パプアニューギニア・スタディ・プログラム - 報告書「渡航中:Institute of National Affairs」
1.組織概要(事業目的)
Institute of National Affairs(以下INA)とは、企業などの私的資金援助の出資により成り立つ、非営利の研究機関(シンクタンク)である。主に80以上の企業が、INAの運営資金のファンディングや、公的機関とINAの共同プロジェクトのサポートに貢献している。INAは、市民社会の環境を改善し、人々がより良い環境で生きていくことができるような社会を強くするため、またそのような社会を作ることができるようモニタリングするために設立された。可能であれば将来的に政府からの支援が受けられれば良いが、まだ叶っていない状況である。この機関では、性暴力や経済開発など様々な研究分野に関して、それぞれ専門家が在籍し働いている。また、PNGは独立以来、オーストラリアを始めとする海外援助と共に発展してきたため、INAの事業にも海外援助機関が関わることが多い。オーストラリアだけでなく、ドイツ政府も開発課題解決に従事しており、アジアの援助機関としては日本のJICAによる援助に関する長年の蓄積がある。
2.ブリーフィングにおける質疑応答の詳細
⑴ この組織において成功している点、及び現在の課題は何か?
――政府や海外の投資機関等多様なアクターを集め、議論を促進するという役割は果たしているが、非政府組織であるが故に資金や人員等のリソース不足に直面している。また、汚職防止や透明性強化に向けた政府とのパートナーシップ構築も難航している。
⑵ INAによる出版物はどのように活用されているのか?
――INAのリサーチレポートは、毎年定期的に発行されており、民間企業による情報収集に活用されている。また、調査の結果はラジオ等を通じて一般大衆にも積極的に共有している。
⑶ ポートモレスビーの治安改善に向けて、政府はどのような施策を打つ必要があるか?
――過去に政府による銃規制が失敗したことが、治安悪化の大きな要因となっている。この銃規制失敗の要因について以前INA職員が調査したが、その結果浮かび上がってきたのは政府による汚職との強い結びつきだった。また、近年政府は警察の予算を削減するなど治安改善とは真反対の方向に政策を打ち出しており、目的を明確にしたより効果的な政策の実施が喫緊の課題にとなっている。
3.参加者所感
その国に属しながら客観的視点を政府に提供できるシンクタンクの存在は非常に貴重であり、私たちPSP参加者にとっても訪問初日に彼らからPNGの概観について共有していただけたことはその後の渡航を通じて大変有用であった。今後は、INAのような国内組織を通じて民間の声が政策に反映されるような体制を整備していくことが非常に重要であると感じた。