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第51回
国連の限界、国連の未来
The Politics of International Solidarity
ジャン=マルク・クワコウさん 
国連大学ニューヨークオフィス
ディレクター

第50回
緊急医療援助の現場における最近の課題
及び国際社会における女性NGOの視点

黒普@伸子さん 
第63回国連総会日本政府代表団顧問
日本BPW連合会会長
国境なき医師団外科医
第49回
TICAD IV後の展望
石井 香織さん 
UNDPアフリカ局
TICADプログラム調整官兼部長代行
第48回
平和構築における
人材育成の課題と展望

篠田 英朗さん 
広島大学平和科学研究センター准教授
広島平和構築人材育成センター事務局長

第47回
米国の気候変動政策と
ポスト京都議定書の国際交渉

三又 裕生さん(JETROニューヨークセンター)
小紫 雅史さん(在米日本大使館)


第46回
第52回女性の地位委員会と
日本女性監視機構(JAWW)報告

原 ひろ子さん 
JAWW代表、城西国際大学客員教授
お茶の水女子大学名誉教授
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52回「国連と世銀の危機管理対策でのパートナーシップ:進展と課題」
黒田 和秀さん
世界銀行脆弱・紛争影響国ユニット、上級社会開発専門家


2008年11月21日開催
於:ニューヨーク国連日本政府代表部会議室
国連日本政府代表部/国連フォーラム共催 合同勉強会

 

質疑応答

 

■Q■ パートナーシップ締結に関し、なぜ2008年まで時間がかかったのか。また、締結の契機、意図は何か。


■A■

 特に90年代、紛争が頻発し支援の要請があり、国連と連携し支援をおこなったが、当初は事例が少なく問題意識も少なかった。次第に事例が増えるに従い、問題意識が生まれ、今回包括的にパートナーシップを締結することができた。

 時間がかかった理由として、まず両組織の巨大性があげられる。巨大であるがゆえに交渉に時間がかかった。さらに、国連は関連機関がいくつもあり、まとめてフレームワークを作成するのがきわめて困難であったことも理由としてあげられる。


■Q■支援における優先付けは機関によって異なると思われるが、どのように違うのか、また差異をどのように解消していくのか。


■A■

 支援における優先付けの機関間の相違は、国ごとに異なる。たとえばグルジアでは、グルジア政府は経済重視(特に外国投資、インフラ)、世銀は国内避難民という違いがあった。また、ギニア・ビサウでは政府内の各大臣ですら優先付けが異なっていた。ケース・バイ・ケースで判断していく以外にないと思われる。


■Q■パートナーシップにおける目的とは何か。またその原則の一つとして補完性(Complementarity)があげられているが、両者のもつ強みは何か。


■A■

 パートナーシップの目的は、人道支援を行いながら開発支援に移行する国連とうまく連携し、長期的視点から行動する世銀がなるべく早く支援活動を行えるようにするもの。

 例えば、世銀が運営しているイラク信託基金の主は、イラク政府の省庁へのカパシティ強化またはインフラ支援。 国連が運営しているイラク信託基金は主に短期に結果が出る分野に使われている。 現在にイラクでは、このような支援が優先され、国連運営に信託基金の額は、世銀の倍の金額が積み上げられている。


■Q■「世銀の国連化」には、組織内、加盟国からの反対はあるか。


■A■

 世銀内では、予算が決められておりその枠内で実施している限り、あまり反対は出ない。「世銀の国連化」といった批判は国連側から聞かれることが多い。



■Q■開発と安全保障という両分野の交錯が、世銀に与える影響とはどのようなものか。


■A■

 現段階でなかなか決めきれていないのが現状である。ゼーリック総裁が当該分野をなぜ重点分野として選んだかといえば、研究が積み重なっていないので専門家を集めて議論すべし、という問題意識があった。

 9月に専門家を集め議論を行ったが、国家構築と国づくりは別物だ、援助効果向上には国民性が重要だ、等々意見が噴出しており、今後勉強会を開催し、さらに議論を深める予定である。


■Q■ 世銀は融資をする機関であるが、平和構築支援の場合でも、資金を回収することを考えるのか。また、支援方法として相手国政府の組織を使うか、フレームワークを使うのか。

 国民性という観点からは、ニーズのくみ上げについては政府を通して行っているのか、その他別の方法を取っているのか。


■A■

 紛争後の支援の場合、最貧国が多いため、無償ないしIDAからの貸付が多く、その際には政府と契約を結ぶ。信託基金のような場合に、フレームワークを使うこととなろう。

 世銀では、近時、社会開発専門家が増えてきたことから、農村(Community)レベルでの支援も増えてきている。アフガニスタンでの農村支援の在り方などの具体的事例にみられるとおり、ニーズの汲み取り方も多様化してきているのではないか。


■Q■世銀を含むブレトン・ウッズ体制の今後の展望はどうか。


■A■

 ゼーリック総裁は、「今の多国間援助の裾野を広げていた方がよく、G20ぐらいにしたほうがいいのではないか。」と述べていたところ、先般の金融サミットの出席国はまさにG20だった。

 世銀内部でも問題意識は共有しており、ゼーリック総裁の指令のもと、アラブ諸国との関係強化、BRICs諸国との連携(特に中国をどのように援助コミュニティに貢献させるか)、といった点が検討されている。


■Q■イラク信託基金(UN関連部分、世銀部分)がこのパートナーシップを通じ一緒になっていくとすれば、ドナー側からの視点からすれば目的の違う基金が一緒になるという印象を受けるが、どのような説明がなされているのか。

 ECと二大開発機関との連携という点に関し、他のドナーが置いていかれることにならないか。


■A■

 信託基金を作る際には、ドナー国と十分に協議してやっていくほかないのではないか。

 確かに、ECと世銀、国連の枠組が出てきた場合、バイの支援が強いアメリカ・日本がどのように対応していくかには興味がある。特に世界最大の開発機関となった新JICAがどのようなリーダーシップを発揮するか、世銀内部でも注目されている。

 

以上




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議事録担当:錦織
ウェブ掲載:津田

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