2021年1月1日:新年を迎えて

国連フォーラム参加者の皆様、新年明けましておめでとうございます。

初めに、国連フォーラム運営の新体制についてお知らせします。これまで国連フォーラムはその使命の遂行を目的に、幹事会で作成した内規に同意した有志が運営してきました。設立から16年経ち、登録者8500人を超えるメーリングリストによる情報共有をはじめ、20近くの企画・活動を運営するために常時50人前後の幹事が関わってきました。

幹事会ではより効果的な運営のための組織の見直しと改革をこれまでも行ってきましたが、更なるガバナンスの強化とより開かれたフォーラムの運営方法について昨年1年かけて議論してきました。その結果、内規の会則への改定と公表、会員を支持基盤とした組織への移行などを決め、本日より新体制での運営を行うこととなりました。会則と新体制の詳細については、フォーラムのHPをご覧ください。

新体制への移行によってMLや様々なイベントへの皆様の参加に変更はありませんが、会則を公表することで、外部から見てよりわかりやすい組織となり、また会員制度を採り入れることによってこのフォーラムの運営により多くの方が関われるようになると考えています。

2020年を振り返ると、世界はパンデミックへの未曽有の対応を迫られるなか、更なる社会の分断と気候変動の悪化に予測不能な様相を呈していました。新型コロナウイルスがあっという間に感染と被害を広げる中、世界に自国優先主義の主張が広がることによって、国連を中心とした多国間主義によるグローバルな問題の解決が益々困難になるかのように見えました。政治目的のWHOへのバッシングもありました。しかし年末に向けて、米国の大統領選挙の結果やワクチン開発の成功、EUと英国の交渉の成立など、幾分明るい見通しが出てきました。また、WFP(世界食糧計画)にノーベル平和賞が送られ、世界には今も人道支援を必要としている人々が多くいることを思い起させることになりました。一方、これらの危機と混とんとしていく世界の情勢を通して、逆に世界が協力し乗り切っていくことの大切さを体験することになったようにも見えます。経済か人の命か、ニューノーマルとしてのオンライン化された働き方、脱都市化など価値観とライフスタイルを問われる中で、持続可能な生き方へのシフトも加速されたように思います。その意味でSDGs達成の意味がリアルになってきた年だったと言えるかもしれません。

2021年、気候変動の激化が否応なしに進む中、パンデミックは治まるのか、変異したコロナウイルスの感染拡大とワクチンの接種はどちらが先か、バブル化したマネー経済や国家経済の破綻は避けられるのか、世界の分断は修復できるのかなど、世界が知恵を出し合い、力を合わせて解決しなければならない課題が山積しています。グテーレス事務総長と国連はこの78億の人々のコロナ対策、気候変動対策、開発と人権、平和と安全保障などをどう進めていくのでしょうか。

今年も国連フォーラムの幹事一同、「国連についてもっと知りたい、国連の活動に貢献したいと考える多くの人々に、情報共有や議論への参加、さらには具体的な行動を起こすきっかけとなる『場』を提供する」という使命の元、ますます多くの皆様が参加できるようフォーラムの運営を行う所存です。

どうぞよろしくお願い致します。

2021年1月1日 
国連フォーラム幹事一同

2019/10/24 :国連フォーラム設立15周年を迎えて

国連フォーラムは、2004年10月24日「国連の日」に、ニューヨーク在住の国連職員や大学院生など有志数人によって設立され、15年にわたって、国連についてもっと知りたい、国連の活動に貢献したいと考えている多くの人々に、知識を得、議論に参加し、具体的な行動を起こすきっかけとなる場を提供してきました。

現在、メーリングリストの登録メンバーは8000人を超え、70名近い幹事や多くのサポーターが、ニューヨークや東京、関西、九州などでの勉強会やオフ会、国連の現場を訪問するスタディープログラム、インタビュー記事や体験記のウェブ掲載など10を超える「場」を提供しています。多くのメンバーからのイベントやスタッフ募集などの情報共有、グローバル課題についての投稿などがあり、国連に関する大きなネットワークになっています。しかし一方で、議論の場としては大きすぎるという声も聞かれます。世界の大きな転換期にあって、このフォーラムがどのような進化を遂げていけるのか、幹事一同さらに議論を続けていきたいと考えています。

国連は、二度の世界大戦を経て、その憲章にあるように、世界の平和、人権、開発を進めるために創設されました。しかし、今日の世界は、核戦争の大きなリスクを抱えながら、気候変動が顕著になり、貧富の格差が進んでいます。そして、それらの影響で難民などの大規模な強制移住、原理主義とテロの激化、紛争、差別、搾取などが広がっています。これらの問題に対して、2015年にはSDGsの採択やパリ合意など世界が力を合わせて取り組んでいこうという流れがありました。しかしそれ以後、自国第一主義、多国間合意からの離脱など、地球規模の問題を解決していくための協力体制が揺るいでいます。

21世紀を見渡すとき、人生100年といわれる長寿の時代がやってきたにもかかわらず、地球温暖化ひとつをとっても人類の生存は危ういといえます。それらを解決する手段としてのAIや生物工学、宇宙利用などのテクノロジーがもたらす急激な変化は大きなリスクも抱えており、安易な期待はできません。私たちの運命は、生態系の崩壊や社会の分裂、最悪の場合第三次世界大戦によって終焉を迎えるのでしょうか。

それとも、国連を通して世界が目指す理想の社会を実現していくことができるのでしょうか。20世紀の行き過ぎた資本主義産業社会がもたらした地球温暖化と貧富の格差を修正し、SDGsやパリ合意のような持続可能なパラダイムへの転換を21世紀の前半で成し遂げるには、国連を中心とした協力体制なしにはできそうにありません。これに対して、グレタ・トゥンベリさんのように世界の若者は、国連と共に20世紀の人類が作り出した問題を解決し、自分たちが生きる21世紀と未来を確保しようと動き出しています。

それでは、私たち一人ひとり、日本と日本人には何ができるのでしょうか。日本は、長寿においても、様々な技術革新においても先進的な位置にいると同時に、すでに核戦争や原発事故など核の悲惨さを体験し、度重なるスーパー台風など気候変動の被害を大きく受けています。その日本が国連を中心とした多国間主義を進め、世界がもう一度力を合わせ地球規模問題に取り組むためのリーダーシップを発揮し、ライフスタイルから教育や産業の在り方まで、世界のよき先例となることはできないでしょうか。

国連フォーラムは、この私たち一人一人が関わる地球規模の問題について情報共有し、議論し、行動を起こす場を提供し続けていきたいと考えます。そのために、幹事一同は、国連フォーラムの使命を再吟味し、マネジメントをふりかえり、その活動と組織の変革を進め、より一層効果的で付加価値の高いフォーラムにしていく所存です。

皆さんも是非、フォーラムについての感想やご要望などをお寄せください。組織の改善はたゆまなく行われるべきものですが、15周年を機にそれをさら進めていきたいと、幹事一同考えております。

国連フォーラムを今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

2019年10月24日 国連フォーラム幹事一同

赤堀惇起、浅川裕子、石黒朝香、石井はるか、井上良子、井上慶子、今泉沙織、上野明菜、大井由紀、大川友里恵、 大島早貴子、大宝菜都美、大津璃紗、 岡本昻、加藤木文奈、上川路文哉、上村光、亀山菜々子、川橋天地、北萌、木村仁美、衣川直宙、久木田純、久保山敬太、グスタフソン栄、黒崎のえみ、小磯聡、小林聖、塩路和義、志賀裕文、重倉陽子、柴土真季、志村洋子、菅生零王、鈴木結衣、住野英理、清衣里奈、関口詩織、関澤春佳、瀬戸万里奈、瀧澤菜美子、高橋尚子、竹田響、田島真理恵、田瀬和夫、内藤春香、中村理香、西崎萌、布川敦士、波多野綾子、原口正彦、伴ちひろ、平井采花、藤井有希、藤森みな美、本田綾里、松原廣幸、村田友美、三浦舟樹、 三浦弘孝、溝端悠、鈴木真代、山内ゆりか、山田圭介、横井裕子、米田奈央、渡辺直美

2013/1/1:新年を迎えて

国連フォーラムは、10月24日「国連の日」の今日、設立10周年という節目を迎えました。その間、フォーラムの使命である「国連のことをもっと知りたい、国連の活動に貢献したいと考えている多くの人々に、知識を得、議論に参加し、具体的な活動に参画するきっかけとなる場を提供」してきました。

そこで、これを機に幹事会ではこの10年を振り返るとともに、国連フォーラムの今を伝え、今後の10年を見据えたビジョンを出していく、「#UNForum@10」キャンペーンを企画しています。期間は今日から1月初旬までの2ヵ月半です。このキャンペーンを通して、フォーラムの活動をさらに多くの方に知ってもらい、より一層効果的で付加価値の高いフォーラムにしていきたいと考えています。

