サイト内検索




第32回
林 真樹子さん
インターン先:
UNESCOパリ本部
UNESCOカンボジア・プノンペン事務所
UNICEFカンボジア・プノンペン事務所


第31回
近藤 篤史さん
インターン先:
国連事務局ニューヨーク本部
第30回
チャカール亜依子さん
インターン先:
UNICEF 東ティモール事務所
第29回
菅原 絵美さん
インターン先:
国連グローバル・コンパクト事務所
(UNGCO)
第28回
位田 和美さん
インターン先:
UNICEF インド・デリー事務所

第27回
丸山 隼人さん
インターン先:
UNDP 東ティモール事務所

第26回
池田 直史さん
インターン先:
UNHCR イエメン事務所

全タイトルを見る⇒
HOME国連でインターン > 第33回



原UNIDO親善大使とのインタビュー(Photo :山口裕朗)


第33回 山中 翔大郎(やまなか しょうたろう)さん

一橋大学大学院 社会学研究科
インターン先:国連広報センター(UNIC)東京事務所 (200951日〜724)

 

■インターンシップの応募と獲得まで■

僕は帰国子女でもなく、留学の機会にも恵まれなかったのですが、それでも国際機関で働くことにずっと憧れていました。哲学を専攻として学び始めたのも、国際協力の負の側面として捉えられることのある文化的侵略や西洋化、資本主義化と言われる問題をどのように解決できるか、開発・発展により先進国のようになるのが本当に幸福に結びつくのか、という問題意識がきっかけでした。直接的に国際関係学や開発経済学などを学んでいるわけではないのですが、問題解決への強い思いと、自分の学んできたこと、興味関心を活かせる国際貢献とは何か、を考えた結果、国連広報センターのインターンシップに応募することを決めました。これはコミュニケーションを通して、援助を必要とする途上国の人々と、力になりたいと思う先進国の人々の両方のニーズを満たし、双方の利益になるような社会を創り出したい、と思ったからです。

国連広報センター(United Nations Information Center)の東京事務所は、国連広報局(United Nations Department of Public Information) 直属の機関で、国連とはどのような組織であるかを日本の方々に知ってもらうこと、日本と国連との関係において国連諸機関との調整の役割、また日本における国連の窓口としての役割を果たしている組織です。

僕が働いていたときには、@日本のメディアがどのように国連を捉えているか、日本や東アジアは今どのような情勢にあるのかを本部へ報告、A本部や他の国連機関から幹部などが来日した際の受け入れ、B親善大使の各イベントやプロジェクト参加に際して他の国連諸機関との調整、C外務省などと協力して日本の人々の国連への意識・関心を高めること、D国連教育を普及させるために各都道府県の高校教員と協力してのシンポジウムの開催、E国連のCSR(Corporate Social Responsibility: 企業の社会的責任)普及の枠組み「グローバルコンパクト」に関して企業との調整、F学生、児童の見学・訪問の受け入れ、などがUNIC東京が進めていた仕事でした。
 
オフィスには常時5人程度のインターンが働いており、インターンの募集は随時行われています(国連広報センター)。書類選考、面接、筆記試験がそれぞれ日英両方で課されます。英語の能力の他にも、一般企業の採用基準と同様、社会常識を持ち合わせていること、周囲と調和が取れること、文章作成などの日本語能力も重要視されるオフィスだと思います。僕は語学の能力など至らない部分も多かったと思うのですが、幸運にも採用となりました。

仕事風景(写真提供:UNIC)

インターンシップの内容

基本的な業務は、日本の情勢やメディアの記事を集めるクリッピング(新聞切り抜き)と、翻訳、電話対応などの職員の業務補助でした。僕が勤めていた期間は運良く、UNICが持つプロジェクトの中でも重要でやりがいのある仕事を任せてもらえました。調査の面では、日本の国連教育についてと、グローバル・コンパクトのプロジェクトに関してCSR全般について調べ、それぞれいくつかレポートを仕上げ、提出しました。

