ヨルダン・スタディ・プログラム - 「3.現地プログラム」

3.1. 概要とスケジュール

3.1.1. 現地プログラムの概要

JSPは9月15日から20日までの6日間の日程で実施された。6日間の間に4つの難民キャンプ、在ヨルダン日本国大使館、2つのヨルダン政府機関、13の国連・国際機関、4つのNGO、2つの民間企業、1つの業界団体、国際協力機構(JICA)(2プロジェクト)を訪問した。それぞれの興味に応じて、51人の参加者が最大4つの班に分かれた。

ヨルダンを訪問し、以下の行程で現地プログラムを実施した。

3.1.2. 現地プログラムのスケジュール

なお、A、B、C、Dコースのメンバーは毎日固定ではなく、訪問機関の受け入れ可能人数を考慮の上、参加者の希望ベースで各日のコースに分かれて行動した。

  • 9月15日:1日目
    • (午前)計画・国際協力省/ヨルダン・リバー財団/ヨルダン日本国大使館
    • (午後)UN Women/ICRC/UNDP/World Vision/UN Habitat/IOM
    • (夜)世界銀行ヤング・アドバイザリー・ボードとの意見交換会
  • 9月16日:2日目
    • (午前)UNRWA ブリーフィング
    • (午後)UNDP 廃棄物処理場/世界銀行/UNICEF/UN Habitat Zarqa Park/JICA 労働省職業訓練事業・観光推進事業
  • 9月17日:3日目
    • (午前)アズラック・シリア難民キャンプ
    • (午後)ヨルダンICT協会/Ruwaad/ILO/WHO
  • 9月18日:4日目
    • (午前)バカーパレスチナ難民キャンプ/アンマン・ニュー・パレスチナ難民キャンプ
    • (午後)Teenah/Tribalogy/NRC
  • 9月19日:5日目
    • (全日)ザータリ難民キャンプ/UNDPヨルダン南部 コミュニティ支援事業
  • 9月20日:6日目
    • (午前)振り返り勉強会・修了式