その一つは、国連フォーラムのマネジメントをふりかえり、その活動原則と組織の変革についてご紹介する企画です。設立10年後の今も活発に活動し、会員が6000人を超えてさらに増えている理由は何なのか、何を教訓として今後の運営を行えばさらに効果的で付加価値の高い組織にできるのかを議論したいと思います。国連フォーラムってどうやって運営しているんですか、幹事になるのって難しいんですか、などいろいろな質問をこれまで受けてきましたが、それらにもお答えできるようにしたいと考えています。

二つ目は、これまで国連フォーラムの企画に参加されたり、幹事として関わった方たちに、設立10周年を記念してコメントをいただくという企画です。皆さんおなじみの著名人や伝説の幹事など様々な方に、国連フォーラムの活動の思い出や今後に期待することなどを、それぞれの立場から書いていただく予定です。コメントを頂きしだい、皆さんとシェアさせていただきます。

三つ目は、国連フォーラムの運営をしている幹事会の各チームごとに出してくるイベントや情報です。この10年間の蓄積の総まとめをするチームもあれば、新たなシリーズを企画しているチームもあります。たとえば、「国連でインターン」のチームが企画しているQ&Aでは50回の投稿を分析し、国連インターンを目指す人の様々な疑問に答えてくれます。「フィールド・エッセイ」では、平和構築人材育成事業(HPC)研修員によるリレー・エッセイを企画していますし、「私の提言」では、昨今注目されるアフリカ大陸での新しい取り組みを紹介するシリーズを始めます。

四つ目は、来年1月初めに予定している、「オフ会」とその前後のイベントです。ウェブやメールでしか会えない人々が実際に会って熱く楽しく語らう場として、またパネル・ディスカッションなど直接議論する場として、毎年多くの方が参加されます。日程については、追ってメーリング・リストなどでお知らせします。

五つ目は、国連フォーラムの「2024ビジョン」です。これまでのフォーラム活動の蓄積をもとに、またこのキャンペーンを通して皆さんから幅広いコメントをいただき、それらを踏まえて来年1月の年初のステートメントでは今後10年間の活動ビジョンを中心に幹事会の考えをお伝えしたいと思います。

皆さんも是非、フォーラムについての感想や思い出、ご要望などをお寄せください。組織の改善はたゆまなく行われるべきものですが、10周年を契機にそれをさらに総合的にまた、長期の視点を持って行いたいと幹事会一同考えております。

「#UNForum@10」キャンペーンへの皆さんの協力と参加をお願いいたします。FacebookやTwitter、Instagramなどで #UNForum@10 をつけてコメントをしていただくと、どこからでも検索できますので、是非つけて下さい。

2014年10月24日 
国連フォーラム幹事一同

2012/1/1:新年を迎えて

国連フォーラムの会員の皆様、新年明けましておめでとうございます。

今年も幹事一同、ますます多くの会員の皆様が国連についての情報や知識を得、議論に参加し、具体的な活動に参画する場を提供できるよう努力したいと考えています。

設立から8年目となる国連フォーラムは、会員数が5100人を超えました。皆様もご存知の様々な企画も回を重ね、「国連職員NOW!」は140回、「国連フォーラム勉強会」は71回、「国連でインターン」は44回目になりました。昨年末には現地訪問第二回目となるタイのメーホンソーンでのスタディー・プログラムも無事終了し、今週金曜日にはJICAの国総研で早速その最初の報告会が予定されています。またその晩は、国際協力3フォーラムの共同「オフ会」が開かれ、いつもはバーチャルにしか知らない人々に、リアル世界でお会いできることになっています。

2011年の国連の活動を振り返ると、本当にたくさんのことに関わってきました。南スーダンのレファレンダムと独立、コートジボアールの紛争の終結、エジプト、イエメン、チュニジア、リビアでの政権打倒を引き起こした「アラブの春」とカダフィー大佐の死。そしてその後の移行期への支援。ウサマ・ビンラディンの死もありました。そして年末には北朝鮮の金正日総書記の死。彼らの死は、それぞれの国民にとっても周辺国にとっても大きな変化の象徴になるかもしれません。ミャンマーでの政治的変化もありました。一昨年のハイチの地震につづいて昨年もまた、未曾有の大災害となった東日本大震災やタイの洪水、フィリピンの水害、エチオピアの旱魃とアフリカの角の飢饉など自然の驚異への脆弱性と、原発や気候変動、紛争など人間のつくりだした事態の影響を見せ付ける事態が多くありました。またこれらの災害が国境を越えて経済や人々の生活に影響すること、その複雑な問題にどう対応するのか世界の決断と知恵の出しどころが問われてきました。国連と国連職員への脅威もナイジェリアでの自爆テロやアフガニスタンでの暴動、ソマリアでの活動など、依然として続いています。そして2011年、世界の人口はついに70億人に達しました。少し前に60億の声を聞いたばかりのようですが、先進国での老齢化が進む一方で、途上国での人口増加が続いています。そのことが経済の盛衰や、環境へのインパクトにも現れています。

2012年、再選が決まったパン・ギムン事務総長と国連はこの70億の人々の開発と人権、平和と安全保障をどう進めていくのでしょうか。今年の国連の開発活動の最大の焦点は6月に開かれる「Rio+20」環境会議の行方でしょう。これまでの維持可能な開発の問題にSustainable Energy for Allという視点が加わることになっています。ミレニアム開発目標の進展、特に広がる格差の中で取り残された人々に焦点を合わせた活動が活発になり、気候変動への対応、経済の回復、ジェンダー、若者の参加なども大事な課題でしょう。人権分野では、世界的な民主化のうねりとその先頭に立つ人権擁護者への支援や、平和と開発を進めるための「法の支配」の強化が重要なテーマとなるでしょう。平和と安全保障分野では、アフリカや中東での平和維持活動や平和構築と移行期支援に対応しつつ、軍縮や核不拡散、紛争予防や調停などがどう進むのかが大事でしょう。米国の大統領選挙の行方、ロシアや中国での政治的な動き、ヨーロッパの財政再建などと共に展開を見守る必要がありそうです。

ちょっと先の話ですが、もうすでに準備が始まっている議論のひとつは、2015年のミレニアム開発目標の後、世界の開発目標がどこに置かれるかということです。環境と気候変動は最優先課題になるでしょうが、それ以外はどうでしょうか。MDGの進展を見ていると、世界の目標はさらに高次のレベルに入っていけそうです。人権の議論もさらに進むでしょうし、「格差」や「幸福度」を指標にするような議論もあるかもしれません。日本政府はポストMDGの新しいアジェンダ設定にどう貢献し、リーダーシップを発揮するのでしょうか。ともすれば内向きな今の日本の議論の中に世界の未来を見据えた主張や提言が出てくることが国連での議論をも豊かにするのではないでしょうか。

2012年の国連フォーラムは、既存の活動をさらに活性化するとともに、ソーシャルネットワーク・サービスやマルチメディアもより効果的に活用して、活動の幅を広げていきたいと思っています。幹事一同、今後も皆さんの積極的なご参加をお待ちしています。

今年もどうぞよろしくお願いします。

2012年1月1日国連フォーラム幹事会一同久木田純、田瀬和夫、須永和男、アジラニー佳代子、石井はるか、市川久美子、井上直美、今泉沙織、植村亜希子、内田麻衣子、宇那木智子、太田徹、大槻佑子、岡本啓史、鹿島理紗、釜我亮次、亀井温子、亀山菜々子、唐澤由佳、神田恵梨、桐谷純子、串田裕梨、國京彬、久保山敬太、桑原りさ、小谷瑠以、小林真由美、斉藤亮、佐藤萌、 猿田佐世、柴土真季、清水和彦、志村洋子、杉山章子、菅野文美、曽我太一、高木優、高田真理江、高橋沙織、田川友美、竹内克仁、田辺陽子、谷川喜祥、陳頴、富田玲菜、長野友理、中村理香、錦織有史、濱阿由美、原口正彦、松原勝也、松本冴未、毛利剛士、守屋美夏子、由尾奈美、渡辺直美 (2011年12月31日現在57名)

2011/10/24:国連フォーラム設立7周年を迎えて

「国連フォーラム」は今日、設立7周年を迎えます。

2004年10月24日「国連の日」に発足した国連フォーラムの使命は、国連のことをもっと知りたい、国連の活動に貢献したいと考えている多くの人々に、知識を得、議論に参加し、具体的な活動に参画するきっかけとなる「場を提供する」ことです。毎年、国連の日は、国連フォーラムの活動を運営する幹事会にとって、我々は使命を果たしているだろうか、多くの既存のフォーラムがある中で、我々はそれらとうまく連携すると同時に、世界の変化に合わせて独自の付加価値を生み出しているだろうか、と問い直す大事な日です。

