はじめに
ヨルダン・スタディ・プログラム(以下「JSP」)は、スタディ・プログラム(以下「SP」)10周年目のプログラムとして、2019年5月より、総勢59名で始動しました。
SPには毎年、年齢もバックグラウンドも異なる、志ある学生や社会人が集います。
「みんなでつくる」をコンセプトとして、0から学び、現地プログラムを形づくり、また社会に還元するプロセスを切磋琢磨しながら経験します。参加者は、正にハンナ・アレントの言うところの公私、また労働・仕事・活動の入り混じった世界観に遭遇し、悩みつつも思考し続けることの大切さを学び、次の挑戦を見つけて行きます。
10周年を迎えた今、SPは、既に国連その他の国際機関や団体でのキャリアを目指す参加者にとっての登龍門となりつつあるばかりか、キャリアやその立ち位置を問わずに、属するコミュニティの内外において周囲との関わりを通じて社会貢献を実現できることへの気づきの機会を提供する、ほかに類を見ない団体と成り得たと言えます。
JSPがはじまる前の国選びにおいては、様々な議論が繰り広げられました。過去のSPでの訪問国の現在を学ぶ、または近年のSDGsの観点から先進国を訪問して課題を探るのも良いのではないか、などさまざまに魅力的な意見が出ました。
そのような中で、現在も尚続く世界の人権人道問題に目を向けること、特に2010年代の忘れてはならない世界の課題として、シリア・パレスチナ難民をはじめとする難民問題への関心と学びを深めることを軸の一つとして、ヨルダン・ハシェミット王国を訪問することに決まりました。
このコンセプトに共感して応募してくれた方、JSPを成功に導いてくれた各チームの運営メンバーそして全ての参加者の皆様と場を共有できたことは得難い経験であったと感じます。今現在の日本において、最も難民問題に関しての学びと課題解決へのパワーを持った人々が集まっている団体とも言うことができるでしょう。
本報告書は、JSPの参加者一人一人が行動し、学んできた軌跡を後世に残す集大成の作品となっています。JSPの参加者のみならず、本報告書のページを訪れた皆様にとっても、自分ごととして落とし込んで次に繋がるような学びの機会となっていましたら幸いです。
最後に、現地での素晴らしい学びの機会を提供してくださった全ての機関、団体の皆様、JSPに機会と価値を提供下さりました国連フォーラム共同代表の田瀬和夫さん、日々のご指導にご尽力下さりました黒田和秀さん、一年を通じて厚い支えを頂きましたその他の全てのアドバイザーの皆様に改めて感謝申し上げます。
ヨルダン・スタディ・プログラム実行委員長
瀬戸万里奈