第51回 吉田 祐樹(よしだ ゆうき)さん

UNDPニューヨーク本部前

第51回 吉田 祐樹(よしだ ゆうき)さん

ニューヨーク大学大学院 国際情勢研究科修士課程終了
インターン先:国連開発計画  ニューヨーク本部 (UNDP New York)
インターン期間:2013年8月-12月(4ヶ月)

■はじめに

ニューヨーク大学大学院国際情勢研究科修士課程2年目在籍中に、国連開発計画 (UNDP) ニューヨーク本部でインターンをしていた吉田祐樹と申します。ここでは、私が4ヶ月のインターンシップを通して学んだこと、感じたことを率直に述べさせて頂きます。

■インターンシップの応募と獲得まで

私が在籍していたニューヨーク大学は、国連とのコネクションが強く、毎週、学生を対象に国連インターンの空席ポストの紹介メールが配信されました。以前から国連が行っている開発、平和構築の活動に興味があった私は、そのメールをきっかけに、国連機関でのインターンシップ獲得を目指して、採用情報が掲載してあるウェブサイトをチェックするようになりました。競争率が激しいことは承知でしたが、3つほど興味深いUNDPのポストを見つけたので、(だめもとで)レジメを送ってみると、運良くその内の1つからインタビューに呼んで頂き、その後2週間程の選考期間を経て、UNDP Bureau for Development Policy (BDP) Democratic Governance Group (DGG) のKnowledge Management and Researchのインターンポストを獲得することができました。当初は、夏期インターンとしての契約だったのですが、夏はSearch for Common Groundのリベリア事務所でのインターンが既に決まっていましたので、UNDPの上司に交渉し、8月中旬開始に変更をしてもらいました。たまたま私の担当上司が融通のきく方でしたので希望が通りましたが、インターン期間の変更はいつも認められるとは限りません。

■業務内容

インターンとしての業務は大きく分けて2つありました。1つ目は、DGG内で2週間に1度発行するニュースレターの作成です。ニュースレターでは、民主統治に関するホットな話題、イベント、トレーニング、オンラインコースなどの紹介、DGGの最新空席ポスト及び刊行物紹介など、提供する情報は多岐にわたります。作成にあたり、自分でも上記の情報を求めてリサーチする中で、様々な民主統治に関する知識、関連国際機関、国際NGO団体、研究機関などを知ることができ、大変良い機会となりました。特に刊行物紹介にあたっては、DGG外で民主統治について書かれてある学術論文もニュースレターで紹介することを提案し、その案が採用されてアカデミアでの議論にも幅広く触れることができたのは、研究者志向が強かった私にとっては大変有益でした。4ヶ月のインターン期間中、合計8つのニュースレターの作成、そしてアップロードまでの全工程に携わらせて頂きました。

2つ目は、Consolidated Reply(日々、DGGのフィールド職員から様々な質問がTeamwork (UNDP専用のSNSのようなもの) に掲示され、それに対しての回答及びフィードバックを、私たちニューヨーク本部のKnowledge Management チームがまとめ、質問者及び全世界のDGGの職員が閲覧できるようにするという作業)の作成です。です。作成した書類はデータベースに保存し、似たような質問が再度あった場合の参考資料としても機能します。基本的に、1つの資料を作成するために2週間超程度の相当なリサーチ量を求められました。また、自分の修士課程での専門分野と少し違う内容の案件を担当した時は、草案が何度も却下され、挫けそうになったこともありました。インターン期間中、私が作成した資料は5つあり、現住民族によるガバナンスにおける課題、情報開示と説明責任、行政におけるジェンダーの問題、民間セクターの公共サービス提供における利点及び課題、平和構築と社会契約との関連性などの案件を担当しました。1つの資料を作成し終わる頃に、自分にその分野のかなりの知識がついていることを実感できるのが、この業務の最大の醍醐味でした。

■資金確保、生活、準備について

資金について:全ての国連本部、国連機関のインターンは無給です。日々の少しの給付金も出なければ、生活費、交通費ももちろん自腹です。しかも、基本的にフルタイムでの勤務なので、アルバイトなどをかけもちすることも困難かと思われます。私は、幸いにも当時ニューヨーク大学に通っていましたので、ニューヨーク本部でのインターンのための新たな出費は生じませんでしたが、私の周囲にはインターンのためだけに自国から世界一物価の高いニューヨークまで来ている人もたくさんおり、到底自分は真似できないと思いました。なので、インターンポストに応募する前に、まずそのインターンを期限満了までやり切れる経済力があるのかという、現実的な質問を自身に投げかける必要があります。

生活について:私は、当時修士課程2年目で、インターンをやっていた学期は授業を3つとっていましたので、学業との両立が本当に大変でした。午前9時から午後5時まで仕事でしたので、基本的には夜の授業しか取ることができませんでした。更に、その年の暮れには、目指していた博士課程の応募の締め切りもあり、必要書類の準備やGREの勉強にも追われ、インターンに集中できない時期もありました。授業も博士課程の締め切りも何もなく、インターンだけに集中できていれば、もっと濃い経験ができただろうなと後悔していますが、それ以上に、自分の当時の時間管理能力の低さを悔いた方が建設的だと分析しています。

応募までの準備:各ポストの仕事内容や必要な資格条件を何度も読んで、採用側がインターンに求めている能力、スキル、人物像を十分に理解し、レジメの内容を若干ずつ変えて、自分の売り込み方を変える必要があり得ることを強調しておきます。レジメに関しては、私は所属大学のキャリアセンターに数回足を運び、アドバイザーに効果的なレイアウト、表現の仕方等を細かく教わりました。書類審査通過後の電話インタビューに関しては、自分のこれまでの職歴及びインターン経験における具体的な成果について話せるように準備しておいたほうが良かったと、インタビューを終えて感じました。

UNDPニューヨーク本部前

■その後の将来と展望

現在は日本に帰国して就職活動をしていますが、国際協力、平和構築分野での職務経験(インターンは含まない)のない私にとっては、大変厳しいのが現実です。しかし、近い将来は、外務省専門調査員を経て、Junior Professional Officer (JPO) として国際機関に派遣され、その後正規職員になることを目指して頑張っていきたいと思います。また、現場で実務経験を積む中で、平和構築の中のどの分野の研究が手薄になっているかを探り、機会があれば博士課程に進学したいと考えております。

2014年11月23日掲載