3.2.訪問機関一覧

ヨルダンで訪問した機関は、次の通りである。

訪問機関・事業名内容
ヨルダン計画・国際協力省
(MoPIC: Ministry of Planning and International Cooperation)
ヨルダン計画・国際協力省(MoPIC)は、ヨルダンの人々の生活水準を向上させるために、ヨルダン社会の既存及び予測されるニーズに照らし、地方及び国家レベルの参加型計画を通じてヨルダン社会の発展に貢献し、パートナーと協力して統合的な枠組みを通じて支援を提供し、調整することを目的とする。そこで、難民を多く受け入れるヨルダンの現状や課題について説明を受けた。
ヨルダン労働省ヨルダン労働省とJICAが運営するキャリア・カウンセリング・センターにて、ヨルダンの労働市場の状況や就労支援についての説明を受けた。
在ヨルダン日本国大使館柳大使への表敬訪問を行うと共に、大使館職員からヨルダンの政治・経済・宗教概観や日本との関係について説明を受けた。
国連開発計画(UNDP)
UNDP in Jordan
貧困の根絶、不平等の是正、持続可能な開発を促進するUNDPにて、SDGsや市民社会結束、若者の雇用創出等の推進事業について説明を受けた。
UNDP
廃棄物処理事業
イルビド県にてUNDPが地方政府と協働で実施する、固定廃棄物の運搬や処理、堆肥生成等の廃棄物処理事業を視察した。
UNDP
ヨルダン南部コミュニティ支援事業
ヨルダン南部のコミュニティにおいて貧困層を支援することを目的に1年間実施されたUNDPのコミュニティ支援事業を視察した。
国連児童基金(UNICEF) 
Child protection | UNICEF Jordan
UNICEFとヨルダンの青年省が運営する青少年センターにて、若者向けワークショップの見学の他、子どもの教育や保健衛生等の事業について説明を受けた。
国連人間居住計画(UN -HABITAT)持続可能な町作りを推進するUN-HABITATにて、格差是正事業やザルカ市のコミュニティ事業、難民キャンプのWASH(水・衛生)事業等について説明を受けた。
UN- HABITAT
ザルカ市公園整備事業
ザルカ市長への表敬訪問を行うと共に、ザルカ市にてUN-Habitatが実施する、ホストコミュニティと難民のコミュニティ構築や雇用創出等を目的とした公園整備事業を視察した。
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)
What We Do
教育・保健・保護・安心と社会サービス・マイクロファイナンス ・インフラストラクチャーとキャンプの向上・緊急対応の7つの分野でパレスチナ難民支援を行うUNRWAにて、パレスチナ難民の現状や保健・教育支援事業、キャリアパス等について説明を受けた。
国連女性機関(UN Women)
UN Women – Jordan: Home
ジェンダー平等と女性のエンパワメントのための活動を行うUN Womenにて、ヨルダンにおけるジェンダーの状況や経済力向上等の活動等について説明を受けた。
国際労働機関(ILO)
The ILO in Jordan (Arab States)
労働問題に取り組むILOにて、ヨルダンの労働市場の現状や課題、労働環境改善や労働省の能力開発を行う事業について説明を受けた。
世界保健機関(WHO)
Jordan | Countries
ヨルダン保健省へのコンサルティング業務を担うWHOのアンマン事務所にて、ヘルスケア、メンタルヘルスに係わる政策について説明を受けた。
世界銀行(WB)
Jordan Home
貧困撲滅や繁栄の促進を目標に金融支援を実施するWBにて、ヨルダンの経済情勢・財政状況の他、民間セクターやスタートアップ等の支援事業について説明を受けた。
世界銀行ヤング・アドバイザリー・ボード若者の視点を包摂するために現地の若者で組織された世界銀行のヤング・アドバイザリー・ボードのメンバーと、ヨルダンの現状と未来について幅広く意見交換を行った。
国際移住機関(IOM):International Organization for Migration | Jordan人の移住に関わる問題を専門に扱うIOMにて、避難民の家族再統合の支援、再定住に向けた健康診断、人身取引対策の事業等について説明を受けた。
国際協力機構(JICA) 
キャリア・カウンセリング(就労支援)事業
JICAとヨルダン労働省が運営するキャリア・カウンセリング・センターにて、ヨルダンの労働市場の状況や就労支援についての説明を受けた。
JICA観光推進事業サルト市の景観を生かした観光推事業を、青年海外協力隊員の案内の元で視察した。
赤十字国際委員会(ICRC)
Jordan
緊急時に人道支援を行うICRCにて、物資・現金支援や給水事業、難民家族の連絡支援や国際人道法の普及活動、職員のキャリア等について説明を受けた。
ワールド・ビジョン(World Vision)緊急時の人道支援や子ども・貧困層を対象とするコミュニティ支援を行うキリスト教系国際NGOにて、難民キャンプにおけるソーラーパネル設置や学校給食事業等について説明を受けた。
ノルウェー難民評議会(NRC)
NRC in Jordan
難民や国内避難民への支援・保護・持続的な解決策を提供する国際NGOにて、教育支援の重要性や学校教育について説明を受けた。
ヨルダン・リバー財団(Jordan River Foundation)ヨルダン国王妃が議長を務め、子どもの安全やコミュニティ開発に携わるNGOにて、子どもの保護・自立支援プログラムについて説明を受けた。
Ruwwadアラブ諸国で起業家教育や青年層のボランティア活動推進等を実施するNGOにて、コミュニティ主体の課題解決を支援するプログラムの説明を受けた。
ヨルダン ICT協会政策提言や企業支援を行うヨルダンICT協会にて、ヨルダンのICT産業の課題や可能性等について説明を受けた。
Teenahシリア難民とホストコミュニティの女性を雇用してバッグを製造販売するスタートアップ企業の工場を視察、説明を受けた
Tribalogy女性の自立支援を目的に難民の女性を雇用して手芸品を製造販売するスタートアップ企業の工場を視察、説明を受けた。
ザータリ・シリア難民キャンプ世界最大規模のシリア難民キャンプを訪問し、WFP・UNHCR・UN Women・UNICEFの事業を視察した。
アズラック・シリア難民キャンプ約40,000人を収容するシリア難民キャンプにて、国連世界食糧計画(WFP)の学校給食センターや虹彩認証による買い物システムを導入したスーパーマーケット、国連人口基金(UNFPA)のクリニック等を視察した。
バカー・パレスチナ難民キャンプアンマン北部にある国内最大規模のパレスチナ難民キャンプにて、UNRWAが実施する保健・教育事業を視察した。
アンマン・ニュー・パレスチナ難民キャンプアンマン南部にあるパレスチナ難民キャンプで、UNRWAの運営する学校や母子保健を行う保健センターを視察した。