Transparency International(TI)
1.組織概要(事業目的、ゴール等)
腐敗、特に汚職に対して取り組む国際的な非政府組織。世界中の汚職をリスト化した「腐敗認識指数」を毎年発表しており、国際透明性機構と訳されることもある。
世界各国の数百の国内団体の集合体として組織されており、本部事務局をドイツ・ベルリンに置いている。最初は1993年5月にドイツで非営利団体として発足し、その後国際組織へと発展した。完全に民主的な組織構成へ移行中であると発表している。
加えて、TIは個々の腐敗のケースについて捜査したり明るみにしたりするのではなく、腐敗に対抗するためのツールを開発し、他の民間社会運動団体や企業、政府と協力してそのツールを組み込む活動を行っている。
TIの目標は、政治体制の外にあって腐敗に対抗する協力関係を構築することである。TIの最も大きな成功は、腐敗というトピックを国際社会における議論対象にしたことである。1990年代より前は、この問題はそれほど広く話し合われてはいなかったが、今日では世界銀行や国際通貨基金や経済協力開発機構などの国際組織が、開発を妨げる主要な障害のひとつとして腐敗を捉えるようになっている。さらに、腐敗の防止に関する国際連合条約や経済協力開発機構贈賄防止条約(OECD Anti-Bribery Convention)などの制定においても、重要な役割を果たしている。
2. ブリーフィング、プロジェクト訪問において説明された内容・質疑応答の詳細
Tl PNGの方より組織について説明をしていただいた。基本的な組織概要が中心であった。参考に当日投影されたスライドも添付する。以下、プレゼンテーションの内容について記述する。
⑴設立背景及びミッションについて
まずはじめに、パプアニューギニア(以下、PNG)におけるTIの設立について述べられた。PNGでは、ビジネスリーダーである、Richard Kassman氏、Dame Meg Taylor氏、Anthony Siaguru氏らのグループによって、1997年に設立された。彼らのミッションは、全てのPNG人が汚職に手を染めてしまわないために、誰であろうとどこの出身であろうと権限を与え、教育を施し、情報をきちんと伝えていくことである。
⑵活動内容及び方法について
主な活動は4つ存在する。
① 市民及び若者への教育:豊かな市民づくりへ貢献すること。具体的には、学校やコミュニティでの市民教育やYouth Integrity Programなどの若者向けプログラムが提供されている。
② 外部連携:市民やメンバー、戦略的パートナーと共に汚職撲滅に向けた取り組みを実施。具体的には、公共の場における対話の機会や展示会などを実施している。
③ 政策提言:汚職を減らすための政策へ変えていくべく、政府や政府機関に働きかけている。具体的には、専用デスクを設けたりカンファレンスを開催している。
④ 組織開発:内部統制やオペレーション改善を通して、持続的であり効率的かつ効果的な組織づくりに努めている。具体的には、財務や管理部門において改善に努めている。
3.参加者所感
途上国では、アンダーテーブルという言葉が通じてしまうほど賄賂や汚職などが蔓延っている。しかし、政府への政策提言や政策立案に止まらず、これらを無くしていく活動が若者の教育という根幹部分へのアプローチとなっており、TIがいかに重要な活動をしているのかを実際に感じることができた。とりわけ、教育を施されている学生が優秀層であることにTIの戦略的かつ戦術的な考えが垣間みえた。やはり、どの国も汚職に手を染めるのは特に重役者であり頭が回る人であることが多いが、その担い手になるであろう将来のリーダーを集めて教育するということは大変意義のあることである。
今回は、彼らとの意見交換の時間があまりに短時間であったために感じるところは少ない状況ではあるが、TIの存在意義というのはPNGに限らず世界にとって非常に重要な役割を担っている組織であることを猛烈に感じることができた訪問であった。
※プレゼンテーションスライドの写真掲載はTI PNG事務所より直接の許可を得ている。