第88回 「国際機関や開発分野でインターンシップを考えている人のための体験共有会」

日時:2014年11月15日(木)18時00分~20時00分
場所:コロンビア大学ティーチャーズカレッジ
パネリスト:大崎文子氏、橋本仁氏、本間靖健氏、羅佳宝氏 
コメンテーター:村田敏彦氏、矢島恵理子氏

写真①

■1■ はじめに

国連フォーラムでは、「国際機関や開発分野でインターンシップを考えている人のための体験共有会」をテーマに、パネルディスカッション形式で勉強会を行いました。

勉強会では、国連南南協力オフィス、国連大学国際グローバルヘルス研究所、国連Sustainable Energy for Allでのインターンシップ・ボランティア経験者、元JICA・JBICでの勤務経験があり、今年の夏に民間投資銀行でのインターンシップを経験した方、NGOの立場から国連でインターンを行っている方など4名をパネリストにお迎えし、インターンシップ獲得までのプロセスや、仕事内容、仕事を通じて得られた気付きについてお話頂きました。また、国連日本政府代表部・一等書記官として主に人事全般を担当されている矢島恵理子氏や、元国連職員でインターン生の採用や管理経験がある村田敏彦氏にも参加いただき、インターンシップの重要性やインターンシップからのキャリア構築法等についてコメントをいただきました。また、会場からはパネリストやコメンテーターへの質問で活発に手が挙がりました。

なお、以下の議事録の内容については、所属組織の公式見解ではなく、発表者の個人的な見解である旨、ご了承ください。

■2■ パネリスト紹介

大崎文子氏
現所属:Japan Society、 広報インターン
インターン先:国連南南協力オフィス(UNOSSC)
インターン期間:2014年4月より5ヶ月
Stony Brook UniversityのMA in Political Scienceを2014年8月に卒業。在学中に国連南南協力室でのインターンを経験。

本間靖健氏
現所属:School of International and Public Affairs (SIPA), Columbia University
インターン先:民間投資銀行
インターン期間:2014年6月より2.5ヶ月間
留学前は、JICA、JBICにて、南部アフリカ、トルコ、中央アジア向け円借款を担当。

橋本仁氏
現所属:The Department of Counseling and Clinical Psychology, Teachers College, Columbia University
インターン先:国連大学国際グローバルヘルス研究所(United Nations University International Institute for Global Health: UNU-IIGH)
インターン期間: 2014年7月より約2ヶ月間
現在は、アメリカ心理学会(APA)から「Psychology Graduate Student Intern at the United Nations」として派遣され、NGOの立場から国連本部でインターン中。

羅佳宝氏
現所属:地球環境戦略研究機関(IGES)
インターン先(1):国連Sustainable Energy for All
インターン期間(1):2014年5月より5ヶ月間
インターン先(2):国連南南協力オフィス(UNOSSC)
インターン期間(2):2013年2月より7ヶ月間
インターン先(3):Media Accreditation and Liaison Unit (MALU)
インターン期間(3):2012/2013年9月より国連総会のあいだ1週間
国連Sustainable Energy for Allでは、ボランティアからコンサルタントへの契約変更を経験。United Nations Human Settlements Programme (UN-Habitat)のインターン合格経験もある。

※掲載内容は2014年11月15日時点の情報です。

■3■ パネリストの発表

大崎氏:
2014年4月から国連南南協力オフィス(United Nations Office for South-South Cooperation: 以下UNOSSC) のパートナーシップ・三角協力課でインターンシップを経験した。オフィスの職員人数は30人弱。採用の流れは、2013年に国際人事センターのメーリングリストへ登録し、そのメーリングリストで配信された国連南南協力オフィスのインターン募集の告知を見て2014年3月に応募、面接へと進んだ。面接時には志望理由と経歴を問われ、短い時間で簡潔に説明する能力を求められていると感じた。

もともと政治学を専攻しており、コミュニケーションが世論形成にどのような影響を与えるかを学びたいと考えていた。よって、業務内容 の中に情報発信が含まれている本インターンシップに関心を持った。仕事内容はウェブサイトの管理、コンセプトノート作成(ウェブ戦略、三角協力の情報発信ウェブページ作成に関する提言)、既存の南南協力に関する調査、UNOSSC主催の会議運営サポート、その他、会議出席、会議後の議事録作成も経験した。

インターンシップを通じて感じたことは、第一に、インターンシップの応募・就労条件、学校側の単位認定条件をしっかり確認することが重要であること。第二に、イベントへの参加を通じて国際機関で働いている人の話を聞き自分の希望を具体化させること。第三に、インターン中は仕事で直接関わるかどうかによらず職場の人たちとのコミュニケーションをしっかりと築くこと。第四に、主体的に仕事に取り組み、自分なりの工夫をして仕事を行うこと、そして、その取り組みを周囲にも伝えていくことである。

橋本氏:
2014年7月から8月までマレーシア・クアラルンプールにある国連大学国際グローバルヘルス研究所(United Nations University International Institute for Global Health: 以下UNU-IIGH)にてインターンシップを行った。2014年9月からは、アメリカ心理学会国連部門(American Psychological Association at the United Nations:以下APA)でインターンを行っている。