この7年間、国連フォーラムの幹事会はその使命を達成するために、メーリング・リストをはじめ、ウェブ・サイト、勉強会、合同オフ会、国連でインターン、フィールド・エッセイなど様々な「場」を企画し、提供して来ました。昨年には東ティモールでの初めての現地視察・勉強会を行い、今年はタイのメーホンソーンでのスタディ・プログラムを企画しています。これらの企画を機に参加者による勉強会が立ち上げられ、活発な議論もなされています。また、一昨年から企画してきたFacebookのページも稼動し、フォーラムの場は双方向性とスピードを少し増すことができました。先週には、「国連を読む」という企画も立ち上がり、新たな場を提供しています。

フォーラムのメーリング・リストへの参加者は、今年5,000人を超えました。その内訳は当初の国連職員や外交関係者から、学生や研究者、NGO関係者、企業やメディア関係者へと広がっています。MLには、国連についての議論の他に、毎日様々な会合や報告についての投稿もあり、国連や地球規模の問題についての情報ハブの役割も果たしています。これら様々な活動や企画を運営、調整するために、フォーラムの幹事会ではニューヨークと東京に事務局を置き、世界中に広がった50人を超える幹事が協力して様々な活動を担当しています。

国カダフィ大佐の死に象徴される「アラブの春」、ギリシャの債務問題に象徴される世界的な経済危機、iPadやFacebookに象徴される情報技術革命、福島原発に象徴される核とエネルギー利用での課題、再度科学的に確認された地球温暖化の事実、世界各地で見られる過激な気候変動の兆候、アフリカの角での飢饉、NotMyLifeに象徴される人身売買や奴隷制度の事実、等々。世界には国連憲章の理想とは程遠い現状と急速に変化する課題があり、国連の役割は益々重要になっています。

このような世界情勢の変化の中で国連フォーラムは、参加者の知恵と情報力、そしてネットワークの力で議論を深め、発信力を高められるよう、有意義で使いやすい場を提供し続けていきたいと考えています。また、国連フォーラム幹事会はそのためにも常に学習し改善する組織でなければいけないと考えています。フォーラムは使命を果たしているでしょうか?今後国連フォーラムに何を期待されるでしょうか?是非皆さんのご意見をお聞かせください。

2011年10月24日国連フォーラム幹事会一同

久木田純、田瀬和夫、須永和男、石井はるか、市川久美子、今泉沙織、植村亜希子、内田麻衣子、宇那木智子、太田徹、大地田清佳、大槻佑子、岡本啓史、鹿島理紗、釜我亮次、亀井温子、亀山菜々子、唐澤由佳、神田恵梨、桐谷純子、串田裕梨、國京彬、久保山敬太、桑原りさ、小谷瑠以、小林真由美、斉藤亮、佐藤萌、 猿田佐世、宍倉未記、柴土真季、清水和彦、志村洋子、杉山章子、菅野文美、鈴木智香子、曽我太一、高木優、高田真理江、高橋沙織、田川友美、竹内克仁、田辺陽子、谷川喜祥、陳頴、富田玲菜、長野友理、中村俊裕、中村理香、錦織有史、原口正彦、松原勝也、松本冴未、守屋美夏子、由尾奈美、渡辺直美、他(2011年10月24日現在57名)

2011/1/1:新年を迎えて

国連フォーラム会員の皆様、新年明けましておめでとうございます。

設立から7年目となる国連フォーラムは、国連についての情報や知識を得、議論に参加し、さらには具体的な活動に参画するきっかけとなる場を提供す ることを使命として、「国連職員NOW!」や「勉強会」、「オフ会」、「国連でインターン」、「フィールド・エッセイ」、「私の提言」、「国際仕 事人に聞く」など多くの企画や活動を行ってきました。昨年は会員数も4700人を超え、初めての「スタディー・ツアー」を東ティモールで開催しま した。今年は「国連とビジネス」の新企画を立ち上げ、SNSやSMSなども利用して、さらに使いやすく価値のあるフォーラムにしていきたいと幹事 一同考えています。

2010年の国連の活動を振り返ると、ハイチ、チリでの大地震やパキスタンの大洪水への人道復興支援、イラクやアフガニスタン、コートジボアール での選挙支援、9月のMDGサミット、名古屋やカンクンでの環境関連会議など、国連は多くのことにかかわりました。MDGサミットでは、いくつか の分野での進展が報告されると同時に、遅れている母子保健への400億ドルにのぼる支援の表明もありました。名古屋では生物多様性について名古屋 議定書がまとまり、一昨年の気候変動COP15では難しかった環境問題での合意形成に少し希望がでてきました。また、11月にはアウン・サン・ スーチー氏が自宅監禁から解放され、ミャンマーの民主化への展開がありました。その一方、コートジボアールやハイチの大統領選後の混乱や、イラン や北朝鮮の核問題はさらに深刻さを増しています。ソマリアの情勢も先が見えない状況です。

2011年は、国連にとってどんな年になるのでしょうか。1月9日にはスーダンでのレファレンダムがあり、ダルフール問題ともあわせて、アフリカ 最大の国スーダンの今後が見えてくるでしょう。スーダンの安定は、「アフリカの角」や隣接するアフリカ諸国の安定につながる可能性がありますが、 紛争の再燃は、地域全体に影響する問題となるでしょう。コートジボアールの混乱や複雑なハイチの状況、北朝鮮とイランの核問題、中東問題、待った なしの気候変動対応など、今年も課題は山積しています。

国連はこれらの課題に効果的に対応できるのでしょうか。パン・ギムン事務総長の5年の任期が今年末で終了します。前回対立候補となったインドの シャシ・タルールは立候補しないようですので、安保理常任理事国の合意があれば、パン事務総長の再任となるでしょう。ただ、米国オバマ政権下での 国連重視外交から、議会で優勢な共和党がどう国連への関与を行うのか、人権問題などで安保理内で意見が割れたときにどうするのか、この一年予断を 許さないところもあります。国連のジェンダー関係の4機関を統合する「UN Women」が生まれる以外は、国連の組織上の大きな変化はありませんが、新設の平和構築委員会や人権理事会への評価も出てくるでしょうし、インドや南 ア、ドイツが非常任理事国として安保理の議論に加わる中で、安保理改革での進展があるかもしれません。

日本の国連政策はどうなるのでしょうか。昨年のMDGサミットでの教育や保健分野への「菅コミットメント」の実施や民主党政権の掲げる国連重視を 政府はどのような形で押しすすめるのか、多極化が進む世界情勢のなかで国連をどう活用するのか、地球温暖化や平和構築などの主要課題でどう役割を 果たすのかなど、多くの議論が出ることを期待します。

昨年末、国連で働く人々にはちょっといい進展がありました。それは、長い間停止されていた継続契約(Continuing Contract)、いわば終身雇用がまた可能になるということです。国連の理想を実現することに身を捧げる国連職員に対して、不安定な雇用条件しか与え られない情況が幾分改善することになります。それでも、現場での安全をどう確保するのか、「ポータブル・ハズバンド」の投稿で議論が沸いたように 家族とキャリアをどう調整するのか、常に有能であるためにはどう学び続けるのか、国連で働くことについても今年もたくさんの議論が出てくることで しょう。

幹事一同、今後も皆さんの積極的なご参加をお待ちしています。

今年もどうぞよろしくお願いします。

久木田純、田瀬和夫、須永和男、石井はるか、市川久美子、今泉沙織、入江理沙、 岩崎寛央、岩崎優、植村亜希子、内田麻衣子、宇那木智子、太田徹、大地田清佳、大槻佑子、岡崎 詩織、鹿島理紗、門愛子、釜我亮次、亀井温子、亀山菜々子、唐澤由佳、桐谷純子、國京彬、桑原りさ、小谷瑠以、小林真由美、斉藤恵理子、斉藤亮、佐藤萌、 猿田佐世、柴土真季、清水和彦、志村洋子、杉山章子、菅野文美、鈴木智香子、高田真理江、高橋利志子、高浜晴美、田川友美、陳頴、堤敦朗、富田玲 菜、仲上睦美、永島杏紗、中村俊裕、中村理香、錦織有史、原口正彦、堀越大補、松本冴未、宮脇麻奈、山本康正、由尾奈美 (2011年1月現在、 計55名)

2010/1/1:新年を迎えて

国連フォーラムの皆様、あけましておめでとうございます。

2009年をふり返ると、やはりオバマ大統領の就任式がまず頭に浮かびます。あたらしい時代の到来を予感させる光景でした。その後もプラハでの核兵器廃絶宣言、国連安全保障理事会での「核なき世界」決議、ノーベル平和賞受賞と続きました。しかし、世界の願いとは逆行する北朝鮮のミサイル発射や核実験、イランの核施設拡充、アウン・サン・スーチー氏の自宅軟禁継続など変わらぬ光景も続きました。経済危機からの回復は遅く、GMの経営破綻や11月のドバイ・ショックで世界経済はその脆弱性を露呈しました。米国以外が撤退したイラク、混迷するアフガン情勢、悪化するパキスタン情勢、収まる兆しの見えないイスラエル・パレスチナ問題など、現実の閉塞感は否めません。その一方で、新興国パワーは確実に拡大しており、中国やブラジルを含むG20が国際経済を話し合う最上位の場となりましたし、新興国の経済危機からの回復も早いようです。

