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三戸 俊和さん
国連開発計画(UNDP)ルワンダ事務所環境ユニット

 

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三戸 俊和(みと としかず):東京都出身。大学卒業後1996年に環境庁(2001年からは環境省)入庁。2003年カナダ・ウォータールー大学で応用環境学修士号を取得。環境省では法律事務官として廃棄物、水質汚染、土壌汚染、環境関連税、生物多様性、動物福祉などに関連した新施策の成立に関与。内閣官房へ出向。首相官邸事務のサポート役として、気候変動問題、アスベスト問題などを担当。2007年3月から2009年9月までJPOにてUNDPルワンダ事務所へ。2009年に環境省を退職し現職。

Q.環境問題に興味をもたれたきっかけ、環境省を経てUNDPに勤務された経緯をお聞かせください。

もともと海外に行きたい、 途上国で何かしたいと思っており、日本人として貢献するなら環境問題がよいのではと思いました。日本は公害対策などの経験もありますから。それで環境庁(現環境省)に入ったのですが、結局一回も地球環境問題の部署には所属できませんでしたね。法律事務官として最初の6年間に8か所異動し、結果として廃棄物、水質汚染、土壌汚染など広い分野の仕事はしたのですが、あまり現場とはかかわれませんでした。途上国に直接関わる仕事の機会もなく、留学を経てから現地に行きたいという思いが募り、JPOに応募しました。

「環境」を扱っている国連機関がいくつもあるなかでUNDPを選んだのは、現場で仕事がしたかったからです。 UNEPも環境を扱っていますがUNDPの方が現場主義ですからね。それに環境問題は社会を全体的に見ないとだめで、貧困や衛生、教育などあらゆる問題が一通り揃っているアフリカが自分には最もよいと判断しました。 とはいえ、ちゃんと環境問題に取り組めそうなアフリカの国ってあまりないんですよね。例えば治安が悪かったりすると、政府の優先事項は復興や和解、インフラなど国の基礎づくりになって、環境は後回しになってしまいます。ルワンダは数少ない候補のひとつでした。

Q.現在ルワンダの抱えている環境問題にはどういったものがあるのでしょうか?

ルワンダでは人口圧を原因とした総合的な環境問題が大きく、なかでも土壌侵食と森林伐採が一番深刻です。人口増加と併せ都市化がすごく進んでおり、大気汚染の問題などが顕在化するのも時間の問題でしょう。人口問題は非常に大きく、ルワンダは三人っ子政策という人口統制策を打ち出しています。

とはいえ、ルワンダの環境に対する問題意識は非常に高いものがあります。一番大きな要因は、トップダウンの意思伝達でしょう。大統領を中心として「なんとかしなければ」という意識が非常に高いんです。1994年のジェノサイドのあと、難民が多く出て、森林伐採が進み、6割くらいの森がなくなってしまったのですけれど、それを知っている世代がまだいるというのが大きいでしょう。

一般的に経済発展と環境保護は矛盾するように思われるかもしれませんが、経済発展を優先する意識が政府にあれば、環境問題への意識もそれなりについてくると思います。経済発展を考える前に自分の政権がどれだけ儲かるかというところで止まっていて環境までたどり着けていない国も多いと私はみています。

Q.現在、三戸さんが直接関わってらっしゃる環境問題を教えてください。

主にゴミ処理です。ルワンダ政府からなんとかしてくれないかという依頼を受け、最初に2年弱かけてUNDPの中で廃棄物対策事業の企画書を作り、関係者を説得しお金もつけて成立させました。それがようやく今年(2009年)の6月くらいから実施されています。こういった組織では、企画立案と実施、そして最後を見届ける人が必ずしも同じではありません。企画立案者の意図が必ずしも伝わらないこともあり、結局何も進まずに3年、5年くらい後にまた同じ企画立案がなされるということが少なからずあります。そういうことは非常にもったいないと思いますね。お互いに時間を失うことにもなりますし、援助のお金の多くはどこかからきている税金ですから。

