新年を迎えて:国連フォーラム幹事一同より
国連フォーラムの皆様、
あけましておめでとうございます。
昨2006年は、国連にとってコフィ・アナン事務総長最後の年となりましたが、一昨年の国連世界サミットの結果を受けて平和構築委員会が設立され、人権理事会も活動を始めました。事務総長のハイレベル・パネルの報告書も提出され、開発・人道支援・環境などの分野での改革案も示されました。国連改革が少しづつながら進みつつある印象を受けた方も多かったのではないでしょうか。他方、イラクの状況は内戦状態にあると言われるまでに悪化し、スーダンのダルフールでの状況も改善されずに年を越しました。北朝鮮のミサイル発射と核実験に対する安保理の強い決議が出されましたが、六カ国協議での進展は見られず、国連の果たす役割も明確ではありません。そんな中で、久しぶりにアジアからの事務総長が選ばれました。
2006年、日本にとっては国連加盟50周年の記念すべき年でした。10月には安保理の議長国として北朝鮮に対する決議に関わり、国内では改めて国連の重要性が確認されたのではないでしょうか。つい最近国連分担金の交渉も決着がつき、日本の負担減となりました。同時にODAの削減に伴い、国連などの多国間協力への拠出金は減る一方で、日本の経済的な貢献度は下がってきています。人間の安全保障や平和構築分野への貢献の強い意志を示す一方、これらをどう主流化していくのか、どう具体的な貢献を行うのかの課題が残っています。
2007年、国連はパン・ギムン新事務総長を迎えて始まります。イラク、ダルフール、北朝鮮などの緊急の課題、鳥インフルエンザの変異による新型インフルエンザ大流行の危険性、ハイレベル・パネル報告書の国連総会での審議、米国の大統領選挙戦とも絡む対米関係のあり方、中国やインドなどの新興大国との関係などの展開が注目されます。事務総長の権限である国連幹部の人事の刷新も行われるでしょうし、欧米型ではない新たなリーダーシップがいかに理解され効果を発揮するのかも注目です。これから5年の任期中にはミレニアム開発目標の進展が大きく問われるでしょうし、地球温暖化などの影響も明らかとなり、国際社会のコンセンサスをとりながら大きな変革を起こさなくてはなりません。まさに、待ったなしの状況です。今年、国連の新体制と日本はどう向き合っていくのでしょうか、経済的な影響力の低下が進む中で、どうやって日本の貢献をアピールし、国連外交を展開していくのでしょうか。日本のマルチ外交のあり方を問われる年でもありそうです。
国連フォーラムの幹事会では、昨年同様、こうした国連での変化を捉え、メンバーのみなさんに多様で質の高い議論の場を提供し、積極的に活動を展開していきたいと考えております。今年は、「私の提言」、「国連を読む」など新たな企画も加えてさらにダイナミックで充実したフォーラムにしていきたいと思っております。国連フォーラムはメンバーがつくっていくフォーラムです。幹事一同、みなさんの積極的なご参加をお待ちしております。
本年もどうかよろしくお願いいたします。
国連フォーラム幹事一同
久木田 純、田瀬 和夫、須永 和男、朝居 八穂子、石塚 恵、井筒 節、稲垣 朝子、大谷美紀子、大槻 佑子、大仲 千華、岡村 恭子、亀井 温子、北村 聡子、紀谷 昌彦、國井 修、國京 彬、黒田 和秀、小谷瑠以、清水 和彦、新保 孝尚、杉山 章子、田辺 美穂子、谷 香織、粒良 麻知子、土井 香苗、中川 享之、中村 俊裕、鳴海 亜紀子、林 神奈、橋本のぞみ、早川 元貴、春谷 恵理圭、藤澤 有希子、山岸 千恵、山口 絵理、山下 恵理子、山本 晋平、横山 雅子、吉田明子、吉田 順子
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