最も失望感が強かったのは、国連の気候変動枠組み条約を話し合うCOP15で拘束力のある合意ができなかったことでしょう。先進国、途上国そして新興国、気候変動のインパクトをまともに受ける国、経済と未来、政府と市民など様々な立場や考え方をまとめていくことの難しさをまざまざと見せてくれた会議でした。世界のすべての国を巻き込む気候変動の問題に対して、主要国のリーダーシップが問われた場でもありましたし、その場を提供する国連の役割も問われた会議でした。もうひとつ、世界を巻き込んだ大きな問題は4月にメキシコから広がった新型インフルエンザでした。数年前から鳥インフルエンザが心配されていたところへ、豚から人へ新たなインフルエンザが感染し、世界の対応はそちらへ移りました。今ではすでにワクチンが生産が追いつき、ところによってはピークを過ぎたと見られています。しかし、今後も新たな感染症が爆発的に広がる可能性があることは否めません。国連は役割をうまく果たせたのでしょうか。

2010年はどんな年になるのでしょうか。経済の回復はあるのでしょうか。核のない世界へ前進はあるのでしょうか。アフガン情勢は改善するのでしょうか。5月に上海万博を控えた中国、今年は日本を抜いて世界第2位の経済大国となると思われます。経済不安やドル安に拍車がかかれば、先進国と新興国を巻き込んで世界の経済の奔流は一気に変わるかもしれません。そのような大きな変動があれば、国連にも大きな影響があるでしょう。新興国パワーの拡大によって国連分担金の比率も変わり、ひいては安保理改革につながる可能性さえあります。

今年、国連での動きはどうなるのでしょうか。9月にはあと5年を残すのみとなったMDG(ミレニアム開発目標)についてのハイレベル会合があり、年末には気候変動枠組条約の会議COP16がメキシコであります。任期中盤を過ぎたパン・ギムン事務総長の成果が問われ、続投するのかどうかが議論されるはずです。マンデートの見直し、マネジメント改革、システム・ワイドの一貫性、総会の再活性化、安保理改革など、2005年から続く国連改革の進展が問われるでしょうし、気候変動や経済危機とも深く関連する食糧危機問題、激しさを増す水や資源の争奪戦などへの対応も評価されるでしょう。中東問題、新型インフルエンザの行方、アフガン・パキスタン問題など課題は山積しています。

民主党政権下での日本の国連政策はどうなるのでしょうか。マニフェストと多くの国内問題に対応する中で、日本の国連への関わりはどのように位置づけられるのでしょうか。今年も大きく削減されたODA、「コンクリートから人へ」への政策転換、米国や日本の衰退と対照的な新興国パワーの拡大、多極化が進む世界の構図の中で、日本はどうリーダーシップを発揮し、どのようなパートナーシップを形成し、どこに焦点を絞って貢献しようというのでしょうか。そして、私たち自身には何ができるのでしょうか。

設立から6年目となる国連フォーラムの会員数は3600人を超え、多くの企画を中心に活動もさらに充実してきました。今年は他のフォーラムとの連携を強めたり、双方向性の向上などを中心にサービスの質を高め、世界の変化と皆様のニーズに対応したより良い議論と参画の場を提供していきたいと考えています。 幹事一同、今後も皆さんの積極的なご参加をお待ちしています。 本年もどうぞよろしくお願いします。

久木田純、田瀬和夫、秋山瞳、石井はるか、井筒節、入江理沙、岩崎寛央、岩崎優、植村亜希子、内田絢子、宇那木智子、大地田清佳、大槻佑子、岡崎詩織、荻七菜子、奥村礼子、鹿島理紗、釜我亮次、亀井温子、唐沢由佳、紀谷昌彦、桐谷純子、國京彬、桑原りさ、小谷瑠以、斉藤理恵子、斉藤亮、佐藤萌、猿田佐世、柴土真季、清水和彦、志村洋子、菅野弘、杉山章子、菅野文美、鈴木智香子、鈴木三輪、清野美心子、高橋利志子、高浜晴美、田辺陽子、堤敦朗、富田玲菜、仲上睦美、永島杏紗、中村俊裕、中山莉彩、成松潤子、錦織有史、原口正彦、古谷礼乃、堀越大輔、宮脇麻奈、望月康恵、山本晋平、由尾奈美、芳野あき、渡辺哲也

2009/10/24:国連フォーラム設立5周年を迎えて

2004年10月24日「国連の日」に発足した「国連フォーラム」は、今日、5周年を迎えました。

国連のことをもっと知りたい、国連の活動に貢献したいと考えている多くの人々に、知識を得、議論に参加し、さらには具体的な活動に参画するきっかけとなる場を提供することがこのフォーラムの使命です。その使命をこの5年間果たすことができたでしょうか。多くの既存のフォーラムがある中で、国連フォーラムはそれらとうまく連携すると同時に独自の付加価値を生み出してきたでしょうか。これを機にこの5年間を振り返り、幹事会として今後の指針を皆さんと共有、議論したいと思います。

5年前の「国連の日」の前日、それまで数ヶ月かけて準備をしてきた国連フォーラムの発起人10人がニューヨーク郊外で昼食をはさんでフォーラムの趣意書の最終案を議論しました。組織の要となる使命については特に時間をかけて議論し、「場を提供する」という点を最も大事にすることで合意しました。そして翌日にはその趣意書と案内文をワシントンDC開発フォーラムや国連日本人職員会、JASIDなど既存のネットワークに流し、フォーラムの活動が始まりました。

最初はメーリングリストとそれを記録するブログのみでしたが、発起人が中心となって結成した幹事会によって、「勉強会」や「インタビュー・シリーズ」、「国連でインターン」、「フィールド・エッセイ」など様々な活動が企画、運営されるようになりました。最初のMLへの投稿は国連本部で行われたノーベル経済学賞受賞のアマルティア・セン博士の講演の報告でした。12月にはインド洋の津波についての報告が次々にあり、少しずつ国連に関心を持つ参加者が増えました。2005年には専用のウェブ・サイトも立ち上げ、ML登録者も500人を超えました。2006年には1200人、2007年には2000人、 2008年は2500人と増え、現在約3500人の登録者がいます。この間さらに、「国連職員NOW!」や「私の提言」などの企画も加わり、さらにたくさんの人々が参加するようになりました。勉強会やセミナーの数も増え、他のフォーラムとの合同オフ会なども開くようになりました。

参加者の内訳を見ると、最初は国連職員や外務省などの関係者が中心でしたが、その後学生や研究者、NGO関係者、企業やメディアの参加者も増え、幅広い層に関心を持たれるようになりました。MLへの投稿には、様々な会合や報告書などへの情報も多く、このフォーラムと関心が重なるいくつかのフォーラムとの間にフォーラム間のネットワークができているようです。また、国連総会や安全保障理事会でオバマ大統領や鳩山首相が演説を行った今年の9月にはこれらの演説についての投稿が集中的に行われ、フォーラム参加者の様々な意見を反映することができました。

フォーラムの幹事会は、これらの企画を運営、調整するために現在ニューヨークと東京に事務局を置き、定期的に幹事会を開き、世界中に広がった50人を超える幹事が様々な活動を担当しています。さらにその幹事を助けるサポーターも数多く協力しています。フォーラムの活動はこれらの幹事、サポーターの国連への熱い思いとボランティア精神に支えられています。このフォーラムはMLとウェブを利用したバーチャル世界での活動と、勉強会やオフ会などのリアル世界での活動を組み合わせて行ってきました。これからもこれらの特徴をうまく活用していきたいと思っています。また、今後は双方向性とスピード、情報量などを高めるためにクラウド・コンピューティングやショート・メッセージング、画像ストリーミングなどのIT技術も利用して、さらに使いやすく、価値のあるものにしていきたいと考えています。

国連を取り巻く環境と世界は今大きな変化を予感させています。ひとつは、ノーベル平和賞までもらったオバマ大統領に象徴される新しいタイプのリーダーシップです。その特徴は、核兵器廃絶や気候変動への対応など、これまでいわば理想的ではあるが現実的ではないと思われていたことを今の世代の責任として正面から対応しようとする姿勢です。この発想は人類の理想を掲げた国連憲章に通ずるものですし、このような変化は国連の役割をも大きく変えていく可能性があります。世界が抱える多くの問題に正面から立ち向かう、高い理想と価値観に基づいて行動することができる、そういう時代が来たという予感があります。もうひとつは、中国経済の一足早い回復やブラジルのオリンピック開催国決定、来年の南アフリカでのワールド・カップ開催、汚職に対峙したユドヨノ大統領の再選、ますます重要度を増すG20などに見られる世界の多極化です。世界の趨勢は、一国主義から多国主義へと振り子が戻っていくところであり、これらを調整し、世界の総意を形成し、問題解決に向かって協力していくために、国連の役割はさらに重要になっていくと思われます。

