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国連事務総長特別代表
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第6回
新たな援助潮流への
日本の貢献を目指して

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第5回
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第8回 2005年9月30日開催
於・国連事務局

「日本における難民・移民の現状と課題」

土井 香苗 弁護士
北村 聡子 弁護士

 

質疑応答

 

■Q■ 日本とアメリカの難民認定の倍率はどのくらい?審査基準の違いは?

■A■ アメリカの倍率は日本の倍ぐらいではないだろうか。ドイツと日本とでは、審査基準にはあまり違いがないのでは。法務大臣が良しと言ったら良しという判断で、おまけに審査期間もまったく明文化されていないため、確実ではない。

 

■Q■ 申請から在留許可がでるまで、どのぐらいの期間がかかり、何が何処まで保障されるのか?

■A■ すべてケースバイケース。在留特別許可一斉行動時に出頭したイラン人達には、6ヶ月〜1年ででた。但し収容されてしまってから許可を申請する場合は、収容すると60日以内に退去か、在留特別許可かの判断がでる。収容されていない場合には、数年かかる場合もある。傾向が見えない。また資格の期間も、まず1年という場合や初回で3年でる場合もある。どちらにせよ更新する必要がある。1年以上在留すると見込まれる在留資格があれば、国民健康保険にも加入でき、病院にも行ける。在留資格がなくても現在学校は子どもたちを受け入れており、だから不法滞在の子どもたちも学校に行っている。自分が不法滞在であるということを知らない子どもたちも多い。


■Q■ 現在の日本は、高齢者社会と国際化が進んでいる。インドのIT従事者を積極的に取り入れるというような政策は、日本ではとられないのか? また規模は違うが、先進国はみな同じ問題を抱えているだろう。スイスなどの他国はこれら難民・移民の問題に対してどのような対策をとっているかを見て、参考にするという動きは? 来週(勉強会は9月30日実施された)世界銀行では、このテーマを取りあげた会議がある。1億8千万人の移住民(母国にいない人)は、毎年US$150 billionを祖国に送金している。Opportunityかproblemなのか?

■A■ 調査がどれだけ、また準備がどれだけされているかというとまだ不十分。今年6月から、総務省が、「多文化共生推進プラン」策定を開始した。しかし、警察発表そして報道が、いまだ外国人との共生に関する議論よりも、外国人に対する恐怖の方におかれており残念である。50年後には日本の人口が3000万人減ると予測されているので、その分の外国人労働者が必要なのでは、という経済界からの意見もある。では、外国人が入って来た時の環境、状況は?というと心許ない。今のままではwin-win situationにはならない。現在、日本にいる外国人200万人のうち24万人が在留資格を与えられていない。要するに、労働力としては必要なので事実上受け入れているが、法律的には不法滞在ということにされている。移住労働者の労働力を必要としながら、いまだ日本は表面上は“移住”を受け入れていない。ただ、このままで良い訳ではないので、もっと法制度を人道的に改正すること、そして、法律のみならず社会的・経済的・文化的に、真の多文化共生をめざして、あらゆる環境を整えていく必要がある。

また、IT従事者の問題については、高度技術者に対しては受け入れを増やしていくというのが日本政府の方針。但し、一般のサラリーマンや工場労働者、3Kの人たちは法律的には在留資格を与えないという方針となっている。


■Q■ 不法滞在の人口も増えるのでは?

■A■ 不法滞在者数は、不況の影響で、現在のところ減少している。しかし人口減少にともない、また増加する可能性はある。


■Q■ 厚生労働省も、高度技術者以外は受け入れないと言う姿勢である。連合は労働者受け入れには基本的に反対。また、人口の急激な減少は問題だが、緩やかに減少するのであればあまり問題ではないという姿勢。条約違反かどうかは国会が決めるのか、最終的には裁判所か?

■A■ 最終的には裁判所が判断する。だが実際、裁判所は条約に対する判断自体を避けている。


■Q■ 条約に参加するのは国会だが、法務委員会の国会議員を見てみると、右傾化している議員が多いので、それに追随しなければならない法務省が後ろ向きなのもうなずけるのでは?

