ルワンダ・スタディ・プログラム - 報告書「2.21.国際労働機関(ILO)」
1.訪問先
国際労働機関(International Labour Organization; ILO)(場所:Okapi Hotel)
2.該当テーマ
ジェンダー、ICT、経済・産業
3.組織概要(事業目的、ゴール等)
国際労働機関は1919年にベルサイユ条約によって国際連盟とともに誕生。主要な戦略目標は、「仕事の創出」「安全で健康的に働ける職場の確保」「政・労・使の話し合いの促進」「労働者の権利の保障」など。
ルワンダでは、人口の70%以上が小規模で生産性の低い農業に従事している。彼らの多くは、働きがいのある人間らしい仕事(ディーセントワーク)に就いておらず、貧困状態にある。このため、農業以外のセクターにおける仕事の創出が必要となっている。
4.ブリーフィング、プロジェクト訪問において説明された内容・質疑応答の詳細
ジョイント・プログラム「若者と女性の雇用(Youth and Women Employment)」のブリーフィング
本プログラムは、政府の雇用政策に沿って、仕事の創出、人々のスキルの向上などを目的とする。また、ルワンダの人口の70~80%が、35歳以下の若者であり、彼らの多くはスキルがないことから、若者に特に焦点を当てている。
- プロジェクトのアウトカム(達成される効果)は以下の通り。
- 雇用集約的成長と若者の雇用の主流化のための国の能力強化
- 若者と女性の能力強化
- 雇用創出と企業の発展
- 労働市場媒介サービスの拡大
質疑応答
Q. ルワンダに住む難民の方に仕事を得ることが難しいと伺った。ILOは、難民の雇用の問題には取り組んでいるか。
A. ルワンダは難民がキャンプの外に出て働くことが許されている数少ない国の一つだ。スキルを持つ難民の労働市場への参加をどのように実現するかについてUNHCRやルワンダ政府と話し合いたい。
Q. ルワンダには4000以上のスタートアップがあるとのことだが、事業計画・事業開始・事業継続の3段階のうち、ILOはどの段階に焦点を当てているか。
A.すべてに焦点を当てている。トレーニングを提供するだけでは不十分であり、継続的な支援が必要である。
Q. ルワンダでは労働環境にどのような問題があるか。
A. 国際労働基準の設定は、ILOの重要な活動の一つだ。労働基準は加盟国に批准され、国内法に活かされる。ルワンダは、未だ批准していない労働基準があることや、法を施行する力が不十分であることが課題だと考える。労働組合も賃金未払いなど多くの問題があると認識している。
5.参加者所感
本ジョイント・プログラムは、各国際機関の役割分担を明確にし、ルワンダ政府の優先政策に沿ったプロジェクトを実施しているという点で、関係機関との連携を重視しているという印象を持ちました。質疑応答では、若者がビジネスで成功することができた時がこれまでのキャリアの中で最も誇らしいと感じた出来事だと職員の方に伺い、人々がより良い生活を達成できるようにという熱意を感じました。
執筆者:大竹 真理子