一方、アフガニスタンやパキスタン、イラクでの紛争の泥沼化が顕著であったり、ギニア(C)やコンゴ(DRC)、ナイジェリアなどでの資源争奪戦の中での殺戮と人権侵害、イスラエルとパレスチナ双方の戦争犯罪など、平和と人権がいまだ遠い地域が多くあります。2015年の国連ミレニアム開発目標の達成期限まであと6年に迫り、国連内部や援助国、民間団体も今立ち上がって行動しようと呼びかけていますが、目標達成にはODAや民間、企業の総力をあげての取り組みとその効率化が必要です。

このような世界情勢の変化の中で、国連フォーラムは参加者の知恵と情報力、そしてネットワークの力で議論を深め、発信力を高め、有意義な場を提供し続けていきたいと考えています。国連フォーラムがその使命を果たすために、常に学習し改善する組織であるよう、幹事一同考え活動してきました。

フォーラムは使命を果たしているでしょうか。今後国連フォーラムに何を期待されるでしょうか。是非皆さんのご意見をお聞かせください。
2009年10月24日 国連フォーラム幹事会一同

久木田 純、田瀬 和夫、須永 和男、青柳 華子、秋山 瞳、池田 直史、石井 はるか、井筒 節、岩崎 寛央、岩崎 優、植村 亜希子、内田 絢子、内田 麻衣子、大地田 清佳、大槻 佑子、岡崎 詩織、荻 七菜子、奥村 礼子、亀井 温子、紀谷 昌彦、桐谷 純子、國京 彬、黒田 和秀、桑原 りさ、小谷 瑠以、斉藤 理恵子、佐藤 萌、猿田 佐世、柴土 真季、清水 和彦、志村 洋子、菅野 弘、杉山 章子、菅野 文美、鈴木 香織、鈴木 三輪、清野 美心子、高田 真理江、高橋 利志子、高浜 晴美、田辺 陽子、堤 敦朗、富田 玲菜、仲上 睦美、永島 杏紗、中村 俊裕、中山 莉彩、成松 潤子、錦織 有史、原口 正彦、平岡 今日子、藤田 真紀子、宮脇 麻奈、望月 康恵、山本 晋平、吉田 真紀、芳野 あき、渡辺 哲也、渡辺 知子

2009/1/1:新年を迎えて

国連フォーラムの皆様、

あけましておめでとうございます。

2008年を振り返ると、中国四川省の大地震やミャンマーを襲った大サイクロンなどの自然災害、食料や石油価格の高騰に伴う食糧危機不安、そして夏を過ぎると米国のサブプライム・ローンを引き金としたバブルの崩壊が始まり、あっという間に100年に一度という世界的な経済危機に突入してしまうという、まさに怒涛の一年でした。その経済危機をまともに受けたユーロ圏は予想以上に低迷し、イラクでのブッシュ大統領への靴投げに象徴されるように、米国の経済的、政治的パワーの減衰が目立った年でもありました。

その一方で、北京オリンピックでの中国の国威高揚、ベネズエラ、キューバ、ブラジルを中心とする中南米諸国の反米結束、南オセチア紛争の顛末や最近の天然ガス輸出国機構に見られる資源外交を中心としたロシアの巻き返しなど、新興国パワーが大きく世界の地勢図を書き換えようとしているようにも見えます。もちろん、経済危機これらの国々へも大きく影響を与えていますから、今後の展開を見守る必要があります。また、未曾有の発展を遂げるかに見えたインドでは、ムンバイで予期せぬ大テロが起こり、新興国の危うさを実感させる結果となりました。

国連での動きを見てみると、二年目を迎えたパン・ギムン事務総長は様々な課題をそつなくこなしているように見えますが、去年一年は国連も経済や政治の大きな波に振り回された感があり、大きな進展を見せた課題はなかったように思います。日本でも、アフリカの開発アジェンダを進めるために開かれたTICAD、地球温暖化や食糧危機について話し合った洞爺湖サミット、共に印象が薄れてしまったように見えます。ソマリアの海賊が注目を浴びる一方、スーダンのダルフール情勢やジンバブエの政権交代などには進展が見られず、コンゴ民主共和国に見られるように状況が悪化した地域も多くありました。

2009年、世界的にもっとも注目されるのはオバマ米国新大統領の経済、外交政策でしょう。イラクからの撤退、アフガンへの支援強化は、どんな結果となるのでしょうか。厳しさを増すパレスチナ・中東情勢とパキスタン・インド情勢にも影響することが考えられます。オバマ政権の国連政策はどうなるのでしょうか。ヒラリー・クリントン国務長官、スーザン・ライス国連大使の組み合わせは、ダルフールやパレスチナといった外交課題にどのようにアプローチし、ブッシュ政権下で軋轢を生んだ国連との関係をどのように改善するのでしょうか。また、ブッシュ大統領の選んだパン・ギムン事務総長やその他の国連幹部をどうするのかも大きく国連の運営に影響を与えるでしょうし、日本や新興国の要求する安保理改革への対応も注目されるでしょう。

2009年は日本の国連外交にとって大きな転機になるのでしょうか。今年念願の安保理非常任理事国入りを果たす日本。当選10回の最多ながら、何を達成したいのか、どんなビジョンで世界を引っ張るのか明確でないと言われています。当然、「常任理事国入り」だけを目指すのでは支持は得られないでしょう。中国や韓国との関係をどう築くのか、他の新興大国や地域も賛成できる安保理改革案をどう出していけるのか、今年も4%の削減となる日本のODAをどう使うのか、PKOをはじめとした国連の様々な活動の中でどこにどう実績と意欲を示すのか、日本外交の中でどう国連を位置づけるのか、そのための国内での支持をどう取り付けるのかなど多くの課題を抱えての再出発の年となりそうです。

現行の経済危機は、世界の開発や人々の暮らしに直接影響すると同時に、それを支援する国連の予算や人事にも大きな影響をもたらすと思われます。PKOの大幅削減、開発・人道分野への拠出金の削減があるかもしれません。逆に国連を通しての働きかけが国益に効果があると見て、国連への「投資」を集中させる国も出てくるかもしれません。大きく変わった経済力や為替などとともに、国連での主要アクターの勢力図にも変化があるでしょう。

国連フォーラムの会員数は昨年には2000人から2600人へ大きく増加しました。幹事会では、皆さんにより活発な議論を展開していただけるよう、引き続き多様で質の高い議論の場を提供していきたいと考えています。

また、大きな変革の年となる2009年は、国連フォーラムにとっても大事な年になりそうです。世界の変化と日本の情勢とニーズに対応した活動を展開していきたいと思います。

幹事一同、今後も皆さんの積極的なご参加をお待ちしています。

本年もどうぞよろしくお願いします。

幹事一同

久木田 純、田瀬 和夫、須永 和男、青木 滋紀、青柳 華子、秋山 瞳、池田 直史、井筒 節、稲垣 朝子、岩崎 優、内田 絢子、内田 麻衣子、大谷 美紀子、大槻 佑子、大仲 千華、岡 瑞穂、岡崎 詩織、荻 七菜子、奥村 礼子、加藤 里美、亀井 温子、城戸 武洋、紀谷 昌彦、國京 彬、黒田 和秀、小谷 瑠以、猿田 佐世、柴土 真季、清水 和彦、菅野 弘、杉山 章子、鈴木 香織、鈴木 三輪、澁谷 和朗、高田 真理江、高橋 利志子、高浜 晴美、田辺 陽子、津田 真梨子、堤 敦朗、土井 香苗、富田 玲菜、仲上 睦美、中村 俊裕、中山 莉彩、成松 潤子、錦織 有史、藤田 真紀子、宮脇 麻奈、山本 晋平、山本 紀子、吉田 明子、吉田 真紀、芳野 あき、渡辺 知子

2008/10/24:国連フォーラム設立4周年を迎えて

国連フォーラム設立四周年にあたって

2004年10月の「国連の日」に発足した「国連フォーラム」は、国連のことをもっと知りたい、国連の活動に貢献したいと考えている多くの人々に、知識を得、議論に参加し、さらには具体的な活動に参画するきっかけとなる場を提供してきました。

いまやフォーラムのメーリングリストへの登録者は2,500人に達しようとしており、そのメンバーは国連職員、政府関係機関職員、学生・研究者、NGO関係者、メディア関係者、そして最近特に増加している民間企業関係者などきわめて多彩です。また、十代の学生から第二の人生を謳歌されている諸先輩方まで世界中から多様な人材が参加することにより、その議論にも最近特に幅と厚みが加わって、さまざまな視点から相手を尊重しつつ議論できる環境が整ってきました。各地で開催してきた勉強会は次回で50回を迎えますし、国連職員の素顔を紹介する「国連職員NOW!」は、多くの方の支援を得てもうすぐ100人に届く数の記事をお届けしてきています。また、「国際仕事人に聞く」や「私の提言」では一定のテーマを掘り下げることにより自由闊達な意見交換をおおいに促進してきましたし、「フィールド・エッセイ」や「インターン・エッセイ」は現場の息吹を感じられるようなメッセージを伝えることに心を砕いてきました。これらの活動のほとんどは国連フォーラムのウェブサイトにおいて閲覧することができます。

