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第12回SDGs勉強会

第12回SDGs勉強会「途上国の教育を『非認知能力』から考える」

2018年10月28日実施 

国連フォーラム関西支部 第12回SDGs勉強会

『途上国の教育を「非認知能力」から考える』

開催報告

文責:矢野 泰雅

2018年10月28日(日)に、公文教育会館にて、国連フォーラム関西支部第12回SDGs勉強会『途上国の教育を「非認知能力」から考える』を開催いたしました。そのご報告をさせていただきます。

【イベント概要】 

《企画背景》

 国連フォーラム関西支部における2回目の教育企画となる今回は、SDGs目標4「質の高い教育をみんなに」「学習者の能力の向上」という視点から捉えました。

 質の高い教育を行うことができれば、知識や創造性、読み書き計算の基礎的スキルのみならず、分析や課題解決といった高次の認知機能や、対人関係スキル及びソーシャルスキルの獲得が期待されます。これらの能力は、人々が健康で充実した生活、十分な情報を得た上での意思決定、地域や世界の様々な課題解決に取り組むことを可能とするような市民としての能力や価値観、態度の形成にも寄与すると考えられています(【仮訳】仁川宣言Incheon Declaration)。中でもとりわけ、子どもたちの「粘り強さ」や「動機付け」、「忍耐強さ」などの「非認知能力」が、人々の幸福や社会の発展に貢献することが明らかにされつつあり、認知能力と非認知能力の双方を育む教育の重要性が強調されています(国立教育政策研究所、2017)。しかしながら、現状として教育や政策に関する議論においても、非認知能力は認知能力に比して過小評価されがちであるという見方があります(同上論文)。

 以上を背景に、本勉強会では「質の高い教育」を学習者の能力の向上の視点から、特に「非認知能力」をいかに向上するのかという点に焦点を合わせて考える機会を創ることを目指した勉強会の開催に至りました。

 

《企画目的と到達目標》

 本企画はSDGsシリーズとして「目標 4:質の高い教育をみんなに」に焦点を当て、以下の内容を目的および到達目標として開催しました。

  1. 非認知・認知能力とは何かを知る。
  2. 非認知・認知能力をどのように身につけるかを考える。
  3. 国際教育協力の一つとして「官民連携」を知る。

 

《イベントプログラム》

➢ オープニング

―ゲスト紹介: KUMONのミッションと国連・SDGsとの整合性について

―国際教育協力の歴史的な変遷

―非認知・認知能力の定義づけ

➢ 第1部

―講演① 井上勝之氏 (㈱KUMON執行役員 経営統括本部長)

       ・SDGsの達成に向けてのKUMONの貢献

-バングラデシュでのNGOとの協業に焦点を合わせて-

   ・KUMONを経験した子どもたちの変化

          -非認知能力の向上への貢献に関連して-

 

―講演② 久木田純氏 (関西学院大学教授(学長直属SGU招聘客員教員)、国連フォーラム共同代表)

       ・UNICEFによる教育の質向上のアプローチ

・バングラデシュにおけるBRACの役割とその特徴

・教育分野の民間企業が国際機関と連携することの意義と課題

       ・KUMONのBRACとの連携事業に対する講評

➢ 第2部

― 事例紹介

・国内外の公文式教室における取り組みの中で、非認知能力の向上に寄与していると考えられる事例の紹介(KUMON、JICA民間連携事業等)

 

― ワークショップ

       ・参加型ワークショップ

       ・ゲストからの講評

➢ 閉会の挨拶

-ゲストによる総評

 


【開催報告】

《オープニング》
  • ゲスト紹介:KUMONのミッションと国連・SDGsとの整合性について
    • 公文教育研究会は、発展途上国を含む50ヶ国に個人別、学力別学習を共通のメソッドで展開をしております。独自の公文メソッドでの教室事業や、福祉施設、学校、企業への施設導入などの様々な事業形態を通して、生徒の認知、非認知能力向上への取り組みを行なっております。
    • SDGsでは4番目の目標として、「質の高い教育をみんなに」が掲げられています。SDGsでは教育の「質」に着目し、学校に通うことを保障するだけでなく、子どもたちが身につける教育の内容に焦点を当てています。国連やSDGsにおいて議論される「教育の質」に、「認知能力」と「非認知能力」が含まれています。
  • 国際教育協力の歴史的な変遷
    • 第二次世界大戦後、国際教育協力は人権の1つとして教育を提供しよう、という意図のもと始まりました。1970年代以降、主にアフリカにおいて、教育は国造りに取り組むことのできるエリートを要請するために用いられ、教育の初期段階以上に、高等教育や大学教育に予算・人材が集中しました。
    • しかし、1990年代に転機が訪れます。日本をはじめとした、天然資源などが存在しない東アジア各国が大きく発展し始めたのです。理由の1つとして考えられたのが、初等教育などの教育の初期段階の普及率でした。日本は資源による輸出ではなく、人を資源として成長したことを各国が倣う潮流が生まれました。
    • そこで、2000年代に入ると、2015年まで取り組まれていたMDGsのもと、教育の「量」に着目した目標が掲げられていました。結果として、すべての地域において教育の初期段階の普及は急激に改善されました。しかし、MDGs後に浮き彫りになった新たな問題が、教育の「質」でした。教員の能力が低かったり、教科書の内容が不十分であったりするために、子どもたちが学校に通っていても学び取っていない状況が明らかになりました。
  • 認知・非認知能力の定義づけ
    • 「質の高い教育」とはどのような教育を指すのでしょうか。本イベントでは認知能力・非認知能力と定義しました。
    • 認知能力とは、文字の読み書きができる、計算ができるなどを自分で使うことができる能力に加えて、複雑な話や課題を解決したり、思考をもとに問題を解決する能力も含まれます。
    • 非認知能力とは、知識ではなく、その人自身の態度や振る舞いのことを指します。例えば、自分で目標を掲げて努力する姿勢や、他人とより良い関係を築きながら問題に取り組む能力などです。近年の研究においてBig Five(外向性・協調性・経験への開放性・自律性・まじめさ)という概念をもとに研究が進められてきました。
《第1部》
  • 講演① 井上勝之氏
    • SDGsに対するKUMONのアプローチをバングラデシュの事業例(BRACとの協業)を踏まえ、ご説明していただきました。また、教育の質は多くの視点で考えることができますが、非認知能力に焦点を当てた教育についてお話していただいたことで、非認知能力の測定方法や学習者への効果を理解することが出来ました。
    • KUMONは2015年から、バングラデシュ最大のNGOであるBRAC(Bangladesh Rural Advancement Committee)と協業している。BRACは、世界最大の非政府組織(NGO)としてマイクロファイナンスのみならず、医療、教育、職業訓練などさまざまな貧困者支援を行なっています。
    • 公文式学習法の算数教材が、バングラデシュ最大の NGO である BRAC がダッカと周辺地域で運営する小学校の生徒の認知・非認知能力に与える影響を検証した。その結果、公文式を学習した群には授業自体の出席、算数の授業への積極的な参加・意欲にポジティブな変化が見られました。
      • 講演資料はこちらからご覧いただけます。

