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「ポスト2015」シリーズ開始にあたって

この度、国連フォーラムの「私の提言」プロジェクトでは、新しく「ポスト2015」シリーズを始めることにいたしました。今回は、シリーズ開始にあたって、本シリーズの趣旨、ポスト2015アジェンダの概要、そして日本でのこれまでの議論の流れを紹介させていただきたいと思います。


1.趣旨

今、国連を中心に、ミレニアム開発目標(Millennium Development Goals: MDGs)の達成期限である2015年以降の開発目標、いわゆる「ポスト2015開発アジェンダ」を策定する動きが進んでいます。本アジェンダは、今後の世界の開発の流れに大きく影響を与え得る極めて重要な目標と言えます。この策定プロセスには、日本のリーダーシップが期待されています。 このことを踏まえ、日本のさまざまな分野における有識者・実務者・若者の間で、有志の投稿者による提言を共有し、議論をする場を提供することで、政策提言に寄与したいと考え、「ポスト2015」シリーズを企画するに至りました。

2.概要

MDGsは2000年の国連ミレニアム・サミットを受けて、掲げられた国際社会共通の8つの目標で、2015年に期限を迎えます。2015年以降のポスト2015開発アジェンダの策定準備は昨年から始まっており、今年前半に1つの山場を迎えます。まず、2012年1月に、本アジェンダに関する国連システムタスクチームが設置され、2012年7月にハイレベル・パネルが発足しました。ハイレベル・パネルには菅直人前内閣総理大臣も参加し、日本のリーダーシップが期待されています。そして、今年5月にハイレベル・パネルが国連事務総長に報告書を提出し、9月には、MDGsに関するハイレベル会議で、加盟国が本アジェンダについて協議する予定です。報告書にはMDGsとその教訓だけでなく、リオ+20の成果文書の内容も盛り込まれることになっています。



本アジェンダの策定プロセスで注目すべき点のひとつは、MDGs策定時に比べて、マルチステークホルダーの議論の参加が重視されている点です。新興国政府・民間企業・研究機関・市民社会・若者等、更に幅広い関係者が議論に参加していくことが、今後の開発援助の流れになっていくと考えます。

ポスト2015開発アジェンダの主要なテーマについては、UNDGが、本アジェンダが対処すべき諸課題の中でも特に11つの分野(格差、保健、教育、成長と雇用、環境と持続可能性、食糧安全保障、ガバナンス、紛争と脆弱性、人口動態、水、エネルギー)を選定しました。  どのテーマに関しても鍵となるのが、人権・平等・持続性といった概念です。また、普遍性と国ごとのコンテクストのバランス、より精密に効果を測るための手法や指標、セクターとセクターの関連性をどう扱うかなどといった、MDGsでの短所や新たに見えてきた課題にどう対応していくかが注目されています。

3.日本での議論

これまでにも多くのセミナーやシンポジウムが開催されてきましたが、今年2013年に入ると、国際協力NGOがワーキングペーパーや報告書を発表し始め、市民社会の政策提言が本格化してきた印象を受けています。

日本政府は、2010年の国連首脳会合でMDGs目標達成のための追加予算を発表しましたが、その新対象政策が教育と保健分野だったこともあり、この二つのテーマは特に活発に議論されています。例えば、教育開発と万人のための教育(Education for All: EFA)目標や、国民皆保険(Universal Health Coverage: UHC)と感染症対策などが話題となっています。

他にも、これまで日本が深く関わってきた人間の安全保障や、人権や環境への持続発展教育(Education for Sustainable Development: ESD)に対して、日本がどうイニシアティブをとるのかは、今後、開発のみならず国際社会での立場に関係してきます。

最後に、学生の間でも「開発」への関心がより高まってきています。例えば、昨年のIMF・世銀総会を機に発足したDevelopment Japanや、今年6月に横浜で行われるTICAD Vに向けた学生プロジェクトが、開発についてより理解を深めるために様々なプロジェクトを企画しています。学生もこのように積極的に開発と関わり、提言していくことが求められているのではないでしょうか。



今後、この「ポスト2015」シリーズでは、政府関係者、国際機関職員、NGO職員、教授、大学生・院生といった幅広い方々に投稿していただく予定です。シリーズの第一回は、UNICEFカザフスタン事務所長 久木田純さんに、これまでの国連フォーラム上の「ポスト2015」についてのご投稿の総括として、「ポスト2015」の全体像について執筆していただく予定です。

国連フォーラムのウェブページだけでなくFacebookでも記事を掲載しますので、皆様のコメントを歓迎いたします。日本で、より多くの人にとって世界と今後の開発について考える機会となり、また有意義な議論の場となることを、国連フォーラム「私の提言」プロジェクトメンバー一同、心より願っております。


2013年02月21日掲載
私の提言班メンバー一同
ウェブ掲載: 藤田 綾


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