業と役割~国際機関・民間組織・学術機関~」を開催致しました。そのご報告をさせて頂きます。

1.イベント概要

(1)企画背景

国連フォーラム関西では、これまで国際協力の現場で活躍されている又はされていた実務家の方々や学者の方々などをお招きし、国際協力の場で議論されている様々なトピックに関して、参加者に学びの場や議論、情報共有の場を提供してきました。国連フォーラム関西では学生やユース層の会員が多く、これまでの勉強会・イベントの実施アンケートからも現場や専門領域でご活躍の方からお話を伺いたい旨の声を多数受けております。よって、この度国連フォーラム関西では、国際協力の分野における様々な議論を取り上げるとともに、国際協力のキャリアについて知る機会を設け、参加者のキャリア形成の一助となることを願って本シリーズ企画を開催致します。
本シリーズでは、国際協力業界においてご活躍又はその過程にある方をお招きし、ゲストの方のキャリアについて語って頂きます。さらに、キャリアについてお話頂く中で、現場で起こっている課題やそれに対する議論などにも触れて頂き、参加者にはアカデミックな部分と現場での実情とを繋げて考える機会を提供します。
 議論の題材となる国際社会における議題・問題について取り組む姿勢を見聞して初めて、自身が学んでいる分野のアカデミックな知識と現場でこれから経験するであろう課題を併せて理解することができ、参加者にとって、キャリアを考えるうえでのヒント・鍵になると考えます。参加者にとってのロールモデルを見つけ、また現場で活躍されている方の想いを聞くことで参加者の夢への後押しとなることを願って、本シリーズを企画します。
そして、シリーズの第1回は、国際機関や民間組織、学術機関など様々な関わり方や視点を学ぶという目的のもと、本勉強会を実施いたします。

(2)企画目的

対象:国連などの国際機関や国際協力のキャリアに関心のあるユース層

企画目的:以下の機会を提供することで、参加者のキャリアや夢を応援する。

  1. 各分野における近年重要視されている又は取り組まれている課題について学び、現場での状況や課題、また議論されていることなどについて理解する。
  2. ゲストより国際協力分野のキャリア形成についてご紹介いただき、参加者がどのように国際協力分野におけるキャリアを形成していくかという示唆を得、また参加者自身のキャリア構築について考える機会を提供する。
  3. 国際機関、民間組織、学術機関など国際協力の様々な関わり方について知るとともに、国際協力とは何かについて示唆を得る機会を提供する。

(3)内容

【日程】2020年8月8日 16:00~18:00
【場所】Zoomにて実施
【予定】16:00 ~ 16:10:オープニング
       16:10 ~ 17:10:ディスカッション・セッション
    17:10 ~ 17:20:クロージング
    17:30 ~ 18:00:ネットワーキングタイム  ※自由参加

(4)ゲスト

赤星 聖さん 関西学院大学法学部 准教授
大阪大学法学部卒業。神戸大学大学院法学研究科政治学専攻博士課程後期課程単位取得満期退学。日本学術振興会特別研究員(PD)、ジョージタウン大学客員研究員を経て現職。博士(政治学)。専門は国際関係論、グローバル・ガバナンス論。研究テーマとして、国際人道システム、難民保護、国連研究、日本における国際関係論の特徴など。主な著作として、『国内避難民問題のグローバル・ガバナンス―多様化するアクターとガバナンスの変化』(有信堂高文社、2021年刊行予定)、「複合的なガバナンスにおける国際機構間関係―国内避難民支援を事例として」『国際政治』192巻(2018年)、”What Made IDPs a Separate Category from Refugees? The Change in Logic of IDP Treatment in the SARRED Conference” CDR Quarterly 7 (2013) など。

井上 良子さん Impact Hub Kyoto・プロジェクトマネージャー、京都市ソーシャルイノベーション研究所・イノベーションコーディネータ
九州大学法学部(国際公法専攻)・法科大学院修了後、東南アジアで社会起業家に出会ったことを機に法律の分野から転身、九州大学ユヌスセンターで研究員兼コーディネーターとして勤務。ソーシャルビジネス創出支援、教育プログラムの開発、日本企業のバングラデシュでの起業支援、ムハマド・ユヌス博士やグラミン・グループ、海外の教育機関等との連携を担当。その後NPO法人クロスフィールズで日本企業とアジアの社会的企業をつなぐプログラムやフィールドスタディ事業に従事。2020年4月より現職。国連フォーラムにはスタディプログラムや国連とビジネス班の幹事、2018年から事務局長を務める。

久木田 純さん 関西学院大学 SGU招聘客員教授、国連フォーラム共同代表
1978年西南学院大学文学部英語専攻卒業。シンガポール国立大学社会学部留学(ロータリー財団フェロー)を経て、九州大学大学院で教育心理学修士号取得、同博士課程進学。1985年外務省JPO試験に合格、翌年から国連職員としてユニセフ駐モルディブ事務所に派遣され、駐日事務所、駐ナミビア事務所、駐バングラディッシュ事務所、ニューヨーク本部を経て、駐東ティモール事務所代表、駐カザフスタン事務所代表を歴任。2015年1月国連退官。2003年に世界銀行総裁賞受賞。2011年に東ティモール共和国勲章を受勲。


2.開催報告

各組織が国際協力において果たす役割や意義

はじめに、ゲストの方々に「各組織が国際協力において果たす役割や意義は何か」をお伺いしました。

民間企業のサポートに携わっている井上さんは、国際協力という観点における企業の強みはリソースとスピードではないかと述べます。企業は、グローバルな問題解決に必要とされるネットワークや情報、資金を豊富に持っている点や他の組織に比べて迅速に動くことができる点を挙げ、これらが国際協力において求められるソリューション提供に有効に働く可能性について言及されました。また、近年特に増加している、社会問題に直接アプローチするビジネスについても触れ、経済価値と社会価値が融合したアプローチの強みや社会の期待についても述べられました。

アカデミアとして大学で准教授を務める赤星さんは、大学/アカデミックが果たしうる役割は人材育成と知の更新、の2つあると述べます。人材育成とは、大学という場において国際協力に携わりたいと考えている学生を後押しすること。そして知の更新においては、現在のCOVID-19の状況を例に挙げ、新しい知見やイノベーションを生み出していくことで国際的な問題の解決に貢献していることを述べられました。また、学者が果たす役割について、現場で行われているレガシーや課題についての客観的な分析ができる点も言及されました。

国際協力に関わる主体は、しばしば、大きくパブリックセクターとプライベートセクターに分類されます。これについても、赤星さんは「近年の動向に見られる自国第一主義などによって、公(パブリック)の役割や国際協調がうまく働かないときには、私(プライベート)の役割が重要になります。しかし、私(プライベート)の役割だけでは限界もあり、そのような場合には一定程度、公の役割が必要になってきます。そのような公私の循環する動きも興味深いテーマだと思います。」と述べられ、両セクターのバランスや関わりについて考えるための示唆を頂きました。

国連児童基金(UNICEF)で勤務経験を持つ久木田さんは、国連は国と国の協力を促進する国や国際レベルでの取組みを行う役割があると述べ、二国間協力との比較のなかで、国連の中立性・公平性について言及されました。また、そのような点から、国が介入できないところにも国連が入って支援をすることができるという強みにも言及されました。