  • 講演② 久木田純氏
    • バングラデシュにおけるUNICEFの教育課題に対するアプローチや21世紀に必要なグローバルコンピテンシーについてお話ししていただき、これからどのような教育や企業のあり方、人材が求められているのかをイメージすることが出来ました。

 

《第2部》
  • 事例紹介
    • 第2部ではワークショップで「教育の質」を向上を目指し、子どもたちの「非認知能力」を“いかに”高めるのかを考えます。“いかに”高めるのかについて、明確な答えはなく、今なお子どもたちの様子や取り巻く環境に合わせて試行錯誤が行われているのです。今回は議論の参考として、すでに取り組まれている事例を紹介しました。
    • 〈学習活動の目標〉〈学習活動の場所〉〈学習活動の方法〉の多様な選択肢に着目し、次の2つの事例を紹介しました。
    • KUMON 公文式を児童養護施設 日本水上学園に導入した事例:

児童養護施設で生活する子どもたちが公文式を活用し自学自習をすることを通して、学習の達成感や意欲、成功体験を通じた自尊感情の高まりといった変化が見受けられるようになった事例です。

紹介動画

KUMON Now!「児童養護施設でのKUMON-日本水上学園」Ⅴol.097

    • JICA 「学びの質向上のための環境整備プロジェクト」:

エジプトで、児童の他の人と協力して取り組む力や感情をコントロールする力を向上するため、学級会や掃除、日直などの「特別活動(トッカツ)」の導入が行われている事例です。

紹介動画

JICA(2018/10/4)「『エジプト・日本学校』35校が開校:日本式教育をエジプトへ本格導入」

 

  • ワークショップ
    • A国B村という架空の地域の公立初等学校のケースをもとに、「教育の質」が低い原因を分析し、問題を解決するためのプロジェクトを立案するという問題解決型ワークショップを行いました。
      • 当日使用したケースはこちら(*ケースの国、学校などは実在しません。図表は参考資料をもとに一部改編しています。)
    • 今回は、「非認知能力」に着目するため、就学率や中退率といった量的な側面だけでなく、「仲間と協力して何かに取り組む機会の不足」といった内容や方法の側面に特に着目して問題分析を行いました。
      • 参加者のみなさんの間では、ご自身の学校での学習経験や途上国を訪問した経験を振り返りながら、教員同士の連携の不足や地域社会との関係などに着目して議論が行われました。
    • プロジェクト立案では、人やモノが不足する途上国の学校の限界も考慮し、学校が持つポテンシャルや学校以外の様々な教育の機会や資源を取り入れた提案が行われました。
      • 提案されたプロジェクト名の例
        • 「教員再教育プロジェクト」
        • 「多様性を身につけるための作文・グループ活動導入プロジェクト」
        • 「全員で卒業しよう」プロジェクト など
  • ワークショップの風景

①問題分析・目標設定に取り組む様子

②プロジェクト発表の様子

➢ 講評・表彰

  • グループ発表を受けて、ゲストの久木田氏と井上氏からご講評をいただきました。
  • 今回は、問題への着眼点やプロジェクトのアイディアの新規性・創意工夫に着目して、「ポテンシャル賞」「グッドアイディア賞」の表彰を行いました。児童生徒が協力して「理想の家をつくる」という学習活動を提案したチームや、次世代の教員を育成するために教員が相互に支える仕組みを提案したチーム、少数民族やジェンダーなどの多様性に関する問題に対して、作文を通して互いの思いを打ち明ける活動を提案したチームが賞を受賞しました。

➢ 講評の風景

ゲストによる講評の様子

表彰の様子

《ゲストからの総評》
  • イベントの最後に、ゲストから本日の総評をいただきました。
    • 井上氏から、今年9月にバングラデシュを訪問した際のエピソードをお話しいただきました。KUMONとBRACとの今日の協力関係は一朝一夕に出来上がったものではなく、その背後に、2度の事業の中断や、信頼関係を築くための弛まぬ努力がありました。さらには、バングラデシュが独立国家として承認される過程で日本の先人たちがかつて果たした貢献への、バングラデシュの人々からの感謝の思いがありました。
    • このような先人の途上国の発展への努力の積み重ねがあったからこそ、今の関係があり、それと同じように、私たちも将来をつくる役割を担っているということ。だからこそ、参加者のみなさんも、長い将来に得られることを願って、世界に関わってほしいというエールをいただきました。

