ルワンダ・スタディ・プログラム - 報告書「1.ルワンダ・スタディ・プログラムとは」

ルワンダ・スタディ・プログラムとは

1.国連フォーラムとは

国連フォーラムは、2004年10月24日、ニューヨークに在住する国連に関心を持つ有志により「ニューヨーク国連フォーラム」として設立された。2005年10月24日、さらに世界中にいる方々が自由な立場からより積極的に活動に参加できるように「国連フォーラム」と名称を改めた。国連のことをもっと知りたい、国連の活動に貢献したいと考えている、実務者、研究者、学生、メディア関係者など幅広い人々を対象として、日本語で国連についての知識を得、議論に参加し、さらには活動に参画する場を提供することを目標としている。さらに議論の深化と発信を通じて、参加者にとって有意義な変化を引き出すことも目標である。

2017年1月時点で登録人数が7300名を超えるメーリングリストや、国連職員やインターン参加者へのインタビュー記事の掲載といったウェブコンテンツを提供するとともに、東京およびニューヨークでの勉強会など直接参加できる活動も実施。その一つとして、実際に国連の現場での活動を訪問するスタディ・プログラムを2010年より主催している。

2.スタディ・プログラムの歴史

スタディプログラムは以下4つの目的の実現のため、2011年以降年実行されている。

(1)知識の習得と議論する力の獲得
(2)ネットワークの拡大
(3)リーダーシップの涵養
(4)国連の活動に関する議論の提供

東ティモールへのスタディ・ツアーを実施した翌年の2011年からは名称を「スタディ・プログラム」へと改め、単に国連の活動地域に赴くだけではなく、渡航前の勉強会やホテル・移動手段の確保などの準備、渡航後に報告書の作成や報告会を開催することまでを含めた約半年~8カ月に及ぶ「みんなでつくる」がコンセプトのプログラムを実施している。

各訪問地とテーマ、及び主な訪問地域は別表1の通り。回数を重ねるにつれて、訪問機関や訪問プロジェクトの打診・決定・調整を自分たちで行ったり、ミャンマー・スタディ・プログラムからは現地渡航期間中の3日間を2~3の小さなグループに分かれて違う地域のプロジェクトを訪問し、その後メンバー全体で経験の共有をしたりと少しずつ進化している。

3.ルワンダ・スタディ・プログラム(以下、RSP)の概要

RSPは2017年4月から始動し、スタディ・プログラム史上最多の53人が渡航に向け準備を行った。RSPでは学びを深めるため、「ジェノサイドからの復興と今後の展望」を大きなテーマとし、以下3点を軸として設定し渡航準備を行った。

1.ジェノサイド後の平和構築

1990年代初頭に勃発したルワンダのジェノサイドについて、発生した契機から紛争が終了し現在にいたるまでの平和構築のための取り組み、また現在の平和維持のための取り組みについて学びを深めた。

2.ルワンダの経済発展(農業とICT)

現在も国民の70%以上が農業に従事する傍ら、ルワンダ国家は施策「Vision 2020」内で農業中心産業から「Knowledge based economy」変革を掲げている。その取り組みの中でICT技術がルワンダ内で注目される中で、農業とICT技術の在り方について議論し仮説を立てた。

3.ジェンダーと女性

ルワンダにおける女性の活躍は顕著であり、2017年のWEF(世界経済フォーラム)が発表した「ジェンダーギャップ指数」ではルワンダは4位に輝いた。RSPではその背景と内情について学んだ。

本報告書では、第二章で各訪問先での見聞きしたことはもちろんのこと、参加者の感想・課題認識も含めまとめる。

備考(ルワンダ・スタディ・プログラム at a glance)

実施期間:プログラム実施期間 2017年4月1日~2018年3月31日(予定)(うち訪問先渡航期間 2017年9月17日~2017年9月23日)

参加者:53名 ※参加者内訳:社会人27名、学生26名/日本在住者43名、海外在住者10名

訪問機関:17機関

  • (国連機関)UNDP,RCO Office, UNHCR, UNICEF, FAO, WFP, World Bank, UN Woman, ILO, UNFPA, ICTR(ルワンダ国際戦犯法廷)
  • (ルワンダ政府・行政機関)REB(Rwanda Education Board)
  • (その他)JICA, Impact Hub Rwanda, Klab, REACH, DMM Africa, AEC(African Entrepreneur Collective), 虐殺記憶館

RSP組織構成:

(渡航前)

  • 総務リスク管理班(プログラム全体の進捗管理、グループ間連携調整、リスク管理、総務・財務全般を担当)
  • プログラム企画班(渡航日程案、訪問先に関する企画全般を担当)
  • 研究・勉強会班(研究方針、勉強会の企画運営に関する全般を担当)
  • コミュニケーション班(RSP内外の交流、広報や渉外全般を担当)

(渡航後)

  • 総務リスク管理班(上記に同じ)
  • 広報班(渡航後の広報活動全般を担当)
  • 報告書班(報告書執筆を担当)
  • 報告会班(報告会の企画・運営を担当)
  • 勉強会班(渡航後の勉強会の企画・運営を担当)

 ※各班平均週1回1時間程度のテレビ会議を通じ運営。

渡航時期名称(略称)主なテーマ訪問地域訪問機関
2010年9月東ティモール・スタディ・ツアー(TLST)紛争後の国づくりディリエルメラ県などUNICEF, ILO, UNDP, UNFPA, WFP, FAOなど
2011年12月タイ・スタディ・プログラム(TSP)貧困地域の人道・開発メーホンソーン(タイ北部県)UN Joint Programme on Integrated Highland Livelihood Development in Mae Hong Son
2012年11月カンボジア・スタディ・プログラム(CSP)紛争後の開発と法整備支援シェリムアップ, プノンペンなどFAO, クメール・ルージュ特別法廷など
2013年8月ミャンマー・スタディ・プログラム(MySP)民主化と経済発展ヤンゴン, エーヤワディ, シャン州, ミチナUN-Habitat, WFP, FAO, UNHCR, UNDP, UNFPAなど
2015年9月ネパール・スタディ・プログラム(NSP)災害復興および災害リスク削減カトマンズ, ヌワコット, チョータラUNDP, ILO, 日赤, ADB, JICA, WFP, UN Habitat, FAO, WB, IOM, UNESCO, UNHCR, UNICEF
2017年9月ルワンダ・スタディ・プログラム(RSP)ジェノサイドからの復興と今後の展望キガリ, ニャルグル県などUNHCR, UNDP, UNICEF, WFP, FAO, JICA, REACH(ジェノサイド復興を主軸に活動するNGO), DMM Africa等
【別表1】 過去スタディ・プログラムの概要