一方、最近のWHOに対する状況に見られるように、各国間のパワーバランスを考慮に入れながら活動することの困難性や、政治を利用して国際協力を促進することの可能性についても言及されました。
赤星さんも、このような組織の中立性の問題について、政治的対立に巻き込まれてしまう危険性や、政治を上手く利用することの効果から、世界全体の利益に関する役割を担う一方で加盟国のバランスをどのように取るかという難しさについて言及されました。
また、これについて久木田さんは、政治と国連の難しい状況における対応について「長期的にそして戦略的に考えていかなければならない」と述べました。

また、久木田さんからは、国際協力における各組織の関わりについて、組織によって区分がされていた従来とは異なり、近年では企業と政府、企業と国際機関など組織区分を超えた協力が推進していることについても言及されました。
国連が定めた世界の目標であるSDGsに対する民間の在り方について、井上さんは、従来は経済的な利益の外に置かれていた環境・社会・人権の利益を、最初から統合した考え方や事業に組み込んでいく発想を行うことが企業に求められていることではないか、と見解を述べられました。

キャリア選択・キャリア構築について

国際協力をに携わるポストでしばしば必要とされる修士号。参加者をはじめ、国際協力に携わることを目指す方の中には、日本と海外どちらの大学院に行くのかを迷われる方が多くいらっしゃいます。そこで、ゲストの3人に大学院選びのポイントについてお聞きしました。

自分で考える力をつける―

国内の大学院を選択した井上さんは学生時代、発展途上国で法律の専門性を活かしたの仕事に就くことを目標に進学を目指されていたため、研究のための法学府ではなく、実務で活躍できるスキルを習得できる法科大学院を選択したと教えて頂きました。また、赤星さんは大学院選択にあたって指導教員を理由に挙げて、お話頂きました。

国内と海外の大学院のどちらを選択するのがよいかという点について、国内の大学院進学のメリットは母語で思考力を養うことができる点にあり、海外の大学院のメリットはネットワークや語学力の向上などが挙げられました。

その他、大学院進学のタイミングについても議題に挙がりました。大学卒業後の院進の場合、そのまま学生として進めるためモチベーションを保つことができる一方、自分のやりたいことが不明確な場合があると述べられました。社会経験後に進学する場合は、自身のやりたいことが明確になりやすい一方、仕事を辞めにくい点が挙げられました。

しかし、どの選択であっても一番重要なのは、自分で考える力をつけることであることを教えて頂きました。

また、大学や大学院での学びの他に、問題が起きている現場に行くことも重要である、とゲストの方々は述べます。赤星さんは、自分が支援するその先を知ることで活動や研究が血の通うものになるのではないか、と述べました。


キャリア構築で大事なこと―

大学院進学の他にも、キャリア構築にあたってのポイントについても伺いました。

赤星さんは、チャンスが来た時に掴めるよう準備することが大事なことの一つであると述べます。久木田さんも、チャンスが来た時に掴む力、そしてその力は何が必要なのか、自分の使命は何かを見極めることができるようにすることが良いのではないかと述べ、4つの軸を教えてくださいました。井上さんは、今ご自身のキャリアを振り返る中で、学生の時は組織ありきで考えていたことに気付いたと言います。一方、異なるキャリアを選択した今も変わらないものもありました。それは「使命感」だと言います。キャリア構築で大事なポイントの一つとして、諦めないこと、も挙がりました。赤星さんは、使命に対して諦めないことが重要であると述べます。使命を追い求める中では、視野が狭くなる懸念もあるため、広く視野を持つことも重要であると教えて頂きました。

このように、目的意識や使命感を持ちながら専門性を極めることの重要性について気付くことができました。

人生百年時代といわれる今日、「キャリアも家族も、人生の一部として長期的な視点で、今やるべきことを大切にバランスを取ってほしい」と久木田さんは述べます。


「自分の軸を定めながら多様な価値観に触れ、現場にも足を運びながら選択していくと、ライフチャートが出来上がってくるのではないでしょうか」(井上さん)

ネットワーキングタイム

ネットワーキングタイムでは、ゲストそれぞれ3つの部屋に分かれて、参加者との質疑応答を行いました。
今回は、オンラインということもあり、従来のような自由に参加者同士が話せる機会はどることができませんでしたが、よりクローズドな環境で、参加者は思い思いの質問や相談をゲストに尋ねることができました。
質問の一例:

  • 国際協力への熱意はどうやって保っているのか?
  • 成長によって貧困をなくそうという試みについてどう考えるか?
  • 研究を今までとは異なる分野に着目するようになった背景は何か?
  • ソーシャルビジネスをどのように考えるか

3.参加者の声

参加者の皆さまからのアンケート結果を抜粋してご紹介いたします。

  • 民間とアカデミア、国連という異なる立場から、それぞれの国際協力に向けた役割を知り、キャリア形成の参考になった。
  • プレゼンターの方々の人となり・現在に至るまでの過程について理解することが出来た。
  • 「自分で決める。失敗したらまた立ち上がればいい。」というメッセージが印象的でした。
  • 今後のキャリア形成について悩んでいたので今回、様々な方面でご活躍されている方々のお話を聞けて自分の人生設計について考えるいい機会になりました。
  • 今回が初めての勉強会参加でしたが、これまでのイベント等をFacebookで拝見しておりました。企画内容やゲストの方々のバックグラウンド等とても興味深いものばかりで国連フォーラム自体、素晴らしい活動だと思います。今後も時間が合えば勉強会に参加していきたいです。

この度は「国際協力のセンパイと考えよう!
国際協力に携わる職業と役割~国際機関・民間組織・学術機関~」
にご参加いただいた皆さま、誠にありがとうございました。
今回残念ながらご参加頂けなかった皆さまも、
次回以降の勉強会のご参加をお待ちしております。
国連フォーラムは引き続き皆さまに有意義な「場」を提供できるよう努めて参ります。
今後とも、国連フォーラム関西支部をどうぞよろしくお願いいたします。

なお、国連フォーラム関西のFacebookグループでは、国連や国際協力に関する情報の共有や議論の場を提供しております。ぜひ、ご参加ください。また、本Webサイトでは過去の勉強会の開催報告のほか、国連フォーラムのWebサイトからはその他第一線でご活躍されている方々のインタビュー記事など有益な情報がたくさんご覧いただけます。ぜひご活用ください。

世界人道デー企画:自然災害に伴う人道危機の現在

世界人道デー企画「自然災害に伴う人道危機の現在」~脅威に立ち向かうOCHAとJICAの活動とは~

2019年 8月11日  実施

世界人道デー企画「自然災害に伴う人道危機の現在」
脅威に立ち向かうOCHAとJICAの活動とは

開催報告

8月11日(日)に、関西学院大学大阪梅田キャンパスにて、『世界人道デー企画「自然災害に伴う人道危機の現在」〜脅威に立ち向かうOCHAとJICAの活動とは〜』を開催致しました。そのご報告をさせて頂きます。

【イベント概要】

《企画概要》
日時 2019年8月11日(日)13:00~17:00
場所 関西学院大学 大阪梅田キャンパス 1004教室
共催 国連人道問題調整事務所神戸事務所、独立行政法人国際協力機構関西センター、国連フォーラム関西支部
ゲスト

・吉田明子 氏
2007年 国際連合人道問題調整事務所(OCHA)入職。2018年11月 OCHA神戸事務所 所長就任。アジア太平洋地域事務所、ニューヨーク本部、 フィリピン事務所、組織変革実施チーム、機関間常設委員会(IASC)事務局、各国での人道支援を経た後、現職に就任。

