あけましておめでとうございます。 昨2005年は国連にとっても、このフォーラムにとっても大切な年でした。国連では創設60周年の特別総会が開催され、安保理改革をはじめとするさまざまな変革の必要性が改めて認識されました。また、「石油食糧交換計画」における国連職員の不祥事などが明らかとなり、国連組織の統治が問われた年でもあります。このほかにも、スーダンをはじめとするアフリカの紛争、地震などの自然災害、鳥インフルエンザなど、取り組まなければならない問題が山積していて、多様な難題に国連と国際社会がどう対処していくかが試された年でもあります。 こうした中にあって、一昨年に設立された本フォーラムは、幅広い層の方々の参加を得て、国連に関する議論の場を提供するという当初の目的をある程度達成してきたと思います。メーリングリストへの参加者は650人を越え、勉強会を意欲的に開催し、インタビュー・シリーズやフィールド・エッセイ、「国連でインターン」などの新しい試みも始めました。また、フォーラムのウェブサイト、ブログを公開し、オフ会などの交流会も随時行なってきました。設立一周年の10月24日には、「ニューヨーク国連フォーラム」から「国連フォーラム」へと改称し、より多くの方々の参加を呼びかけました。 2006年もまた、国連にとっては重要な年となりそうです。現時点で半年分しか認められていない通常予算は、国連事務局改革に待ったなしのプレッシャーをかけています。また、今年は6年ぶりに各加盟国の予算負担を決める「分担率交渉」も行われます。前回の分担率交渉よりもさらに熾烈を極めることが予想されます。そして、今年いっぱいで任期を終了するコフィ・アナン事務総長の後任の選出があります。ウ・タントに続く事務総長がアジアからでるのでしょうか。これ以外にも、新設の平和構築委員会、人権理事会、国連ミレニアム開発目標など、大切で難しい課題が目白押しです。 日本にとっても今年は国連加盟50周年に当たり、今後の日本と国連との関係のあり方について再検討する重要な年になるのではないでしょうか。第二次世界大戦後、日本にとって国連加盟は国際社会への復帰を象徴する重要な目標でした。今日、日本は米国に次いで国連予算の二割近くを負担し、人間の安全保障を掲げ、国連改革を推進するまでになりました。国連を通して日本がどのように国際社会に貢献していくのか、どのような考え方でいかなる交渉を行なうかは大いに注目すべきでしょう。 国連フォーラムでは、今後ともメンバーのみなさんに多様で質の高い議論の場を提供することを活動の中心に据え、積極的に活動を展開していきたいと考えています。幹事会では、勉強会やメーリングリストをさらに充実させて中味の濃い、ダイナミックなフォーラムとしていくこと、さらにさまざまな層の方々に参加を呼びかけ、東京やジュネーブを手始めに、ニューヨーク以外の場所にも活動の輪を広げていくことを計画しています。フォーラムが引き続きすべてのメンバーにとって開かれたものであり、一人ひとりにとって有益な場であり続けることを願います。 本年もどうかよろしくお願いいたします。 国連フォーラム幹事一同 久木田純(国連児童基金:UNICEF):代表責任者・コーディネーター 連絡先:kanjikai[at]unforum.org Copyright © 2006 UN Forum |