2012年8月4日
Club JPO・ワシントンDC開発フォーラム・国連フォーラム
国際協力3フォーラム合同・夏のオフ会in東京
with soket
参加型・対話型ワークショップ
「新しい開発アプローチ:技術と組織と人のイノベーション」
■1■ オープニング&アイスブレーキング
まず、総合司会が企画の趣旨や進め方について簡単に説明した後、参加者全員で、被災者への黙とうを捧げました。そして、はじめて会った2-3人同士で小グループをつくり、自己紹介と今日への期待を話し合いました。その後、会場全体の中から1, 2名、グループで話した内容を全体に共有しました。
■2■ オープニング・スピーチ
「開発課題の現状、開発機関・企業・市民社会の開発貢献」
・モデレーター: 田瀬和夫(国連広報局)
・プレゼンター: 平野克己(ジェトロ・アジア経済研究所)
室谷龍太郎(JICA研究所)
金平直人(世界銀行機構改革・戦略局/NPO法人ソケット代表)
オープニングでは、上記の開発機関の関係者をプレゼンターに迎え、開発課題の現状とその広がり、また、開発機関・企業・市民社会がそこで果たすべき役割やパートナーシップの重要性について議論を行いました。主なポイントは以下の通りでした:
○現在の開発課題は、国境を越え、政府の役割だけでは対応しきれない状況になっている。
○今の世界の課題は、グローバル、かつローカル。
○新しい課題に取り組む、新しいアクターが登場している。新しい協働の取り組みが求められている。
そして参加者全員がパネルの内容を受けて、それぞれが「国際機関/企業/市民社会どの立場で、どんな課題に取り組みたいか」について小グループで共有し、再び会場全体の中から数名が、自分の立ち位置について全体にシェアしてもらいました。
■3■ ショートパネル・シリーズ
パネルディスカッションでは、下記の3つのテーマに関して、それぞれのパネリストが5分間のショートプレゼンテーションをした後、モデレーターと10分間のパネルディスカッションを行いました。
テーマ1 「課題に答える新たなパートナーシップ」
・モデレーター: 野村舞衣(NPO法人ソケット/ノットワークカフェ主催)
・パネリスト: 税所篤快(e-Education Project)、細野隆史(東京大学大学院理学系研究科特任研究員)、西口尚宏(株式会社 産業革新機構 執行役員 /防災プラットフォーム)、設楽恵美(地球サミット2012 Japan)
上記のパネリストたちは、それぞれ、「どのような課題に対して、誰を巻き込んで取り組んでいるのか」および「国・地域や分野等を跨いだパートナーシップの機会とチャレンジ、成功の秘訣」について、個別・具体的な取組みを紹介しました。共通して、「パートナーシップを成功させる秘訣は、ビジョンへの共感を得ること」「何よりも対話が重要。相手の文化を理解し、そのうえで、自分の強みをアピールする」「パートナーと共に、成功体験を積み重ねる。それがより強い絆を作る」といった声が聞かれました。
テーマ2 「ビジネスと社会の新たな関係」
・モデレーター: 小沼大地(NPO法人クロスフィールズ代表理事)
・パネリスト: 白木夏子(HASUNA)、御手洗珠子(初代ブータン首相フェロー)、矢萩章(株式会社エヌ・ウェーブ代表取締役)、山本一路(株式会社Seedtime代表)
このテーマでは、それぞれのパネリストの所属する組織が、ビジネスを通じてどんな社会課題の解決を目指しているのか、活動の事例を紹介しました。「先進国のビジネスの常識は必ずしも当てはまらない。現地の人と一緒に、ビジネスを一から作っていく。」「やるしかないからやる、その覚悟が重要。」「1社だけでは限界がある。業界全体を変える取り組みを目指す。」といったコメントが印象的でした。
テーマ3 「個人と組織の新たな働き方」
・モデレーター: 新井元行(NPO法人ソケット/デジタルグリッドによる途上国エネルギービジネス)
・パネリスト: 遠藤謙(Sony CSL, MIT Media Laboratory, 途上国向け義足)
三木貴穂(ベネッセホールディングス ソーシャルビジネス室)
小川徳和(タンザニア トラクターレンタルビジネス)
斉藤隆祐(AMP Music)
3つ目のテーマでは、それぞれのパネリストが個人として、複数組織の様々な肩書きを使い、どのような立ち位置で、社会課題の解決に取り組んでいるのか、活動事例を紹介しました。成功の秘訣として挙げられたのは、「本業の他に、もう一つ、夜の仕事を持つことで、多様性が生まれる。それを本業にフィードバックする。」「組織内での評価ではなく、社会に評価される仕事を意識する。」「イントラプレナーは急がず、長期的にキャリアを考える必要がある。焦らずに、少しずつ組織を動かす。」等でした。
■4■ジャム・セッション & ラップアップ
・プレゼンター: 大塚啓二郎(政策研究大学院大学教授)
岩崎卓也(DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー 編集長)
ジャムセッションでは、まず、登壇者全体が前のセッションの3つのテーマを俯瞰して、自分にとってのWHY(取り組みに至った理由・経緯や感想)を対話形式でシェアしました。次に会場を3つのグループに分け、参加者全員が、「登壇者の話をうけた自分にとってのwhyとwhat」についてディスカッションしました。その後更に全体対話を経て、上記2名のプレゼンターから、今日の学びや若者への期待についてまとめていただきました。
参加者からは以下のような感想が聞かれました。
○パートナーシップは永遠のものではない。何のためにパートナーと連携するのか、目的をきちんと意識し、必要に応じてメンテナンスる必要があると気づいた。
○変化を起こすには、あれこれ考えてばかりいるのではなく、まずやってみる、という姿勢がとても重要だという事を改めて実感した。
○郷に入っては郷に従え、途上国でのビジネスは、現地のニーズを聞く事から始めないといけない。
○大企業は、社会を与える影響も大きい。大きなインパクトを見据えつつ、小さなアクションをコツコツ積み重ねて変えていきたい。まずは社内での勉強会から始めていきたい。
プロが枠を超えて協働し、素人が前提を問い直し、互いに実践し学び続けることの価値を見出す、濃密な4時間のワークショップでした。
議事録担当:秋田智司&小谷瑠以
ウェブ掲載:田瀬和夫