 

《参加者の声》

参加者の皆様からのアンケート結果を一部抜粋してご紹介致します。

  • 高校生から社会人まで幅広い年代の人とディスカッションができて楽しかったです。
  • 公文の話もUNICEFの話も情報量があり、情熱的な講演で新しいことが十分知れたので楽しかったです。
  • ワークショップでは、はじめに問題があって、それを深く考察してから問題解決について考えたので、より実践的で楽しくできました。
  • 参加前は漠然とした意識でしたが、どのように国際協力に民間企業を巻き込んでいくかを考えるきっかけになりました。

 

《今回のテーマについてもっと知りたい方へ》

今回のテーマについてさらに深く知りたい方は、ぜひ以下のサイトなどをご参照ください。

国連フォーラムの担当幹事が、勉強会の内容をもとに下記のリンク先を選定しました。

 


『途上国の教育を「非認知能力」から考える』にお越しくださった皆様、誠にありがとうございました。今回残念ながら参加ができなかった方も、次回以降のご参加をお待ちしております。今後とも、国連フォーラム関西支部をどうぞよろしくお願いいたします!

また、国連フォーラム関西支部のFacebookグループページホームページでは、国連や国際協力に関する情報共有を行っております。関心のある方はぜひチェックしてみてください!

ネットワーキング・カンファレンス2018年

国連フォーラム関西特別企画『人とつながる。世界とつながる。Networking Conference in 関西』

2018年3月18日 実施

国連フォーラム関西特別企画
『人とつながる。世界とつながる。Networking Conference in 関西』

2018年3月23日(土)に、関西学院大学大阪梅田キャンパスにて、国連フォーラム関西特別企画『人とつながる。世界とつながる。Networking Conference in 関西』を開催いたしました。そのご報告をさせていただきます。

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ネットワーキング・カンファレンス2018年

〈参加者〉50名

〈ゲスト〉
SDGパートナーズ 代表取締役 CEO 田瀬 和夫 氏
関西学院大学院教授 久木田 純 氏
UNOCHA 神戸事務所長 渡部 正樹 氏
WHO健康開発総合センター医官 茅野 龍馬 氏
サラヤ株式会社 海外事業部アフリカ担当 森 窓可 氏
認定NPO法人テラ・ルネッサンス 栗田 佳典 氏
アマルプロジェクト 岩元 晴香 氏
大阪市立大学アイセック 三上 諒子 氏
SGH高校生(葺合高校/関西創価高校)(2名)

〈コンテンツ〉
【第一部】
◆①講演セッション:『キャリアトーク』
(学生の部)
・登壇者
  アマルプロジェクト:岩元 晴香 氏
  大阪市立大学アイセック :三上 諒子 氏
  高校生:2名 
それぞれの学生団体、高校であれば学校やスーパーグローバルハイスクールの取り組みを説明いただいたのち、パネルディスカッションで、将来へのビジョンや、大切にしている価値観などお話していただきました。
(有識者の部)
・登壇者
  UNOCHA神戸事務所長:渡部 正樹 氏
  WHO健康開発総合センター医官:茅野 龍馬 氏
  サラヤ株式会社 海外事業部アフリカ担当:森 窓可 氏
  認定NPO法人テラ・ルネッサンス:栗田 佳典 氏
それぞれの所属団体に関する概要を説明いただいたのち、パネルディスカッションで、大切にしている価値観ついて等、お話していただきました。

 

【第二部】
◆①国連フォーラム共同代表による基調講演
「国連フォーラムのこれから ~来るべきSDGs達成の2030年に向けて~」
・登壇者
  SDGパートナーズ 代表取締役 CEO:田瀬 和夫 氏
  関西学院大学院教授:久木田 純 氏
国連フォーラム設立の経緯から、今後の展望に関してお話いただきました。

◆②人とつながる。トークセッション
あなたが思う、持続可能な世界とは?」
「持続可能な世界の実現のために、具体的にどう取り組むか?個人としてどう関わりたいか?」
をお題に、グループに分かれ、ディスカッションが行われました。

 

〈アンケート〉
参加者の皆様からのアンケート結果を一部抜粋してご紹介いたします。
海外に関心がなかったのが、実際に現場を見たくなった。
国際機関だけではなく、企業でもSDGsの活動を行っていると知ることができた。
世界により目線を向けている学生達と出会えて、刺激になり、勉強に励もうと思った。
”ラベルよりコンテンツ”という考え方が今まで欠けていたので、新たな考え方をえることができた。
「大変優秀な学生が多く関西にいることを見れてうれしかったです。」
もっと悩んで混乱しようと思った。いろいろなことを知ろう!と思った。

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お越しくださった皆様、誠にありがとうございました。今回残念ながら参加ができなかった方も、次回以降のご参加をお待ちしております。今後とも、国連フォーラム関西支部をどうぞよろしくお願いいたします!