・金塚匠 氏
2017年4月 JICA地球環境部 環境管理グループ 配属 2017年8-10月 JICAタイ事務所 OJT 2019年5月 JICA関西 業務第一課 異動 学生時代は土木工学、特に都市洪水に関する研究し、洪水解析モデルの最適化問題に取り組む。 JICA地球環境部ではタイ・カンボジア・スリランカの環境問題(気候変動・廃棄物・下水道)に関する技術協力事業を担当。 JICA関西センターでは農業・都市交通・交通安全・災害復旧等に関する研修事業を実施中。

内容 1.オープニング
2.イントロダクション
3.講演
4.質疑応答
5.個人ワーク
6.グループディスカッション
7.意見の共有
8.クロージング
9.ネットワーキングタイム
《企画背景》

 人道に関する問題が大規模化・長期化・複雑化していることから、人道支援ニーズが国際社会で急速に高まっています。紛争及び自然災害が原因で、2018年には148の国と地域で新たに約2,800万人が被害を受け、世界で人道支援を必要とする者が1億3000万人以上存在しています(2019年4月現在 OCHA)。さらに、2018年に新たに発生した自然災害による国内避難民は、紛争を起因とする避難民よりも多い約1,700万人であることから(IDMC 2019)、自然災害も今日における人道危機を生み出す大きな原因の1つであると言えます。

 第49回世界経済フォーラムでグテーレス国連事務総長が、「人類が現在直面する最も重要な課題は気候変動である」と強調したように、気候変動や自然災害がグローバルイシューとして国際社会で活発な議論が近年交わされています。特に地球温暖化防止の国際枠組みであるパリ協定が本格的に始動する前年である2019年は、パリ協定加盟各国を集めて地球温暖化対策を議論する気候サミットが開催されるなど、非常に重要な年です。

 そこで、本企画では特に「自然災害」に着目し、自然災害に伴う人道危機の課題に関して、国連及び政府開発援助の実施機関の活動を発信することで自然災害と人道問題について参加者の関心を高めることを目的としています。

 

《目的と到達目標》
  1. 「人道への課題 Agenda for Humanity」、中でも「人道支援のニーズを減らす」こと、さらには支援ニーズを減らすために、人道危機の影響を受けやすく、かつ見落とされやすい女性や子ども、難民・避難民のような脆弱者に目を向けることが不可欠であるため、今回のテーマである自然災害に伴う人道危機に脆弱である人たちへの理解を深める。
  2. 人道危機・支援の事例に基づく議論を通して、人道支援の包括的なアプローチについて理解し、参加者が自身の関心や専門と照らしながら、自分にできる関わり方を考える。
  3. 現在の日本においても自然災害が脅威となっている現実から、将来の持続可能な社会の実現のために、世界で深刻化する自然災害と人道危機を「自分事」のように捉え、当問題解決に向けて自分なりの考えを発信できるようにする。

 

【開催報告】

 オープニング
  • 久木田氏より開会のご挨拶
  • 共催団体紹介(OCHA神戸、JICA関西、国連フォーラム/国連フォーラム関西)
    • OCHA神戸
       国際連合人道問題調整事務所(OCHA)は、自然災害や紛争によって人道危機に晒された人々の生命と尊厳を守るため、国際的な人道支援活動を調整しています。支援を必要とする国ごとに様々な人道ニーズや優先順位を把握し、包括的かつ戦略的な対応計画を取りまとめる作業を担当するのがOCHAの役割です。すべての人が、すべての人のために、効果的で、人道支援の基本原則に則った活動を行うことを推進しています。

       OCHA神戸事務所は2002年に設立され、日本政府や国内外の人道支援団体と連携を強化することで、主に海外での緊急人道支援活動やそのための備えをサポートしています。また、OCHAの、日本におけるスポークスパーソンとしての役割も担っています。
    • JICA関西
       国際協力機構(JICA)は、「信頼で世界をつなぐ」をビジョンに掲げ、開発途上国への国際協力を行う日本のODA(政府開発援助)実施機関です。技術協力や、有償資金協力、無償資金協力、民間連携や市民参加協力、国際緊急援助など様々なメニューでODAを実施し、開発途上国が抱える課題に取り組んでいます。

       JICA関西は、「途上国と関西を信頼でつなぎ、ともに『持続可能な開発目標(SDGs)』の達成に貢献します」をミッション・ステートメントとし、防災をはじめとする関西圏の多彩なリソースを生かした研修事業や民間企業の途上国への海外展開支援、市民参加協力事業など、地域と途上国を元気にする国際協力を推進しています。

 

  • ゲスト紹介

▲ 司会は国連フォーラム関西支部の黒崎が務めました。

 本企画では、ゲストとしてOCHA神戸より吉田明子氏、JICA関西センターより金塚匠氏をお迎えしました。
 吉田氏は、2007年に国際連合人道問題調整事務所(OCHA)入職され、2018年11月から現在においてOCHA神戸事務所 神戸事務所長に就任されました。
 金塚氏は、2017年4月 JICA地球環境部 環境管理グループに配属され、2019年5月から現在までJICA関西 業務第一課 国際防災研修センターに所属されています。

 

  • イントロダクション(企画背景や自然災害と人道危機の関係性について)

 冒頭のイントロダクションでは、国連フォーラム関西支部の森田が「自然災害と人道危機」の関係性やその概要について地球温暖化の問題を交えながら、説明を行いました。

▲ イントロダクションでの紹介は、国連フォーラム関西支部の森田が務めました。

 世界人道デーは、2005年8月19日を「人道支援を必要とする人々や、支援に携わる人々について考える日」として国連総会にて定められています。①進行する地球温暖化に伴う自然災害の暴力化、②世界で強制移住(displacement)を生み出すなど、自然災害が深刻な人道問題にまで発展していること、③近年日本においても自然災害が猛威を振るう事態が挙げられることより、今回の世界人道デー企画では「気候変動と人道支援」に焦点を充てて開催することとなりました。

 IPCC第5次報告書では、産業革命期と比較して、世界の平均気温が既に約1℃上昇しており、最も地球温暖化が進行した場合、2100年までに最悪で約5℃度上昇すると発表しています[1]。また、国連は気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする目標を掲げていますが[2]、2018年IPCC特別報告書は、2030年に1.5℃の上昇を達成する可能性があると指摘しています[3]。さらに地球温暖化によって海水温が上昇し、最大風速54m/s以上の強い台風の発生率も高くなる[4]と予想されています。

 様々なリスクが進行する地球温暖化によって表面化してきます。平均気温1℃の上昇が熱波や洪水などの異常気象による被害を増加させるとも言われており、実際に、世界の自然災害の発生数も1980年から2018年までに右肩上がりの状態である[5]など、気候現象や風水災害の気象に関連する自然災害は増加しています。また、2018年に新たに発生した国内避難民の要因は、紛争/暴力よりも、自然災害が原因で避難する人が多いと報告されています[6]。このように自然災害は、今日における人道危機を生み出す大きな原因であると言えます。

 昨年を象徴する漢字に「災」が採用されたように、日本も2018年は災害の脅威を目の当たりにする年となりました。西日本豪雨や台風21号などが原因で、2018年の自然災害による農業被害額は、東日本大震災があった2011年に次ぎ、過去10年で2番目の5,679億円でした[7]。今後も自然災害が増加することで、強制移住、ジェンダーによる暴力行為、家族の離散、雇用問題[8]など複数のリスクが国内外で多発することも考えられます。自然災害による人道危機の悪化を最小限にとどめるためにも、人道への課題(Agenda for Humanity)4「届ける支援から人道ニーズ解消に向けた取り組みへ」が重要となってきます。


