国連フォーラム関西支部 第7回SDGs勉強会「持続可能なまちづくりとは?~世界に潜む災害の危機~」開催報告

2017年3月25日実施

2017年3月25日(土)に、関西学院大学梅田キャンパスにて、『第7回SDGs勉強『「持続可能なまちづくりとは?~世界に潜む災害の危機~」』を開催致しました。そのご報告をさせて頂きます。

【イベント概要】 

《企画背景》

①SDGsと都市

SDGs#11「住み続けられるまちづくりを~都市と人間の居住地を包摂的、安全、強靭かつ持続可能にする」において、「都市は多くの地球規模の諸問題の根源であるとともに解決策でもある」と述べられています。一体、都市はどのような問題を抱え、いかにそれらの問題解決に取り組むことができるのでしょうか。このような疑問からこの企画が立ち上がりました。

②都市と防災

都市の急成長は農村部から都市部への急速な人口移動、そして巨大都市の台頭をもたらしてきました。(現在、世界人口の半分以上が都市部に暮らしており、2050年までに都市人口は全人口の3分の2にあたる65億人に達することが見込まれています。) 人口の密集に伴い、都市は知識や資源、資本、交通の主要な結節点となった一方で、極度の貧困世帯が集中し、環境問題の発生源となっています。このような地域は、ひとたび災害に見舞われると人命や生活、種々の産業に甚大な被害を及ぼすことが予想されます。したがって、今回は特に防災に焦点を当て、SDGs#11「住み続けられるまちづくり」を実現するために何が必要であるのかを考える機会としました。

③ 私たちはいかに関わることができるか

持続可能な社会の実現に向けて、様々な災害を経験してきた日本は、いかにその教訓を活かすことができるのでしょうか。「兵庫行動枠組2005-2015」から「仙台防災枠組2015-2030」への変遷、また「持続可能な開発目標(SDGs)」における「強靭なまちづくり」の重要性を認識した上で、私たちが「住み続けられるまちづくり」にいかに関与していけるかについて創造的な議論ができる場をつくりました。

《企画目的》

(1)持続可能な開発と「まちづくり」「防災」の関係とは?:

SDGs#11「住み続けられるまちづくりを」の内容を理解する。今回は特に、「防災」に焦点を当てて、災害に強靭なまちづくりの重要性を認識する。

(2) いかに日本の教訓を「災害に強靭なまちづくり」に活かせるか?:

防災・減災に向けて行動を始めることが合意された「兵庫行動枠組2005-2015」や防災・減災への具体的な行動計画が記された「仙台防災枠組2015-2030」の内容、関わる策定過程を辿り、日本の教訓が果たしうる役割について知る。

(3) 枠組を適用する上で何が課題となるか?:

各国・各地域の多様性に合わせて枠組を適用する必要性、さらに、実行する上で必要な要素について知る。

(4) 私たちはいかに「災害に強靭なまちづくり」に関わることができるか?:

「災害に強靭なまちづくり」実現の難しさを感じながらも、それぞれの専門分野や興味関心を活かし、いかに防災にかかわることができるかを考える。

《イベントプログラム》

◆概要

  • 日程: 2017年03月25日(土)
  • 時間: 18:20~21:00 (18:00 開場)
  • 場所: 関西学院大学梅田キャンパス1004教室

◆スケジュール

  • 18:00~18:20:開場
  • 18:20~18:30:オープニング
  • 第1部
    • 18:30~19:00:講演①(松岡 由季 氏)「SDGs#11 仙台防災枠組の策定過程における議論 」
    • 19:00~19:30:講演②(河田 惠昭 氏)「日本の教訓を復興と将来の防災に生かすには」
  • 第2部
    • 19:35~20:15:パネルディスカッション「『枠組』から『命を救う計画』へ〜地域の多様性に添う施策・実行とは〜」
    • 20:15~20:25:国連職員キャリアフォーラム
  • 第3部
    • 21:00〜 :懇親会

《ゲスト》

河田 惠昭 氏 人と防災未来センター所長、関西大学社会安全学部・社会安全研究センター長・特別任命教授

専門は防災・減災。現在、阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター長(兼務)のほか、京大防災研究所長を歴任。京都大学名誉教授。2007年国連SASAKAWA防災賞、09年防災功労者内閣総理大臣表彰、10年兵庫県社会賞受賞、14年兵庫県功労者表彰、16年土木学会功績賞。現在、中央防災会議防災対策実行会議委員。日本自然災害学会および日本災害情報学会会長を歴任。

松岡 由季 氏 国連国際防災戦略事務局 駐日事務所代表

在ジュネーブ国連日本政府代表部(外務省)勤務などを経て、2004年に国連国際防災戦略事務局(UNISDR)に入職。本部(ジュネーブ)にて、プログラム・オフィサー、事務局長特別補佐官を務めた後、2009年UNISDR駐日事務所代表に就任し、現在に至る。「仙台防災枠組」を採択した第三回国連防災世界会議に係るプロセスに中心的に携わった。

久木田 純 氏 関西学院大学教授、国連フォーラム共同代表

1978年西南学院大学文学部英語専攻卒業、シンガポール国立大学社会学部留学(ロータリー財団フェロー)を経て、九州大学大学院で教育心理学修士号取得,同博士課程進学。1985年外務省JPO試験に合格、翌年から国連職員としてユニセフ駐モルディブ事務所に派遣され、駐日事務所、駐ナミビア事務所、駐バングラデッシュ事務所、ニューヨーク本部を経て、駐東ティモール事務所代表、駐カザフスタン事務所代表を歴任。2015年1月国連退官。2003年に世界銀行総裁賞受賞、2011年に東ティモール共和国勲章を受勲

【開催報告】

勉強会当日は、ゲストの方の講演とパネルディスカッションの2部構成で行いました。第1部のご講演で、国際枠組や防災・復興の現場の状況について触れたのち、第2部のパネルディスカッションでは枠組およびそれを実行していく行政と、実際に防災・減災・復興に携わる現場がどのように協働し、災害に強いまちづくりを実現していくのかについて、それぞれのお立場から議論していただきました。

《オープニング》

弊団体の浅川より、本勉強会の企画趣旨の説明が行われました。

《第1部 ゲストによるご講演》

松岡 由季 氏より「SDGs#11 仙台防災枠組の策定過程における議論」についてご講演いただきました。

河田 惠昭 氏より「日本の教訓を復興と将来の防災に生かすには」についてご講演いただきました。

《第2部 パネルディスカッション》

ご講演いただいたゲストのお二方と関西学院大学の久木田教授より「『枠組』から『命を救う計画』へ〜地域の多様性に添う施策・実行とは〜」をテーマにパネルディスカッションを実施しました。

《参加者の声》

参加者の皆さまからの感想、コメント本日の学びに関して、アンケート結果を抜粋してご紹介いたします。

  • 「防災の主流化」を通じ可能な限りの備えを怠らない。このことがとても重要でありもっと多くの方に聞いて欲しい話だった。
  • 防災意識を高める必要性に気づいた。
  • 防災にもっと本腰を入れないと!
  • レジリエンスを高めるということは, 持続可能な発展を可能にする ということと同じである。

この度「第7回SDGs勉強『「持続可能なまちづくりとは?~世界に潜む災害の危機~」」にご参加いただいた皆さま、誠にありがとうございました。

今回残念ながらご参加頂けなかった皆さまも、次回以降の勉強会のご参加をお待ちしております。

国連フォーラムは引き続き皆さまに有意義な「場」を提供できるよう努めて参ります。今後とも、国連フォーラム関西支部をどうぞよろしくお願いいたします。

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