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第8回

第8回SDGs勉強会「国際教育協力の最前線 ~『質の高い教育』を問い直す」

2017年10月21日実施

国連フォーラム関西支部 第8回SDGs勉強会
国際教育協力の最前線 ~「質の高い教育」を問い直す~

 

2017年10月21日(土)に国連フォーラム関西は第8回勉強会『国際教育協力の最前線ー「質の高い教育」を問い直す』を開催いたしました。今回はその報告をさせていただきます。

本イベントでは、国連フォーラム関西運営メンバー3名によるプレゼンテーションとワークショップを通じて、国際教育協力における教育の質に関する議論の潮流を理解し、国際教育協力に関わるアクターについて学びました。

【イベント概要】

《企画概要》

第8回
イベント名:
国際教育協力の最前線 ~「質の高い教育」を問い直す~

日時 :2017年10月21日 14:00~17:00

場所 :賢者屋大阪梅田

タイムテーブル:
13:30~14:00:開場
14:00~14:05:オープニング、国連フォーラム紹介
14:05~14:25:プレゼンテーション①
14:25~14:45:プレゼンテーション②

14:55~16:00:ワークショップ
        ~この国に必要な「質の高い教育」って?~
16:10~16:35:プレゼンテーション③
16:35~17:00:クロージング

プレゼンター :

  • 矢野泰雅(神戸大学大学院国際協力研究科修士1年)
  • 浅川裕子(京都大学教育学部3年)
  • 安藤秀雄(神戸大学大学院国際協力研究科修士2年)

【開催報告】

《プレゼンテーション①》

『国際教育協力のこれまでとこれから〜「質の高い教育」と「教育の量」』(矢野)

教育協力とはどのような協力を指すのだろうか。ミレニアム開発目標の後継として持続可能な開発目標(SDGs)が採択されてから2年経ち、教育の目標において7つのターゲットが定められていますが、第1部ではこれまでの教育協力の潮流と変遷に焦点をあて、教育の『量』と『質』の観点から「教育協力」を考えました。

発表後には参加者の方から「伝統的な教育を行っている地域が存在する国であっても、純就学率100%を目指すべきなのか?」という質問をいただきました。この質問に対して、プレゼンターからは、答えは一つではないとした上で以下の文献が紹介されました。
「伝統社会における近代教育に関する課題は大変重要かつ難しい議論となっています。教育は、国家の経済開発に必要であり、1人1人の将来の選択の可能性を広げる手段として議論される傾向がありました。また、伝統社会の人々もそれらの正の影響に賛成し、同意することも少なくないことも重要です。しかし、文化継承の点から伝統社会への負の影響を与える可能性があるのも事実です。以上からわかるように、伝統社会ごとに「教育」の役割は異なり、一概に公教育を排除すべき、また普及すべきとはいうことができないため、ケースによって文脈を理解することが重要になるのではないでしょうか。」
(参考:高柳妙子「ケニアの伝統的な社会における教育の意味-ラム県とナロック県の比較から-」国際教育協力論集, 第12卷, 第2号, 2009年)

      

プレゼンテーション②

『「質の高い教育」を考える「内容と方法」の視点」〜”誰も取り残さない”ために最後の5%を教育を保障する』(浅川)

「質の高い教育」の「質」とは何か。就学率の向上や学校の設備、教師の力量形成に加えて、教育の「内容と方法」の視点も見落とすことはできません。第2部では、紛争後社会に焦点を当て、民族融和などの社会課題と教育の関わりについて、教育の「内容と方法」の視点から考えてみました。

第二部では「最後の5%」に着目したプレゼンテーションが行われました。これは学齢期の子どもの5%~10%を占める層を意味し、都市から離れた遠隔地の居住者、放牧生活者などの地理的要因に影響されるもの、障がい児、難民など、特殊な教育需要があるもの、女子などが挙げられます。教育機会の量的拡大によって、初等教育へのアクセスは飛躍的に増加を遂げていますが、まだこれに手が届かない「最後の5%」の層がいるのです。
(参考:山田肖子「初中等教育の意義と課題ー途上国の現場でのミクロな分析からー」JBIC 教育ネットワーク研究会ー国際教育開発連続講座第2回ー、2004年)

インドのカーストに関心を持つ参加者の方から、「子どもの生活に根差した教育内容と方法について、カーストの場合は具体的にどうなるか?」という質問をいただきました。プレゼンターからは、アメリカの「デモクラティック・スクール」にて実施された多様性のある集団の中の彼らの生活経験に基づいた教育方法を例にあげ、カリキュラムは公的に共通の枠組を参考にしながらも、教育現場の歴史や文化に合わせて、教師が主体的に編成していくことに価値があるのではないかという考えが述べられました。

《ワークショップ》

ワークショップ:『この国に必要な「質の高い教育」って?』

ワークショップでは、仮想国家・ヒユタ共和国のケーススタディを通して、教育内容・方法における課題を考え、多様なアクターによる関わり方の可能性をグループに分かれて話し合っていただきました。

プレゼンテーション③

『国際教育協力にどう関わるか?ー民間企業の役割ー』(安藤)

第3部では国連と民間セクターの国際教育協力に向けた動きを概観した後、事例を交えながら教育関連企業の国際教育協力に関わる活動を紹介しました。また、国際協力業界の中で近年プレゼンスが高まりつつある企業に焦点を当て、自分らしい国際育協力についても考えました。

・KUMONののバングラデシュ事業におけるアプローチについて
プレゼンではKUMON職員がBRACスクールに通う貧困層の子どもたちに対して直接関わるという形ではなく、ライセンス契約や現地スタッフ育成の面で関わっている事例を紹介しました。KUMONは国内においては、数学・国語・英語を主力として外国語や書道など様々なコンテンツを提供していますが、海外ではその国の文化や歴史等を踏まえた教科内容にしています。バングラデシュにおける教育事業は、FC展開の事業性の検討や人材育成の仕組みの確立などの為の新たなパイロット事業を2017年より展開しており、今後はJICAに限らず国連との関わりも視野に入れ、教材等のリソースを提供した教育事業の拡大を続けることを紹介しました。
プレゼンを通して、自分の思い描くアプローチがどの組織に所属することできるかは、しっかり調べて考えなければならないことを参加者の皆様と考えられたかと思います。