ですからこのプロジェクトは実施まで責任をもちたいと思って現在もルワンダにとどまっています。自分が企画立案したものがどこまでうまくいくか見たい、というのもありました。その辺のことをこの国の政府にも理解してもらい、「じゃあ彼をもうちょっとここで働かせよう」ということで、今は極めて例外的にUNDPに継続雇用されています。

他に気候変動関係のプロジェクトもあります。ルワンダは総合的には炭素排出よりも吸収の方が多いのですけれど、それでも低炭素社会を目指したいという意向があります。とにかく低炭素社会をつくり、この国が経済発展をした後でも二酸化炭素が出ないような社会をつくりたいという政治的決断があり、その仕組みづくりを手伝っています。

また、開発の大きな流れの中でセクター・ワイド・アプローチ(SWAp:各部門に関わっているドナーや政府やNGOが寄り添い、何年以内にどうやって何を実現させましょう、そのためにお金がいくら必要です、ということを決め、役割分担も決めてみんなでやっていこうというもの)があるわけですけれど、環境分野のSWApは遅れているんです。私はこのSWAp環境部門の外国人コンサルタントとしての立場にもあります。

私自身の今後のことは分からないものの、あまり国連にはこだわってはいません。うまく使えば国連の現場でできることは多いですが、国連自体、構造的には改めるべきところが多々あるとも思います。私は今はルワンダに関わりたくて、たまたまUNDPの仕組みが使えるからここにいるだけで、そうでなければ国連で仕事をするかどうかは分かりません。
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Q.日本でもルワンダでも環境行政に携わってこられています。共通する部分と違う部分を教えてください。

UNDPは政府と仕事をすることが多いのですが、意思決定の仕方や、上への上げ方、関係者のまとめ方などの基本はどこでも同じです。とはいえ、ルワンダの場合、やはり手続きに甘いところがあるとは思いますし、執行能力は明らかに違います。日本では決めたら必ずやるんですが、ルワンダでは、すごい高い目標を掲げてみたが実際できるかどうかはよくわからないとか、実行の方法が詰まってないとかということはよくあります。

また、日本の省庁の場合、期限が決まったら必ずやるわけで、それはいいことなんですが、無理がたたる場合もありますね。朝4時にタクシーで家に帰る途中で見る朝日っていうのは本当に嫌なんですよ(笑)。また、日本ではそれぞれの立場の人が死んでもその立場を守ろうとするからうまく調整がつかない。ルワンダの場合は、担当以外の事案は「なんだっけそれ?」なんてこともあって、話が進みやすいというのもあります。両極端だと思いますが、中間くらいがいいのかもしれませんね。

ルワンダでの仕事の魅力は、やはり一人の影響力の大きさです。例えば、日本で外来生物法という法律を書く仕事をしましたが、一人では絶対に無理な仕事ですし、成立までチームで仕事をするわけです。これに対していまの廃棄物プロジェクトは、関係者の協力は得つつも実際に動かしているのは実質上私一人ですし、キガリ市の廃棄物政策も中心で動かせます。うまくいけばルワンダ全体の廃棄物政策も変えていくことができるわけで、日本で仕事をするのと全然違ったインパクトを与えられる面白さ、魅力がありますね。

Q.ルワンダにとって今後どんなことが大きな課題になっていくと思われますか?

環境分野で言えば、データが弱いですね。環境問題は長期的な問題なので、目標が10年後とか20年後にあって、それに向けて今どういう傾向にあるか、少なくとも3年とか5年くらいのスパンでどう変化しているか見ないとあまり意味がない。だけどそもそも基準となる情報が何もないし、数値目標とか科学的知見も踏まえた数値の提示もほとんどない。だから「なんとなく」やっていることになってしまいます。

例えば、「土壌侵食が大変だ」といって事業を構築しようとするのですが、流出した土壌の量に関する信頼できるデータがあってのことではないんです。ちゃんとした統計を継続的に見ていくということ、それを踏まえてどうこうすべきか考える、というところはすごく大事だと思います。

また、ルワンダは今はなんとなく成長していますが、内陸国ですから物流コストは高いし、核になるような産業は今のところ観光業しかない。それがいずれ飽和状態になり、ある程度人口圧があるなかで経済発展を目指すとなると、環境への負荷は高まっていくでしょう。魅力ある国として発展を続けるにはきちんと継続的にデータをとり、しかるべき対応をし続ける必要があると思います。

Q.環境分野では日本も様々な国際貢献をしてきていると思いますが、日本にもしもっとできることがあるとしたら、それはどういうことでしょうか?

