2015年1月11日
国連フォーラム・ワシントンDC開発フォーラム
10周年記念オフ会in東京
ご報告
国連フォーラム―ワシントンDC開発フォーラムは、海外からの一時帰国者が多い年末・年始と夏休みの時期に合わせ、1年に2回程度のペースで、東京でのオフ会を開催してきました。
今回のオフ会は、2015年1月11日(日)13時より国立オリンピック記念センターで開催されました。第15回目となった本オフ会は、1日を通じて総勢205名(第一部は139名、第2部は156名)が参加する、大イベントとなりました。
本オフ会では、2014年10月24日に10周年を迎えた国連フォーラムを記念して、様々なセッションを行いました。
第一部前半では、国連フォーラムのスタディプログラム班、国連とビジネス班、国連でインターン班が、それぞれ「スタディプログラム班活動報告」、「グローバル・コンパクト・セッション」、「国連でインターン パネルディスカッション」を行いました。
第一部後半では、国連フォーラムの久木田純共同代表による講演と、「国連フォーラムの10周年に寄せて」と題した、会場の参加者とのインタラクティブなディスカッションを行いました。
その後、国連フォーラム10周年を振り返るスライドの流れるレセプションホールに移り、第二部の懇親会を行いました。懇親会では、今回のオフ会に参加してくださった方々同士が交流を深めました。
《第一部》パネルセッション(13時〜17時)
初めに、「みんなでつくる」というモットーやこれまでの活動など、スタディプログラムの概要について説明しました。(詳細はこちらからご覧ください)
2014年の渡航先はミャンマー。Myanmar Study Program(MySP)の渡航スケジュールや費用などの説明の後、各地方に分かれて活動した内容について報告しました。カチン州では、国内避難民キャンプを訪問し、シャン州では、UNDPやWFPが支援をしている農村を訪問、エーヤワディ管区では、FAOなどが開発援助を行っている農漁村を訪問しました。スタディプログラムのアドバイザーである田瀬さんからは、MySPを通して、「開発支援・人道支援において支援する側の主観を排除することの難しさ」をMySPメンバーが感じたことが伝えられました。田瀬さんから会場の参加者に、「援助する側が提供できる幸せの視点とは何か」という問いが投げられると、開発援助や研究に携わる参加者からの意見が活発に出されました。
(2) グローバル・コンパクト・セッション
国連とビジネス班ではこれまで、国連及び開発セクターとビジネスがどのように協力できるのかについて、例えば、企業の社会的責任(CSR)やBase of the Economic Pyramid(BOP)層向けのビジネスといった切り口で模索し、記事の発信などを通して議論を行ってきました。(詳しくはこちらをご覧ください)
今後、国連とビジネス班では、国連機関がビジネスセクターをどのように効果的かつ効率的に活用していけるのかについて考えていくために、「シリーズ:グローバル・コンパクト」と題して、国連機関とビジネスセクターの接点とも言えるグローバル・コンパクトについて、記事の発信や講演の場を設けていくことを発表しました。
その皮切りとして、本セッションでは、グローバル・コンパクト・ジャパン・ネットワーク(GC-JN)の野村彰男理事長による講演を行いました。講演内容は、国連グローバル・コンパクトの歴史や、内向き傾向にある日本企業の現状、アジアでの連携を進めているGC-JNの現在の活動状況についてです。講演の最後には、今後の課題として、GC-JNの活動内容をさらに発信し、国連グローバル・コンパクトにおけるルール作りにもGC-JNがもっと関わっていくべきことが述べられ、成果としては、100余りあるグローバル・コンパクトのローカルネットワークの中で、GC-JNが、昨年2014年も3年連続で4度目の優秀なネットワークとして表彰されたことが挙げられました。その後のQ&Aセッションでは、企業が国連グローバル・コンパクトに参画するインセンティブや、国連と企業の連携例についての会場からの質問に答えました。
(3) 国連でインターン パネルディスカッション
国連でインターン班は、「インターン受け入れ側から見た国連機関でインターンをすることの意義」をテーマとしたパネルディスカッションを行いました。
国連でインターンをする意義について、「学生、民間企業出身者が、国連組織での勤務体験を通して、課題に関する知識をつけ、自己の能力を開発し、人的ネットワークの構築を行うこと」と説明しながら、「国連でインターンQ&Aページ」を作成した背景などについても説明しました。
パネルディスカッションでは、UNFPA(東京)の上野氏、世界銀行(東京)の大森氏、UNICEF(カザフスタン)の久木田氏、そしてUNHCR(エジプト)の久保山氏を登壇者としてお招きしました。「インターン応募のアピールポイントとは?」、「日本人の強みとは?」、「組織内の自分の存在意義、効率的で効果的なアウトプットを出していくためには?」というお題にパネリストが答え、その後も、会場からの多くの質問に回答していきました。