《参加者の声》

最後に参加者アンケートから一部参加者の声を抜粋してご紹介します。

  • 教育の質と量に分けて考えたことはなかったので新鮮だった
  • 質の高い教育と言っても幅が広く、単純な問題でないことがよくわかった
  • グループでの意見は色々な見方が人によって違っていて面白かった
  • 国際機関と言えば国連やJICAを思い浮かべませんか?という質問にハッとさせられました。民間企業もそうであること、知らないうちに意識から外してしまっていました

みなさまと共にこのような場を作ることが出来たことを、とても嬉しく思います。

これからも国連フォーラム関西支部をどうぞ宜しくお願い申し上げます。


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第6回

第6回SDGs勉強会「アフリカの将来とビジネス~TICAD VIを経た今、日本の果たす役割とは~」

2016年12月9日実施

国連フォーラム関西支部 第6回勉強会

SDGsとアフリカ開発

開催報告

国連フォーラム関西です。2016年8月下旬、ケニアにおいてTICAD VI(第6回アフリカ開発会議)が開催されました。1993年以降日本政府が主導する形で開催されてきたTICADが、今回初めてアフリカでの開催となり注目を浴びました。
「日本はこれまでどのようにアフリカと関わってきたのだろう?」「アフリカが抱える問題は、今どうなっているのだろう?」今回のTICADをきっかけに、このような疑問を抱かれた方もいると思います。アフリカの開発、そして日本とアフリカの関係について、ゲストの方々、参加者の皆さまで一緒に考え、学びました。

【イベント概要】

《企画概要》

イベント名:SDGsとアフリカ開発

日時 :2016年12月9日 18:30~21:00

場所 :関西学院大学大阪梅田キャンパス1004教室

ゲスト :

  • 田瀬 和夫氏
    国連フォーラム共同代表。デロイト トーマツ コンサルティング株式会社 執行役員・ディレクター。2016年5月1日より同社CSR・SDGs推進室長に就任。
    1992年外務省に入省し、国連政策・人権人道・アフリカ開発・国際機関拠出金・人間の安全保障などを担当したのち、2004年に国際連合人道問題調整部人間の安全保障ユニット課長。大阪大学招聘教授。
  • 大豊 盛重氏
    公益社団法人 日本国際民間協力会NICCO 本部部長/NGO相談員
    放送局・テレビ番組制作会社での勤務を経て2010年NICCOの職員となる。マラウイでの飢餓の起きない村づくりのほか、東日本大震災、パレスチナオリーブ農家支援などで現地担当。現在は京都本部にて広報・チャリティイベントを担当。
  • 久木田 純氏
    国連フォーラム共同代表。関西学院大学教授(学長直属SGU招聘客員教員)。
    ユニセフ駐モルディブ事務所、駐日事務所、駐ナミビア事務所、駐バングラデッシュ事務所、ニューヨーク本部を経て、駐東ティモール事務所代表、駐カザフスタン事務所代表を歴任。2003年に 世界銀行総裁賞受賞、2011年に東ティモール共和国勲章を受勲。
  • 大林 稔氏
    龍谷大学経済学部名誉教授。早稲田大学経済学研究科博士課程満期退学。博報堂、外務省、国連開発計画などを経て龍谷大学へ。
    アフリカの政治経済および開発援助について研究を進めるとともに、実践的にアフリカの発展に関わり、第四回TICADの際はTICAD市民社会フォーラムの代表として、アフリカと日本の市民社会の参加に努力した。

【開催報告】

第1部》講演
「アフリカの開発とTICAD」(大林氏)
「アフリカにおける国際協力とNGOの実例」(大豊氏)
「ビジネスは格差を解消できるのか」(田瀬氏)

《第2部》パネルディスカッション
「アフリカ×SDGs×ビジネス」

《第3部》座談会

当日の内容を記録致しました議事録は以下のURLからご覧いただけます。
https://docs.google.com/…/1vwAKj0t-zY0uoF4XlrqAZSXfbX-cU9nL…


多くの参加者の皆様と共に、ゲストの方々を交え充実した議論を行うことができ、運営メンバー一同とても嬉しく思います。
これからも国連フォーラム関西支部をどうぞ宜しくお願い申し上げます。

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第5回SDGs勉強会 「人権を守ってこそ持続可能な開発に」

2016年9月30日実施

国連フォーラム関西支部 第5回SDGs勉強会

人権を守ってこそ持続可能な開発に

開催報告

すべての人間が生まれながらにして持っている権利、「人権(Human Rights)」。
ジェンダー、マイノリティの権利等々、様々な分野で語られているこの概念ですが、「重要なのはわかるけど、具体的に何を指すのかはいまひとつよく分からない・・・」そんな風に感じたことがある方も少なくないはずです。
しかし、そんな「人権」、実はSDGsの原則にその考え方が反映されているなど、現在開発政策や実践の場においても重要視されつつあります。
「人権」とは何なのか、そして人権はSDGs、ひいては国際社会にどのように関わっているのか、秋の夜長に素敵なゲストの皆さまと共に考えてみました。

 

【イベント概要】

《企画概要》

イベント名:人権を守ってこそ持続可能な開発に

日時 :2016年9月30日 18:00~20:00

場所 :関西学院大学大阪梅田キャンパス1408教室

タイムテーブル:

18:00 – 18:05 国連フォーラムの説明
第一部
18:05-18:35 伊藤氏 「ヒューマンライツ・ナウの人権擁護活動から『人権』を考える」
18:40-19:00 久木田氏「子どもの権利条約とユニセフのプログラム」
19:00-19:20 パネルディスカッション
 議題:「SDGs×Human Rights~人権がSDGsに組み込まれることによる現実の変化~」
第二部
19:25-19:45 グループディスカッション/質疑応答
20:00 終了予定