これから5年目を迎える国連フォーラムは、さまざまな分野の議論をさらに掘り下げ、発掘し、多くの方々が質の高い議論に参加できるような場をつくるために一層の努力をしていこうと考えています。そのためには従来の活動をさらに充実させると同時に、メンバーから出される意見やアイディアに基づいて新しい活動を始める可能性もあるでしょう。また最近、多くの民間企業の方々が国連に関心を持っておられることを踏まえ、政府・国連・市民社会・企業・メディア・学術界などを共通のテーマでつないでいくことも、このフォーラムが比較優位を持つ分野であると考えられます。さらに、これまでニューヨークに集中していた活動を東京、ウイーン、ジュネーブ、バンコクなどに広げていくことも多くの方々の協力により現実になりつつあります。いずれの場合でも、個人としての参加や相互の意見の尊重といった原則を守っていくことで、国連フォーラムはその設立趣旨のためにより多くの貢献ができるものと信じます。

現在の世界は大きな変化のうねりの中にあるといえましょう。米国のサブプライム・ローン崩壊による世界経済の低迷、食料価格と石油価格高騰による食糧危機。東ティモールやコソボなど国際社会が紛争後の社会で成功例を形作ろうとしている一方で、いまだに火種がくすぶるイラク、パレスチナ、アフガニスタン、スーダンなどの緊迫した情勢。地球温暖化の進行に関係するかのような大規模なサイクロンやハリケーンなどの自然災害の多発。北京オリンピックに見られた中国の熱狂的発展と人類史上空前とも言われるドバイの発展がある反面、TICAD後も多くの課題を残すアフリカの開発。このような激しい変化の中、奇しくも先日2009年からの安全保障理事会非常任理事国を決める選挙で日本が当選し、そして来月には米国の新しい大統領が選出されます。この時代の曲がり角において、パンギムン事務総長率いる国連が果たすべき役割はなんなのか。日本はどのように国際社会に貢献できるのか。議論は尽きません。

国連フォーラムでは今後さらにメンバーのみなさんの活動への参加を呼びかけます。それぞれの活動は世界中に散らばっている50人を越える幹事により支えられています。このフォーラムでの活動や議論が、参加するそれぞれの方にとって有意義なものであることを願ってやみません。

2008年10月24日 国連フォーラム幹事会一同

久木田純、田瀬和夫、須永和男、青木滋紀、青柳華子、秋山瞳、穴井路想、池田直史、井筒節、稲垣朝子、岩崎優、内田絢子、大谷美紀子、大槻佑子、大仲千華、岡崎詩織、荻七菜子、奥村礼子、落合由佳、加藤里美、亀井温子、城戸武洋、紀谷昌彦、國京彬、黒田和秀、小谷瑠以、佐々木佑、猿田佐世、柴土真季、澁谷和朗、清水和彦、菅野弘、杉山章子、鈴木香織、鈴木三輪、高田真理江、高浜晴美、田辺美穂子、田辺陽子、堤敦朗、土井香苗、富田玲菜、仲上睦美、中村俊裕、中山莉彩、成松潤子、西川絢子、錦織有史、林神奈、藤田真紀子、宮脇麻奈、山本晋平、山本紀子、吉田明子、吉田真紀、芳野あき、渡辺知子

2008/1/1:新年を迎えて

国連フォーラムの皆様、

あけましておめでとうございます。

昨2007年、国連は新しい事務総長を迎え新たな時代に入りました。
パン・ギムン事務総長のリーダーシップはどうだったのか。大きな可否なくこなしているところが、アジア的なのでしょうか。事務局改革などで地道な成果を挙げている反面、コフィ・アナン前事務総長のようなカリスマに欠けるという評価をする人もいます。この新しい
事務総長の下で国連はどう変わり、これからいかなる方向へ進んで
いくのでしょう。

国連は昨年、気候変動と地球温暖化をトップ・プライオリティにしました。このことはIPCCやゴア米国前副大統領がノーベル賞を受賞したことにも象徴されています。12月に行われたバリでの締約国会議では、米国や中国も含めた形でロードマップに合意がなされ一定の進歩が見られた反面、温暖化ガス排出量削減の数値目標などを巡る各国の思惑にはいまだに大きな違いがあります。来年の洞爺湖サミットで日本がどのような役割を果たすのかは、たいへん注目されるところです。

また、2007年はMDGs達成の中間地点でした。5歳未満の死亡が1000万人を切るなどいくつかの目標で進展が見られたものの、目標達成への道は未だ厳しいと感じられます。事務総長は、来年は開発に力を入れると述べてきています。しかし、MDGs達成にはさらなる進展が必要であり、5月に開催されるTICAD IVをはじめとする開発のアジェンダ、特にアフリカに焦点を当てた取組みがさらに重要性を帯びてきそうです。

そして、開発だけではなく、安全保障、平和構築、人権といった異なる分野の課題をいかに結びつけていくかもこれからの国連の大きな、かつ喫緊の課題です。ミャンマー、イラク、アフガニスタン、スーダン、チャド、そしてパキスタンでの混迷。国連の予算の約3割がダルフールへのUNAMIDに費やされることになりました。肥大化するPKO予算に対する疑問も生じるでしょうし、さらにこのような事態を防ぐための貧困、環境、武器取引などへの対策をどのように進めていくのか、防災や鳥インフルエンザなどのな危機的状況をいかに予防し、対応していくのか。さまざまな分野で国連の果たす役割を強化し統合していく必要がありましょう。

国連改革については、PKO局分割などの努力がなされた反面、一昨年のハイ・レベル・パネルの報告書がめざした「One UN」は、必ずしもその目標どおりには展開していません。また、国連総会での予算についての決議において唯一米国のみが反対票を投じ、20年ぶりにコンセンサスが成立しなかったなど、国連という組織のあり方についても、大きな課題が残されているように思えます。先のアルジェリアのテロにも見られるように、国連そのものが政治的活動の対象となる時代に、国連はいかなる組織であるべきなのでしょうか。

2008年はどのような年になるのでしょう。北京オリンピックを機に中国の国威が高まると同時にアジア全体の占める位置が高揚するかもしれません。中国ばかりでなく、インド、ロシアなどの新興大国の世界経済への貢献度が大きく見えてきています。このことは、地球温暖化防止や開発の議論にも一つの方向性を与えるかもしれません。一方、引き続きアフリカは重要であり続けるでしょう。アフリカ問題の解決なくして、国連の使命は果たせないと言っても過言ではありません。そしてその中で国連の役割がどのように変わり、日本はどのような役割を演じるのかが注目されます。

国連フォーラムの幹事会では、昨年同様、こうした国連での変化を捉え、メンバーのみなさんに多様で質の高い議論の場を提供し、積極的に活動を展開していきたいと考えております。今年は、新たな企画も加えてさらにダイナミックで充実したフォーラムにしていきたいと思っております。

国連フォーラムのメンバーが先月2000人を超えました。メンバーがつくっていくフォーラムです。幹事一同、みなさんの積極的なご参加をお待ちし
ております。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

幹事一同

久木田 純、田瀬 和夫、須永 和男、青木 滋紀、朝居 八穂子、穴井 路想、池田 直史、石塚 恵、井筒 節、稲垣 朝子、宇都宮 美恵、大谷 美紀子、大槻 佑子、奥村 礼子、亀井 温子、城戸 武洋、紀谷 昌彦、國京 彬、黒田 和秀、桑原 りさ、小谷 瑠以、佐々木 佑、猿田 佐世、柴土 真季、清水 和彦、杉山 章子、鈴木 香織、高田 真理江、田辺 美穂子、堤 敦朗、土井 香苗、徳田 朝子、富田 玲菜、中村 俊裕、西川 絢子、林 神奈、平岡 今日子、藤澤 有希子、藤田 真紀子、山口 絵理、山本 晋平、山本 紀子、横山 雅子、吉田 明子、芳野 あき

2007/10/24:国連フォーラム設立3周年を迎えて

国連フォーラム設立三周年にあたって

2004年10月の「国連の日」に発足した「国連フォーラム」は、国連のことをもっと知りたい、国連の活動に貢献したいと考えている多くの人々に、知識を得、議論に参加し、さらには具体的な活動に参画するきっかけとなる場を提供してきました。

とくにこの1年間は、これまでの活動を一層充実させるとともに、新しい試みも多く行ってきました。各地で開催してきた勉強会はついに40回を迎え、「国連職員NOW!」は着実に回を重ねすでに50人以上の邦人職員のストーリーを紹介してきました。また「フィールド・エッセイ」、「国連でインターン」も20人以上の方の投稿を掲載しています。さらに「国際仕事人に聞く」や「私の提言」では個別の分野をより深く掘り下げ、将来有意な変化をもたらすような発信をめざしています。このような活動の結果、フォーラムのメーリングリストは2,000人規模に達しようとしており、そのメンバーは国連職員、政府関係者、学者・研究者・学生、NGO関係者、メディア関係者などと多彩です。また、フォーラムのウェブサイトには月平均約11,500人の方が訪れています。

