国連フォーラム関西支部 特別企画 私の提言会〜私の一言で、人が動く、世界が変わる〜開催報告
2018年8月4日実施
文責:米田 奈央
2018年8月4日(土)に、賢者屋大阪梅田店にて、国連フォーラム関西特別イベント「私の提言会」を開催いたしました。そのご報告をさせていただきます。
【イベント概要】
《企画背景》
2015年にSDGsが採択されて以降、「ゴール17:パートナーシップで目標を達成しよう」を基盤に 様々な機関や団体、個人が連携を行い世界が直面する貧困などの課題に取り組んできました。国 連フォーラム関西は、関西における若者を対象とし、国連、特にSDGsに関する議論や情報共有、 参加者同士のネットワーキングを行う場を提供することを軸に活動を行ってきました。今年度3月に は第一回関西ネットワーキングカンファレンスの開催を終え、高校生をはじめとする多くの学生が、 開発課題において関心を持ち、問題意識を抱えながら、各自活動や知識の習得を行っていること が明らかとなりました。
また、同イベントにて、国連フォーラムの共同代表である久木田氏より「議論し、新しいコラボが 生まれたら素敵だ」という言葉が述べられ、国連フォーラム関西が議論やネットワーキングを通して 世界の発展への実行が生まれる可能性のある場でもあることを認識しました。
これらを踏まえて、本企画「私の提言会」は、国連フォーラムのウェブサイト掲載の「私の 提言」(http://www.unforum.org/teigen/index.html )を参考に、若者が自身の経験や知識に基 づき議論し合い、より有効な活動へのヒントを得、また新たな協同の可能性が生まれることを期待して企画されました。
《企画目的》
本企画は以下の内容を目的および到達目標として開催しました。
- 国連フォーラムが政策発信の場としての発展を目指すことを理解し、現在の政策を見つめ直し、問題提起を行う場をつくる。
- 参加者の活動報告・研究報告に基づき、議論を行い、自らの取り組みを見つめなおす場を提供する。
- 参加者同士が共通点・共通の課題を探す中でネットワークを構築し、新たな協同の可能性を探る機会を提供する。
- 開発アジェンダに関する取り組みをより良いものにし、将来を担う若者の後押しとなることを目指す。
【開催報告】
「安心して失望できる社会」今井けい 氏
「『死にたい』そう思ったことは、ありませんか?」という衝撃的な問いかけに始ま り、精神の健康をテーマに今井さんの提言発表が行われました。
自殺の約80%が低・中所得国・貧困国で起きているということから、国際協力・SDGsを考える上でも無視できない現状があるということを学びました。自殺の際に使用される農薬の管理や、労働環境の整備、精神疾患に対するサポートなど、様々な課題があると紹介いただきました。
そのような現状がある中で、今井さんは「安心して絶望できる社会が自殺を減らす」と いう提言を行い、何かがあっても頼れる社会にしたい、医療従事者として何ができるか を今後も考えていきたい、と語りました。ディスカッションにおいては、3つのグルー プに分かれて議論が行われました。複数ある自殺の要因に対して、様々な人が自分ので きることを考え行動する必要があることを確認しました。
上2枚:「私の提言」をプレゼンする今井さん。 下2枚:ディスカッションではグループに分かれて話し合いを行いました。
「官民連携と国際開発」高見純平 氏
官民連携(PFI)という言葉は国際開発の現場でも良く聞く言葉ですが、その官民連携に 成功の判断はついていない、と高見さんは言います。
従来の公共事業とは異なり、一括 して民間に任せるのがPFI事業であり、日本の地方自治体での商店街活性化の例を挙げ て、説明していただきました。国際開発の関連において、途上国向けのPFI事業は多くなっていること、またPFI事業のメリットと抱える課題について学びました。
このような PFIの現状がある中で、「国際開発業界を支える人材をどのように確保し育成するか」という問題に対して高見さんは問題提起しています。
ディスカッションでは、高見さんが 国際協力に関心をもった背景や、なぜ国際協力に関わる人が少ないと思うか、人材を増やすにはどのようにすべきだと思うか、などの質問が出ました。最後には、今後求めら れる人材のタイプや素養についてお話頂き、参加者にとっても将来を考える良い機会と なりました。
上2枚:「私の提言」をプレゼンする高見さん。 下2枚:ディスカッションでは、参加者からの質問に対して高見さんが返答しつつ、会場全 員で考えました。
「Using Technology to Prevent Disease Outbreaks」Abdilahi Mohamed H. Hussein Rabi 氏
ICT(情報通信技術)は病気の発生を防ぐことができるのか、という問いかけからラビさ んの提言は始まりました。
まず最初に、病気の大流行の定義を確認し、それによる開発 や発展に対する影響、どのような国際機関・国家機関が病気の管理を行っているのかについて学びました。病気及び健康に関する現状・課題がある中で、ラビさんは情報収集 から決定の過程に着目し、そこにICTの技術をしようできないか、と研究しているそうです。
現状としてどのような技術が存在するのかを紹介していただいた後、ラビさんは「 IoT(Internet of Things / モノのインターネット化)による活用を」と提言しました。ディス カッションでは、ラビさんの出身国ソマリアでのインターネット状況、感染病対策にお けるSNSの有効性、それから政府による監視の必要性などに関する議論があり、技術の 発展とそれによる国際協力の効率化や可能性などに想いを馳せる事ができました。
上2枚:「私の提言」をプレゼンするラビさん。 下2枚:参加者の質問に答え、IoTの現状などについて学びました。
講評
講評のセッションでは、国連フォーラム関西の共同代表であり、関西学院大学詔勅客 員教授である久木田さんに実務経験を踏まえて、各提言者に対するご講評を頂きまし た。また、イベント後には「ぜひ、またこのようなイベントを開催してほしい」とのコ メントを戴きました。国連フォーラム関西の運営メンバー一同も、今後も「私の提言 会」のような企画を開催していきたいと考えております。
《参加者の声》
参加者の皆様からのアンケート結果を一部抜粋してご紹介いたします。
- 「興味深い提言で、新たな視点を得ることができた」
- 「普段あまり考えないようなことで、ディスカッションをして、提言者の方の考え を知ることができ、自分の世界が広がった」
- 「発表とかいろんな人の意見を聞いて、自分も小さなことから行動を起こしていけ たらいいなと思いました。」
- 「他の学生が思っている事を聞くという経験はあまりないので、とても参考になる ものでした。」
- 「他の提言内容は自分のものとは違い、刺激が得られた」
『私の提言会』にお越しくださった皆様、誠にありがとうございました。今回残念ながら参 加ができなかった方も、次回以降のご参加をお待ちしております。今後とも、国連フォーラム関西支部をどうぞよろしくお願いいたします!
また、国連フォーラム関西支部のFacebookグループページやホームページでは、国連や国際協力に関する情報共有を行っております。関心のある方はぜひチェックしてみてください!