第56回 金子 梓(かねこ あずさ)さん
第56回 金子 梓(かねこ あずさ)さん
青山学院大学 国際政治経済学部 在学中
インターン先:WFP国連世界食糧計画・日本事務所(民間連携推進部門)
インターン期間:2014年5月~2014年10月
■はじめに■
2014年5月から10月までの6ヵ月間、国連WFP日本事務所でインターンをしていました、金子梓 (かねこ あずさ) と申します。現在は青山学院大学 国際政治経済学部4年に所属しています。2014年4月より休学をし、当インターンシップに参加いたしました。
■インターンシップの応募から獲得まで■
私が当インターンシップを志望した理由は2点ありました。1点目は、就職活動を迎える大学4年生になり、卒業後の進路選択に当たって、高校の頃から憧れていた国連での仕事を体験した上で次の選択をしたいと思ったこと。そして2点目は、大学で国際政治を専攻する中で、「学問上だけでなく、より現場に近い環境で国連の国際協力を知りたい」という思いが強くなったことでした。
選考プロセスとしては、応募書類の提出や面接を経て採用に至りました。応募書類は英文履歴書と英文志望動機書の2点、また、面接の内容は、志望理由、過去の経歴を踏まえた自己PRなどでした。採用内定後には、健康診断書、大学在籍証明書、過去の成績証明書、卒業見込み証明書などの書類提出がありました。それまでに約1週間の準備期間をいただいたものの、書類の中では準備や手続きに予想以上に時間がかかるものもあったため、インターンを応募される方は、事前に準備を進めておくなど早目の対応を強くおすすめいたします。
■インターンシップの内容■
私は、国連WFP日本事務所の「民間連携推進担当」という部門で業務サポートをさせていただいておりました。国連WFP内での当部門の役割は、日本国内の個人や企業を対象に、世界の飢餓問題や国連WFPについて知っていただき、国連WFPの活動資金や物資を中心とした協力を得ることです。
私がインターン中に携わった仕事は、対国連WFP内部の仕事と、対国連WFP外部の仕事の大きく2つに分けられます。対国連WFP内部の仕事では、日本におけるWFPの公式支援窓口であるNPO法人 国連WFP協会との連携や、国連WFPローマ本部や他のカントリー事務所からの要人が訪日する際の補佐(ミーティングの資料作成や準備、議事録作成、宿泊先の手配など)に携わりました。また、対国連WFP外部の仕事では、NPO法人TABLE FOR TWOとの共催セミナーの企画・運営や、世界食糧デーに際したアメリカのファッションブランド、マイケル・コースとのタイアップ企画のプロモーション、国連WFPの学校給食支援についての紹介ムービーの作成に携わりました。このように、インターンシップ中は、国連機関にとどまらず、NPO法人や民間企業など幅広いアクターと関わりながら業務を進めました。
中でも特に印象に残っている業務は、6ヵ月間にわたって携わり続けた、NPO法人TABLE FOR TWOとの共催セミナーの企画・運営です。このセミナーは、飢餓問題に関心のある社会人や学生を対象に、全6回のセミナーにて飢餓問題について学び、最終的には参加者の方々で飢餓問題にアプローチをする企画を立案・実行していただくものでした。私は当セミナーの企画・運営にあたり、NPO法人TABLE FOR TWOや参加者との連絡窓口となり、国連WFPの一担当者として業務に当たり、時には司会進行を務めました。この経験では、大きな責任を感じながらも学ばされることが多々あり、周囲の方々のサポートやアドバイスをいただき、試行錯誤を重ねつつ、運営を進めていきました。
また、当インターンシップでは、世界の飢餓問題をリアルタイムで感じながら実務を通した経験をすることで、まさに「学問から脱して」国際協力に携われたことも大変印象に残っています。日々刻々と変化する情勢や次々と起こる問題に対し、国連機関が一丸となって対処するダイナミックさと大変さを感じた6ヵ月間でした。
民間連携推進部門にて、国連機関、NPO・NGO、民間企業など幅広いアクターと関わりながら仕事をすることで、「飢餓問題」という1つの問題に対し、上記のように様々な切り口からのアプローチの仕方があることを間近で実感したことは、大変学びに溢れる経験になりました。大学の中だけでは得られない、このような貴重な機会と経験をいただいたこと、また、日々ご指導いただいた職員の皆さまには心から感謝しております。
パシフィコ横浜
国連WFP日本事務所のオフィスが入る横浜国際協力センター
■その後と将来の展望■
インターンシップを通して民間企業の役割を再確認した現在、卒業後の進路は民間企業への就職を考えております。これまでは国連一点を目指していた私でしたが、学問上から離れ、実際に国連WFPのオフィスでの実務を経験することで視野が広がり、現在の考えに至りました。
このインターンシップを通じ、身をもって国連機関のはたらきや役割について学んだこと、また、国際協力の中での国連機関以外のアクターについて学べたことは、私の学生時代の中での大きな財産です。また、民間連携推進部門での業務を経験し、「国連という公的機関から離れたとしても、どこかで自分の仕事は国際問題や国際協力に関わっている」という気づきを得た現在、この気づきを心に留めながら、今後の進路にて、日々邁進してまいりたいと思っております。
■感想・アドバイス■
国際問題に直に携わり、あらゆるチャンスに挑戦させていただいた国連WFP日本事務所でのインターンシップ。民間連携推進部門の視点から、調査や分析などのデスクワーク、セミナーの運営や企業訪問への同行など、多岐にわたる業務に携わる中で、今後の進路選択に際し非常に大きな影響を受けた6ヵ月間でした。大学から離れ、仕事を通じた新たな経験や沢山の方々との出会いがある中で、国連WFPのオフィスにて国際協力の現場に身を置きながら1日1日の業務に全力で取り組み、今までになかったほどに大変濃く、学びに溢れる日々を過ごしました。
将来、国連での就職を目指されている方、少しでも国連の働きを間近で体験されたい方は、機会を探してインターンシップに挑戦されることを心からおすすめいたします。その上での私からのアドバイスは2点あります。1点目は「多くの人と出会い、行動し続けること。」そして2点目は、「なぜそのインターンシップをするのか、という目的意識をしっかりと持つこと」です。私自身、この点は冒頭の選考に限らず、その後のインターンシップを続ける中で、モチベーション維持のためにも常に意識していたことでした。
また、インターンシップが始まってから業務に関わる上で、私は次の4点にも気をつけていました。①組織・業務について、全体像を俯瞰しながら自分のいる位置や役割を認識すること。②自分が関わる業務の目的を意識すること。③任された仕事については、上司や周囲の職員の方々に向けた「報告・連絡・相談」を細かく行うこと。④「周囲に指示されたことをこなす」のではなく、「自分の頭で考え、工夫をしながら業務に当たる」意識を持つこと。こうした細かな取り組みを習慣化することで、その積み重ねが徐々に功を奏すのではないかと思います。
国際協力と一口に言っても、問題に対するアプローチの仕方は国連に限らず、NGOやNPO、政府機関、民間企業など、その切り口は数多く存在します。「なぜ、国連で働きたいのか。」「どのような目的でインターンシップをするのか。」就職やインターンシップの先にある目的を考えながら、考え、行動し続けることで、道は拓かれると思います。最後までお読みいただき、ありがとうございました
2015年9月19日掲載
ウェブ掲載:中村理香