アフリカでは日本が資金拠出する気候変動関係の事業も多いんです。大変いい動きだと思いますが、アフリカでは−少なくともルワンダでは−政策遂行能力が必ずしも強くない。 こういう問題があって、対処するためにはこういうプランをつくって、人や制度をどうして何年計画で目標は何で、何年までにどうしていくのか。そういう点はルワンダ政府にだけ任せるとまだまだ不十分です。一方、そういう総合的な企画力は日本は強いと思うんです。ですから単にお金を出すだけでなく、そういうことを知っている人が来て働くと、ものすごく貢献度は高いと思います。

一週間くらいのワークショップでは専門用語が身についただけで終わる場合も多いかと思いますが、日々の仕事、考え方や行動の仕方−例えば書類を見たときにこの部分はこう改めた方がいいんじゃないかとか−そういうのを学ぶのは一緒に仕事をしないと無理ですよね。それこそ日本で働きすぎて若干疲れているような人が、こちらに来てのびのびやると日本にとってもいいと思うし、こちらへの貢献も大だと思います。

私がゴミ処分場にほぼ毎日通っているのはそういう意図があってのことで、最近、ちょっと成果が出ているなと思います。例えば、乾季にはゴミに火がついてしまうことがあります。現場は最初「水がないから消火は無理」と言っていたのに、私がスコップを買ってきて、もう燃えたあとのゴミや、古いゴミ、そこらへんに転がっている土とか砂とかを使って消してみせると、こうやればできるんだと現場監督が気づき、この前も、「あの辺で燃えているのを見たから従業員に消させておいた」なんて、ちゃんと処理しているんですよ。このように行動が変わってそれをシステム化していくこと。すごく時間がかかると思いますけれど…。

Q.生活のことを伺わせてください。実際にルワンダに住んでみて、どういった感想をお持ちですか?

医療事情などは確かに悪いですが、気候はいいし治安もいい。基本的には過ごしやすいですよね。休日は、最近はゴミ処分場にも行っていますが、あとはテニスをしたり、どこかに飲みに行ったりとかあとは家でぼーっとしたりします。インターネットで自分の活動を書いているので、その執筆もあります。それから妻がバイオ燃料のプロジェクトをルワンダでやっているのでその現場に行ったりもします。彼女はルワンダに来て、まず環境関連のプロジェクトを自費で始め、そのうちにたまたま仕事が見つかったんです。ついていたのだと思います。バイオ燃料の他にも、バナナの幹から繊維をとり現地の収入向上につなげるといったプロジェクトや、アガセチェと呼ばれるルワンダの伝統バスケットを日本で売るフェアトレードにも関わっています。日本のテレビ局が来たときは現地取材のアレンジを手伝ったりもしていました。

image007Q.休日にまでゴミ処分場に行かれるということですが、なにが三戸さんをそこまでしてゴミ処分場に行かせるのでしょうか?

