パプアニューギニア・スタディ・プログラム - 報告書「渡航中:計画モニタリング省」
計画モニタリング省(Department of National Planning & Monitoring)
1.組織概要(事業目的、ゴール等)
パプアニューギニア(PNG)政府の開発プログラムを計画し、実行をモニタリングすることを活動内容の趣旨とする。主に、国際機関や政府の意向を受けて、活動内容が規定されている。
具体的な活動内容や組織の特徴
- 教育支援、インフラ支援など生活に関わる分野全般に対して取り組む。
- 特に、管理、気候変動、社会教育、インフラストラクチャー、法と司法、経済セクター、社会開発、水と衛生、農業、食糧安全保障などの項目を重視している。
- 近年のトレンドは、女性のエンパワーメントや家族計画を始めとしたSDGsの課題への取り組みである。民間セクターとNGOと連携してSDGsをPNGに浸透させる活動などを行っている。民間部門や政府機関にもSDGsに関する意識啓発ワークショップなどを行う。
- 優先順位は政府の決定に依存する。
2.質疑応答
1)SDGsの目標を達成するためにどのような価値基準でプロジェクトを決定しているか。
――主にインフラ、医療、教育などの包括的セクターに関与して行動するが、具体的な優先順位は政府が決定する。現在、重点を置く選択肢は次のとおり。行政、気候変動、社会教育、インフラ、法と正義、経済部門、社会開発、水衛生、農業、食料安全保障。最近では、女性のエンパワメント、家族計画にも力を入れている。
2)SDGsプロジェクトは、具体的にどのようなものが走っているか。
――家族計画方針の推進や地域社会での健康管理など、SDGsの方針を具体化し、ローカライズする。また、教育においても、SDGsに関する意識と教育を重視している。関連して、NGOなどと連携して地元の人たちへの啓発ワークショップを開催した。
3)特定の種類の戦略/方針を評価する方法はどのようになっているか。
――プログラムに結び付けられているM&E(Monitoring & Evaluation)フレームワークを使用する。M&Eフレームワークは、プロジェクトが具体的にどのような達成度なのかを図るものである。まず、結果を定義して、それを達成するために逆算して、インパクト、アウトプットに分解。それぞれのプロジェクトが、アウトプットを出すところまで行ったのか、そのアウトプットがインパクトを与えているかという視点から計測する。
4)WANTOKシステムはポリシーの普及に役立っているか。
――役立っているとは感じない。WANTOKは「家族または同じ言語を持つ人々のグループ」であり、PNGの伝統的・文化的ネットワークである。人々の安全保障ネットワークとして機能している。
5)トクピシン(PNGの公用語)も英語も普及していない農村地域でどうSDGsを推進しているか。
――基本的に、英語とトクピシンでSDGsを普及を促進しているが、PNG政府はそれらの言語が話されない地域社会に向けてもコミュニケーション政策を作っている。しかし、実際にはこのコミュニケーション政策が行き届いていないのが現状。
3.参加者所感
- 日本と同様にPNGでもSDGsが流行ってきているという印象を受けた。
- 基本的に国際機関などとビジョンを共有しており、ビジョンをより具体化していくことが常に考えられていると思った。
- 職員の方は基本的に現地のPNGの人たち(各地から集まっている)であるが、各国政府からの派遣者も少数ながら在籍している。
- 英語でもトクピシンでもない土着の言語で話している先住民などに対し、なかなかメッセージが伝わらず、取り組んでいる課題とその実行の度合いには都市と地方の格差があると考えられる。
- 政策モニタリングは抽象的であり、供給側と受け手側で温度差があると考えられる。
- ワントクシステムは、PNGの外からは悪の習慣とみなされるが、伝統的な繋がりと捉える職員が多く、内部と外部で認識の差があると感じた。