今後も国連フォーラムは、その中立性を維持しながら、だれもが個人の立場で活動に参加していけるような開かれた場であることをめざします。また、幹事会としては、その時々の国連の動向、日本の国内世論の動向などをタイムリーにフォーラムの活動の中に採り入れることによって、各メンバーが活動に参加して有意義だったと感じられるよう努力していきたいと考えています。なお、これまではニューヨークが幹事会や活動の中心でしたが、最近では日本でも多くの仲間が活動に加わってくれており、今後活動の幅を広げていけると考えています。東京での幹事会もしっかりと立ち上がりつつあります。また、 ワシントンD.C.開発フォーラムや国際開発学会(JASID)、模擬国連委員会、平和構築フォーラムなどの他ネットワーク、及び、政府機関、民間機関との連携もより一層深めていきたいと考えています。

国連は今年、新しい事務総長を迎え新たな時代に入りました。しかしその国連が世界の古い問題と新しい問題にどのように対処できるかは、国連そのものの改革を含めてまさにこれから試されるところでしょう。国連の今年一番大きな課題はもちろん気候変動であり、それはIPCCやゴア米国前副大統領がノーベル賞を受賞したことにも象徴されていますが、世界が抱える問題はそれだけではありません。貧困削減、アフリカ開発、平和構築、さらに個別の国・地域としてはミャンマー、イラク、アフガニスタン、スーダンなど、課題は山積みです。これらに国連がどのように立ち向かうべきなのか、そして日本はその中でどのような役割を果たせるのか。こうした引き続き目が離せない話題を国連フォーラムで議論していければ幸いです。

皆さんの一層積極的な参加をお願いしたいと思います。今度ともよろしくお願いします。

2007年10月24日
国連フォーラム幹事一同

久木田 純、田瀬 和夫、須永 和男、朝居 八穂子、穴井 路想、池田 直史、石塚 恵、井筒 節、稲垣 朝子、大谷 美紀子、大槻 佑子、大仲千華、亀井 温子、岸本 安紀、北村 聡子、城戸 武洋、紀谷 昌彦、國京 彬、黒田 和秀、桑原 りさ、小谷 瑠以、佐々木 佑、猿田 佐世、柴土真季、清水 和彦、新保 孝尚、杉山 章子、田辺 美穂子、堤 敦朗、土井 香苗、徳田 朝子、富田 玲菜、中村 俊裕、西川 絢子、林 神奈、春谷恵理圭、藤澤 有希子、藤田 真紀子、山口 絵理、山下 恵理子、山本 晋平、山本 紀子、横山 雅子、吉田 明子、吉田 順子、芳野 あき

2007/1/1:新年を迎えて

国連フォーラムの皆様、

あけましておめでとうございます。

昨2006年は、国連にとってコフィ・アナン事務総長最後の年となりましたが、一昨年の国連世界サミットの結果を受けて平和構築委員会が設立され、人権理事会も活動を始めました。事務総長のハイレベル・パネルの報告書も提出され、開発・人道支援・環境などの分野での改革案も示されました。国連改革が少しづつながら進みつつある印象を受けた方も多かったのではないでしょうか。他方、イラクの状況は内戦状態にあると言われるまでに悪化し、スーダンのダルフールでの状況も改善されずに年を越しました。北朝鮮のミサイル発射と核実験に対する安保理の強い決議が出されましたが、六カ国協議での進展は見られず、国連の果たす役割も明確ではありません。そんな中で、久しぶりにアジアからの事務総長が選ばれました。

2006年、日本にとっては国連加盟50周年の記念すべき年でした。10月には安保理の議長国として北朝鮮に対する決議に関わり、国内では改めて国連の重要性が確認されたのではないでしょうか。つい最近国連分担金の交渉も決着がつき、日本の負担減となりました。同時にODAの削減に伴い、国連などの多国間協力への拠出金は減る一方で、日本の経済的な貢献度は下がってきています。人間の安全保障や平和構築分野への貢献の強い意志を示す一方、これらをどう主流化していくのか、どう具体的な貢献を行うのかの課題が残っています。

2007年、国連はパン・ギムン新事務総長を迎えて始まります。イラク、ダルフール、北朝鮮などの緊急の課題、鳥インフルエンザの変異による新型インフルエンザ大流行の危険性、ハイレベル・パネル報告書の国連総会での審議、米国の大統領選挙戦とも絡む対米関係のあり方、中国やインドなどの新興大国との関係などの展開が注目されます。事務総長の権限である国連幹部の人事の刷新も行われるでしょうし、欧米型ではない新たなリーダーシップがいかに理解され効果を発揮するのかも注目です。これから5年の任期中にはミレニアム開発目標の進展が大きく問われるでしょうし、地球温暖化などの影響も明らかとなり、国際社会のコンセンサスをとりながら大きな変革を起こさなくてはなりません。まさに、待ったなしの状況です。今年、国連の新体制と日本はどう向き合っていくのでしょうか、経済的な影響力の低下が進む中で、どうやって日本の貢献をアピールし、国連外交を展開していくのでしょうか。日本のマルチ外交のあり方を問われる年でもありそうです。

国連フォーラムの幹事会では、昨年同様、こうした国連での変化を捉え、メンバーのみなさんに多様で質の高い議論の場を提供し、積極的に活動を展開していきたいと考えております。今年は、「私の提言」、「国連を読む」など新たな企画も加えてさらにダイナミックで充実したフォーラムにしていきたいと思っております。国連フォーラムはメンバーがつくっていくフォーラムです。幹事一同、みなさんの積極的なご参加をお待ちしております。

本年もどうかよろしくお願いいたします。

国連フォーラム幹事一同

久木田 純、田瀬 和夫、須永 和男、朝居 八穂子、石塚 恵、井筒 節、稲垣 朝子、大谷美紀子、大槻 佑子、大仲 千華、岡村 恭子、亀井 温子、北村 聡子、紀谷 昌彦、國井 修、國京 彬、黒田 和秀、小谷瑠以、清水 和彦、新保 孝尚、杉山 章子、田辺 美穂子、谷 香織、粒良 麻知子、土井 香苗、中川 享之、中村 俊裕、鳴海 亜紀子、林 神奈、橋本のぞみ、早川 元貴、春谷 恵理圭、藤澤 有希子、山岸 千恵、山口 絵理、山下 恵理子、山本 晋平、横山 雅子、吉田明子、吉田 順子

2006/10/24:国連フォーラム設立2周年を迎えて

2004年10月の「国連の日」に発足した「国連フォーラム」は、国連のことをもっと知りたい、国連の活動に貢献したいと考えている多くの人々に、知識を得、議論に参加し、さらには具体的な活動に参画するきっかけとなる場を提供してきました。

一周年を迎えた昨年の10月以降、従来のメーリングリストを通しての議論や情報提供、勉強会の開催、現場からの声を届けるフィールド・エッセイに加え、「国連でインターン」、「国連職員NOW!」などの企画も積極的に運営してきました。メンバーの数も昨年10月時の二倍を超える1193人に達しています。また、これらを載せたウェブ・サイトも大きく刷新し、分かりやすく、魅力的な場の提供を心がけています。ウェブ・サイトの訪問者は月に5000人を超えています。この一年、特に国連職員とその仕事についての興味と関心を引くことができたようです。

このように、多くの人が参加し、国連に関する情報源としての役割も増す一方で、「時宜を得た、国連に特有の実質的な議論がもっと多くてもいいのではないか」「過去の議論の展開も含め知見や提言をまとめることはできないのか」との参加者のご意見もありました。フォーラムを運営する幹事会としては、場を提供するというフォーラムの役割は守りながら、議論を活発にしていく仕組みや企画を提供し、さらにフォーラムの質と付加価値を高めていきたいと思っています。

国連での動きは、事務総長の選挙が終わり、平和構築委員会や人権理事会が発足した一方、北朝鮮の核実験問題、改善の兆しを見せない中東情勢、遅れるミレニアム開発目標の達成など、新しい事務総長とともに取り組んでいかなければならない課題は満載です。フォーラムもこれらの動きをお伝えすると同時に、議論を活発にしていきたいと考えています。

皆さんの積極的な参加をお願いしたいと思います。今度ともよろしくお願いします。


2006年10月24日
国連フォーラム幹事一同

久木田 純、田瀬 和夫、須永 和男、朝居 八穂、井筒 節、稲垣 朝子、大谷 美紀子、大槻 佑子、大仲 千華、亀井 温子、北村 聡子、紀谷 昌彦、國井 修、國京 彬、黒田 和秀、小谷 瑠以、清水 和彦、新保 孝尚、杉山 章子、田辺 美穂子、谷 香織、粒良 麻知子、土井 香苗、中川 享之、中村 俊裕、橋本 のぞみ、早川 元貴、春谷 恵理圭、藤澤 有希子、山岸 千恵、山下 恵理子、山本 晋平、吉田 明子