ゲスト :

  • 伊藤和子(いとう かずこ)氏
    弁護士 国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ事務局長
    1994年に弁護士登録。女性、子どもの権利、えん罪事件など、人権問題に関わって活動。2004年、ニューヨーク大学ロースクール客員研究員。2005年、国連人権小委員会インターン、米国NGOインターンを経て2006年に帰国。2006年に国境を越えて世界の人権問題に取り組む日本発の国際人権NGO・ヒューマンライツ・ナウの立ち上げに関わり、事務局長として国内外で現在進行形の人権侵害の解決を求めて活動中。ヒューマンライツ・ナウは2012年以降国連特別協議□を付与された国連NGOとして活動中。
    同時に、弁護士として、女性をはじめ、権利の実現を求める市民の法的問題の解決のために日々活動している。ミモザの森法律事務所(東京)代表。
  • 久木田純(くきた じゅん)氏
    関西学院大学教授、国連フォーラム共同代表(unforum.org)。
    1978年西南学院大学文学部英語専攻卒業、シンガポール国立大学社会学部留学(ロータリー財団フェロー)を経て、九州大学大学院で教育心理学修士号取 得、同博士課程進学。1985年外務省JPO試験に合格、翌年から国連職員としてユニセフ駐モルディブ事務所に派遣され、駐日事務所、駐ナミビア事務所、 駐バングラデッシュ事務所、ニューヨーク本部を経て、駐東ティモール事務所代表、駐カザフスタン事務所代表を歴任。2015年1月国連退官。2003年に 世界銀行総裁賞受賞、2011年に東ティモール共和国勲章を受勲。

【開催報告】

《第1部》講演

「日本初国境を超える国際人権活動」(伊藤氏)
「子どもの権利条約とユニセフのプログラム」(久木田氏)

 

《第2部》パネルディスカッション

SDGs×Human Rights ~人権がSDGsに組み込まれることによる現実の変化~

《第3部》グループディスカッション

当日の内容を記録致しました議事録は以下のURLからご覧いただけます。
https://docs.google.com/…/1JOkYZpWCLdlsuCHeSR6EtVI6jm7…/edit


みなさまと共にこのような場を作ることが出来たことを、とても嬉しく思います。
これからも国連フォーラム関西支部をどうぞ宜しくお願い申し上げます。

た、国連フォーラム関西支部のFacebookグループページホームページでは、国連や国際協力に関する情報共有を行っております。関心のある方はぜひチェックしてみてください!

第3回SDGs勉強会 「幸せの指標化への挑戦~これからの開発を考える」

2016年7月15日実施

国連フォーラム関西支部 第3回SDGs勉強会

幸せの指標化への挑戦

~これからの開発を考える~

開催報告

テーマは、開発分野で永遠のジレンマであり続ける、”幸せ”の指標化。経済成長率、教育普及率・・・人間の豊かさとは、本当に客観的に指標化できるものだけなのでしょうか。もし本当に大切なのはもっと主観的な”幸せ”なら、それを開発プロジェクトに落とすためには、主観的な幸せをどのようにして指標化しうるのでしょうか。開発分野に少しでも足を踏み入れたことがある人なら誰でも直面したことのあるその問いの答えを、豪華ゲストの皆さんと贅沢な企画で、一緒に考えてみました。

【イベント概要】

《企画概要》

イベント名:幸せの指標化への挑戦 ~これからの開発を考える~

日時 :2016年7月15日 18:30~21:15

場所 :関西学院大学大阪梅田キャンパス 1408教室

タイムテーブル:

18:00~18:30:開場
18:30~18:40:オープニング、国連フォーラム紹介
18:40~19:20:講演~幸せの指標化への挑戦~
19:20~21:00:ワークショップ
  ~あなたがUNHDP(国連幸福開発計画)の職員だったら?
21:00~21:15:クロージング

ゲストの皆さま:

久木田純教授(関西学院大学教授、国連フォーラム共同代表)
村田俊一教授(関西学院大学総合政策学部教授、前国連アジア太平洋経済社会委員会事務局次長)
NGO光の音符(HP:  http://hikari-no-onpu.com/ )
 西村ゆり氏(NGO「光の音符」設立者、同志社女子大学嘱託講師、京都府医師会看護専門学校講師)
 後藤聡美さん(「光の音符」学生スタッフ、神戸大学人間発達環境学研究科修士1年)
NPO法人D.Live
 得津秀頼氏(「D.Live」副代表理事、元小学校教員)


【開催報告】

《第1部》

講演「持続可能な開発に向けた「質的」アプローチの重要性と実現への課題」(村田氏)

グローバル化が進み、経済発展が豊かさの象徴となりつつある現状に対して、SDGsやGNH(国民総幸福量)といった質的な開発アプローチの重要性を説明していただきました。一人一人の多様性を認め合い、時間に追われるような生活を見直し、自分にとって何が本当に幸福なのか問い直すことが、これからの時代を生きていく人々にとって大切であると教えていただきました。

《第2部》

ワークショップ「あなたがUNHDP(国連幸福開発計画)の職員だったら?」

ワークショップでは、指標化できない価値にそれぞれのフィールドで取り組んでいるNGO光の音符様、D.Live様の両ゲストの事例をもとに、①参加者がその事例の抱える課題を発見し、問題解決のためのプロジェクトを立案する ②プロジェクト立案を通して感じた、指標化できないものの指標化の長所と短所について議論する という二部構成でグループに分かれて話し合っていただきました。

 

 