[1] IPCC 第5次評価報告書 第1作業部会[http://www.env.go.jp/earth/ipcc/5th/pdf/ar5_wg1_overview_ presentation.pdf]
[2] 2015年パリ協定第2条1項(a)
[3] IPCC 1.5℃特別報告書 詳しくは環境省HPを参照。[https://www.env.go.jp/press/106052-print.html]
[4] 当銘寿夫(2019)「当たり前になっていく『異常気象』地球温暖化は誰が止めるのか」『Yahoo!ニュース 特集』ヤフー[https://news.yahoo.co.jp/feature/1337]
[5] Munich Re, Loss event worldwide 1980-2018. As at August 2019.
[6] Internal Displacement Monitoring Center (IDMC). 2019. DRID 2019 Global Report on Internal Displacement. p.1.
[7] 平成30年農業白書より。
[8] 自然災害時における人々の保護に関するIASC 活動ガイドラインより一部抜粋。[https://www/brrokings.ed/wp-content/uploads/2016/07/0106_operational_guidelines_nd_japanese.pdf]

 

 講演

講演では、各機関のレジリエンスの強化や開発援助など、自然災害に伴う人道ニーズ解消に向けた取り組みについて話して頂きました。

「自然災害による人道危機 ~早期緊急対応に向けて~」 吉田明子氏

 国連機関の中で、人道問題で大きな役割を担う国連人道問題調整事務所(OCHA)の吉田明子氏によるご講演を頂きました。

▲ OCHA神戸 吉田明子氏による講演の様子。

 はじめに、OCHAの組織について、そして人道支援資金の最近の試みについてお話を頂きました。OCHAは、国連総会決議46/182のもとに設立された国連機関です。国連による緊急人道支援の調整機能の強化を目指しており、支援の調整、アドボカシー、情報管理、資源の動員、政策支援の5つを主軸に活動されています。

 緊急支援のための資金である中央緊急対応基金(CERF)は、大規模な自然災害や紛争が発生した際に、ドナー等からの資金が届くまでの空白期間を埋めるため、緊急人道支援の初期財源として補填することで、被害の発生や拡大を最小限に抑えることを主な目的にしています。各国ドナー等から拠出金を集め、被災者のニーズに応じて、国際機関や援助機関の実施する人道支援プロジェクトに配分しています。

 自然災害の対応には年間15億ドルの人道支援資金が必要と言われますが、必要な資金と予算には大きな開きが存在しており、年々そのギャップは拡大しています。そこで、CERFの資金規模を拡大することによって、このギャップを埋め、さらに、予測される危機に対して早期に対応を行う資金を提供できないか、という案が持ち上がっています。

 干ばつによる食糧危機などが、今日においてモバイルデータの通信量、土壌の状態、栄養失調率などの統計的手法によって、発生の予測可能性が高まっていることから、あらかじめ事前投資することで、危機的状況を回避、あるいは自然災害が発生した際の被害を最小限に留められることも期待できます。また、グテーレス国連事務総長が世界の人道ニーズに応じるために、CERFへの拠出を10億ドルにまで拡大させることを提案しました。これに対して国連加盟国を含め幅広い支持や賛同の声が表明されるなど、CERFの意義は大きいことが分かります。

 実際に2017年のナイジェリア、南スーダン、ソマリアにおける飢餓や2018年サヘル地域おける干ばつに対して、CERFによる早期対応が実施され、その効果も認められています。しかしながら、吉田氏はCERF自体の課題も複数挙げられました。課題には、国連総会の総意、アーリーアクションの定義が曖昧なため、資金提供の決め手が見つかっていないなどが挙げられます。CERFの運営は他団体のコンセンサスが必要であるため、優先順位や金額などの合意の難しさを述べられておられました。

 

「気候変動と自然災害分野におけるJICAの協力」 金塚匠氏

一国の政府組織として、そして日本として行う人道支援について、国際協力機構(JICA)関西センターの金塚匠氏によるご講演を頂きました。

▲ JICA関西 金塚匠氏による講演の様子。

 はじめに、金塚氏の所属するJICAについてのご紹介を頂きました。「JICAは、ただ良いことをするばかりでなく、外交上の手段の一環として、途上国にも日本にもいい影響をもたらすことを目指して事業を行っています」と述べ、2015年に閣議決定された開発協力大綱や独立行政法人国際協力機構法などの基盤となる政府の決定や法律ほか、SDGsなど様々な国際社会の流れを組んで活動を行っている、という国際協力を実施する国の組織としての特徴を紹介していただきました。

 金塚氏は、気候変動は経済活動が大きい先進国のみならず、途上国を含むすべての国が取り組まなければならない問題として認識され、パリ協定という国際枠組みが定められたことや、IPCCの1.5℃特別報告書によると、産業革命以前と比べて気温が上昇しており、2030年から2052年の間には1.5℃上昇することが確からしいと議論されていることを紹介してくださいました。

 このような深刻な気候変動問題に、どう取り組むのか。金塚氏は、2つの方法があると指摘します。第一に、温室効果ガスの排出を減らす緩和策です。再生可能エネルギーの利用や運輸交通、廃棄物管理や農業・畜産業における工夫、森林管理や植林などによりCO2の排出を削減する方法があると述べます。第二に、気候変動の負の影響に備える適応策です。気候変動による自然災害に備えた防災の実施や品種改良など農業分野における工夫、生態系保全や水資源開発、感染症対策等が挙げられます。適応策については、特に途上国が関心を寄せており、JICAも気候変動対策の支援に貢献していると述べられました。例として、バンコク都に対して日本(特に横浜市)の知見を共有し技術移転を行ったり、インドの鉄道建設による公共交通機関への転換で渋滞・車両の減少を通じたCO2削減、また、ベトナムへの資金協力および制度構築の支援や、ラオスに対する気象システム設置の支援を通じた防災協力などをご紹介いただきました。

 自然災害に伴う経済的損失が近年増加しており、その一因は気候変動にあると金塚氏は紹介します。また、それらの影響を受けやすい人は貧困層の人々であり、これらの人は、自然災害に脆弱な場所に住まなければならず、被災しやすく、貧困によりさらなる二次被害を受けやすい状況にあると言います。

 「日本は、支援国の中でも特に自然災害に関する知見があるため、防災分野に関しては日本がリードしています。とりわけ過去20年の二国間協力ではトップドナーとなっています。」JICAでは、様々な事業に防災の知見を取入れ開発協力を行っていると金塚氏は述べます。例えば、タイでの地下鉄建設の際に入口の高さを上げることで、2011年の大洪水の影響を受けることなく地下鉄の運用に成功し、フィリピンでの病院建設の際に沖縄の構造物の特徴を取り入れた設計することで、台風に強い病院運営ができるようになった事例、また、ミャンマーの小学校の建設の際に、1階部分ではなく2階に教室を設置することでシェルターと学校の両方の機能を兼ね備えることができるなどの様々な成功事例を紹介してくださいました。また、JICAでは、脆弱な立場にある女性に対する避難ワークショップの実施や、障がい者を巻き込んだ防災計画の立案、研修の実施を行っていると言います。さらに、緊急時にすぐに資金協力ができる備えを行っており、保険の仕組みの提供や、植林や自然環境保護のための支援も行っていると述べます。JICAでは日本での経験を踏まえて、海外の人道問題、特に災害に関する分野での協力を行っていることが、金塚氏の紹介で学ぶことができました。

