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第35回
障害者の権利条約--その意義、
条約策定過程、今後の課題

伊東 亜紀子さん 
国連経済社会局(UN/DESA)
第34回
気候変動と貧困
隈元 美穂子さん
国連開発計画(UNDP)
エネルギー・環境グループ 
地球環境ファシリティー 
第33回
高まる国際組織(改編)への期待
ダボス会議報告

藤澤 秀敏さん
日本放送協会(NHK)アメリカ総局総局長

第30回
新JICAの発足に向けて
黒木 雅文さん
独立行政法人 国際協力機構(JICA)理事

第29回
平和構築分野の人材育成構想
坂田 奈津子さん
外務省総合外交政策局国際平和協力室

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「緊急援助における公衆衛生の役割」
國井 修さん

国連児童基金(UNICEF)保健戦略上級アドバイザー

2007年4月13日開催
於:ニューヨーク日本政府国連代表部会議室
国連邦人職員会/国連日本政府代表部/国連フォーラム共催 合同勉強会


質疑応答

■Q■ コーディネーションについて、大規模災害では、現場での援助者・組織などの協調・協力体制が重要で、例えば災害直後の現場では被災者のTriageの指揮の難しさなどがあると思うが、どのような取り組みが行われているのか。理想的なコーディネーションとはどのようなものか。 

■A■ 国連、政府機関およびNGOを含め、UNOCHAが災害における最も中心的な調整機関である。OCHAでは、国際レベルのみならず、現場での協力・連携を推進するための様々な努力を行っている。情報の一元化・迅速化という意味ではReliefWebが大活躍しており、コーディネーションの促進にも一役かっている。ただし、インド洋津波の状況をみると、広域災害においてこのコーディネーションは容易ではない。国際空港や被災地の複数箇所にレセプションデスクや調整窓口を設けるなどまだまだ工夫が必要である。

現在、緊急援助における調整という意味で最もホットなものとして、クラスターアプローチがある。これは、保健、栄養、シェルター、水・衛生など10前後の必要な課題別に共同体(クラスター)を作り、国連・NGOなど援助団体・組織がそこに所属し、調整役(クラスターリード)の下に、共同体ごとに様々な調整メカニズムやガイドラインを作っていく。ちなみに、保健クラスターはWHO、栄養クラスター、教育クラスター、水・衛生クラスターはUNICEFが調整役を担っている。

■Q■ 鳥インフルエンザについて、人から人への感染が確認され、感染の勃発(Outbreak)があった場合、何がポイントになるのか。

■A■ 鳥インフルエンザがヒトからヒトに感染する新型インフルエンザに変異した時が問題である。それがどれほどの感染性・致死性を持つのかは未知数である。ただ、過去のインフルエンザの世界的流行から、新型インフルエンザ出現の可能性、その高い感染性・致死性も否定できないため、今、世界中で予防および緩和計画が練られている。様々なステージ、シナリオが想定されているが、現時点では新型インフルエンザが確認された場合、それをいち早く封じ込める(Containment)作戦が最も重要視されている。それはタミフルを用いた感染・重症化・死亡の予防、必要に応じた隔離、その他、様々な拡大予防の対策を含む。封じ込めが困難で流行が拡大する可能性もある。1918年に流行して、世界で約6億人、4,000万人以上の死者をだしたといわれるスペイン風邪の時代に比べると、医療レベルも衛生状況、栄養状態もよくなっているので、死亡率はそこまで高くはならないだろうと個人的には思う。それでも、その被害を最低限に抑えるためには様々な努力が必要だろう。一度、新型株が出現すれば、それを使ってワクチンを開発することも技術的には可能と考えられている。その工程に6-9ヶ月かかるといわれているので、それを少しでも早くすることが重要だろう。WHOを中心として、今、様々な対策が検討されている。国連においても、新型インフルエンザ自体への対策以外に、これが流行した場合に各国におけるそれぞれの機関の活動をどうするか、スタッフをどのように守るかなどのシミュレーションもなされている。

■Q■ 医者、研究者、NGO職員、政府職員、そして国連職員として様々な立場から公衆衛生に携わって来られたと思うが、國井さん個人としてどの立場でどのような働き方がご自分に合っていると思うか。

■A■ どうせ同じ時間と努力を要するなら、出来るだけニーズの高いところで、多くの人々を助けられる仕事をしたいと思う。患者さんと直接接する医者としての仕事は自分自身とても好きだったが、何十万人、何百万人という患者を救うことはできない。外務省でのODA政策に関わったときは、それを通じて 多くの人々を助けられると感じてその重要性を感じていた。ただ、性格的に現場に向いているので、現場、もしくはそれに近いところにいながら、しかもMassを助けられる仕事をしたい。その意味では今は国連機関、特に、現場にこだわりつづけるユニセフが自分にはあっているように思う。 

以上

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議事録担当:山口 写真:谷・田瀬


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