第24回 西川 絢子(にしかわ あやこ)さん

第24回 西川 絢子(にしかわ あやこ)さん

コロンビア大学国際関係・公共政策大学院(SIPA)
インターン先:UNDPウガンダ事務所・UNEPアジア太平洋地域事務所 

環境省からの派遣によりコロンビア大学の国際関係・公共政策大学院 (SIPA)に在籍している間、夏季休暇を利用して、国連開発計画(UNDP)ウガンダ事務所(ウガンダ・カンパラ)で2ヶ月間、国連環境計画(UNEP)アジア太平洋地域事務所(タイ・バンコク)で1ヶ月間インターンする機会を得ました。インターンシップの獲得方法はやや変則的ではありますが、インターンを通じて感じたことなど、何かしら皆様の参考になれば幸いです。

■インターンシップの応募から獲得まで■

UNDP: 仕事でオゾン層保護に関する開発途上国支援業務に携わり、資金拠出(ドナー)サイドからのプロジェクト管理の経験があったことから、インターンでは、実際にプロジェクトを実施する現場により近いところで働きたいという思いがありました。また、大学で環境と開発について専攻する中で、アフリカの国々が他の地域と比べて著しく発展の波から遅れてしまったワケを考えるヒントになればと思い、アフリカ地域でのインターンを希望しました。そこで、かつての仕事上のカウンターパートである、UNDPニューヨーク事務所の友人にアフリカでのインターン機会について紹介をお願いしたところ、ウガンダ事務所で可能性があるということから、彼女の同僚を通じてウガンダ事務所に打診し、最終的にウガンダ事務所及びウガンダ環境庁(NEMA)の承諾を得て、受け入れが決まりました。友人には一年前の秋からコンタクトを始めましたが、プロジェクトの資金確保に時間がかかっていたこともあり、本格的に話が動き始めてから内諾を得るまでに1ヶ月、受入時期を確定するのに更に1ヶ月を要しました。

UNEP: 同じく前職時代のカウンターパートであるUNEPの友人が率いるチームが当該分野で高い評価を得ていたことから、友人を訪ねる傍ら、うまく機能している組織の例をより間近で見たいと思ってインターンを申し出たところ、二つ返事で快諾いただきました。

■インターンシップの活動内容■

UNDP: ウガンダでは、UNDPとUNEPがパートナーシップを組んでNEMAとともに実施するSAICM(化学物質管理に関する戦略的アプローチ)プロジェクトの立ち上げ支援を行いました。肩書き上はUNDPのインターンですが、NEMA内のプロジェクトユニットに席を置き、NEMAの上司の指示を仰ぎつつ、プランニングや契約に関する種々の文書作成や、NEMAとUNDP、他の政府機関との連絡調整などを行いました。途上国政府の内部から、組織運営やプロジェクト実施の様子を眺めることが出来たのは非常に貴重で有意義な経験でした。

UNEP: タイでは、環境犯罪に関する官民連携(public-private partnership)ワークショップ(モンゴル・ウランバートル)の開催支援や、スウェーデン政府が実施する多国間環境条約の施行プロジェクトにおける日本政府との連携支援などを行いました。仕事でよく見知ったテーマであっても、国際機関の立場から改めて捉え直すことは、新鮮で様々な気づきがあり、また、ウガンダでのカントリーオフィス(現地事務所)と、タイでのリージョナルオフィス(地域事務所)の違いなども客観的に見ることができました。

▲モンゴルの伝統的住居(ゲル)の中で行われたワークショップ

■資金確保、生活,準備等■

国際機関でのインターンは基本的に無給ですので、現地での生活費や旅費等について、第三者機関の奨学金等を広く当たってみることをお勧めします。私は、大学のトラベルグラントを使ってアフリカまでの旅費の一部を補填しました。

また、一般的に、アジアでは安い住居が豊富にありますが、アフリカでは外国人用住居に入ることになるため、住居費が高くつきます。機関によっては、現地職員の家にホームステイという選択肢もありますので、受け入れ先機関とよく相談すると良いでしょう。私の場合、ウガンダでの滞在当初はUNDPの職員が紹介してくれた賃貸アパートに住んでいましたが、後半は、現地の大使館やJICA等の邦人職員の方々の御厚意により、夏季休暇で一時帰国される彼らの住まいに居候させていただいていました。

そのほか、ウガンダに行くに当たっては、国連のセキュリティトレーニングを事前にオンラインで受講する必要があり、加えて、着任後のセキュリティブリーフィングに参加することも求められました。

■これからインターンを希望する方へのメッセージ・アドバイス■

2年間の学生生活で学んだことの多くはインターンを通じて得たと言っても過言ではないほどに、様々な組織の中に一時的に身を置いて内部から組織の様子を垣間見ることのできるインターンは、私にとって非常に貴重な経験でした。学生であるからこその特権として、将来の就職先候補のプレ体験として、またキャリアアップのためのネットワーク作りとして、インターンを活用することの意義は大きいと思います。

その一方で、仕事のおもしろさが、配属先の部署や上司など多分に運に左右されるため、仕事自体に過剰な期待を抱くことはできないという現実があります。インターンシップを通して何を得たいかを自分の中で明確にしておくことが、効果的なインターン探しの助けになるのではないかと思います。

また、実施期間についてですが、私は上記の2機関に加えて、UNEPの北米事務所(ワシントンDC)において2週間の短期ビジター、また学期中にUBS(投資銀行)(ニューヨーク)において約4ヶ月間のインターンを行いました。そうした経験を通して感じるのは、短期間での実施だと、自分が既に詳しい分野でない場合、出来ることに限度があるということ、逆に長期の場合、仮に仕事があまりエキサイティングでなかった場合のリスクがあるということです。また、学期中のインターンは学業との両立のための負荷がかかり、業務への集中度も低下しがちなため、そうした点も考慮した上で実施期間を検討すると良いと思います。

最後に、一口に国際機関と言っても、組織の様子は実に千差万別です。インターンを通じて相場観を掴むことは重要ですが、それと同時に、自分の所属した組織は、あまたある国際機関の単なる一例に過ぎないことを常に意識することが、国際機関を誤解なく理解する上で大切であると思います。

2008年9月20日掲載