その後、ゲストの方々から活動紹介とご講評をいただき、自尊感情や地域の人々とのつながりなど、量的に測ることのできない価値の大切さを実務経験の中からお話ししていただきました。

 

《参加者の声》

最後に参加者アンケートから一部参加者の声を抜粋してご紹介します。

  • 幸せという指標化が難しいテーマについて議論したり考えるということが初めてだったので、出てくる意見や内容が全て新鮮でとても勉強になった。より一層このテーマに興味を持てた。
  • 勉強会の主要テーマである、”幸せの指標化”について議論する時間や参加者との交流の時間がもうすこしほしかった。
  • 自分の研究に関して重要な知見が得られた。

みなさまと共にこのような場を作ることが出来たことを、とても嬉しく思います。

これからも国連フォーラム関西支部をどうぞ宜しくお願い申し上げます。


また、国連フォーラム関西支部のFacebookグループページホームページでは、国連や国際協力に関する情報共有を行っております。関心のある方はぜひチェックしてみてください!

第2回SDGs勉強会 「世界へ届け、関西の国際協力~保健分野から見る持続可能な開発~」

2016年5月27日実施

国連フォーラム関西支部 第2回SDGs勉強会

『世界へ届け、関西の国際協力

~保健分野から見る持続可能な開発~』

開催報告

 

5月27日、国連フォーラム関西・第2回勉強会「SDGs Series 世界へ届け、関西の国際協力@大阪~保健分野から見る持続可能な開発~」を開催いたしました。
本イベントでは、
中村安秀氏(大阪大学大学院人間科学研究科・教授、日本国際保健医療学会・理事長)
久木田純氏(関西学院大学教授、元 UNICEF カザフスタン事務所所長)
吉津麻美子氏(WHO神戸センター・広報官)

という3名のゲストをお招きして、様々な観点からSDGsにおける保健分野の取り組みに関して議論を行いました。
お忙しいところ、高校生から社会人まで非常に多くの方々にご参加頂き、誠にありがとうございました。以下、本イベントの報告をさせていただきます。

 

【イベント概要】

《企画概要》

イベント名:世界へ届け、関西の国際協力 ~保健分野から見る持続可能な開発~

日時 :2016年5月27日(金)18:00~20:30

会場 :関西学院大学 大阪梅田キャンパス1004教室

    (大阪府大阪市北区茶屋町19-19 アプローズタワー10階)

タイムテーブル:

第一部(18:10-18:20) WHO神戸センターの方からの講演

 (18:20-19:00)  久木田氏×中村氏対談「Health × Sustainable Development~2030の私たちへ~」

第二部(19:10-20:20)  ワークショップ  テーマ:「その活動は持続的?効果的?」

第三部(20:20-21:00) ネットワーキングタイム:

学生による国際協力の意義や国際協力系学生団体が抱える組織運営の問題等について互いに相談し合ったり、それぞれの活動を共有してコラボレーションの可能性を広げたりする非公式の時間として想定しております。

ゲストの皆さま:

 中村安秀氏(大阪大学大学院人間科学研究科・教授、日本国際保健医療学会・理事長)

 久木田純氏(関西学院大学教授、国連フォーラム共同代表)

 吉津麻美子氏(WHO神戸センター・広報官)


【開催報告】

《第1部》

1-1 講演(WHO神戸センター:吉津氏)
G7伊勢志摩サミット(5/26, 27開催)で話し合われた、公衆衛生危機への対応、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの推進、薬剤耐性菌(AMR)対策の概要について紹介頂きました。

1-2 対談-Health×Sustainable Development~2030の私たちへ~(中村氏・久木田氏)
1-2-1 保健分野での現場経験と持続可能な国際協力について
中村氏:パキスタンでUNHCRの保健医療担当官として勤務された際の経験についてお話頂きました。特に、難民支援の際には、難民だけでなくそのコミュニティー全体を見ることと難民自身のエンパワーメントを目指すことがSustainabilityに繋がるという、現場を経験したからこそ感じる気づきについて話して頂きました。

久木田氏:SDGsにおける保健分野について、UNICEFでの勤務経験を踏まえてお話頂きました。特に、SDGsにおいて特徴的な、Universality(誰も取り残さず、すべての人に恩恵をもたらすことを目指す)とTransformation(途上国だけでなく先進国も変容していくことで、新たな形で目標達成することを目指す)という、二つの概念を紹介していただきました。

1-2-2 SDGsの取り組みの中で、学生だからできること、学生にしかできないこと
中村氏のメッセージ(要約):学生ならではのフットワークの軽さを活かし、まずは深く考えず世界に飛び出し、自分の目で世界を見てください。また、多数派の中に埋もれていては社会を変えることはできないため、不条理に対する怒りを感じ、少数派であることを恐れずに未来をつくっていってください。

久木田氏のメッセージ(要約):現在の地球は、温暖化や核のリスク等、様々な問題を抱えています。また、貧富の格差も拡大しており、世界は危機的な状況に立っているといえます。未来の世界を守るため、日本を飛び出し、世界では何が問題となっているのかを考え、自分の目標を定めて最後まで走りぬいてください。

《第2部》

ワークショップ「その活動は持続的?効果的?」
ワークショップでは、参加者の方々がこれまで取り組んでこられた国際協力の活動、またはテストケース(学生団体によるラオスでの歯磨きプロジェクト)について、活動の持続可能性を高めるためにはどうすればよいのかを話し合って頂きました。

