ヨルダン・スタディ・プログラム - 渡航報告プレスリリース
シリア難民最大級受入国ヨルダンで難民問題を学ぶ
2019年9月渡航プログラム実施のご報告
2019.11.15
国連フォーラム主催ヨルダン・スタディ・プログラム(以下「当プログラム」)は、「激動する中東の中心で紛争と共存、世界の平和を考える〜持続可能な社会を目指す新しい難民政策のあり方とは〜」をテーマに、2019年9月15日〜21日の日程でヨルダン・ハシェミット王国(以下「ヨルダン」)を訪問し、以下の行程で現地プログラムを実施しました。
訪問日程及び機関
- 9月15日(日)
- ヨルダン・リバー財団(Jordan River Foundation)……ヨルダン国王妃が議長を務め、子どもの安全やコミュニティ開発に携わるNGOにて、子どもの保護・自立支援プログラムについて説明を受けた。
- ヨルダン計画・国際協力省(MoPIC: Ministry of Planning and International Cooperation)……国家戦略の計画策定及び対外的な調整窓口を担うMoPICにて、ヨルダンの現状や課題について説明を受けた。
- 在ヨルダン日本国大使館……柳大使への表敬訪問を行うと共に、大使館職員からヨルダンの政治・経済・宗教概観や日本との関係について説明を受けた。
- 国連開発計画(UNDP)……貧困の根絶、不平等の是正、持続可能な開発を促進するUNDPにて、SDGsや市民社会結束、若者の雇用創出等の推進事業について説明を受けた。
- 国連(UN Women)……ジェンダー平等と女性のエンパワメントのための活動を行うUN Womenにて、ヨルダンにおけるジェンダーの状況や経済力向上等の活動等について説明を受けた。
- 国連人間居住計画(UN Habitat)…….持続可能な町作りを推進するUN-Habitatにて、格差是正事業やザルカ市のコミュニティ事業、難民キャンプのWASH(水・衛生)事業等について説明を受けた。
- 赤十字国際委員会(ICRC)……緊急時に人道支援を行うICRCにて、物資・現金支援や給水事業、難民家族の連絡支援や国際人道法の普及活動、職員のキャリア等について説明を受けた。
- ワールド・ビジョン(World Vision)……緊急時の人道支援や子ども・貧困層を対象とするコミュニティ支援を行うキリスト教系国際NGOにて、難民キャンプにおけるソーラーパネル設置や学校給食事業等について説明を受けた。
- 国際移住機関(IOM)…….人の移動に関わる問題を専門に扱うIOMにて、避難民の家族再統合の支援、再定住に向けた健康診断、人身取引対策の事業等について説明を受けた。
- WBヤング・アドバイザリー・ボード……若者の視点を包摂するために現地の若者で組織されたWBのヤング・プロフェッショナルチームのメンバーと、ヨルダンの現状と未来について幅広く意見交換を行った。
- 9月16日(月)
- 国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)……パレスチナ難民支援を行うUNRWAにて、パレスチナ難民の現状や保健・教育支援事業、キャリアパス等について説明を受けた。
- 世界銀行(WB)……貧困撲滅や繁栄の促進を目標に金融支援を実施するWBにて、ヨルダンの経済情勢・財政状況の他、民間セクターやスタートアップ等の支援事業について説明を受けた。
- 国連児童基金(UNICEF)……UNICEFとヨルダンの青年省が運営する青少年センターにて、若者向けワークショップの見学の他、子どもの教育や保健衛生等の事業について説明を受けた。
- 国連開発計画(UNDP)ゴミ処理事業……イルビド県にてUNDPが地方政府と協働で実施する、固定廃棄物の運搬や処理、堆肥生成等のゴミ処理事業を視察した。
- UN- Habitat 公共スペース設営事業……ザルカ市長への表敬訪問を行うと共に、ザルカ市にてUN-Habitatが実施する、ホストコミュニティと難民のコミュニティ構築や雇用創出等を目的とした公園の設営事業を視察した。
- 国際協力機構(JICA)キャリア・カウンセリング(就労支援)事業……JICAとヨルダン労働省が運営するキャリア・カウンセリング・センターにて、ヨルダンの労働市場の状況や就労支援についての説明を受けた。