■A■ 確かに国会は右傾化しており、多文化共生と逆方向の議員も多いことは事実。しかし、日本は人権条約の締約国であるからには、本来これに従う義務がある。裁判所がこれに消極的なのは極めて遺憾。人権条約については、諸外国では、国内での裁判手続きが尽きた後には、国連や地域人権機構で条約に違反していないか審査する機会がある。しかし、日本は国連に対する個人通報制度を受け入れていない。残念である。


■Q■ IT技術者をインドから入れようという話があるが、それだけの需要が日本にはあるのか?

■A■ 需要についてはよくわからない。但し、国内IT会社から、インド労働者を入れるのがとても大変だったという不満を聞いたことがある。しかし、日本が外国人に住みにくい国というイメージが定着してしまうと、経済が弱体化していることもあり、優秀なIT技術者にとって魅力的な国ではなくなってしまうのではないか。


■Q■ 政策としてインドなどからの移住をimplementするとなると、階層制度を持ち込む事になるのでは?また、ドイツが面しているトルコ人の問題のようなものを取り込む事にもなるのでは?

■A■ 現在日本にいる不法労働者たちは、義務はあるのに権利がないという状態。私は、必ずしも3Kに従事する外国人だけが入ってくるとは思わないが、普通のサラリーマンの人々や、高度技術者たちが日本を選択肢として捉えるほど魅力のある国でいられるのかどうかという問題が大きいのでは?階層化は現在も大きい。現在は、在留資格をもらえず、正規で雇われないから、安い賃金や危険な労働条件でも働かざるをえないことがこれを後押ししている。


■Q■ 基本的なポイントがマクロ経済のスケールアップだとしても、たくさん来たらそれだけ問題が増えるのでは?

■A■ たしかに、一般的におっしゃるような危惧があるのは事実で、それを避けるための方策を考える必要がある。私自身の考え方としては、日本が外国人をたくさん受け入れるべきだというものではない。もし日本が外国人をこれからも受け入れるのだったら、それ相応の対応をしなければならないという考え。


■Q■ 果たして多文化共生社会としてモデルとなるような国はあるのか?ナミビアで見たのは、アパルトヘイトというTactics/ strategyが非常に明確なものだった。まず最初に分離し、集会や結社などを組織する自由を奪う。そして依存性を高め、搾取する。搾取したら反発がでるので、そうしたらそれを迫害するというステップがある。日本の在留者は、同じような対応をされているのではないのか?

■A■ 正確な答えはもちあわせておらず申し訳ない。オランダなどの北欧、カナダ、ニュージーランドなどは、移民・難民に対して柔軟に対応していると聞いている。しかし、西欧諸国が、60−70年代に移民を受け入れ、その後様々な失敗をしてきていることは事実。私たち日本は後発であるからこそ、その失敗の繰り返しから学ぶべきである。ロンドンのテロ後、ロンドン市長が、テロによって他民族と共生するロンドンを破壊してはならないという趣旨のスピーチをしたと記憶している。日本で同じようなテロが起きたとしたら、果たして、石原都知事は、同じように対応できるほど成熟しているか? 一気に排外主義に傾くようなナイーブな社会なのではないかと危惧している。一方、日本の入管は、ナミビアほどの戦略は持ってないと思う。


■Q■ 不法労働者が所得税などを納めているときに捕まる事はあるのか?

■A■ 実際たくさんの人が払っているが、税金を納めて捕まったということは聞いたことがない。税務署は、税金を払ってくれる人をつかまえたくないのでは?


■Q■ アメリカでは未だ人種差別が存在し、例えばヒスパニック男性がが白人女性をレイプした事件に対し、未だものすごい差別、蔑視をあらわにしている白人たちがいる。アメリカのどの部分が人権条約履行について参考になるのか?

■A■ アメリカは、ある意味、特殊な国。子どもの権利条約は、ソマリアとアメリカだけ批准していないし、多くの人権条約を批准していない例外的な国なので、この国から条約履行について学ぶということは難しい。民族的マイノリティが多い分、問題も多い。しかし、そのぶん、差別を撤廃するための政治的意思や法的措置はこれまでもとられてきた。公民権法などがその例。


■Q■ 日本に於ける、日系人の在留資格は?

■A■ 日系人には定住者という在留資格が与えられている。ブラジルなどから多くの日系人が来日しているが、それでも請け負いや派遣などの厳しい労働条件におかれている。こうしたいわゆる単純労働として受け入れるのは、あくまでも日系人。結局、日本政府の「血」を重視する傾向がみられる。ある意味とてもNationalisticであり、純血主義。


配布資料(Word形式)

(担当:長島)

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