第12回ネットワーキングカンファレンス(2013年8月3日)
2013年8月3日 Club JPO・ワシントンDC開発フォーラム・国連フォーラム 国際協力3フォーラム合同・夏のオフ会in東京 ご報告
Club JPOとワシントンDC開発フォーラム、国連フォーラムは、海外からの一時帰国者が多い年末・年始と夏休みの時期に合わせ、1年に2回程度のペースで、東京でのオフ会を開催してきました。
Club JPOとの最後の共催するオフ会は、2013年8月3日(土)14時より、東京大学(本郷キャンパス)山上会館で開催されました。第12回目となった今オフ会は、1日を通じて総勢129名が参加する、大イベントとなりました。
第一部では、「開発とビジネス」をテーマに国連フォーラム共同代表である久木田純さんの講演と、国連フォーラムの国連とビジネス班、スタディ・プログラム班によるパネルディスカッションが行われました。
第一部(14:00~17:00):パネルディスカッション
(1) 国連とビジネス
まず、21名の国際協力分野の“プロ”たちが“刺激を投げ込むホスはじめに、久木田純さん(国連フォーラム共同代表/ユニセフカザフスタン事務所長)による、「ポスト2015開発アジェンダのゆくえ」に関する説明がありました。すでに久木田さんが国連フォーラム「私の提言」で発表している内容に基づき、ミレニアム開発目標(MDGs)の期限が迫る中で残された課題は何か、これまでの開発の在り方や流れを踏まえた上で、また新しい潮流の中で、いかに課題に取り組んでいくべきか、についてじっくり考える、示唆深い内容となりました。 特に今後の課題として測定可能ではないものの重要視される、人権・平和構築・人間の安全保障等の開発アジェンダや新しいGlobal Partnershipについては、これまで必ずしも国連での議論の過程に含まれていなかった市民社会やビジネスセクターと、包括的・相互作用的に協働していくことの重要性が指摘されました。
続いて、昨年10月より立ち上がった「国連とビジネス」企画の活動報告があり、これに関連付けて「開発における国連と企業のパートナーシップ」のテーマでパネルディスカッションが行われました。各分野で活躍するパネリストが、それぞれが持つ様々な視点から一個人としての本音を共有する、率直な意見交換と議論となりました。
- モデレーター: 井上良子(国連フォーラム幹事)
- パネリスト: 金平直人(世界銀行/ NPO法人ソケット代表)、久木田純(国連フォーラム共同代表/ユニセフカザフスタン事務所長)、高柳望(富士通株式会社)、山田哲司(日本電気株式会社)、
高柳さん: CSRの視点
(1)グローバルコンパクト・ジャパンネットワークの概要と参加企業としての取り組み
(2)UN主導でビジネスセクターに影響のある動き(ポストMDGs、人権、社会的責任投資)
山田さん: ビジネスと開発経済学を学び実ビジネスに携わっている視点
(1)企業の一社員からみたUN(これまでの印象)
(2)プロジェクトを行うパートナーとしてリスクをともに取れるか(これからの期待と課題)
金平さん: 各セクターを経験した視点
(1)ビジネスは「手段」であることの共通認識が必要
(2)ピンポイントの部分で「意味のあるパートナーシップ」が必要
パネルディスカッション後には満席の会場から積極的な質問や意見が出され、テーマに即した質問を受けての各パネリストからのコメントや若者の進路選択へのアドバイスなど、幅広い聴衆の関心に応じた質疑応答の時間となりました。また、終了後には、社会人数名が国連とビジネス企画参加への関心を表明してくれるなど、今後の活動にも繋がる有意義な時間となりました。
(2) モンゴル・スタディ・プログラム
最後に、翌日4日にからモンゴルでの現地プログラムに渡航する「スタディ・プログラム班」の活動紹介と、過去のプログラム参加者ならびにモンゴル・スタディ・プログラム(MSP)参加者によるパネルディスカッションを行いました。
- モデレーター: 坂本篤紀(国連フォーラム幹事/ 国際協力機構)
- パネリスト: 高橋愛(東京大学/ MSP参加者)、西崎萌(国連フォーラム幹事/ 教員/ TSP参加者)、藤田綾(国連フォーラム幹事/ 筑波大学/ CSP参加者)、山崎淳(慶応義塾大学/ MSP参加者)
まず、スタディ・プログラムの紹介として、2010年より年1回実施されていることや、今年のプログラムが、<急激な経済成長下のモンゴルでさまざまな「格差」を考える>をテーマに、8月4日~11日までの現地渡航を含む5月から12月(予定)までの約7カ月に及ぶものとなっていることが説明されました。
