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HOMEスタディ・プログラムルワンダ・スタディ・プログラム(RSP)勉強会 > 第3回勉強会


 

ルワンダ・スタディ・プログラム(RSP)
第3回勉強会




1.テーマ
経済発展、ICT、農業

2.開催日
2017年7月23日(日)

3.報告  <FBでもご覧いただけます>
今回は、7月23日に行われた第3回勉強会の報告をお届けします。
「ルワンダ経済とVISION2020」というテーマで進められた今回の勉強会では、ジェノサイド後に策定された経済発展の目標VISION2020を通して、ルワンダの国家再建について考えました。
まずは、実際にジェノサイド直後のルワンダの大統領になったつもりで国のビジョンとなる政策を考えたとき、そこにはどのような項目が含まれるか、というテーマのディスカッション。3つの班がそれぞれ話し合った内容を発表したところ、ガバナンス体制の強化や人間の基本的なニーズを満たした上で、民族間の共同作業や平和教育などの新たな政策や取り組みを始めるのが良いのではないかという意見が出ました。
実際に策定されたVISION2020は、世銀の定める低所得国から中所得国へという大きな目標を元に、ジェノサイドによって混乱した国内情勢を安定化させること、教育へ力を入れ、第1次産業である農業から第3次産業であるサービス業へ転換させること、農業の生産性を向上させることなどが盛り込まれていました。特に、農業に利用できる土地が既に使い尽くされているために農業以外で国民の雇用を作り出そうとした結果が、現在私たちが認識している、ICT立国として注目され、自然の豊かさを活かしゴリラツアーで観光客を魅了するルワンダというわけです。
しかし現状の課題として、内陸国であるため物流の拠点として機能しづらく、外資産業による投資が少ないこと、自国民間企業が未熟であることなどが取り上げられました。自国で産出した資源を近隣諸国や中国に輸出し、他国が付加価値を付けている一方で、輸入は工業製品の二次加工品が中心。物流拠点としてもインフラ整備が不十分であることからコストが大きいため、貿易ハブとなる構想は非現実的。アフリカの中でビジネスのし易さランキングは上位であるにも関わらず、国外からの直接投資が進んでいないなど、VISION2020は勉強会の中でコテンパンにされていました。
何か決定的な原因があるような、そんなモヤモヤが残る前半でした。
実はその裏には衝撃の事実が隠されていたのです。
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> VISION2020はアメリカのコンサルに作られたものだった! <
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それまで数々の目標と現実とのギャップが取り上げられていましたが、それもそのはず。
VISION2020は、実は世界銀行が米コンサル「モニター・グループ」にカガメ大統領へのコンサルを依頼し、策定されたものでした。さらにVISION2020は、ベンチマークとしてシンガポールを想定して作られていたのです。物流拠点として付加価値貿易に成功しているシンガポール。一方、内陸国でインフラ整備がまだ十分でないルワンダ。立地条件の異いから、物流の点で課題が残ります。また、VISION2020で提言されているポイントとして特にICTがキーであり、実際にルワンダはICT立国として存在感を増してきていますが、その成功のために国内外から莫大な(日本円にして800億円相当の)借金を負わされてしまいました。果たしてVISION2020はルワンダの現実に即したプランだったのでしょうか。再度、「今、自分がルワンダの大統領となり、VISION2020に継ぐVISION2030を作成するとしたら、どの産業をコアにして国の成長を促していくか」をテーマとしてディスカッションを行いました。
ディスカッションの結果、VISION2020はルワンダの等身大ではない政策である、表面的な豊かさのみを目指したものだったのではないか、という意見が出ました。VISION2030でコアとする産業としては農業が複数のチームから発表され、その他注力すべき分野のアイデアとして、識字率の向上など教育への投資、輸出入や農業分野で必要となるインフラの整備、拡大した国内格差の是正、棚田という困難な地形での新たな農業技術の開発などが挙げられました。
そして勉強会の最後には、昨年出来たVISION2050の紹介がありました。2020年から2050年にかけてGDPを10倍にし、高所得国になろうという動きがあるということ、開発計画の中に民族自決や品位など、国の中に浸透させたいコアバリューと呼ばれる価値観を提言していることが特徴として取り上げられました。
事前にこれほど多くのインプットがある渡航は初めてです。初めて訪れる国を、新たな視点で捉えることができることを期待しつつ、現地でさらに学びを深めたいと思います。
いつも分かりやすい勉強会を作ってくださる勉強会班の皆さんに感謝です。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
(広報班 くみこ)

4.メンバーの感想 <FBでもご覧いただけます>
第3回勉強会ではルワンダ経済をテーマとして、主にVISION2020が策定された経緯、ジェノサイド後のルワンダが抱えていた課題、そしてルワンダ経済が描く理想と現実のギャップなどを学びました。
1つ目のディスカッションは、ジェノサイド後の国土も人も荒廃した状況でルワンダの大統領になり、国の政策を作ることを想定して行いました。これが想像以上に難しい。ジェノサイドによって心身共に傷ついた人々、GDPの半減、高度な技術を持つ人材が不足、農地も天然資源も乏しく、海外からの援助など目先のものに飛びつく政府。解決すべき課題は山積みでした。これまで開発の分野では「国づくり」に興味がありましたが、自分が今までそれらをいかに他人事として捉えていたかを思い知らされました。
中でも特に記憶に残っているのは、何を優先するか、どの順番で進めていくかという議論でした。
ジェノサイド直後の政策なのだから、やはりツチとフツが和解しなければと思い、両者の対話の場や共に過ごす場づくりを作ってはどうかと提案しました。しかし、ツチとフツの話し合いの場を設ける前に、まずは居住地を分けてお互いの気持ちを整理したり武装解除を行ったりすることで、安全や治安の確保をする方が優先であるという意見を聞き、国家再建には順序があることを学びました。さらに、農業中心の第1次産業から第3次産業であるサービス業に転換し、ICT立国として注目を集めてはいますが、識字率の低さや不十分なインフラ整備、平和教育が為されているのかどうか不明な点など課題は多く、あまりに唐突にICTに飛びつき少し背伸びをしすぎたのではないか、という意見が出ました。確かにICTはキャッチーで国外からの注目を集めやすいキーワードと成り得ると思いますが、同時に基礎教育やインフラなど基礎的な開発を進めること、もしくは一度立ち返ることが必要なのかも知れません。これまで自分が、いかに表面的でネットで話題のトピックしか見ていなかったかを痛感させられる学びでした。
しかし、やはりICT立国としてのルワンダに魅力を感じた私としては、技術を活用した国の開発(ICT4D)の手本のような存在になってほしいという願いは捨て切れません。技術が国の格差を広げるものではなく、機会を平等に与え、国民が自立するための手段であってほしいです。その点においても、農業とICTの掛け合わせには希望を抱いています。
渡航まで1ヶ月強となりました。各自ワクチンやビザ、フライトの手配などを行いながら、各国際機関へのコンタクトを進めています。以前は、現地でICTを活用している様子を自分の目で見ることが渡航の最大の目的でしたが、今回の勉強会での学びを得て、現地の方々が国の取り組み、特にICTを取り入れた点についてどう考えているかを直接聞き、少しでも対話したいと考えるようになりました。残り1ヶ月、自分のバックグラウンドと照らし合わせ、自分なりの学びを得るにはどのようなスタンスで渡航するのが良いかを明らかにして臨みたいと思います。
(広報班 くみこ)