コロンビア・スタディ・プログラム - 報告書「渡航中:JETRO」

要約

ジェトロ(日本貿易振興機構)は、日本企業の海外進出や海外との貿易を促進する日本の政府機関である。国内の約50の拠点や、70以上の海外拠点を有し、独自のネットワークで日本の企業の海外進出をサポートして日本経済と社会の発展に貢献している。コロンビアではボゴタ事務所を設置し、約100の日系企業を支援しているが、日本からの進出企業数はまだ少ない。言語の壁やインフラ整備の不十分さが課題となっており、ジェトロは企業への情報発信や商談の機会の提供を通して、参入障壁を下げる活動を展開している。

主な取り組みには、①対日投資の促進、②日本農産品の海外展開支援、③日本企業の海外展開支援、④情報発信がある。これらの活動を通して、魅力的な市場を持つコロンビアへの日本企業の進出が拡大し、両国の経済交流が一層促進されることが期待されている。

1.機関の組織概要 

ジェトロは、正式名称を日本貿易振興機構といい、日本の企業の海外への進出や、海外との貿易を促進することで、日本の経済に資することを目指す政府機関である。各国に合計70を超える海外事務所を有する他、国内でも全ての都道府県に拠点を設け、独自のネットワークを活かして、特に中小企業を中心に、日本の企業の海外進出をサポートしている。また、海外からの対日投資の促進や、日本の農産品の海外展開の促進なども行い、日本の経済と社会の発展に貢献している。コロンビアでは首都のボゴタに事務所を構え、コロンビアに進出している約100の日系企業をサポートしている。(1)

2.機関が取り組んでいるコロンビアの課題

ジェトロは日本の企業の海外進出を促進する機関である。しかし、現状コロンビアへの日系企業の進出は多くない。ジェトロは、コロンビアへの事業展開を阻む様々な障壁を取り除き、両国の経済的交流を促進するべく活動している。例えば、コロンビアへ日本の企業が進出するにあたっての課題として、言語の壁が挙げられる。コロンビアはスペイン語圏であり、多くの情報がスペイン語でしか手に入らない。これは日本企業から見ると参入における一つの障壁といえる。そこでジェトロは、コロンビアの情報を積極的に日本企業に提供して、コロンビアへ事業展開するハードルを下げることに貢献しているといえる。

3.機関が取り組んでいるプロジェクトの内容

ジェトロは、日本の経済の発展のため、下記の4つの活動を主に展開している。

①海外からの対日投資の促進

まず1点目は、海外からの対日投資の促進である。例えば、日本の市場の魅力を発信し、外資企業の誘致を行っている。また、国内外のスタートアップを支援し、イノベーションを促進するための活動にも取り組んでいる。

②日本の農産品の海外展開の促進

2点目は、日本の農産品の海外展開の促進だ。日本の高品質な農産品は、マーケティング次第で海外にさらに広まっていくポテンシャルがある。ジェトロは日本の農産品の魅力を世界に発信する役割の一旦を担っている。例えば、海外で日本の食品の見本市を開き、日本の商品のプロモーションを行ったり、海外バイヤーと日本の生産者とのマッチングや商談会を行ったりしている。私たちが渡航して訪問した際も、先日コロンビアの企業を日本に呼んで商談を行ったばかりだというお話をうかがった。

③日本企業の海外展開の支援

3点目は、日本企業の海外展開支援である。主に東南アジアとヨーロッパを中心に支援しており、南米はまだ日本企業の展開が進んでいない。例えば私たちがお話をうかがった2024年9月の時点で、コロンビアにある日系企業は91社のみである。ただ、後述するように、コロンビアは日本企業から見ても魅力的な市場を抱えている国であり、今後さらに日本企業の進出が拡大する可能性も十分にある。

④情報発信

4点目は、海外の状況の情報を日本の企業向けに発信することである。コロンビアの場合、スペイン語での情報が多く、日本企業にとって情報収集のハードルが高いため、ジェトロによる情報発信はより重要となる。

また、コロンビアにおける日本企業の進出の状況についてもお話をうかがった。コロンビアは伝統的に右派政権が多いが、2022年8月より久しぶりの左派政権が誕生していた。日本企業の進出という観点から見ると、左派政権は右派と比べて不安定になる傾向があるといえるが、コロンビアの場合は、左派政権が十分な議席を得ていないなどの要因により、政権の変化による影響は小さいとのことだった。ただ日本企業の参入にあたっての障壁もある。コロンビアは、インフラの整備が不十分で、移動の大部分を自動車に依存している。そのため、コロンビアのインフラは渋滞などに脆弱であり、企業にとってはリスクともいえるのだ。しかし、コロンビアは大きな市場を抱えた国である。実質GDP成長率は好調であり、国内の物価は年々上昇している。日本企業としても、進出先として魅力的な国であるといえる。

4.参加者所感

私たちにジェトロの活動を紹介してくださった中山泰弘所長は、過去にニカラグア、チリ、エチオピアでの駐在経験もあり、豊富な経験からコロンビアにおける日本企業の状況についてわかりやすく説明してくださった。コロンビアにおける企業の参入の障壁として、インフラの整備が不十分であることをご指摘されていたが、私がコロンビアに入国する直前にも政府への抗議運動としてトラックの運転手たちが道を塞いで交通を麻痺させる事件があり、インフラの脆弱さを実感していた。これらの課題を乗り越え、日本とコロンビアの経済的な交流がより促進されてほしいと感じた。

引用文献

  • (1) JETRO 日本貿易振興機構(ジェトロ). ジェトロについて. JETRO 日本貿易振興機構(ジェトロ). https://www.jetro.go.jp/jetro/. 最終閲覧日:2025年01月02日
写真①