その後、MSP参加予定者と過去のプログラムの参加者から構成されるパネリストが、プログラムの応募動機や、プログラムから得たこと、現地渡航への意気込み、参加後の感想等について共有しました。多くのメンバーから、普段見ることのできない国連のプロジェクトの現場を視察できること、スタディ・ツアーのお客様として途上国に行くのではなく「みんなでつくる」という運営原則を基に主体的にプログラムに参加できること等、プログラムの魅力が語られました。また、社会人・学生に関わらず、将来のキャリアで悩んでいるメンバーが共に現地を訪れ、プロジェクト現場やブリーフィングはもちろん、参加者間で語り合ったことで、就職活動や転職など次の行動の1歩を踏み出すきっかけになったという感想も聞かれました。
第二部(17:30~20:30):懇親立食会(Club JPOのお別れ&感謝会兼モンゴル・スタディ・プログラム壮行会)
第一部に続いて17:30から第二部の立食懇親会が開催されました。前述のMSPが翌日から現地渡航開始となっていたため、MSP壮行会を兼ねた会にもなりました。MSP参加メンバーたちがワクワク・ドキドキ感を抑えられない様子は勿論のこと、はじめてオフ会に参加した者同士が第一部のパネルディスカッションで印象に残ったことを共有したり、ひさしぶりに再開した国際協力のプロフェッショナルが目を輝かせながら近況を報告し合う姿が印象的でした。また、第一部には参加できなかった方々も多数おり、非常に刺激的なネットワーキングだったと思えます。
会の最後に、この7月で終了したClub JPOの二井矢洋一さん(元・管理人)へのお礼の場が設けられました。まず、国連フォーラムのオフ会幹事から、5年半の間に12回共催された3フォーラム合同オフ会を振り返るプレゼンテーションと、15年間に及ぶClub JPOを通じた二井矢さんの国連や国際協力のキャリアを目指す若手に対する献身的な支援に感謝の言葉が贈られました。会場が温かい拍手に包まれる中、続いてワシントンDC開発フォーラムのオフ会幹事から花束が贈られました。そして、会は二井矢さんによる感動的なスピーチで幕を閉じました。
- Club JPOは、国連を目指す若手を応援し活躍してもらうために活動してきた
- その支援を受けて羽ばたいていった邦人職員たちが、今や次の世代の後輩たちを後押しするようになった
- だから、Club JPOはその役割を終えることができた
- こどもの頃、一枚の写真に衝撃を受けた
- ベトナム戦争下の少女の姿
- なぜ自分と同じ年の頃のこどもがこんな苦しみを味わわなければいけないのか?
- 以来、国際協力に関わりたいという気持ちが芽生えた
- その気持ちを心に奥に秘め、一見全く関係のないキャリアパスを歩んでいたが、その先が国際協力に繋がった
- みんなも、想いや信念を心に持っていれば、いつかやりたいことに繋がるはず
(ウェブ掲載:藤田綾)
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【参考】主催者について
国連フォーラムは、国連のことをもっと知りたい、国連の活動に貢献したいと考えている実務者、研究者、学生、メディア関係者など幅広い人々を対象として、国連についての 知識を得、議論に参加し、さらには活動に参画する場を提供することを目標としています。さらに、 議論の深化と発信を通じて、参加者にとって有意義な変化を引き出すことを目標としています。
http://www.unforum.org
ワシントンDC開発フォーラムは、グローバルな開発戦略と日本の関わりについて考え、行動に移すための関係者の情報交換・意見交換の場です。フォーラムを通じての交流は、日本や途上国、国際機関所在地など世界各地に広がっています。様々な開発関係者が、組織や場所の制約を超えて情報と知見、更には情熱と気概を共有し深化させることが出来れば、大変嬉しく思います。
http://www.devforum.jp
Club JPOは、国際機関で働いている方などのインタビューや各国際機関の仕事の内容、人事制度などの情報を提供することで、国際機関や国際公務員についての理解を深めてもらい、国際公務員を目指す方のキャリア形成に役立ててもらうことを目的として設立されたウェブサイトとメーリングリストです。
http://homepage3.nifty.com/clubjpo/