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HOMEスタディ・プログラムルワンダ・スタディ・プログラム(RSP)報告書 > 2.4 JICA


 

 

1.訪問先

JICA (国際協力機構)


2. 該当テーマ

教育/ジェンダー/IT/経済・産業/農業


3. 組織概要(事業目的、ゴール等)

 JICAの対ルワンダ支援の概要
・二国間援助では世界最大級
・日本が途上国を支援する上での戦略…援助方針(外務省)を基にJICAが事業展開を行う。ルワンダは援助量としては小さい国であるが、無償資金協力/円借款/技術協力/中小企業支援といったほぼすべての事業をしている。
国が発展していくと、これらの援助ができない場合もあるが、ルワンダに対しては一通りの援助ができている状態である。

日本の対ルワンダの援助方針は、基本的に、相手国の開発政策に基づいて援助すること。日本の強みを活かした支援は実施するが、独りよがりの支援はできないため、相手国政府の方針に基づいた支援を実施している。ルワンダの場合だと、VISION2020やEDPRS(経済発展・貧困削減戦略)等をベースに支援している。貧困削減のみならず国の発展のための中期政策を策定中であり、相手国の政策に寄り添うことが援助の基本方針である。

VISION2020の6つの柱を中心に、日本からルワンダへの援助の新規方針を政策する。例として以下があげられる。
経済基盤整理→エネルギー(特に電力支援において配電)
インフラ→道路事業
農業開発→市場志向型の農業、食料増産のための灌漑施設の無償設置 社会サービスへの貢献→水/無償支援協力で給水設備を作るなどの協力/青年海外協力隊派遣
教育→初等教育の質の改善/職業訓練(トゥンバで職業訓練校開設) ICT→ICT分野の専門家を派遣/ICTを活用したプロジェクト開始(医療・農業等)


4. ブリーフィング、プロジェクト訪問において説明された内容・質疑応答の詳細

本ブリーフィングではJICAへの支援内容の概要について、参加者からの質問に答えていただく形でご説明いただいた。


〈トゥンバ職業訓練教育プロジェクトについて〉
 1.トゥンバ職業訓練教育プロジェクトにてJICAが支援している内容を教えていただきたい。また、どのような専門性を持った人が支援に携わっているのか伺いたい。

 1.回答: JICAは「ICT」「持続可能エネルギー」「溶接」の3つの分野についてコンサルタント(専門家)を派遣している。他の職業訓練校から講師を派遣するのが今までのやり方であったが、最近は民間委託し専門家をJICA自ら探し出している。なお職業訓練校の設備についても支援を行なっている。

 2.トゥンバ職業訓練教育プロジェクトの課題は何か。

 2.回答: 生徒の質の維持が課題である。以前はスキルの向上を目的として入学する生徒が多く生徒の質が高かったが、現在は大学入学を断念した生徒が一定おり生徒の質の維持が課題となっている。

〈ジェンダーに関わる支援について〉
 3.農業に関するプロジェクトでジェンダーに配慮した事例はあるか。

 3.回答: 営農支援のプロジェクトで、農協の組織能力向上の取組が該当する。女性含む多様な人が参画し議論することで運営の改善を目指している。実際の農協の意思決定の場に女性がいることで状況が改善されていることを実感してもらうことが目的の1つである。女性を含めたメンバーが農協の将来を自ら考え、意思決定する体制を築けるようになることが最終的なゴールである。なおプロジェクトは始まったばかりのため、効果は今後測定される。

〈農業分野における支援について〉
 4.農業の生産性が低いというルワンダの現状に対し、どのような戦略で農作物を売っていくべきか。物流政策などについて伺いたい。

 4.回答: この課題には、「農業生産を国内で増やす(食糧安全保障)」視点と、「農業生産品を輸出して利益を出す」視点の2つがある。前者については、ルワンダ自体は生産性そのものは低い訳ではない。一方伸びていない事実があるため、どのように伸ばすか考える必要がある。ちなみに、ルワンダの農業における最大の脅威は干ばつであり、灌漑施設の導入は生産性向上の1つの施策となる。 後者の視点については、内陸国というハンディキャップがあるため、どのように物流の問題を解決するかが鍵となる。
JICAは今までルワンダ国内の自給率向上を主なターゲットとしてきたが、今後は輸入政策についても力を入れる予定である。

〈教育分野への支援について〉
 5.ルワンダの課題として、初等教育の中退率の高さが挙げられるが、JICAはどのように初等教育に対しどのようにアプローチしているのか。

 5.回答: 算数教育、理科教育に力を入れ質の向上を目指している。ボランティアによる現場レベルでの目線、専門家による政策レベルの目線の2つの視点からアプローチしている。
初等教育から離れるが大学の質向上においては、日本国内との橋渡しを検討中である。

 6.ルワンダの人材育成支援はどこも画一的である印象を持っている。JICAと他機関のプロジェクトの違いを教えていただきたい。

 6.回答: 限られたリソースでニーズに応えるために、ルワンダに何が必要であるかという点に加え、日本の強みを生かして何ができるのか考慮されている点が違いとなる。また協力隊を通じ、現場の状況を政策に反映できることはJICAの強みと言える。

 7.教員教育について、ルワンダの特徴を生かした事例はあるか。

 7.回答: 生徒が関心を持つような授業を行うための教員教育は認められつつあるが、教員自体の質をどのようにあげるかという議論については遅れている印象を受ける。

〈ICT分野に関わる支援について〉
 8.ICT立国を掲げるルワンダの発展にJICAはどのように支援しているのか。他組織との役割分担・連携についても伺いたい。

 8.回答: 5つのプロジェクトにてICTを取り扱っている。例えば、中小企業支援の一環として、民間企業の算数ソフトを用いた事業展開を行っている。
他組織については、ODA実施機関だけでなく民間との連携が不可欠だと捉えており、民間含めたステークホルダーの橋渡し・ネットワーク構築がJICAの役回りの1つであると認識している。様々な分野の人と開発課題をシェアし、それぞれの強みを生かしてall Japanとして課題に取り組むことが大切である。その一例として、神戸市とキガリ市のICT分野での連携が挙げられる。ルワンダ人が神戸のICT企業にインターンし、神戸の企業はキガリで事業展開するという戦略をとっている。これからも日本企業の強みを活かした取り組みを行いたいと思っており、ルワンダ政府が日本に求めているものを対話ベースで探り、進めていく。


5. 参加者所感

JICAはルワンダの国策に基づき、支援を実施している。
ルワンダには、20年前のジェノサイドに戻らないという強い想いがある。カガメ政権に対して様々な意見があるが、カガメ大統領はジェノサイドを終わらせた一番の貢献者でもあり、国策を元に強いリーダーシップを発揮しているのは事実。
国として、加害者と被害者が向き合って未来に向かって前進しようとしている。

執筆者:村田 友美、藤居 由依