 

質疑応答

 質疑応答では、被災地における性暴力の防止やサバイバーへの支援について質問が挙がりました。吉田氏は、被災地の不安定な状況下では様々な事件が発生しやすい傾向にあることを言及したうえで、これに対して、専門領域の国連機関は、早期に対応できるよう開発の分野で、制度の構築やサバイバーへの支援などに取り組んでいることをご紹介いただきました。

 具体的にどのような日本の知見を海外に伝えているのか、そして国内の災害支援や対策に貢献していることはあるのか、という質問に対して、金塚氏は、JICAでは、被災者の心のケアに関する知見や、インフラへの事前投資によって災害のリスクを軽減することができた経験を共有している、と紹介されました。また、日本への貢献については、世界の被災者同士を繋ぎ、似たような経験をした方々で思いを共有することで、心のケアなどに繋げた例をご紹介いただきました。また、吉田氏は、人道支援が必要な緊急事態のもとでは、支援を受ける側の負担も多くなることに言及し、その際に、OCHAは国際社会に伝わるように情報を整理、発信していることを紹介されました。また、「支援の受け入れ側の負担を減らすような話し合いも現在進められています」と述べました。

 様々な分野を含めたプロジェクト実施が必要であると認識されつつある議論を踏まえ、JICAではどのように取り組んでいるのかという質問に対して、金塚氏からは「たとえば気候変動対策室を設け、他分野のプロジェクトであっても、計画策定時には同室に協議を行うことによって、全てのプロジェクトに対して気候変動対策の視点を盛り込めるよう取り組んでいます」とお答えいただきました。

 最後に、人道支援に対する取組みについて、報告書などを通して様々な日本人にもわかるように日本語で発信してほしいという意見が出され、国連機関や国際支援機関のみならず、市民である私たちによる協力の必要性を確認しました。

 

 個人ワーク・グループディスカッション・意見の共有

▲ グループディスカッションの様子。

 個人ワーク及びグループディスカッションでは、サイクロン、地震、干ばつの3つの自然災害の事例が載った情報シートをもとに話し合いました。個人ワークの時間では情報シートを読み込み、配布されたワークシートに記入を進めることで、自身の考えをまとめました。次に、6人程度のグループに分かれ、それぞれが考えたアイデアを共有し、①「どのような人道支援が求められるか」そしてそれらは「誰にとって必要か」、②「人道支援のニーズが解消された理想の状態はどのようなものか」、③「どのアクターが」「どのような取組みをする必要があるか」を議論しました。

 

サイクロン班

 1班では、人口の半分以上が被害を受けたという状況に着目し、「どのように国を再建することができるか」が重要だという意見に至りました。産業を成長させることと貧困率を下げることにより、被災前より良い状況をつくるための支援について話し合いました。具体的には、被災経験を活かし、予測した事態の対応ができるよう、マニュアルを作成し共有する必要があるとの意見が出されました。また、エネルギーの供給源を地域によって分散させ、それぞれの地域がエネルギーを生産できるようにする必要性も挙げられました。

 4班では、食糧不足や水・衛生問題の深刻化に着目し、リスク分散のための新たな食料生産や、安定的な食料や水の確保、感染症や衛生面への対応や、長期滞在支援者に対する宿泊先の確保やエネルギーの供給、物資供給の為の輸送手段の確保などが必要である、と様々な意見が出されました。被支援国としては、災害に強いまちづくり・復興対策が必要であり、支援国としては人材の派遣や技術支援や知識の伝達が、現地市民としては共助の意識が、そして私たちは情報収集をする力や情報を伝える力が必要であるという意見に至りました。

地震班

▲ グループディスカッションの様子。

 2班では、病院が被災し医薬品が不足している状況に着目し、ディスカッションが進行しました。足が途絶えてしまった山間部への救助チームの派遣や、病院が崩れてしまったために自宅で治療をしている患者をキャンプへ移動させ、電力や医薬品の供給、医療人財の派遣をすることが必要であるという意見が出されました。また、地域自立型のインフラや、災害時マニュアルの必要性についても話し合われました。

 5班では、首都に医療施設が集中している点や、石造りで破壊されてしまった建築物が多く、衛生的な水が不足している点、また短期的・長期的の双方で食糧不足が深刻な点に着目をして議論が進行しました。72時間以内の医療提供や、医療人財の育成や地域での医療の確保が重要であるという意見が挙がりました。また、Googleマップでの支援情報の共有や、市民参加による支援の輪の拡大が重要であるという意見も出ました。

干ばつ班

 3班では、干ばつによって不安が増加し治安の悪化によるコミュニティ関係の悪化に着目し、生活における不安がない状況が理想であると考えました。また、被害を受けた国が主体となることが人道支援の在り方ではないかという点で議論が盛り上がりました。そのうえで、現地の行政やNGOが動きやすいような財政づくりや支援体制が必要であると意見が一致しました。干ばつなどは、人に伝える「見せ方」が難しい問題である事に対して、私たちが感度を高く情報を収集し、発信していくことが重要であることを確認しました。

 6班では、水や食糧の分配に着目し、自然災害の支援者・被支援者の経験をもとに議論が進みました。特に、物資の共有時に妊婦さんや子どもに多く配分されることが理想であると考え、人的ネットワークと情報ネットワークが必要であると意見がまとまりました。災害時の情報格差を防ぐために、日ごろから情報を共有できるネットワークを作成すると良いという案や、風化させないための市民教育も必要であることが話し合われました。また、事前に予測し情報を提供することで、災害発生時の混乱が防げる点や、被災者の状況を支援側が理解するとスムーズな支援につながるのではないか、という意見も挙がりました。

 

 講評

最後に、グループワークやその意見共有を踏まえ、ゲストの吉田氏と金塚氏から講評を頂きました。

 吉田氏は、「緊急支援と開発の両方が重要と皆さんが考え、共有したことは、実際の現場でも長らく議論されていることです。ただ、それを実際に実現するのはとても難しく、最近ようやく『The New Way of Working』として、人道支援と開発の共同の成果をハイレベルで協力して実施していこうという段階にあります。しかし、今後より一層アイデアを取り入れて人道支援に活用していきたいと思っています。」と述べられました。また、「被災国が主体的に彼らが必要なことを進められることが大事で、現地の人々をエンパワーする「Localization」として世界人道サミットの課題として議論されています。」と最近の議論の潮流を紹介してくださり、自然災害の被災者や支援者の経験を防災や人道支援に役立てていく必要性を述べられました。

 また、金塚氏は、「グループワークの共有で指摘された『より良い復興』は、日本としても力を入れており『Build Back Better』という言葉で、仙台防災枠組にも取り入れられています。」と述べ、「Google Earth Engineなどプラットフォームを活かした防災協力も一つの形として想定されるので、ぜひ調べてみてください」と、実際の取組み可能性について示唆してくださいました。また、「トイレの問題や支援する側の課題、情報ネットワークの必要性など細かな点に目が回らなければならない点は、人道支援において重要な視点です」と述べられ、干ばつの発信の難しさや、情報の伝達から支援に繋げることの難しさにも言及されました。「SNSが普及しているという意味で、我々全員が問題意識についての情報を発信することができ、人々の意識向上に繋がります。そして、それが最終的な支援に繋げることができ、人道問題の解消や、OCHAやJICAなど支援側の活動の効果を向上することができると思います。」