以下、グループ発表の内容より一部を抜粋しご紹介致します。
・学生が活動できる時間は4年間と短く、1人の学生ができることはほんのわずかであると思う。活動内容を報告書など紙媒体で保存していくことが、組織としてのノウハウの蓄積にもなると考える。
・対象地域の文化や慣習を理解することで何が求められているのかを的確にくみ取り、それに沿った形でこちらから情報を提供していくことが必要だと考える。
・ボランティアではなく現地の人が自ら歯磨きを普及させる形を作る方が、インパクトがありより継続するのではないか。

《第3部》

ネットワーキングタイム
今回の勉強会では、参加者の皆様とゲスト、または参加者の皆様同士で自由に交流していただくネットワーキングタイムを用意いたしました。

 

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みなさまと共にこのような場を作ることが出来たことを、とても嬉しく思います。
これからも国連フォーラム関西をどうかよろしくお願い申し上げます。

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第1回SDGs勉強会「『貧困』を多角的に考えよう」

2016年3月18日実施

国連フォーラム関西支部 第1回SDGs勉強会

『SDGs #1「貧困」を多角的に考えよう』

開催報告

去る3月18日、国連フォーラム関西 第一回勉強会「SDGs #1『貧困』を多角的に考えよう」を開催いたしました。

本イベントでは、

久木田純氏(関西学院大学教授、元 UNICEF カザフスタン事務所所長)

村田俊一氏(関西学院大学教授、元国連アジア太平洋経済社会委員会事務局次長)

大西靖典氏(JICA関西所長)

渡部正樹氏(OCHA神戸事務所所長)

という4名のゲストをお招きして、様々な観点からSDGsターゲット⑴貧困削減に関して議論を行いました。

お忙しいところ、中学生から社会人まで非常に多くの方々にご参加頂き、誠にありがとうございます。以下、本イベントの報告をさせていただきますのでどうぞご覧ください。

 

【イベント概要】

《企画概要》

イベント名:SDGs #1「貧困」を多角的に考えよう

日時   :2016年3月18日(金) 18:00~20:30

会場   :関西学院大学大阪梅田キャンパス  ( 大阪府大阪市北区茶屋町19-19 アプローズタワー14階)

タイムテーブル:

 第一部(18:10~18:55) 講演会「”多角的に考える”貧困」

 第二部(19:00~19:55) パネルディスカッション(40分):質疑応答(15分)

                                テーマ「貧困撲滅のトランスフォーメーション」

 第三部(19:55~20:00) 総括

ゲストの皆さま:

 久木田 純 氏(関西学院大学教授、元UNICEFカザフスタン事務所所長)

 村田 俊一 氏(関西学院大学教授、元UNDP駐日代表)

 大西 靖典 氏(JICA関西 所長)

 渡部 正樹 氏(OCHA神戸事務所 所長)


【開催報告】

《第1部》
  • 講演―国際開発目標の経緯と背景(久木田氏)

MDGsからSDGsへの変遷を見ながら、その概要を紹介頂きました。中でも現代社会が抱える大きな問題である、環境問題と格差拡大―この課題を解決するにあたって重要な「トランスフォメーション」という視点の提示を行って頂きました。

《第2部》
  • 講演―貧困問題の多面性(村田氏・大西氏・渡部氏)

村田氏:SDGsが抱える課題とその複雑性についてお話頂きました。中でも、貧困削減のためには、グッドプラクティスを実践するコミュニティの視点、そしてRegionalな単位からの視点が重要であること、またそれをどう国際目標に結びつけるかが課題であるといった内容に関して議論して頂きました。

大西氏:これまでの現場での経験を踏まえ、貧困削減と経済成長との関わりについてお話頂きました。中でもアフリカやアジアにおけるインフラ事業の紹介、そして、産業のトランスフォーメーションの必要性と、貧困削減におけるインフラ・産業支援の意義について説明して頂きました。

渡部氏:SDGsと人道支援の関連性に関してお話頂きました。中でも、SDGsの原則の一つである「誰も取り残さない」という点は、人道問題にどう関わってくるのか、またその試練金となる今年5月の世界人道サミットの解説を行って頂きました。

《第3部》
  • 四者パネルディスカッション―貧困削減へのトランスフォメーションとは

<貧困削減へのトランスフォメーションとは>

本題を考える手始めとして、まずSDGsにおいても主要な論点とされている「貧富の格差」の構造をどうトランスフォームできるかということに関して議論を行いました。中でも、①発展・目標の実施スピードが異なる中、コミュニティレベルで議論することの重要性、②民間セクター、中でも企業がコアビジネスで援助に携わる重要性、③職と産業によって貧困削減をしていく重要性、といった点が議論されました。

<参加者が「自分事」として捉え、できることとは>

上記の議論を踏まえて、参加者がどのようなアクションを取ることができるのか考えました。問題に関心を持ち続けることの大切さに加え、SDGsで課題とされているようなことは日本国内に沢山あり、そのようや問題にも目を向け解決に取り組む大切さについて議論されていたことが印象的でした。

《参加者の声》

・ありがとうございました。社会人になっても国際協力の情報を得られる場所を探しており、私にはぴったりだと思いました。今後も勉強会楽しみにしています!

・これまでは、国連フォーラムのメルマガに登録していてもイベントは関東ばかりでとても残念に思っていたので、今回国連フォーラム関西が設立され、関西で勉強会を開いていただけ、とても嬉しく思います。今後もこのような機会があればぜひ参加させていただきたいです。

・とても貴重な時間だったと思います。学びがとても多かったので満足しています。ありがとうございました。

 

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みなさまと共にこのような場を作ることが出来たことを、とても嬉しく思います。

これからも国連フォーラム関西をどうかよろしくお願い申し上げます。

また、国連フォーラム関西支部のFacebookグループページホームページでは、国連や国際協力に関する情報共有を行っております。関心のある方はぜひチェックしてみてください!