もうひとつ中心的な業務になったのは各国連機関の親善大使担当の仕事でした。インターンに任せられたUNインタビュー・シリーズでは、僕はUNIDO(United Nations Industrial Development Organization:国連工業開発機関)の原禮之助親善大使、UNFPA(United Nations Population Fund:国連人口基金)の有森裕子親善大使へのインタビューを担当しました(UNインタビューシリーズ)。諸機関、各事務所への連絡調整から質問内容の推敲、原稿の作成まですべてを任せてもらえました。迅速に仕事を進めること、業務上の不手際で先方に迷惑をかけてしまわないこと、応対で失礼のないように、かつ和やかにインタビューを進めることなど、心掛けなくてはいけない点は沢山ありました。何よりも大変だったのは、親善大使の仕事と諸機関の役割を正しくかつ効果的に伝えるために、質問から原稿まで、一字一句注意して業務を進めなければならなかったことです。それでもこうしてUNICのWebサイト上でインタビューを閲覧することが可能になることで、少しでも国連の活動を伝達する役割を担えていたと考えると、とてもやりがいのある仕事でした。

そして、インターンの期間中、最も大きな仕事となったのは潘基文(パン・ギムン)国連事務総長訪日の際の、各親善大使、サポーターとの懇親会の企画・運営でした。UNICのインターンは、各機関・事務所との連絡調整から進行スケジュールの作成、当日の運営まですべてを担当することができました。始発出勤に残業、1階から13階まで、UNハウスを走り回る毎日の中で、作成したプランが諸機関とのミーティングで廃案になり、ゼロから作り直すこともしばしばでした。そのような苦労を経て、当日無事に事務総長と各親善大使の交流を済ませることができたことは、仕事のスケールから言っても、かけがえのない経験となりました。

有森UNFPA親善大使へのインタビュー(Photo:佐山好一)

事務総長と親善大使との懇親会(Photo:山口裕朗)

その後と将来の展望
将来的には民間企業への就職を考えていますが、このインターンを通じて、国連の役割を学ぶことができました。国連は国際社会で大切とされていることを改めて確認する機能により、自らの価値と、対象の世界における価値を相互に高め合う役割を持っています。その付加価値をいかに利用し、国際協力に役立てることができるのか。また、国連が各パートを取りまとめ、引っ張っていく表層だとすれば、その土台となる社会・経済システムに対して、どのような役割を担っていくことができるのか。それを「いかに伝えるか」というUNICで学んだことを活かし、報道や広報、PRなど、価値の伝達に関係する分野で活躍していきたいと思っています。「国連」と聞くとまず思い浮かぶのは、開発や教育、紛争解決の分野かもしれませんが、きっかけづくりや価値の伝達を通じた国際協力、社会貢献に従事できればと考えています。

事務総長と握手(写真提供:UNIC)

その他感想・アドバイス等

必ずしも国際協力=国連ではないと思います。これから国連での就職を目指す方には、本当に人の役に立ちたいのか、国連ブランドに憧れているのかを一度考え直してみても悪くないと思います。社会において誰かの役に立ちたいと思うとき、世界へ目を向けることで日本の身近な人たちを忘れることもありますし、国連のことを考えるときにNGOやNPO、一般の企業で国際協力を果たしている人の努力が見えなくなることもあります。国連はその一つの役割を果たしているのです。

国連で働くことを追い求めるあまり、国内や国外、家族や友人など、多くの困っている人たちに気づかずに、そして周囲や自分の人生を犠牲にするのならば本末転倒です。社会貢献や国際協力への関わり方はいろいろあるので、結果自らの強みが最大限活きる形で、みんなが役立てる社会になればいいと考えています。そのために国連がイニシアチブをとって、誰もが参加できるような、より広範な国際協力、社会貢献への枠組みを提供すべきだと思います。

僕が田舎から上京してまず驚いたのは「国連職員」、「ニューヨーク育ち」、「海外大学院進学」など、これまで聞いたことのないような世界が存在していたことです。その憧れと驚きから四年の精進を経て、UNICでのインターンを通して、今では少し自分も華やかになった気がします。想いを大切に毎日努力し、執拗に追い続けること。そうすれば早晩、能力もチャンスも手の届くところへやってくることを信じています。

(2009年10月30日掲載 担当:清野 ウェブ掲載:藤田)



HOME国連でインターン > 第33回