面白いんですよ。臭いですけれど。この国で一番よく働くのは大臣レベルと現場でゴミ拾いしているような人たちの両極端だと思っています。ゴミ処分場にいる従業員は一日中飲まず食わずで仕事しているし、そういう人たちと交流できるのは楽しいです。少しでもその改善に貢献できるのであれば、それが一番のやりがいじゃないですか。彼らは一生懸命なので、プロジェクトがうまく進み、きちんと教育を受ける機会を与えてあげられれば一番伸びると思います。ああいう人たちに是非チャンスを与えてあげたいな、と思います。

例えばゴミ処分場のそばに、簡易なリサイクル施設をつくろうという民間企業の人がいます。そういう人たちと相談して、施設に従業員用の学校施設のようなものを併設して設置すると面白いなと思っています。そんな案も考えながらゴミを拾っている人たちと一緒にいるのは楽しいですね。別に直接給料をあげているわけではないですが、ゴミについた火を消している私を手伝ったりしてくれる人もいる、そういうのが嬉しいです。

UNDPでも現場に行かない人もいます。熱意の問題もあるとは思います。私は現場で整地をするブルドーザーの指導をしたりということも好きなんです。今度、免許を取ってきて自分でやってみようと思っているくらいです。

Q.現場の人たちは三戸さんがどういう人か知っているのですか?変な日本人がきて、一生懸命に火を消しているな、くらいに思っているのでしょうか?

日本人というのは分かっていると思います。キガリ市と契約している70人ほどは、現場監督から話が伝わっているようで信用してくれているらしいですよ。また、給料の未払いが続き困っていると、話を通して助けてあげたりしているので、実益があるとも思っているんじゃないですか? サンダルで作業するのは辛いから早くブーツを買ってくれって私に相談する人もいる、そんな状況です。

廃棄物の問題に関しては、政府も援助団体も自分をフォーカルポイントだと認識してくれているので、それはやりがいになっていますね。情報も集まります。好循環の最初のところに立っている感じがします。情報が集まると、ちゃんとコントロールできるし、全体の調整もできます。今まではそういう人がここにはいなかったんですよね。

image009Q.そういう循環ができ始めたのが赴任2年経ってくらいでしょうか? もしそうだとしたらそれくらいの時期に任地を去ってしまうのはもったいない気がします。

政府の関係者に話をしたときに、「ああ、そうだね、それを考えてみようか」とちゃんと反応をもらえるようになったのは2年経ってからです。後で職場の上司から聞いたのですが、着任当初は、環境管理庁の長官から、「彼、何を言っているのか全然わからない」と言われていたみたいです たぶん言葉がたどたどしかったというのもあるのでしょうけれど、それ以上に考え方や、コミュニケーションの取り方が駄目だったと思うんです。

それが徐々に信頼を得て、「こんな問題があるんじゃないか」と提案したら「そうだね」と言われたり、新しい話題について私に問い合わせてくれたり、様々な問題を一緒になって本当に考え始めてくれたのは2年経ってからなんです。ですので、そこで去ってしまうと意味がないですよね。

でもそういう人ってすごく多い。国連の組織だと国際職員は同じ場所に長くて3年ですが、5年くらいいないとやはり途上国では無理なことも多いでしょう。国際職員が2年や3年でまわっていくのは癒着を防ぐためには大事なことだと思いますので、難しいところですが、もう少し柔軟性は必要でしょう。

例えばルワンダはマウンテンゴリラが有名ですが、彼らが生息しているヴィルンガ火山国立公園で、今のエコツーリズムを開発したのはアメリカ人のカップルで、彼らが関与し始めたのは1970年初頭なんです。その後30年くらいたってようやくここまできているので、もし本当に何かつくるんだったらそれぐらいの覚悟で関わらないと、結局、現地の人とのつながりも薄くなってしまうと思います。

長期的な仕事に短期契約の人が従事している問題というのは、ルワンダ政府内にもあります。財政が安定していないこともあるのでしょうが、ルワンダでは公務員で身分が安定している人はほとんどいません。例えば環境管理庁だったら正規職員は数人です。あとはみんなプロジェクトでお金がついていて数年の契約で働きます。そんな人ばかりなので、落ち着かないし、インセンティブが少なくなってきて、この国をどうしていこうかと考える前にどうやって次の就職先を確保していこうかというふうになってしまう。それを変えていかないといけませんね。やはりもう少し大上段に構えて考える人がいないといけないと思います。

Q.ルワンダから日本社会をみて、どう思われますか?

