第54回 梅田 直愛(うめだ なおみ)さん
第54回 梅田 直愛(うめだ なおみ)さん
上智大学 外国語学部 英語学科4年
インターン先:UNV・カンボジア事務所(UNV Cambodia)Youth Volunteering Specialist担当
インターン期間:2014年9月~2015年2月 (5ヶ月)
■はじめに■
上智大学外国語学部英語学科4年の梅田直愛と申します。カンボジアのUNV事務所へと国連ユースボランティアとして5カ月間派遣されました。
■国連ユースボランティアの応募と獲得まで■
「国連ユース・ボランティア・パイロット事業(詳細は以下URL:http://unv.or.jp/whatwedo/youth/ )」という、大学のプログラムを通じて、インターンシップに参加しました。国連ユースボランティアは、国連ボランティア計画(UNV)と日本の6大学が連携し、学生を開発途上国へ国連ボランティアとして派遣するプログラムです。2012年に発表された国連事務総長の5か年行動計画に基づいてUNVが準備を進めている「国連ユース・ボランティア・プログラム」の設立の一部としてパイロット事業が実施され、今回は2回生としての派遣でした。参加大学から計12名がアジア、アフリカ、太平洋諸島、東欧の各国へと1人ずつ派遣され、国連スタッフの一員として業務に従事しました。
国連ユースボランティアを志望した理由は、2つあります。
まずは、国連が社会に果たす影響・役目を肌で感じたかったからです。大学卒業後は、民間企業を通じて、開発に寄与したいと考えています。中でも、民間企業と国連の連携を強化したいと考えていることから、学生である今しかできない国連インターンを通じてUNシステムを学びたいと考え、応募しました。
次に、自分のこれまでの活動・今後果たしたい活動をUNでの仕事を通して貢献したかったからです。大学時代は、より多くの人に国際協力への「当事者意識」を生み出すための活動をしてきました。具体的には、BOPビジネスや大学食堂での寄付金付きメニュー販売など、様々な国際協力の在り方を提案する活動をしてきました。大学の「国連ユースボランティア」プログラムが募集していたポジションが有難く自分の活動の軸と合致していたことから、応募に至りました。
インターンシップ獲得までの流れは下記の通りです:
- まず、大学向けに志望動機や将来設計を記入した応募用紙と英語力証明書を提出します。
- 書類審査合格後には、大学の担当教授複数名と日本語・英語で面接を行います。
- 面接合格後は、CVをUNV本部(ドイツ・ボン)へと送付します。
- その後には、派遣国の事務所との電話インタビューを実施し、派遣が決定します。
- 派遣確定後は、他の派遣生と共に集中的なトレーニングを計2週間受けることになります。主にICTスキル、国際機関の知識、リスクマネージメントなどを中心に準備をしました。
■国連ユースボランティアの内容■
オフィスはプログラム・オフィサー、 プログラム・アシスタント、 もう一人のユース・ボランティアと私の四人構成でした。ほとんどの業務はもう一人のユース・ボランティアと共同で行い、一つのチームとして二人分の作業に取り組んでいました。
具体的な業務内容は三つありました。
①イベント企画・運営:事務所はあらゆるアクターを対象に「ボランティアリズム」に関する議論や情報交換のプラットフォーム作りを行うため、イベント企画・運営に関わる機会が多く与えられました。具体的には、ハイレベルの国際会議、国際ボランティアデーを祝う900人規模の学生向けイベント、そして地方での少人数制のワークショップイベントのロジスティックスを補佐しました。
国際ボランティアデーのイベントにて
②ユースボランティアのネットワーク強化:プノンペンで活動する学生団体の各代表者で構成されたネットワークのマネージメント業務を補佐しました。具体的には、事務所が主催するイベントで学生にボランティアするための機会提供を行ったり、情報・意見を交換し合う場を提供していました。このネットワークとは月に1,2回で会議を開催していましたが、通常業務の合間を縫って個別で打ち合わせすることもあり、ことばの壁に当たることが何度もありました。相互が英語を第二言語とするからこそ、言語力だけでなく「コミュニケーション能力」の向上の必要性を痛感しました。
ユースボランティアの学生達と共に
③広報活動:主にニュースレター、報告書とビデオ制作、そしてソーシャルメディア運営を通じて事務所の活動内容を紹介していました。もう一人のユースボランティアと共同で広報媒体を作る際、各セクションの担当分けをしたことで、文章のバラつきが生じることに気づきました。せっかくあらゆる媒体があるのにも関わらず、各媒体の強みが活かされていなかったり情報が重複していることに気づきました。そこで、各媒体のターゲットや目的をしっかりと事前に話し合ってコンセンサスを得る提案をしたところ、発信情報や文面を選別洗練することができ、業務もスムーズに進めることができました。
■経験の感想■
全オフィス内で唯一の学部生でしたが、年齢はあまり関係なく、想定以上にフラットな勤務環境だったことが良いギャップだったように思います。そのため、「自発性」が大いに伸びる環境でした。積極的に意見を主張し、自分から仕事を取りに行くチャンスを多く与えられ、根気強さやハングリー精神が鍛えられたように思います。また、フラットな環境である分、「即戦力」として求められることが多いことから、仕事への評価は厳しかったです。おかげで、自分を常に客観視することができ、身を引き締めて業務に取り組むことができました。せっかくのフラットなワーク環境であるのに、専門性や知識が足りないことから会議での発言の機会を逃したり、任されるタスクが限られたりと、悔しい思いをすることが多々ありました。しかし、おかげで今後の自分の課題を見出すこともでき、総じて非常に有意義な経験となりました。
勤務最終日に他の国連ユースボランティアと共に
■その後と将来の展望■
国連ユースボランティアを終えた今は、春から大学5年目を迎える予定です。残りの大学生活は、国際政治などマクロレベルで開発の勉強を深めたいと考えています。また、上記にもありますが、大学卒業後は民間企業への就職を考えています。ファーストキャリアとする就職先では一ビジネスマンとしてのスキルやノウハウを身に付け、セカンドキャリアは民間企業に属しつつより多くの人が自尊心をもって、自分の力を発揮しながら社会貢献できる仕組みづくりをしていきたいと思っています。
■これからインターン・国連ユースボランティアを希望する方へのメッセージ■
How(どうすればインターンを受かるのか)の先に、Why(そもそもなぜインターンに参加したいのか)を徹底的に考え抜いていただければと思います。インターンに参加する目的は一人一人違っていてもいいと思っています。ただ、目的が明確であることによって、インターン期間中はどのように自分が行動すべきなのかがわかってくるはずです。インターンは数カ月間と、非常に限られた時間しかありません。オフィス内でももちろんですが、オフィス外での時間も是非フルに活かしてください。積極的に人に会い、見たいと思うものを見に行き、学びたいと思うものを思うがままに学びに行ってください。私自身も出会いや出来事が一つ一つ、自分を成長させたように思います。是非目的を忘れず、当事者意識を持ちながら、一日一日を大切に過ごして頂ければと思います。
2015年7月11日掲載
ウェブ掲載:藤田綾