- JICA 観光推進事業……サルト市の景観を生かした観光推事業を、青年海外協力隊員の案内の元で視察した。
- 9月17日(火)
- アズラック・シリア難民キャンプ……約40,000人を収容するシリア難民キャンプにて、国連世界食糧計画(WFP)の学校給食センターや虹彩認証による買い物システムを導入したスーパーマーケット、国連人口基金(UNFPA)のクリニック等を視察した。
- ヨルダン ICT協会……政策提言や企業支援を行うヨルダンICT協会にて、ヨルダンのICT産業の課題や可能性等について説明を受けた。
- Ruwwad……アラブ諸国でアントレプレナー教育や青年層のボランティア活動推進等を実施するNGOにて、コミュニティ主体の課題解決を支援するプログラムの説明を受けた。
- 国際労働機関(ILO)……労働問題に取り組むILOにて、ヨルダンの労働市場の現状や課題、労働環境改善や労働省の能力開発を行う事業について説明を受けた。
- 世界保健機関(WHO)……ヨルダン保健省へのコンサルティング業務を担うWHOのアンマン事務所にて、ヘルスケア、メンタルヘルスに係わる政策について説明を受けた。
- 9月18日(水)
- バカー・パレスチナ難民キャンプ……アンマン北部にある国内最大規模のパレスチナ難民キャンプにて、UNRWAが実施する保健・教育事業を視察した。
- アンマン・ニュー・パレスチナ難民キャンプ……アンマン南部にあるパレスチナ難民キャンプで、UNRWAの運営する学校や母子保健を行う保健センターを視察した。
- Tennah……シリア難民とヨルダンのホストコミュニティの女性を雇用してバッグを製造販売するスタートアップ企業の工場を視察、説明を受けた。
- Tribalogy……エンパワメントの観点から難民の女性を雇用してハンドメイド製品を製造販売するスタートアップ企業の工場を視察、説明を受けた。
- ノルウェー難民評議会(NRC)……難民や国内避難民への支援・保護・持続的な解決策を提供する人道支援の国際NGOにて、教育支援の重要性や学校教育について説明を受けた。
- 9月19日(木)
- ザータリ・シリア難民キャンプ……世界最大規模のシリア難民キャンプを訪問し、WFP・UNHCR・UN Women・UNICEFの事業を視察した。
- UNDPヨルダン南部試験事業……ヨルダン南部のコミュニティにおいて貧困層を支援することを目的に1年間実施されたUNDPの試験事業を視察した。
- 9月20日(金)(内部振返り勉強会・クロージング)
また、9月17日(火)にはUNRWA 清田保健局長のご協力により、現地に駐在する約70名の邦人職員との交流会も開催しました。
現地政府機関、国連機関、日本大使館、民間企業、NGO団体から多大なるご協力を頂き、充実した現地渡航が実現したことに一同感謝申し上げます。
今後の予定
ヨルダン・スタディ・プログラムでは、現地渡航の学びを広く社会に還元すべく、渡航後の内部勉強会を踏まえ、外部報告会を北海道(12月21日)、福岡(1月25日又は26日を予定)、兵庫(2月24日)、東京(1月下旬及び3月15日の2回)で実施する予定です。
また、3月末までに当ウェブサイトに活動報告書(和文報告書・英文サマリー)を掲載いたします。
本年度からの試みとして、2020年3月までの間に出張授業も行う予定です。ヨルダンや国際協力、難民問題について話を聞いてみたい、意見交換してみたいという方は是非ご応募ください。追って当ウェブサイトやFacebookにて詳細を掲載いたしますので、是非ご覧ください。
Facebook:https://www.facebook.com/unforum.studyprogram/
国連フォーラム・スタディ・プログラムとは
国連フォーラムは、国連の活動に関心を持つ幅広い人々を対象に知識を深め、議論を行う場を提供することを目的として2004年に発足した8,000人規模のネットワークです。2019年5月にヨルダンへの渡航を目的として始動した当プログラムは、世界8カ国に居住する国連機関・民間企業・NGO職員から大学生まで、多様なバックグラウンドを有する約50名が参加し、国際協力への学びを深めています。