今の日本のシステムは比較的新しいと思うんです。東京にたくさん人が出てきて競争社会ができたのは、60年代とか70年代に第一次ベビーブーマーが親になってからのことだと思います。この仕組みを今の若い人たちが継続させる必要はたぶんない。別のものをもっと考えればいいし、私自身、こうやって日本を飛び出していい加減に生きる生き方もあるんだよ、と見せられればいいなというのも多少あります。

日本が恵まれているのは、何をやってもとりあえず生きて行くことはできるということです。 自分のプライドを考えたら辛いかもしれませんが、そう簡単には死なない。そういう支えがある以上はもうちょっと自由に考えていいのではないかと思います。仕事が気に入らないからすぐやめちゃうと、どこに行っても気に入らなくなって悪循環におちいる可能性があるので、どんなに嫌いなところでも5年か10年いて、そこで盗めるものを全部盗んで、本当に駄目だったら次にいけばいい。

かといって安定性にこだわる必要はないと思います。日本でも昔は仕事は不安定なものばかりで、「親戚からたまたま助けられてなんとかなっているけれど、この先どうなるかわからない」という人も多かったのではないでしょうか。でも、今よりもっと楽しく生きていたんだと思うんですよね。あんまり悲観的に、これしかないというふうには思わなくていい。特に日本の男が駄目なんです。日本人でアフリカで開発に関わっているのってほとんど女性じゃないですか。飛び出すのを極端に嫌がっているのが日本の男性ですよ。なんでなんでしょうね。もうちょっと変わった方がいいと思いますよ。

言葉の問題は大きいかもしれません。国連の中で自分がずっと生き残る自信がないのは、言葉の要因もすごく大きいです。丁々発止やりあって、結果がそれほどなくても、言葉で何かあるように見せる。観察しているとそういうことがよくあるのですけれど、私にはそういうのは絶対に無理です。たとえたどたどしくても伝える内容がある、というのが自分としては精神的に楽なんです。人によっては、特に中味もないのに10分以上演説できますから。スピーチコンテストみたいです。日本人はなかなかこういったことが得意ではない人も多いと思うのですが、それは今の国連のカルチャーから言うとすごく不利なところです。もうちょっと言語運用力を訓練をしたほうがいいのかもしれないですけれど、残念ながら私はもう訓練しても間に合わないので、若い人に頑張ってそういうこともやってもらいたいと思います。
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Q.最後に地球規模課題に取り組もうと思っている次世代を担う若者へのメッセージがあればよろしくお願いします。

海外で働くかどうかは関係なく、自分自身の「軸」があるのが大事だと感じています。国際機関で働くのでも、途上国で働くのでも、日本で働くのでもそうでしょうが、何に興味をもっていて、どの分野の専門性を高めようとしていて、どう貢献できるか、というところがはっきりしていればしているほど役に立つ。そのためにはいきなり国連なんかに行かずに、むしろ(日本であれ海外であれ)そういうことをやっているようなところである程度経験をつんで、自分にはこういう経験、思い、知見があって、これが出せます、というのを確立してから、国連なりに入った方がよっぽど役に立つと思うんです。

自分の持っているストーリーの中で枠組みとかタイミングがたまたま合えば、国連を使えばいい。何がしたいかというのが常に先で、まず先に国連だから、という考え方を持つと必ず大きな壁にぶつかると思うんです。例えば環境省に入りたいとか、国家公務員になりたいとか、国会議員になりたいとか、そういう発想って絶対、あとで失敗すると思います。

日本では誤解されている部分もあると思うんです。国連って中身がよく見えないだけに、すごく評価が高いじゃないですか。国連職員なんですか? ああ、すごいですね、みたいに(笑)。でも、専門分野をまず先に持って、それが今ないんだったら、いきなり国連に行くことは考えない方が本人・組織両方のためにいいんじゃないかと思います。

2009年12月13日 キガリ
聞き手:諏訪理
写真:諏訪理(2、5枚目)
豊田早弥佳(1、3、4枚目)
プロジェクト・マネージャ:鹿島理紗
    ウェブ掲載:由尾奈美

 


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