2006/1/1:新年を迎えて

あけましておめでとうございます。

昨2005年は国連にとっても、このフォーラムにとっても大切な年でした。国連では創設60周年の特別総会が開催され、安保理改革をはじめとするさまざまな変革の必要性が改めて認識されました。また、「石油食糧交換計画」における国連職員の不祥事などが明らかとなり、国連組織の統治が問われた年でもあります。このほかにも、スーダンをはじめとするアフリカの紛争、地震などの自然災害、鳥インフルエンザなど、取り組まなければならない問題が山積していて、多様な難題に国連と国際社会がどう対処していくかが試された年でもあります。

こうした中にあって、一昨年に設立された本フォーラムは、幅広い層の方々の参加を得て、国連に関する議論の場を提供するという当初の目的をある程度達成してきたと思います。メーリングリストへの参加者は650人を越え、勉強会を意欲的に開催し、インタビュー・シリーズやフィールド・エッセイ、「国連でインターン」などの新しい試みも始めました。また、フォーラムのウェブサイト、ブログを公開し、オフ会などの交流会も随時行なってきました。設立一周年の10月24日には、「ニューヨーク国連フォーラム」から「国連フォーラム」へと改称し、より多くの方々の参加を呼びかけました。

2006年もまた、国連にとっては重要な年となりそうです。現時点で半年分しか認められていない通常予算は、国連事務局改革に待ったなしのプレッシャーをかけています。また、今年は6年ぶりに各加盟国の予算負担を決める「分担率交渉」も行われます。前回の分担率交渉よりもさらに熾烈を極めることが予想されます。そして、今年いっぱいで任期を終了するコフィ・アナン事務総長の後任の選出があります。ウ・タントに続く事務総長がアジアからでるのでしょうか。これ以外にも、新設の平和構築委員会、人権理事会、国連ミレニアム開発目標など、大切で難しい課題が目白押しです。

日本にとっても今年は国連加盟50周年に当たり、今後の日本と国連との関係のあり方について再検討する重要な年になるのではないでしょうか。第二次世界大戦後、日本にとって国連加盟は国際社会への復帰を象徴する重要な目標でした。今日、日本は米国に次いで国連予算の二割近くを負担し、人間の安全保障を掲げ、国連改革を推進するまでになりました。国連を通して日本がどのように国際社会に貢献していくのか、どのような考え方でいかなる交渉を行なうかは大いに注目すべきでしょう。

国連フォーラムでは、今後ともメンバーのみなさんに多様で質の高い議論の場を提供することを活動の中心に据え、積極的に活動を展開していきたいと考えています。幹事会では、勉強会やメーリングリストをさらに充実させて中味の濃い、ダイナミックなフォーラムとしていくこと、さらにさまざまな層の方々に参加を呼びかけ、東京やジュネーブを手始めに、ニューヨーク以外の場所にも活動の輪を広げていくことを計画しています。フォーラムが引き続きすべてのメンバーにとって開かれたものであり、一人ひとりにとって有益な場であり続けることを願います。

本年もどうかよろしくお願いいたします。

国連フォーラム幹事一同

久木田純(国連児童基金:UNICEF):代表責任者・コーディネーター
田瀬和夫(国連事務局OCHA):代表責任者・コーディネーター
須永和男(国連日本政府代表部):代表責任者
荒川麻衣子(ロンドン大学):ウェブ担当
大谷美紀子(弁護士・日弁連国際室長):人権グループ
大槻佑子(コロンビア大学):安全保障グループ・ネットワーク幹事
大仲千華(国連事務局DPKO):フィールドエッセイ・安全保障グループ
亀井温子(コロンビア大学・JICA):事務局・MDGグループ
川守久栄(国連事務局):オフ会・勉強会・MDGグループ
紀谷昌彦(在バングラデシュ大使館):DC開発フォーラム担当ネットワーク
國京彬(早稲田大学):模擬国連委員会担当ネットワーク
黒田和秀(世界銀行):MDGグループ
小谷瑠以(コロンビア大学):安全保障グループ
北村聡子(弁護士・ニューヨーク大学):人権グループ
清水和彦(コロンビア大学・外務省):安全保障グループ
粒良麻知子(在タンザニア大使館):フィールド・エッセイ・MDGグループ
土井香苗(弁護士・ニューヨーク大学):人権グループ
仲居宏太郎:人権・国際組織・人事グループ
中川享之(JICA・国連事務局):勉強会・安全保障グループ
中村秀規(UNICEFウガンダ事務所):MDGグループ
中村綾子(コロンビア大学):国連組織・人事グループ
長島由華(国連事務局OCHA):勉強会・インターンシリーズ
橋本のぞみ(コロンビア大学):事務局・MDGグループ
早川元貴(世界保健機関:WHO):ジュネーブ国連邦人職員会担当ネットワーク
春谷恵里圭(国連日本政府代表部):勉強会
藤澤有希子(コロンビア大学):ウェブ・安全保障・人権グループ
古澤智子(国連開発計画:UNDP):MDGグループ
山岸千恵(コロンビア大学):ブログ・安全保障グループ
山本晋平(弁護士):人権グループ
吉田明子(コロンビア大学):メーリングリスト・MDGグループ

2005/10/24:国連フォーラム設立1周年記念「ニューヨーク国連フォーラム」から「国連フォーラム」へ

2004年10月24日の「国連の日」に、国連に関心のあるNY在住の有志が集まり「ニューヨーク国連フォーラム」を設立してから今日で一年が経ちました。この一年、フォーラムは、国連のことをもっと知りたい、国連の活動に貢献したいと考えている多くの人々に、知識を得、議論に参加し、さらには具体的な活動に参画するきっかけとなる場を提供してきました。

現在フォーラムの活動は、メーリングリストを通しての議論、ブログによる議論の公開、勉強会の開催、識者へのインタビュー、世界中のフィールドからの報告、ホームページによる情報発信など多岐にわたっています。また、ワシントンD.C.開発フォーラム、国連邦人職員会、日本政府国連代表部、日本国際開発学会などと連携しながら、独自の付加価値をだせるよう努力をしています。フォーラムは、政府関係者、国連職員、研究者、学生、NGO関係者、メディア関係者など多様な人々で構成され、メンバー数は570人を越えています。

国連は、創設60年を経て大きな転換期にあります。9月の世界サミットで議論されたように、安全保障理事会の改革、紛争解決や平和構築に対する取り組み、軍縮問題、ミレニアム開発目標の達成をはじめとする開発の課題、人権機構の強化・改革、人道危機、地球環境の悪化、自然災害、人間の安全保障など、国連はさまざまな難問や課題に直面しています。そしてそれぞれの課題にいかに対処していくか、それらの相互関係をどう捉えていくか、将来の効果的な活動を可能にするために国連がどのような組織であるべきかは、人類の将来にとってたいへん重要な問題といえるでしょう。

フォーラムは、次の一年でさらに多くの方の参加を得て、世界と国連が直面する諸課題についての議論を深めていきたいと思っています。また、このフォーラムは主として日本語で議論の場を提供することをねらいとしていますので、国連や世界に対して日本がどのような貢献をしていけるのか、どのような貢献をしていくべきなのか、また、そのためにそれぞれの個人や機関にできることは何かといった課題も取り上げ、議論を盛り上げていきたいと考えています。

このように活動の幅を広げ、世界中にいる方々が自由な立場でより積極的に活動に参加できるようにという趣旨で、「ニューヨーク国連フォーラム」はその名称から「ニューヨーク」を取り、「国連フォーラム」と発展的に改称して活動することとしました。

また、現在フォーラムは、主としてニューヨークに在住する国連職員、外務省職員、学生や研究者などからなる幹事会によって運営されていますが、今後、運営に積極的に参加したいと思う方々には、世界中から参加していただき、幅広い意見を採り入れて来年以降の活動計画に反映させていきたいと考えています。

国連に興味を持つさらに幅広い方々のフォーラムへの参加を歓迎します。新たに参加を希望される方は下記の連絡先ないしホームページよりご連絡下さい。参加に資格要件はありません。フォーラムの趣旨に賛同される方であれば誰でも個人の資格で参加できます。今後とも、参加者のみなさんの積極的な問題提起や議論の展開によりフォーラムが発展していくことを願っています。

2005年10月24日

国連フォーラム幹事一同

代表責任者:

久木田純(国連児童基金)、須永和男(国連日本政府代表部)、田瀬和夫(国連事務局)

幹事(あいうえお順):

荒川麻衣子、石瀬素行、大谷美紀子、大槻佑子、亀井温子、川守久栄、北村聡子、紀谷昌彦、國京彬、小谷瑠以、清水和彦、菅野文美、粒良麻知子、土井香苗、仲居宏太郎、中川享之、中村秀規、中村綾子、長島由華、橋本のぞみ、早川元貴、春谷恵理圭、藤澤有希子、古澤智子、山岸千恵、吉田明子