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インターン事務所前の写真
第76回 青木 亮隆(あおき よりたか)さん
京都大学大学院 アジア・アフリカ地域研究研究科 修士課程在学中
インターン先: 国連工業開発機関(UNIDO)東京事務所
インターン期間: 2017年9月〜12月(約3ヶ月)
■インターンシップ応募から採用まで■
私は大学院で地域研究を専攻しており、研究を行うためにインドネシアに約1年滞在していたため、現地からインターンに応募しました。私がUNIDOの応募について知ったのは、国際協力キャリア総合情報サイト(PARTNER)でしたが、国連におけるインターンについて関心を抱いたのは、国連フォーラムのメーリングリストがきっかけでした。応募期限が迫っていたのですぐに履歴書をUNIDO宛てに送った後、3日ほどで返信が届き、電話面接の日程が決まりました。
面接では、自分の研究や、UNIDOに関心を抱いた理由について質問されました。私の専攻は地域研究であり、研究は、インドネシア・スマトラ島の泥炭地という貧栄養な土地において栽培され、かつ持続的な農業として注目されているサゴヤシという植物を対象としています。学問としては農学系であり、UNIDOの仕事内容とは直接的な関連性はありませんでしたが、UNIDOの掲げる「包摂的かつ持続可能な産業開発」という目標と、自分の研究の持続的農業という面で近いものがあったので、その点を強調しました。
UNIDOに関心を抱いたきっかけとしては、UNIDOの掲げる目標について共感を覚えたこと、それによりUNIDOが行う、環境技術を持つ日本企業の海外展開支援事業に携わりたいと考えるようになったと話しました。また、UNIDOは日本企業の環境技術データベースの構築やビジネスマッチングの機会を提供する等、他の国連機関とは異なったアプローチを用いて日本企業に寄り添ったサポートを行うことに興味を持ったとも伝えました。
さらに、平日週5日でフルタイム、3か月間働けることもアピールしました。結果として、その場で合格をいただけたので、インドネシアから帰国してすぐにインターンを始めました。
■インターンシップの内容■
東南アジアの専門家と日本企業の商談ブースの様子@
東南アジアの専門家と日本企業の商談ブースの様子A
UNIDOは、日本から国外への投資や技術移転を促し、開発途上国の経済発展を支援することを目的とした機関であるため、この目的に沿った各種イベントが毎月のように開かれます。このイベントを中心に、様々な業務に携わらせていただきました。具体的な例を挙げると、インドネシアを含む東南アジアの排水処理の専門家を日本に招聘するプログラムにおいて、インドネシアと日本企業との商談の機会を設けるイベントに出席し、この商談をサポートしました。私は研究活動の中でインドネシア語を学んでいたため、この語学力をもってインドネシアと日本のビジネスに貢献できるよう努めました。また、日本の企業が有する環境技術を各国大使館に紹介する展示会では、運営の補助に加えてアンケート調査を実施し、集計結果をUNIDOの方々に公表することで、展示会における改善点を考えていきました。これらイベントだけでなく、UNIDOの広報活動もお手伝いしました。ウィーン本部が作成する英文記事の翻訳、年次報告書や展示会における広報誌の作成、ウェブサイトの編集などがあります。
インターンに取り組むにあたって、特別な専門性は必要ではありませんが、英語や第三言語を多少なりとも扱えることは、任せていただける仕事の幅を広げられるという意味で、重要な要素であると思います。他にも、私は過去にフィリピンの企業で1年ほどインターンシップを行っていたのですが、その時に学んだ基本的な仕事の進め方は、UNIDOで活かすことができました。どのような組織でもいいので、自身が携わりたい分野でのインターンシップを経験しておくと、国連の仕事においても活用できるはずです。
■その後と将来の展望■
UNIDOの官民連携プログラムの様子
私は今回のインターンシップの体験を通じて、国連、各国大使館、企業等に所属する様々な国籍の方々と出会いました。彼らは、日本と地理的に近いアジアだけでなく、アフリカ、南米、中東など世界中から日本を訪れていました。その中には、多様なバックグラウンドを持ちながら、豊富な海外経験や高い専門性を有する方が多くいました。私は国連インターンの後、修士論文を執筆していますが、専門性の高い彼らに刺激を受けたため、卒業までの時間を利用して研究活動にもっと力を入れていこうと考えるようになりました。幸いにも、研究の奨学金を再度取得できたので、2018年の後半にインドネシアに1か月ほど渡航して調査を行う予定です。
■おわりに■
UNIDOのインターンは無給ですし、東京の物価は高いので、金銭的余裕がなければ長期の就業は難しいかもしれません。幸いにも、私は助成金を獲得しており、私が所属する大学院もインターンには寛容であったため、問題なく遂行できました。とはいっても、贅沢をできるような経済状況ではなかったので、東京では月3万円、6人部屋のシェアハウスに滞在し、生活費を工面しました。
このように金銭の問題はありますが、仮に国連のインターンに応募したいのならば、興味のある組織の募集を見つけ次第、すぐに応募する方がいいと思います。私はUNIDOの他に2つほどインターンに応募していましたが、どちらも合格には至らなかったので、インターンの合格のチャンスは多く掴めるよう行動していってください。
また、国連インターンから得られるものは大きいので、興味が少しでもあるのならばチャレンジすることをお勧めします。国連の目標や具体的な仕事内容に関して理解が深まるだけでなく、様々なバックグラウンドを持つ人々と共に働けることは、強い刺激となります。インターンの仕事を通してスタッフの方々とお話し、自分のキャリアプランを具体的に考えられますし、国連で働くにあたって必要となる専門性、語学力の至らなさも自覚できました。国連を目指すのであれば、この経験はプラスに働くはずです。