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第6回
戸崎 智支さん
インターン先:
UNFPA/ILO東京事務所
第5回
杉 みちるさん
インターン先:
UNICEF
バングラデシュ事務所
第4回
中村 秀規さん
インターン先:
UNICEFウガンダ事務所
第3回
小谷 瑠以さん
インターン先:
国連事務局軍縮局

第2回
宮本 香織さん
インターン先:
UNFPAバンコク事務所
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第7回 朝居 八穂子さん / コロンビア大学大学院(Teachers College)
インターン先:UNICEF ウガンダ事務所

<その1>


■1■ インターンシップへの応募から獲得まで

私は日本で大学時代に途上国の教育問題を学び、アンゴラでのNGO活動を通じて教育を受けられなかった内戦被害者の日常生活(技術、職がなく路上で施しを求める地雷被害者など)を知ったことから、紛争、平和復興地域における教育活動に関心を持ち、現在コロンビア大学の教育大学院、国際教育開発コースでInternational Humanitarian Issues を専攻し、Education in emergenciesをテーマに学んでいます。 アンゴラではNGO、日本では大学卒業後日本のODA二国間援助関連業務(調達)をしていたため、大学院での夏学期は今まで働いた経験のない、多国間援助を行う国際機関の、アフリカの現地事務所で、実際緊急教育に関わることのできるインターンができればいいな、と贅沢な希望を抱きながら渡米。しかし、周囲でインターンを経験した学生から、ポスト確保は非常に競争倍率が高く大変であると聞くにつけ、ただでさえ大学院の授業と試験が益々忙しくなることも考え併せ、まだ何も行動を開始していない10月ごろから、希望が適うか、そもそもインターンシップを獲得することすらできないのではないかと、不安な気持ちを抱えていました。

8ヶ月後の現在(2006年5月)、UNICEFウガンダ事務所の北部地域支援ユニットで、現地視察を通じて特に教育の分野を中心に国内避難民(IDP)キャンプにおける人道支援のギャップを探すというインターンシップを開始することができたのは、すべて人のつながりのお陰です。実はウガンダでは大学時代からの友人が働いており、お互い日本を離れる前に「ウガンダに来れば?」「行けるといいねえ」といった話をしていました。渡米後、国連フォーラムのメーリングリストを通じてUNICEFウガンダ事務所でインターンをした方を知り(第4回報告:中村さん)、相談に乗って頂くことができました(1月頃〜)。さらにユニセフ本部の久木田さんにも相談に乗って頂き(2月)、直接ウガンダ事務所長宛にメールを書いて頂いたことで、現地とのコンタクトが本格的に始まりました(3月)。

実際に「これで正式に受け入れ確定かな?」と思われる回答が来、現在の直接の上司と電話で話をして私の教育支援に関わりたいという希望を聞いて頂いた時はすでに4月半ばを過ぎており、院の期末試験やペーパーの締め切りも迫っていた頃だったので、ウガンダでインターンができる、という安心を得るまでにはかなりの時間と辛抱が要りました。ただ、今振り返れば、緊急教育、ウガンダ、UNICEFと明確な希望を持っており、この希望に絞ってインターン探しをしたため、他の機関や国を探したり、それぞれに宛てた応募書類を作成したりといった非常に時間のかかる作業はせずにすみ、結果的にも、希望通りのインターンシップが得られたため、私は非常に幸運だったと思っています。


■2■ インターン開始後の1週間

現在、前述の友人宅に居候しながら、徒歩通勤をしています。ニューヨークとの往復航空券は高額ですが、最初から居住の場所が決まっており住居費がかからないという点においても私は恵まれているといえるでしょう(代わりに友人の肩揉みなどをしていますが)。

UNICEFでのインターンはまず事務所の全体会議への参加から始まりました。その後IDカードの作成や予防注射接種、治安に関するブリーフィングを受けるといった事務手続きがあり、様々なブリーフィング資料が与えられ、UNICEFの北部支援の概要を把握することに努めました。驚いたことにインターン開始3日目には2泊3日で上司の現地視察に同行することができ、PaderとKitgumのIDPキャンプを訪れ、キャンプ内の学校やLearning Centerの状況を見る機会に恵まれました。1クラスには100人から150人の子供がいて、机・椅子や自分のノートがない子は珍しくありません。室内の明るさは自然光次第ですし、黒板は穴だらけ、トイレがない、あっても個室のドアは盗まれて外から丸見えの状態、そして水や給食といったサービスも十分ではありません。それでも制服を着て通える子供達はまだ幸せなのでしょうか、授業のある時間帯にキャンプ内を歩いていると、学校あるいは就学前教育に行っているはずの年齢であろう多くの子供達が興味津々で視察チームについてきます。保健、栄養、衛生、治安など様々な問題を乗り越え、こうした子供達が教育を受け、自分の能力を伸ばし、紛争のない社会を築き担っていけるようになるには、ウガンダと国際社会の協力、更なる人材、資金と時間を要します。


(写真:IDPキャンプ内の学校の様子。)

こうした状況の中、緊急人道援助の質と効果を高めるため、クラスターアプローチが2006年から始まり(詳細は以下サイト参照)、コンゴ、リベリアとともにウガンダはこのアプローチに沿った支援がパイロット的に進められています。UNICEFは保健・衛生など複数のセクターのリード機関となっており、多数のNGOなどがそれぞれに活動を展開する現状とその問題点を把握、ギャップを埋め、確実に効果をあげる責任を負っています。現在は、どの機関・団体がどこでどんな活動をしているのかを把握するためのツール作りが進んでおり、私も教育分野のツールについて意見を述べました。

インターン開始2週間の今、まだUNICEFの活動(国家・地域レベル、分野別)の把握と、同僚の補佐など断片的な仕事しかしていませんが、これから本格的に、緊急教育援助のギャップを見つけ、それに対する対応策を提案していきたいと思っています。緊急援助における教育の専門家は不足しており、ユニットの上司も「どんどん意見を述べるように」と応援してくれています。アメリカに戻るまでのあと10週間で、キャンプで見た子供達のために何ができるでしょうか?私にもまだ分かりませんが、次回報告をお楽しみに。


クラスターアプローチについて: Inter-Agency Standing Committeeウェブサイト
http://www.humanitarianinfo.org/iasc/default.asp

UNICEFウェブサイト
http://www.unicef.org/



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