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第38回
国連平和構築委員会の現状と展望
〜議長国に就任して

星野 俊也さん
国連日本政府代表部 公使参事官
ピースビルダーのための寺子屋とは
〜広島平和構築人材育成センターの挑戦

上杉 勇司さん
広島大学大学院国際協力研究科准教授

第37回
国連アフガニスタン支援ミッション
(UNAMA)の現状と課題
川上 隆久さん 
UNAMA官房長(Chief of Staff)

第36回
緊急援助における公衆衛生の役割
國井 修さん
国連児童基金(UNICEF)
保健戦略上級アドバイザー
第35回
障害者の権利条約--その意義、
条約策定過程、今後の課題

伊東 亜紀子さん 
国連経済社会局(UN/DESA)

第34回
気候変動と貧困
隈元 美穂子さん
国連開発計画(UNDP)
エネルギー・環境グループ 
地球環境ファシリティー 
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「小型武器問題−国連行動計画の履行と日本の取組み」
益子 崇さん
国連軍縮部 プロジェクト調整官

大村 周太郎さん(コメンテーター)
国連日本政府代表部 参事官


2007年7月12日開催
於:ニューヨーク日本政府国連代表部会議室
国連邦人職員会/国連日本政府代表部/国連フォーラム共催 合同勉強会

 

質疑応答

 

■Q■ 日本では小型武器は製造されているのか。日本で製造された小型武器が海外で出回っているということはないか。 

■A■ 日本では、警察官、自衛隊等政府職員が所持するための小型武器が製造されている。ただし、武器輸出三原則に基づき、日本で製造した武器は輸出しないと閣議決定されているので、日本の政府機関でのみ使用されている。

■Q■ 現場での支援について、人間の安全保障との関連で小型武器を回収しているとのことだったが、紛争後社会の人々が抱える不安を解消するための包括的な枠組と提携して行われているのか?たとえば、コソボではUNDPが中心となって小型武器を回収したが、住民の間に治安への不安があったため、皆自分の身を守るために武器を手放したがらなかった。紛争直後の、暴力の収まっていない社会で小型武器を回収することは難しいのではないか。

■A■ コミュニティの安全があって初めて小型武器の回収が成功する。安全が確立されるタイミングを見計らって回収を行う必要もあるし、その前段階においても、学校等の教育機関と協力したり、警察と住民との対話の機会を設けて住民の不安を取り除いたり等、小型武器回収と併せて啓発活動を実施することが必要。これまでに実施されたプロジェクトでは、まずコミュニティの安全性を調査し、回収に機が熟しているかどうかを判断した上で、熟していなければ、回収できるような状況に向けて働きかけを行っている。

■Q■ 様々な部局や機関が小型武器問題に携わっている中で、国連軍縮部はどのような役割を担っているのか。

■A■ 小型武器問題は様々な分野に関係してくるため、国連の機関間枠組、DDRに関する機関間の活動にも積極的に参加している。軍縮部は平和と安全保障に関する問題のうち、政治的な部分に対するアドバイスを行うのが主な役割である。実際の活動については、軍縮部の地域センターやUNDP、CASAの他のメンバー、国際NGO等が行っている。

■Q■ 非合法なものであるにもかかわらず、小型武器問題を国連という場で話し合うこと自体に反対する国があるとのことだが、こうした主張はどのような理屈に基づいて行われているのか。また、実際に小型武器問題に携わっている立場からは、このような主張はどう思われるか。

■A■ こうした国の場合、まず理屈があるのではなく、合法・非合法を問わず、とにかく銃の規制や管理について話し合われることが我慢ならないというアレルギー反応に近いものが国民の間にあり、それを逆手に利用してロビー団体が反対活動を行っているというのが実情ではないか。こうしたロビー団体はその国の政権と密接に繋がっていることもあるので、政権としても無視できない存在となっている。2001年の初めから、国連の立場としては、小型武器問題を議論する際にはこれらのロビー団体を会議に招待し発言も行ってもらって、政治的な客観性を確保しようと努めている。実際に国連でこうした国が発言する場合には、はっきりと「非合法な小型武器についても議論したくない」と明言しているわけではない。ただ、小型武器はどれが合法でどれが非合法かを判別するのが難しく、コインの表裏のようなもの。国連が進めている枠組作りはそれをできる限り管理しようとし、その一環として、小型武器一挺一挺に刻印を押すこと等が試みられている。しかし、たとえば刻印を押すとなると生産者にとっては相当のコストがかかるので、小型武器問題に限ったことではなく、とにかく新たな面倒は背負いたくない、という気質があるのではないか。もっとも、公の場でそう主張することはできないので、自国の憲法等を持ち出して理屈を後づけしているようにみえる。

■Q■ 武器輸出国は安保理常任理事国の中にもいくつかあるが、それぞれどのような立場を取っているのか。

■A■ 武器輸出国が皆足並みを揃えて同じ主張を行っているわけでもなければ、武器輸出国だから小型武器の管理に必ず反対するというわけでもない。武器輸出を行っているにもかかわらず、武器貿易条約の推進役となっている国もある。また、一元的な対立軸の中に入らず、独自の立場を守っている国もある。他方で、現時点では特定の輸出国が目立って反対しているので、他の輸出国はそこまで前面に出て反対する必要もないという見方もできる。仮に、今後輸出国に対する拘束が強まれば、他の輸出国も強硬な反対論を唱え始める可能性もある。

■Q■ 過去17年間で廃棄された小型武器と同じだけの小型武器が年間に新しく生産されているとのことだが、それだけのコストをかけてまで小型武器を廃棄する意義は何か。

■A■ 1997年にはアルバニアの武器庫から50万挺の銃が盗まれるという事件が起きた。小型武器の廃棄には確かにコストがかかるが、廃棄せず保管しようとすればもっとコストがかかるだけでなく、それが非合法に蔓延する危険性もある。そのため、たとえコストがかかろうとも、再利用が不可能なように廃棄を進めていくというのが小型武器処理の本流となっている。

■Q■ 日本は小型武器を輸出しているわけでもないのに、なぜ日本がこの問題に取り組まなくてはいけないのか。小型武器が蔓延しているアフリカの旧宗主国等が中心となるべきではないか。

■A■ 小型武器によって影響を受ける国は多い。日本がこれまで積極的に支援してきた発展途上国の開発においても、小型武器問題が根幹にある。他方で、大量破壊兵器問題への対応がなかなか進捗しない中で、小型武器は今後議論や取組を深める余地が大いにある。

■講師からのコメント■
小型武器に関する包括的メカニズムが存在しない中で、今の勢いを失わずに今後も取組を進めていくためには、機関や組織の枠を超えた議論の場を強化することが必要。人間の安全保障、DDR、開発等、大きな概念の中に一つの要素として組み込まれて履行されていくことで、小型武器問題の主流化を進めていくことが重要だと考えている。

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議事録担当:大槻



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