国連フォーラム設立四周年にあたって
2004年10月の「国連の日」に発足した「国連フォーラム」は、国連のことをもっと知りたい、国連の活動に貢献したいと考えている多くの人々に、知識を得、議論に参加し、さらには具体的な活動に参画するきっかけとなる場を提供してきました。
いまやフォーラムのメーリングリストへの登録者は2,500人に達しようとしており、そのメンバーは国連職員、政府関係機関職員、学生・研究者、NGO関係者、メディア関係者、そして最近特に増加している民間企業関係者などきわめて多彩です。また、十代の学生から第二の人生を謳歌されている諸先輩方まで世界中から多様な人材が参加することにより、その議論にも最近特に幅と厚みが加わって、さまざまな視点から相手を尊重しつつ議論できる環境が整ってきました。各地で開催してきた勉強会は次回で50回を迎えますし、国連職員の素顔を紹介する「国連職員NOW!」は、多くの方の支援を得てもうすぐ100人に届く数の記事をお届けしてきています。また、「国際仕事人に聞く」や「私の提言」では一定のテーマを掘り下げることにより自由闊達な意見交換をおおいに促進してきましたし、「フィールド・エッセイ」や「インターン・エッセイ」は現場の息吹を感じられるようなメッセージを伝えることに心を砕いてきました。これらの活動のほとんどは国連フォーラムのウェブサイトにおいて閲覧することができます。
これから5年目を迎える国連フォーラムは、さまざまな分野の議論をさらに掘り下げ、発掘し、多くの方々が質の高い議論に参加できるような場をつくるために一層の努力をしていこうと考えています。そのためには従来の活動をさらに充実させると同時に、メンバーから出される意見やアイディアに基づいて新しい活動を始める可能性もあるでしょう。また最近、多くの民間企業の方々が国連に関心を持っておられることを踏まえ、政府・国連・市民社会・企業・メディア・学術界などを共通のテーマでつないでいくことも、このフォーラムが比較優位を持つ分野であると考えられます。さらに、これまでニューヨークに集中していた活動を東京、ウイーン、ジュネーブ、バンコクなどに広げていくことも多くの方々の協力により現実になりつつあります。いずれの場合でも、個人としての参加や相互の意見の尊重といった原則を守っていくことで、国連フォーラムはその設立趣旨のためにより多くの貢献ができるものと信じます。
現在の世界は大きな変化のうねりの中にあるといえましょう。米国のサブプライム・ローン崩壊による世界経済の低迷、食料価格と石油価格高騰による食糧危機。東ティモールやコソボなど国際社会が紛争後の社会で成功例を形作ろうとしている一方で、いまだに火種がくすぶるイラク、パレスチナ、アフガニスタン、スーダンなどの緊迫した情勢。地球温暖化の進行に関係するかのような大規模なサイクロンやハリケーンなどの自然災害の多発。北京オリンピックに見られた中国の熱狂的発展と人類史上空前とも言われるドバイの発展がある反面、TICAD後も多くの課題を残すアフリカの開発。このような激しい変化の中、奇しくも先日2009年からの安全保障理事会非常任理事国を決める選挙で日本が当選し、そして来月には米国の新しい大統領が選出されます。この時代の曲がり角において、パンギムン事務総長率いる国連が果たすべき役割はなんなのか。日本はどのように国際社会に貢献できるのか。議論は尽きません。
国連フォーラムでは今後さらにメンバーのみなさんの活動への参加を呼びかけます。それぞれの活動は世界中に散らばっている50人を越える幹事により支えられています。このフォーラムでの活動や議論が、参加するそれぞれの方にとって有意義なものであることを願ってやみません。
2008年10月24日 国連フォーラム幹事会一同
久木田純、田瀬和夫、須永和男、青木滋紀、青柳華子、秋山瞳、穴井路想、池田直史、井筒節、稲垣朝子、岩崎優、内田絢子、大谷美紀子、大槻佑子、大仲千華、岡崎詩織、荻七菜子、奥村礼子、落合由佳、加藤里美、亀井温子、城戸武洋、紀谷昌彦、國京彬、黒田和秀、小谷瑠以、佐々木佑、猿田佐世、柴土真季、澁谷和朗、清水和彦、菅野弘、杉山章子、鈴木香織、鈴木三輪、高田真理江、高浜晴美、田辺美穂子、田辺陽子、堤敦朗、土井香苗、富田玲菜、仲上睦美、中村俊裕、中山莉彩、成松潤子、西川絢子、錦織有史、林神奈、藤田真紀子、宮脇麻奈、山本晋平、山本紀子、吉田明子、吉田真紀、芳野あき、渡辺知子
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