参加者一人ひとりの意見に真摯に向き合い、共に考えてくださった吉田様、金塚様に心より感謝申し上げます。

 

【参加者の声】

本勉強会にお越し下さった皆様からは、多くのご満足いただいた意見を頂きました。本報告で、一部をご紹介させていただきます。

  • 様々な立場の方と意見を共有することができ、刺激を受けました。
  • ディスカッションを通じて、勉強するのみならず、知ること・考えることに繋げることができ、良いきっかけとなりました。
  • グループディスカッションを行う上で、異なる見解が合った点が面白かった。
  • ネットワーキングタイムでは、自分の関心分野に関する情報を得ることができました。

『世界人道デー企画「自然災害に伴う人道危機の現在」〜脅威に立ち向かうOCHAとJICAの活動とは〜』にお越しくださり、誠にありがとうございました。

▲ 記念撮影の様子。

 PDF版はこちら

私の提言会

特別企画「私の提言会~私の一言で、人が動く、世界が変わる~」

2018年8月4日実施 

国連フォーラム関西支部 特別企画

私の提言会

〜私の一言で、人が動く、世界が変わる

開催報告

私の提言会

文責:米田 奈央

 2018年8月4日(土)に、賢者屋大阪梅田店にて、国連フォーラム関西特別イベント「私の提言会」を開催いたしました。そのご報告をさせていただきます。

スマートフォン版はこちら

【イベント概要】 

《企画背景》

 2015年にSDGsが採択されて以降、「ゴール17:パートナーシップで目標を達成しよう」を基盤に 様々な機関や団体、個人が連携を行い世界が直面する貧困などの課題に取り組んできました。国 連フォーラム関西は、関西における若者を対象とし、国連、特にSDGsに関する議論や情報共有、 参加者同士のネットワーキングを行う場を提供することを軸に活動を行ってきました。今年度3月に は第一回関西ネットワーキングカンファレンスの開催を終え、高校生をはじめとする多くの学生が、 開発課題において関心を持ち、問題意識を抱えながら、各自活動や知識の習得を行っていること が明らかとなりました。 

 また、同イベントにて、国連フォーラムの共同代表である久木田氏より「議論し、新しいコラボが 生まれたら素敵だ」という言葉が述べられ、国連フォーラム関西が議論やネットワーキングを通して 世界の発展への実行が生まれる可能性のある場でもあることを認識しました。 

 これらを踏まえて、本企画「私の提言会」は、国連フォーラムのウェブサイト掲載の「私の 提言」(http://www.unforum.org/teigen/index.html )を参考に、若者が自身の経験や知識に基 づき議論し合い、より有効な活動へのヒントを得、また新たな協同の可能性が生まれることを期待して企画されました。 

《企画目的》

本企画は以下の内容を目的および到達目標として開催しました。 

    1. 国連フォーラムが政策発信の場としての発展を目指すことを理解し、現在の政策を見つめ直し、問題提起を行う場をつくる。 
    2. 参加者の活動報告・研究報告に基づき、議論を行い、自らの取り組みを見つめなおす場を提供する。
    3. 参加者同士が共通点・共通の課題を探す中でネットワークを構築し、新たな協同の可能性を探る機会を提供する。 
    4. 開発アジェンダに関する取り組みをより良いものにし、将来を担う若者の後押しとなることを目指す。

【開催報告】


「安心して失望できる社会」今井けい 氏

「『死にたい』そう思ったことは、ありませんか?」という衝撃的な問いかけに始ま り、精神の健康をテーマに今井さんの提言発表が行われました。

 自殺の約80%が低・中所得国・貧困国で起きているということから、国際協力・SDGsを考える上でも無視できない現状があるということを学びました。自殺の際に使用される農薬の管理や、労働環境の整備、精神疾患に対するサポートなど、様々な課題があると紹介いただきました。

そのような現状がある中で、今井さんは「安心して絶望できる社会が自殺を減らす」と いう提言を行い、何かがあっても頼れる社会にしたい、医療従事者として何ができるか を今後も考えていきたい、と語りました。ディスカッションにおいては、3つのグルー プに分かれて議論が行われました。複数ある自殺の要因に対して、様々な人が自分ので きることを考え行動する必要があることを確認しました。 

上2枚:「私の提言」をプレゼンする今井さん。 下2枚:ディスカッションではグループに分かれて話し合いを行いました。

「官民連携と国際開発」高見純平 氏

 官民連携(PFI)という言葉は国際開発の現場でも良く聞く言葉ですが、その官民連携に 成功の判断はついていない、と高見さんは言います。

 従来の公共事業とは異なり、一括 して民間に任せるのがPFI事業であり、日本の地方自治体での商店街活性化の例を挙げ て、説明していただきました。国際開発の関連において、途上国向けのPFI事業は多くなっていること、またPFI事業のメリットと抱える課題について学びました。

 このような PFIの現状がある中で、「国際開発業界を支える人材をどのように確保し育成するか」という問題に対して高見さんは問題提起しています。

 ディスカッションでは、高見さんが 国際協力に関心をもった背景や、なぜ国際協力に関わる人が少ないと思うか、人材を増やすにはどのようにすべきだと思うか、などの質問が出ました。最後には、今後求めら れる人材のタイプや素養についてお話頂き、参加者にとっても将来を考える良い機会と なりました。 

上2枚:「私の提言」をプレゼンする高見さん。 下2枚:ディスカッションでは、参加者からの質問に対して高見さんが返答しつつ、会場全 員で考えました。

 

「Using Technology to Prevent Disease Outbreaks」Abdilahi Mohamed H. Hussein Rabi

 ICT(情報通信技術)は病気の発生を防ぐことができるのか、という問いかけからラビさ んの提言は始まりました。

 まず最初に、病気の大流行の定義を確認し、それによる開発 や発展に対する影響、どのような国際機関・国家機関が病気の管理を行っているのかについて学びました。病気及び健康に関する現状・課題がある中で、ラビさんは情報収集 から決定の過程に着目し、そこにICTの技術をしようできないか、と研究しているそうです。

 現状としてどのような技術が存在するのかを紹介していただいた後、ラビさんは「 IoT(Internet of Things / モノのインターネット化)による活用を」と提言しました。ディス カッションでは、ラビさんの出身国ソマリアでのインターネット状況、感染病対策にお けるSNSの有効性、それから政府による監視の必要性などに関する議論があり、技術の 発展とそれによる国際協力の効率化や可能性などに想いを馳せる事ができました。

上2枚:「私の提言」をプレゼンするラビさん。 下2枚:参加者の質問に答え、IoTの現状などについて学びました。

講評

 講評のセッションでは、国連フォーラム関西の共同代表であり、関西学院大学詔勅客 員教授である久木田さんに実務経験を踏まえて、各提言者に対するご講評を頂きまし た。また、イベント後には「ぜひ、またこのようなイベントを開催してほしい」とのコ メントを戴きました。国連フォーラム関西の運営メンバー一同も、今後も「私の提言 会」のような企画を開催していきたいと考えております。

 

《参加者の声》

参加者の皆様からのアンケート結果を一部抜粋してご紹介いたします。 

    • 「興味深い提言で、新たな視点を得ることができた」 
    • 「普段あまり考えないようなことで、ディスカッションをして、提言者の方の考え を知ることができ、自分の世界が広がった」 
    • 「発表とかいろんな人の意見を聞いて、自分も小さなことから行動を起こしていけ たらいいなと思いました。」 
    • 「他の学生が思っている事を聞くという経験はあまりないので、とても参考になる ものでした。」 
    • 「他の提言内容は自分のものとは違い、刺激が得られた」 

『私の提言会』にお越しくださった皆様、誠にありがとうございました。今回残念ながら参 加ができなかった方も、次回以降のご参加をお待ちしております。今後とも、国連フォーラム関西支部をどうぞよろしくお願いいたします! 

