ラバウル温泉(Rababa Hot Spring)
1.概要
ラバウルにある、天然温泉が海に流れ込む場所。太平洋戦争中に日本軍が駐屯していたことでも知られるラバウルは、以前はこの地域の中心だったが、1994年に発生したタブルブル火山の噴火によって、町は壊滅的な被害を受けた。幸いにも、噴火の規模に対して人的な被害は僅かなものであったそうだが、数千人の住民たちは、南東に20kmほどくだったココポの町に避難し、この地域の中心はココポに移った。噴火前にあった、戦争中は日本軍も使用していたというラバウルの空港も火山灰に埋もれ、現在は、ココポの東に新たに建設された空港が使用されている。
その旧ラバウル空港の跡地、そこかしこに雑草が生えた灰色の大地を抜けた先の海岸に、ラバウル温泉がある。源泉が砂浜を分断するような形で海に流れ込み、源泉の流れる場所は硫黄で地面が赤くなっている。源泉の温度は90度あるそうで、海からは湯気が立ち上っている。正面にタブルブル火山を臨む雄大な景色を眺めることができ、水着を着用すれば入ることも可能だそうだ。
また、地元の人が、温泉卵や、貝殻で作ったアクセサリー、ビルム(PNG特有の編みカバン)などの簡単な土産物を販売している。
2.参加者所感
海に流れ込む温泉という、観光資源としては充分な素質のありそうな場所だが、魅力を十分に発揮するためにはいくつか課題があるように思われた。
まず、源泉はうっかり触ったら火傷することは間違いなしの高温であるにも関わらず、柵などによる安全策が講じられていない。
また、PNGで温泉卵が食べられるというのは珍しいが、他の土産物にはこれといった特色がなく、記念にぜひ買いたいと思うようなものが置いていない。
そして、残念ながら売り切れとのことで、ありつくことができなかった温泉卵の他には、食べるものが売っているわけでもないため、温泉に入らない限り、訪れても写真を撮ったらお金を落とさずに帰るだけという観光客が多いのではないかと思われた。例えば、日本の箱根などの温泉地から、何か応用できるようなことはないだろうか。
ただ、上述の通り観光客が押し寄せるような状況にはなく、どう見てもこのお土産の販売で生計を立てることができるとは考えにくいのだが、それでも生活することができているのは、助け合って暮らすワントクのコミュニティが機能しているのではないかと想像される。
それがこの国の良さでもあるのだが、逆に、彼らが一生懸命観光を盛り上げようという気概を持つに至らない要因でもあるのでは、と推測された。
とはいえ、彼らがあまりにガツガツとしていたら、それはそれで「南国特有のユルさ」を勝手に期待する外部者からすると、興覚めかもしれない。