UNU-IIGHを志望した理由は、「国際社会における精神保健」における第一人者の方が勤務していたことにある。いわば「国際関係とメンタルヘルスの交差点」というのがインターンシップを探す際の自分のキーワードであったが、現実の国際関係の中で心理学や精神保健がどう扱われているのか、またそれらに関する理解をどう具体的に政策に位置づけていくのかという点に関心があった。特に例えば、「災害・紛争等人道的緊急時における精神保健・心理社会的支援」、難民・人身取引の被害者のメンタルヘルスや支援に関心があった。まさにこういった分野をご専門とする方がいらっしゃったことから、UNU-IIGHでのインターンシップを志望した。

採用に至るには人とのつながりが重要だと実感した。国連フォーラムでお世話になった方にご紹介いただいたり、外務省国際機関人事センターにも足を運んだりした。また、大学院の先生方からもアドバイスを得た。最終的には、国連フォーラムの方から「UNU-IIGHに国際関係における精神保健の専門家の方がいる」とご紹介いただき、CVと共に連絡をしたことがきっかけで、インターンとして採用していただけることになった。UNU-IIGHでのインターンシップでは、(1)メンタルヘルスに関する様々な企画、(2)国連総会決議の調査・分析、(3)UNICEF主催のフォーラムへの参加、(4)マレーシアの精神科病棟の視察、(5)メンタルヘルスに関する論考の執筆など、幅広い業務を経験させていただいた。

APAから派遣されて現在行っている国連本部でのインターンは大学院の案内で知り、ホームページ上の公募から直接応募し、一次選考、面接へと進んだ。面接で大切なことは、志望動機を明確にすること、相手の興味関心や募集要項(TOR)に応じた説明をすることだと感じた。主な仕事の内容は、(1)Psychology Day at the United Nations(国連において心理学の重要性に関する意識を高めるためのイベント)の企画、(2)加盟国の人権政策に関する調査、(3)各種会合への出席、(4) 持続可能な開発目標とメンタルヘルスの関係についての分析等である。

UNU-IIGHは国連の機関である一方で、APAではNGOの立場で外部から国連の活動に関わっている。国連でのインターンシップといっても様々な携わり方があると思うので、これからインターンすることを考えていらっしゃる方には、是非色々な選択肢を柔軟に検討していただきたいと思う。インターンシップの応募にはネットワーキングは重要で、自分の専攻・大学の外にも足を運ぶことを勧めたい。自分の専門分野以外にも関心があれば、積極的に連絡を取ると好意的に受け止めてもらえる。また、自分の思いや希望を大切にしてほしい。

本間氏:
2014年の6月から8月中旬にかけて民間投資銀行でのインターンシップを行った。以前JICAに勤務していた際に、トルコ・イスタンブールにて東西横断用の新橋梁建設プロジェクトに対する円借款を検討したことがあった。この案件を通じて、資金調達方法には円借款というソブリンローン以外にも様々な方法があるのではないかと感じた。よって、民間投資銀行でインターンシップを経験することで多様な資金調達方法と民間企業の投融資判断を学びたいと考え、当インターンシップに応募した。

応募に際して、当初は基礎的なフォーマットに基づいた履歴書を作成していたが、他の日本人と差別化できる要素があまり無かったためか、なかなか選考過程で次のステップに進むことができなかった。そこで履歴書に「専門分野」という項目を新たに作り、自分の専門分野を端的に記載したところ、面接まで進むことができるようになった。また、面接まで進むためには、友人の紹介が非常に重要であった。面接では、金融機関を志望する以上、経済・金融問題に関する現状の認識は強く求められる。インターン先では財務分析や企業評価など、コーポレートファイナンスの授業で学ぶ内容を仕事で実践する機会を得た。開発援助業界でも、ファイナンスに関するスキルは需要があると考えられ、インターンで得られた知識と経験は非常に役立つと理解している。とりわけ自分たちの仕事が今後国際経済の潮流の中でどのような役割を果たしているのかを自分の言葉で説明できるようになっておくことは、開発援助業界は当然として、どの業界を目指す上でも、非常に大切だと感じた。

羅氏:
初めての国際機関での経験は、国連Media Accreditation and Liaison Unit (MALU)でのボランティアだった。国連総会という国連最大の国際会議を体験したいと考え、大学経由で告知されていた募集を見て応募した。国連総会では全加盟国が答弁を行う様子を実際に見ることができ、国連での仕事に更なる関心を深めた。その後、大学院の先輩がソーシャルメディア上で国連Sustainable Energy for Allイニシアティブ(SE4ALL)のボランティアを募集しているのを見て応募した。SE4ALLでは会議の開催に向けての企画・準備などを担当した。その後ボランティア時の仕事ぶりが評価され、契約コンサルタントとなり、気候変動サミットではイベントの企画・運営やその準備を全て担当した。国連は様々な面において最終決定が直前まで決まらないことがあるので、イベントや会議が滞りなく進捗するために、短期間で必要なことを判断して素早く実行する能力が求められていると感じた。

