第9回 亀井 温子(かめい あつこ)さん
第9回 亀井 温子(かめい あつこ)さん
国際協力機構(JICA)
インターン先:UNICEFバングラデシュ事務所
国連本部人道問題調整局
Save the Childrenミャンマー
国際協力機構(JICA)を休職し、コロンビア大学SIPAを5月に卒業後、現在Save the Children Myanmarにてインターンをしている亀井温子(はるこ)です。国連フォーラムでは、ML管理、事務局、勉強会担当をさせて頂いておりました。
さて、JICAを休職しSIPAに留学していた間、2005年夏にUNICEFバングラデシュ事務所、2006年春に国連本部人道問題調整局、そして卒業後Save the Childrenミャンマーと、3つの機関でインターンをする機会を得ましたので、今回はその経験についてシェアさせて頂きたいと思います。これまでにインターンシリーズに投稿された皆さんと違って、私自身はインターンをその後のキャリアにつなげる経験としてというよりも、自分自身がそれまで携わってきたバイドナーと異なる組織の開発のアプローチを経験することにより、より広い知見を得たいということが動機でしたので、キャリアパスの視点からはあまり参考にならないであろう点を予め記しておきます。
■1■ インターンシップへの応募から獲得まで
UNICEFバングラデシュ事務所:SIPA入学以前、ネパールにおいて3年間教育セクターを担当した経験から、特に南アジアにおいてSWAPsおよびドナー協調が進んでいる中でプール資金に参加できないマルチドナーの役割、およびユニセフのサービスデリバリーとフィールドオペレーションの優位性に興味があったことから、インターン先の第一希望をUNICEFバングラデシュとしました。カントリーオフィスでのインターン受け入れはオフィスごとに申請を受けるため、予めアプリケーション書類を指定の期日までに送付。同時に、JASID(国際開発学会)NY支部学生部会のイベントを通じてお会いし、またその後国連フォーラムでお世話になっていた久木田さんにお願いし、バングラデシュ事務所に後押しをして頂きました。久木田さんのプッシュに加え、受入を希望した教育セクションのチーフにネパールでお会いしたことがあったことも幸いしてか、すんなりと内諾を得る事ができました。
国連OCHA人間の安全保障基金ユニット:こちらは大変イレギュラーな形で受入をして頂きました。大学院の最終学期、履修科目が少なくなると目処がついた時点でインターン探しを始めたため、国連の定期的な採用はすでにいずれも閉め切られた後でした。このため、国連とは全くことなる機関に受入を打診していたのですが、「前例がない」とのことで話がなかなか進まず、このような状態をふとしたことでお話した国連フォーラムの田瀬さんのところで、急遽受入れて頂けることとなったものです。国連本部が年3回実施している定期受入とは全く異なるタイミングで、内諾を得てから実際の勤務開始まで1週間程度という異例のスピード処理をして頂きました。
Save the Children:大学院卒業後から休職期間終了までの2ヶ月間をNGOのフィールド事務所での経験を得る機会としたい、という考えに至った時点で、ネパールで一緒に仕事をさせて頂いたことのある方に連絡をとり、その方からの推薦と紹介を得て、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンから内諾を得ました。また、SCではアライアンスとしての統合が進んでおり、最終的な受け入れはジャパンではなく、UK, US, Japanが統合された事務所での受入となりました。
と、ここまで読まれた方の中には、どれもこれも「コネ」を使って、と、思われた方もいるかもしれません。ですが、「コネ=ネットワーク」はインターン獲得においても、仕事においても重要なファクターである、ということを敢えて強調しておきたいと思います。特に何十、何百とアプリケーションが殺到する国連のインターンにおいて、適当な方から推薦を得ることに意味があるのは明白です。また、ネットワークとは、単に多くの人の顔と名前を知っているということではなく、相談しアドバイスをお願いできるだけの関係にあることだと思います。
■2■ インターンシップの内容
それぞれのインターンの内容を詳述すると長くなりますので、主たる業務に限ります。
ユニセフ:教育サブセクタープログラムにおけるユニセフプログラムのレビューや提言とりまとめ、フィールド調査、JICAとの連携促進等
OCHA人間の安全保障ユニット:基金運営のデータベースデザイン、写真展開催のためのコーディネーション、JICAと基金の連携促進等
Save the Children:Nutritionプログラムに関する各種報告書作成サポート、JICA/MOFAによるNGO支援事業のガイドライン英文要約作成等
以上多岐に渡りますが、当方休職中とはいえJICA職員であるということから、JICAとの連携に関する窓口的な役割を期待されたことが共通しました。
■3■ 生活、準備等
途上国での生活は既に経験済みであったため、特に生活や準備において困難と感じたことはありませんでした。しかしながら、現地では特に邦人の関係者のみなさんに大変お世話になり、生活面のみならず業務についても色々とアドバイスを頂くことができました。一般的には、途上国への渡航が初めてになる方は、予防接種の準備を早めにされることをお勧めしておきたいと思います。
また、大学院の学期中に行ったインターンは、履修科目が少なかったとはいえ、学校の授業、課題と試験をこなしつつ、週5日(うち2日は半日づつ)出勤していましたので、特に卒業前はかなり余裕の無い生活になりました。自分自身のキャパとのバランスの見極めも重要かと思います。
■4■ その後と将来の展望
インターンは、様々な組織の中に一時的に身を置いて仕事をさせて頂き、多くの人に出会い、多くのことを見聞することができる、希有な機会です。日本の民間企業とJICAと合わせて約10年余の職務経験がある上で、「現在は学生である」というアドバンテージを活用して得たインターンの機会は、それぞれの組織のミッション、ワーキングカルチャー、アプローチ、などを実際に体験しつつ学ぶことのできる素晴らしい経験でした。キャリアパスを抜きにしても、インターンをやる価値と意味は大きいと思います。
私自身は、7月中旬にJICA本部に復職致します。ですので、今後は日本のODAにおいて開発に携わって行く予定です。その際に、この2年間の間に持てたインターンの経験を、様々に活かせて行けるよう努力したいと考えています。