「日本のアフリカ開発へ向けた取り組みと国連外交」
森 美樹夫さん
国連代表部経済部公使
2008年2月21日開催
於:ニューヨーク日本政府国連代表部会議室
国連日本政府代表部・国連フォーラム共催 合同勉強会
質疑応答
■Q■ 国連経済社会理事会等、国連の場においてTICADの話題をどのように反映させていくことを考えているか。また、G8と経社理年次閣僚レビュー会合(AMR:Annual
Ministerial Reviews)との連携はどのように取っていく方針か。
■A■ 個人的にも経社理等の場でTICADの議論を念頭にして議論するよう意識している。また、G8とAMR(Annual Ministerial
Reviews)の連携をどうするかという問題については、日程上、直接のリンクには困難もあるが、G8サミット議長国・TICAD主催国としては国連における議論を無視することはできず、国連での議論をTICADの議論とリンクさせることを通じてTICADからG8への流れの中で自ずと連携が図られるものと考えている。
■Q■ TICADの予算はどれくらいなのか。また、準備会合を多く開催している中で、最終的な会合における目標は何か。
■A■ 準備会合や関連行事、共催者の負担分等との関係で、厳密に開催経費を算定するのは困難である。[その後、確認したところ、平成20年度外務省予算においてはTICADW開催経費として約4億9,700万円が計上されており、右には会場借料、首席代表招聘費用、同時通訳料等が含まれている。]また、TICADW開催に向けては、日本国内の利害関係者(国会議員、アフリカ外交団等)からの意見も積極的に取り入れてきているところであるが、その中でも会議のフォローアップの重要性は指摘されており、現在、TICADW後のフォローアップも念頭に置いて準備が進められている。
■Q■ 平和定着という点では、アフリカにはECOWAS(西アフリカ経済共同体)やAU(アフリカ連合)等、様々なアクターが存在するが、日本政府はどのアクターを後押しし、またはどういった方法で後押しするアクターを決めているのか。
■A■ 紛争の形態はそれぞれの国・地域によって異なるため、One fits for allのアプローチはなく、個別の状況に応じて判断・対応していくのが最も適当と考える。
■Q■ TICADは国際社会と日本を結びつけることを目標にしているが、中国等が資源外交で存在感を発揮してきている中で、日本の存在感はそのTICADの特異性故に埋没してしまわないか。日本の存在感をどう示していくのか。
■A■ TICADにおける日本独自のイニシアティヴに対しては一定の評価は既に得られていると考えている。日本の存在感を示すこととアフリカ開発を国際社会全体の課題として捉えることとを完全に両立させることは容易なことではないかも知れないが、今のところはうまくいっていると考えている。
■Q■ 日本は経済連携協定(EPA)においては東南アジアを中心的な相手としており、日本にとっての東南アジアの地理的・経済的重要性を強調してきているが、それが日本にとっての相対的なアフリカ支援の重要性の低さに繋がることにならないか。
■A■ 地政学的・歴史的繋がりという点から見て、日本にとっての東南アジアの重要性は変わることはない。その事実を前提に、どうやってアフリカ開発の中に日本の国益を見つけていくかが重要である。希少金属を含む一次産品の安定的な供給源、或いは製造業(自動車産業)における南アフリカの重要性といった経済的な観点からも、アフリカ固有の重要性を無視することはできないと考える。
議事録担当:徳田