United Nations Human Settlements Programme(UN-HABITAT)に関してはインターンに合格したが、その後日本での就職が決まったので、最終的には辞退した。まず、インターンの募集は、ソーシャルメディア上で知った。大学院では日本の住環境に関する調査をしていたのでUN-HABITATでの取り組みには関心があった。翌日たまたまUN-HABITATが主催する会議があったので、会議に参加後、職員にUN-HABITATでのインターンに関心がある旨を伝え、応募書類を送った。国連でのインターンは競争が激しいので、興味のある機関の情報をソーシャルメディアや、メーリングリストなどを使って常に収集することが重要だと思う。

■4■ 村田氏(元国連職員&現OCCAMの対国連代表)、矢島氏(国際連合日本政府代表部一等書記官)からのコメント

村田氏:
正規のルートからの応募では、応募者が殺到する夏のインターンシップに合格することは非常に難しい。そのためインターンシップの募集情報を友人から紹介してもらうなどの方がより合格の可能性が上がる。常日頃から、ネットワークを広げ、情報をより多く取り入れられるような仕組みを作っておくことが非常に重要であり、合格を得るためにはそれなりの努力が求められる。

例えば多くのフランスの大学院では国際機関でのインターンシップを行わないと卒業ができないので、フランスから毎週のように応募書類が送られてくる。採用する側としては、応募書類を見てまず電話する。応募者もどの機関に履歴書を送ったか忘れているくらいであり、採用側もこのような学生の対応には慣れている。国連では各組織別の採用になっているので、優秀な応募者であれば複数の組織から合格を得て、他の組織を辞退することもよくあることである。

矢島氏:
国連日本政府代表部で、外務省職員(国家公務員)として国連の外から加盟国である日本政府の立場で、職務を行っている。現在の仕事のひとつが、国連における邦人職員の増強であり、その一環としてインターンシップを推奨している。今回のインターンシップ経験者の発表を受けて、日本と国連の人材採用文化が異なることを認識することの大切さを伝えたい。日本で就職をするうえでは、大学卒業後は企業の新卒一括採用といった、公式の採用活動の流れに乗ることが一般的だが、国連では日本のような新卒一括採用ではなく、様々な採用手段がある。その意味で、(1)国連の実際の職務内容を知り自分の将来を検討する上での材料とすること、(2) インターンシップを経験し組織の中に入ることは、将来の採用につながる可能性ともなり得るので非常に重要である。

応募の際には、なるべく多くの機関に申し込むことが大切。そして受け入れ側は来た順に応募書類に目を通す場合が多いので、なるべく早く申し込むこと。面接の際には、コミュニケーション能力や意欲をアピールすることが重要である。些細なことながら非常に重要なのは、応募書類の英語は正確に書くこと。また、国連では待っていては何も来ない。非常に競争率が高いといっても、必ず合格する人はいるので、最後まであきらめないで粘り強く挑戦してほしい。

■5■ 質疑応答

写真②

質問:日本人は自分をアピールするのが苦手だと思われるが、自分の売り方をどのように変えていったのか。

本間: 日本人は概してジェネラリストだと思われるが、面接では専門性を問われる。面接を通じて自己アピールのキーワードを認識し、経験を通じてアピール力を磨いていくことが大事。他人と比べての専門性ではなく、自分の認識している絶対的な専門性を記載することが重要。

質問:複数のオファーの中からひとつインターンを選ぶような状況もあるのか?
村田: 普通、インターンを選べるような状況にはなかなかならない。例え自分の専門性や興味がぴったりと合っていない組織の場合でも、もしインターンシップをする機会に恵まれたのであれば、実際に職場の環境を自分の目で見て、そこで働くことを経験することで、今後の方向性を考えることにもつながる。さらにそこで得た経験をもとにして、次のインターンシップを探すくらいの意気込みを持つことが大切。

質問:募集要件に全て合致していないと自分に自信が持てず、以前インターンシップに応募したが自信の無さが露呈して落ちてしまった。
羅: もし、募集要件に合致していない部分があっても、自分が今まで学んできたこと, 経験したことの中からその要件に近いものを探し、募集要項に関連付けて伝えることが大切。
村田 : 選考側としても募集要件にクリアしていることだけでなく、多様な要素(地域バランス、時期の問題等)を考慮したうえで、採用活動を行っている。そのため選考結果に一喜一憂しないことが重要である。

■6■ さらに深く知りたい方へ

このトピックについてさらに深く知りたい方は、以下のサイトなどをご参照ください。国連フォーラムの担当幹事が、下記のリンク先を選定しました。

外務省 国際機関人事センター
http://www.mofa-irc.go.jp/

国連日本政府代表部 人事センターNY支部情報
http://www.un.emb-japan.go.jp/jp/hr/index.html

国連でインターン
http://www.unforum.org/internships/index.html

企画リーダー:小田理代
企画運営:上川路文哉、志村洋子、高橋尚子、原口正彦、羅佳宝
議事録担当:高橋尚子
ウェブ掲載:中村理香