コロンビア・スタディ・プログラム - 報告書「渡航中：UN Women」

2025年3月16日 最終更新日時 : 2025年3月16日 unforum_jumpeitakami

要約

UN Womenはジェンダー平等と女性のエンパワーメントを目的に2010年に設立された。コロンビアでは女性の権利と平等の推進、平和プロセスへの参加、経済的自立支援、暴力と性的暴力の撲滅、ジェンダー平等の教育に取り組んでいる。具体例として、女性の権利を保証する政策策定、安全な公共交通プログラム、マーケットの安全確保、平和構築活動での女性参加、災害時の安全な宿泊場所提供がある。今後の課題としては、ジェンダーに対する考え方の変化を強調し、安全な環境の拡大が望まれる。今後の課題として支援の拡充、持続可能なプログラム、ジェンダー平等教育の質向上が必要である。

１．機関の組織概要 

UN Womenはジェンダー平等と女性のエンパワーメントを目的に2010年に設立された国連機関である。国家の方針や目標の達成、及び国際標準レベルのジェンダー平等の達成に向けた支援活動をしている。コロンビア事務所は、女性の安全に生活する権利が尊重され、より多くの女性が意思決定に参加し、国の発展による恩恵を平等に受けられるよう、政府、開発支援機関、市民社会、民間企業と共に活動している。(1)

２．機関が取り組んでいるコロンビアの課題

UN Women コロンビアは、以下のような具体的な取り組みを行っている：

  1. 女性の権利と平等の推進: コロンビアでは、女性の権利と平等を推進するための法的枠組みが整備されている。例えば、2008年に制定された法律1257は、女性に対する暴力や差別を防止し、罰するための規定を設けている。
  1. 平和プロセスへの参加: コロンビアの和平プロセスにおいて、女性の参加を促進するための取り組みが行われている。これにより、女性が和平プロセスに積極的に関与し、社会の変革を推進することが期待されている。
  1. 経済的自立の支援: 女性の経済的自立を支援するためのプログラムが展開されている。これには、職業訓練、起業支援、女性の労働市場への参加を促進するための取り組みが含まれる。
  1. 暴力と性的暴力の撲滅: 暴力と性的暴力の撲滅を目指すためのキャンペーンやプログラムが実施されている。これには、暴力の予防、被害者支援、加害者の再教育などが含まれる。
  1. ジェンダー平等の教育: ジェンダー平等を推進するための教育プログラムやキャンペーンが展開されている。これには、性別に基づく偏見や差別を減らすための取り組みが含まれる。

これらの取り組みを通じて、UN Women コロンビアは女性の権利を守り、社会全体の平等を推進することを目指している。

３．機関が取り組んでいるプロジェクトの内容

以下の４つの分野に取り組んでいる。

  1. 女性の権利を保証する制度や政策の策定：例えば2015年にはジェンダー平等を促進する政策が承認された。
  1. 公共の場での女性の安全向上：主な取組み事例としては、バスでの女性へのひったくり防止のための女性と子供用の安全なバス運行プログラム（現在８台稼働中）や、女性が行くことが多いマーケットを安全な場所にするプログラム（３つのマーケットで実施中）がある。
  1. 平和構築活動における女性参加：内戦が終結したブーゲンビルでジェンダー平等促進プログラムを実施している。ブーゲンビル政府は男性女性50%ずつのリーダーを立てる必要があり、21人の女性リーダーが選挙で選ばれた。
  1. 災害支援：2018年２月の地震の際、他の国連機関と協力して、最も支援が必要な地域において安全に宿泊できる場所を10カ所提供した。災害時は女性への暴力が起きやすくなるため、発生直後から女性や子供の尊厳を守る取り組みをしている。

４．参加者所感

説明の中で、「behavior change」という言葉がよく出てきたことが印象的だった。ジェンダーに対する考え方は育った環境や周囲の環境によって形成されていく部分が大きいと思う。そのため、社会でのジェンダーに対する考え方を変えられるよう働いているのだと感じた。マーケットでは新鮮で買いたくなるような野菜が並んでおり、買い物にきている地元の人も多く見られた。多くの警察官や警備員が治安を守っているとも言えるが、治安が悪かったところだと思えないくらい現在は生まれ変わっているので、このような安全な場所がもっと広がって欲しいと思った。また、今後の課題としては、①支援の拡充（ベネズエラ難民の女性たちにも支援が行き届くよう、活動範囲を広げる必要がある）(2)、②持続可能なプログラム（経済的自立支援プログラムの持続可能性を確保するために、資金調達やパートナーシップの強化）、➂教育の課題（ジェンダー平等教育の質を向上させるために、教育者のトレーニングや教材の開発が必要）が挙げられる。

引用文献

写真①

国・形式
ColSP、ColSP報告書
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