また、国連フォーラム関西支部のFacebookグループページホームページでは、国連や国際協力に関する情報共有を行っております。関心のある方はぜひチェックしてみてください!

ネットワーキング・カンファレンス2018年

国連フォーラム関西特別企画『人とつながる。世界とつながる。Networking Conference in 関西』

2018年3月18日 実施

国連フォーラム関西特別企画
『人とつながる。世界とつながる。Networking Conference in 関西』

2018年3月23日(土)に、関西学院大学大阪梅田キャンパスにて、国連フォーラム関西特別企画『人とつながる。世界とつながる。Networking Conference in 関西』を開催いたしました。そのご報告をさせていただきます。

*************************************************

ネットワーキング・カンファレンス2018年

〈参加者〉50名

〈ゲスト〉
SDGパートナーズ 代表取締役 CEO 田瀬 和夫 氏
関西学院大学院教授 久木田 純 氏
UNOCHA 神戸事務所長 渡部 正樹 氏
WHO健康開発総合センター医官 茅野 龍馬 氏
サラヤ株式会社 海外事業部アフリカ担当 森 窓可 氏
認定NPO法人テラ・ルネッサンス 栗田 佳典 氏
アマルプロジェクト 岩元 晴香 氏
大阪市立大学アイセック 三上 諒子 氏
SGH高校生(葺合高校/関西創価高校)(2名)

〈コンテンツ〉
【第一部】
◆①講演セッション:『キャリアトーク』
(学生の部)
・登壇者
  アマルプロジェクト:岩元 晴香 氏
  大阪市立大学アイセック :三上 諒子 氏
  高校生:2名 
それぞれの学生団体、高校であれば学校やスーパーグローバルハイスクールの取り組みを説明いただいたのち、パネルディスカッションで、将来へのビジョンや、大切にしている価値観などお話していただきました。
(有識者の部)
・登壇者
  UNOCHA神戸事務所長:渡部 正樹 氏
  WHO健康開発総合センター医官:茅野 龍馬 氏
  サラヤ株式会社 海外事業部アフリカ担当:森 窓可 氏
  認定NPO法人テラ・ルネッサンス:栗田 佳典 氏
それぞれの所属団体に関する概要を説明いただいたのち、パネルディスカッションで、大切にしている価値観ついて等、お話していただきました。

 

【第二部】
◆①国連フォーラム共同代表による基調講演
「国連フォーラムのこれから ~来るべきSDGs達成の2030年に向けて~」
・登壇者
  SDGパートナーズ 代表取締役 CEO:田瀬 和夫 氏
  関西学院大学院教授:久木田 純 氏
国連フォーラム設立の経緯から、今後の展望に関してお話いただきました。

◆②人とつながる。トークセッション
あなたが思う、持続可能な世界とは?」
「持続可能な世界の実現のために、具体的にどう取り組むか?個人としてどう関わりたいか?」
をお題に、グループに分かれ、ディスカッションが行われました。

 

〈アンケート〉
参加者の皆様からのアンケート結果を一部抜粋してご紹介いたします。
海外に関心がなかったのが、実際に現場を見たくなった。
国際機関だけではなく、企業でもSDGsの活動を行っていると知ることができた。
世界により目線を向けている学生達と出会えて、刺激になり、勉強に励もうと思った。
”ラベルよりコンテンツ”という考え方が今まで欠けていたので、新たな考え方をえることができた。
「大変優秀な学生が多く関西にいることを見れてうれしかったです。」
もっと悩んで混乱しようと思った。いろいろなことを知ろう!と思った。

*************************************************

お越しくださった皆様、誠にありがとうございました。今回残念ながら参加ができなかった方も、次回以降のご参加をお待ちしております。今後とも、国連フォーラム関西支部をどうぞよろしくお願いいたします!

また、国連フォーラム関西のグループページ国連や国際協力に関する情報共有を行っております。関心のある方はぜひチェックしてみてください!

第8回

第8回SDGs勉強会「国際教育協力の最前線 ~『質の高い教育』を問い直す」

2017年10月21日実施

国連フォーラム関西支部 第8回SDGs勉強会
国際教育協力の最前線 ~「質の高い教育」を問い直す~

 

2017年10月21日(土)に国連フォーラム関西は第8回勉強会『国際教育協力の最前線ー「質の高い教育」を問い直す』を開催いたしました。今回はその報告をさせていただきます。

本イベントでは、国連フォーラム関西運営メンバー3名によるプレゼンテーションとワークショップを通じて、国際教育協力における教育の質に関する議論の潮流を理解し、国際教育協力に関わるアクターについて学びました。

【イベント概要】

《企画概要》

第8回
イベント名:
国際教育協力の最前線 ~「質の高い教育」を問い直す~

日時 :2017年10月21日 14:00~17:00

場所 :賢者屋大阪梅田

タイムテーブル:
13:30~14:00:開場
14:00~14:05:オープニング、国連フォーラム紹介
14:05~14:25:プレゼンテーション①
14:25~14:45:プレゼンテーション②

14:55~16:00:ワークショップ
        ~この国に必要な「質の高い教育」って?~
16:10~16:35:プレゼンテーション③
16:35~17:00:クロージング

プレゼンター :

  • 矢野泰雅(神戸大学大学院国際協力研究科修士1年)
  • 浅川裕子(京都大学教育学部3年)
  • 安藤秀雄(神戸大学大学院国際協力研究科修士2年)

【開催報告】

《プレゼンテーション①》

『国際教育協力のこれまでとこれから〜「質の高い教育」と「教育の量」』(矢野)

教育協力とはどのような協力を指すのだろうか。ミレニアム開発目標の後継として持続可能な開発目標(SDGs)が採択されてから2年経ち、教育の目標において7つのターゲットが定められていますが、第1部ではこれまでの教育協力の潮流と変遷に焦点をあて、教育の『量』と『質』の観点から「教育協力」を考えました。

発表後には参加者の方から「伝統的な教育を行っている地域が存在する国であっても、純就学率100%を目指すべきなのか?」という質問をいただきました。この質問に対して、プレゼンターからは、答えは一つではないとした上で以下の文献が紹介されました。
「伝統社会における近代教育に関する課題は大変重要かつ難しい議論となっています。教育は、国家の経済開発に必要であり、1人1人の将来の選択の可能性を広げる手段として議論される傾向がありました。また、伝統社会の人々もそれらの正の影響に賛成し、同意することも少なくないことも重要です。しかし、文化継承の点から伝統社会への負の影響を与える可能性があるのも事実です。以上からわかるように、伝統社会ごとに「教育」の役割は異なり、一概に公教育を排除すべき、また普及すべきとはいうことができないため、ケースによって文脈を理解することが重要になるのではないでしょうか。」
(参考:高柳妙子「ケニアの伝統的な社会における教育の意味-ラム県とナロック県の比較から-」国際教育協力論集, 第12卷, 第2号, 2009年)

      

プレゼンテーション②

『「質の高い教育」を考える「内容と方法」の視点」〜”誰も取り残さない”ために最後の5%を教育を保障する』(浅川)