(4) 久木田共同代表の講演
2015年1月末に60歳で定年退職するまでの28年の間、国際機関に勤務した豊富な経験をもとに、国連フォーラムの共同代表、ユニセフ・カザフスタン代表である久木田純氏は、「人生計画のすすめ」をテーマとした講演を行いました。
国連職員は即戦力が求められるため、大学卒業からの10年間、30歳までにどんなスキルを身につけていくかという計画が必要となること、そして、国連職員になるといったキャリアの目標だけでなく、より長期的な目標を持ち、「人生」の計画を立てることにより、プライオリティをつけて努力ができることを話しました。また、大学入試で1年間浪人した際に、「自分の存在価値とは何か?」と考え、人生の100年計画を作成し、その後も何度も書き換えていることを話し、現在の第20版人生計画表についても説明しました。自己を壮大な宇宙のごく一部、大きな流れの中にいる一個の存在として捉えて、人類の命題は、自己保存(個の保存)・種の保存(地球の保存)であると考え、自己の保存のために「自己の成長と幸せを求めること」、種の保存のために「人類と宇宙の進化とともに生きること」を決意したという話が印象的でした。世界の問題としては、「格差と不公正が多くの人間の発達と潜在能力の発揮を妨げていること」、自分の目標としては、「世界の問題・地球社会の歪みをなくすこと」であると話し、講演の最後には、高い理想を追い求めながら働くことのできる国連職員という仕事の良い点についても語りました。
(5)国連フォーラム10周年に寄せて
第一部最後のセッションでは、国連フォーラム10周年を記念したセッションを行いました。国連フォーラムの亀井温子事務局長(JICA研究所)から、2004年に設立してから10年間の国連フォーラムの歩みや、国連フォーラムの自由で柔軟な運営について話をしました。最初はMLとブログだけであった活動が、Webやオフ会などの活動へと拡大していったこと、設立当初はNY国連フォーラムであり、2005年に国連フォーラムに改称、その後活動がNYから東京に拡大したことなどが説明されました。
共同代表である久木田氏と田瀬氏からは、発展的に変わっていく組織でありながら、コアメンバーが継続して活動していることや、活動の原則「@政治的な方向性をもたず、議論の場の提供をする。Aメンバー間で上下関係を作らない。Bお金を使わない。」などが説明されました。そして、国連フォーラムにゆかりのある会場参加者に国連フォーラムに対してのコメントをもらいながら、これまで、そして今後の、国連フォーラムについての活発な議論が行われました。
《第二部》懇親立食会(18時30分〜21時)
第二部からは、国連フォーラム10周年を振り返るスライドの流れるレセプションホールに移り、立食形式で懇談会を行いました。
立食懇親会は、本オフ会の縁の下の力持ちとして運営を支えしてくれたオフ会班の最年少メンバー、関口さんの乾杯の挨拶で幕を開けました。緊張しながらもエネルギッシュに話す20歳の学生の言葉に、今後の国連フォーラムに対する更なる期待感が高まりました
第二部は、第一部に参加できなかった方も多数おり、互いの近況報告やネットワーキングの場として、そして第一部のセッションについて更に意見を交わす場として、非常に有意義な場となりました。
第二部の最後には、共同代表の久木田氏による挨拶がありました。これまでに多くの方から悩みの相談を受けてきたことを話した久木田氏から、「皆さん、夢を諦めないでください」と、あたたかく心強いメッセージが伝えられ、大盛況の中、閉会となりました。
(オフ会 報告担当:鈴木結衣 / ウェブ掲載担当:高橋愛)
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【参考】主催者について
国連フォーラムは、国連のことをもっと知りたい、国連の活動に貢献したいと考えている実務者、研究者、学生、メディア関係者など幅広い人々を対象として、国連についての 知識を得、議論に参加し、さらには活動に参画する場を提供することを目標としています。さらに、 議論の深化と発信を通じて、参加者にとって有意義な変化を引き出すことを目標としています。
http://www.unforum.org
ワシントンDC開発フォーラムは、グローバルな開発戦略と日本の関わりについて考え、行動に移すための関係者の情報交換・意見交換の場です。フォーラムを通じての交流は、日本や途上国、国際機関所在地など世界各地に広がっています。様々な開発関係者が、組織や場所の制約を超えて情報と知見、更には情熱と気概を共有し深化させることが出来れば、大変嬉しく思います。
http://www.devforum.jp