「質の高い教育」の「質」とは何か。就学率の向上や学校の設備、教師の力量形成に加えて、教育の「内容と方法」の視点も見落とすことはできません。第2部では、紛争後社会に焦点を当て、民族融和などの社会課題と教育の関わりについて、教育の「内容と方法」の視点から考えてみました。

第二部では「最後の5%」に着目したプレゼンテーションが行われました。これは学齢期の子どもの5%~10%を占める層を意味し、都市から離れた遠隔地の居住者、放牧生活者などの地理的要因に影響されるもの、障がい児、難民など、特殊な教育需要があるもの、女子などが挙げられます。教育機会の量的拡大によって、初等教育へのアクセスは飛躍的に増加を遂げていますが、まだこれに手が届かない「最後の5%」の層がいるのです。
(参考:山田肖子「初中等教育の意義と課題ー途上国の現場でのミクロな分析からー」JBIC 教育ネットワーク研究会ー国際教育開発連続講座第2回ー、2004年)

インドのカーストに関心を持つ参加者の方から、「子どもの生活に根差した教育内容と方法について、カーストの場合は具体的にどうなるか?」という質問をいただきました。プレゼンターからは、アメリカの「デモクラティック・スクール」にて実施された多様性のある集団の中の彼らの生活経験に基づいた教育方法を例にあげ、カリキュラムは公的に共通の枠組を参考にしながらも、教育現場の歴史や文化に合わせて、教師が主体的に編成していくことに価値があるのではないかという考えが述べられました。

《ワークショップ》

ワークショップ:『この国に必要な「質の高い教育」って?』

ワークショップでは、仮想国家・ヒユタ共和国のケーススタディを通して、教育内容・方法における課題を考え、多様なアクターによる関わり方の可能性をグループに分かれて話し合っていただきました。

プレゼンテーション③

『国際教育協力にどう関わるか?ー民間企業の役割ー』(安藤)

第3部では国連と民間セクターの国際教育協力に向けた動きを概観した後、事例を交えながら教育関連企業の国際教育協力に関わる活動を紹介しました。また、国際協力業界の中で近年プレゼンスが高まりつつある企業に焦点を当て、自分らしい国際育協力についても考えました。

・KUMONののバングラデシュ事業におけるアプローチについて
プレゼンではKUMON職員がBRACスクールに通う貧困層の子どもたちに対して直接関わるという形ではなく、ライセンス契約や現地スタッフ育成の面で関わっている事例を紹介しました。KUMONは国内においては、数学・国語・英語を主力として外国語や書道など様々なコンテンツを提供していますが、海外ではその国の文化や歴史等を踏まえた教科内容にしています。バングラデシュにおける教育事業は、FC展開の事業性の検討や人材育成の仕組みの確立などの為の新たなパイロット事業を2017年より展開しており、今後はJICAに限らず国連との関わりも視野に入れ、教材等のリソースを提供した教育事業の拡大を続けることを紹介しました。
プレゼンを通して、自分の思い描くアプローチがどの組織に所属することできるかは、しっかり調べて考えなければならないことを参加者の皆様と考えられたかと思います。

《参加者の声》

最後に参加者アンケートから一部参加者の声を抜粋してご紹介します。

  • 教育の質と量に分けて考えたことはなかったので新鮮だった
  • 質の高い教育と言っても幅が広く、単純な問題でないことがよくわかった
  • グループでの意見は色々な見方が人によって違っていて面白かった
  • 国際機関と言えば国連やJICAを思い浮かべませんか?という質問にハッとさせられました。民間企業もそうであること、知らないうちに意識から外してしまっていました

みなさまと共にこのような場を作ることが出来たことを、とても嬉しく思います。

これからも国連フォーラム関西支部をどうぞ宜しくお願い申し上げます。


また、国連フォーラム関西支部のFacebookグループページホームページでは、国連や国際協力に関する情報共有を行っております。関心のある方はぜひチェックしてみてください!

第6回

第6回SDGs勉強会「アフリカの将来とビジネス~TICAD VIを経た今、日本の果たす役割とは~」

2016年12月9日実施

国連フォーラム関西支部 第6回勉強会

SDGsとアフリカ開発

開催報告

国連フォーラム関西です。2016年8月下旬、ケニアにおいてTICAD VI(第6回アフリカ開発会議)が開催されました。1993年以降日本政府が主導する形で開催されてきたTICADが、今回初めてアフリカでの開催となり注目を浴びました。
「日本はこれまでどのようにアフリカと関わってきたのだろう?」「アフリカが抱える問題は、今どうなっているのだろう?」今回のTICADをきっかけに、このような疑問を抱かれた方もいると思います。アフリカの開発、そして日本とアフリカの関係について、ゲストの方々、参加者の皆さまで一緒に考え、学びました。

【イベント概要】

《企画概要》

イベント名:SDGsとアフリカ開発

日時 :2016年12月9日 18:30~21:00

場所 :関西学院大学大阪梅田キャンパス1004教室

ゲスト :

  • 田瀬 和夫氏
    国連フォーラム共同代表。デロイト トーマツ コンサルティング株式会社 執行役員・ディレクター。2016年5月1日より同社CSR・SDGs推進室長に就任。
    1992年外務省に入省し、国連政策・人権人道・アフリカ開発・国際機関拠出金・人間の安全保障などを担当したのち、2004年に国際連合人道問題調整部人間の安全保障ユニット課長。大阪大学招聘教授。
  • 大豊 盛重氏
    公益社団法人 日本国際民間協力会NICCO 本部部長/NGO相談員
    放送局・テレビ番組制作会社での勤務を経て2010年NICCOの職員となる。マラウイでの飢餓の起きない村づくりのほか、東日本大震災、パレスチナオリーブ農家支援などで現地担当。現在は京都本部にて広報・チャリティイベントを担当。
  • 久木田 純氏
    国連フォーラム共同代表。関西学院大学教授(学長直属SGU招聘客員教員)。
    ユニセフ駐モルディブ事務所、駐日事務所、駐ナミビア事務所、駐バングラデッシュ事務所、ニューヨーク本部を経て、駐東ティモール事務所代表、駐カザフスタン事務所代表を歴任。2003年に 世界銀行総裁賞受賞、2011年に東ティモール共和国勲章を受勲。
  • 大林 稔氏
    龍谷大学経済学部名誉教授。早稲田大学経済学研究科博士課程満期退学。博報堂、外務省、国連開発計画などを経て龍谷大学へ。
    アフリカの政治経済および開発援助について研究を進めるとともに、実践的にアフリカの発展に関わり、第四回TICADの際はTICAD市民社会フォーラムの代表として、アフリカと日本の市民社会の参加に努力した。

【開催報告】

第1部》講演
「アフリカの開発とTICAD」(大林氏)
「アフリカにおける国際協力とNGOの実例」(大豊氏)
「ビジネスは格差を解消できるのか」(田瀬氏)

《第2部》パネルディスカッション
「アフリカ×SDGs×ビジネス」

《第3部》座談会

当日の内容を記録致しました議事録は以下のURLからご覧いただけます。
https://docs.google.com/…/1vwAKj0t-zY0uoF4XlrqAZSXfbX-cU9nL…


多くの参加者の皆様と共に、ゲストの方々を交え充実した議論を行うことができ、運営メンバー一同とても嬉しく思います。
これからも国連フォーラム関西支部をどうぞ宜しくお願い申し上げます。

また、国連フォーラム関西支部のFacebookグループページホームページでは、国連や国際協力に関する情報共有を行っております。関心のある方はぜひチェックしてみてください!