ルワンダ・スタディ・プログラム - 第4回勉強会

ルワンダ・スタディ・プログラム(RSP)第4回勉強会

写真①

1.テーマ

ジェンダー、女性

2.開催日

2017年8月27日(日)

3.報告  <FBでもご覧いただけます>

今回のテーマは”ジェンダー”でした。ジェンダーとは、”生物上の雌雄を示すセックスに対し、歴史的・文化的・社会的に形成される男女の差異(大辞林第三版)”のことだとされています。つまり、生物学上の性とは異なった”社会的な性”のことだといってよいでしょう。

私たちの渡航するルワンダは、ジェノサイド後の新国家建設と平和構築のために、ジェンダー平等のための取組みは積極的に進められ、国会における女性議員の割合は 世界第 1 位(56%)となっています。現在のルワンダでは、仕事において女性が性別による差別を感じない社会づくりも進められているそうです。

そんなルワンダですが一部には、安全な水は家長の男性しか飲めないといった男尊女卑の風潮が残っているようです。また、社会進出に関しても男性と女性で違いがあります。その中でも特筆すべきは、女性が生産性の高い職業に着けていないことです。国全体のGDPは増加しているものの、その伸びは主に第一次産業以外によるものです。一方で、8割近くの女性は農業に従事しています。そのためルワンダでは、女性の産業界と政財界への進出が国家全体の生産性の向上に寄与する程度に進んではいないのではないか、との結論に至りました。

また、その農業分野の中でも女性は、土地、金融、技術などを男性と等しく利用することができていない現状があることも学びました。女性は、男性より教育レベルが低く、トレーニングを受ける機会が制限されたり、金融商品を取り扱うことが難しかったりします。さらに、農業の仕事に加えて、家事の多くをこなすため、男性に比べて労働時間が長く、農作業は労働集約型で時間のかかる活動(ex.茶摘み)が多い傾向があるそうです。勉強会では、こうした問題がジェンダーの問題として捉えられ、農業セクターの政策などに生かされていることも学びました。

今回の勉強会でも、現地で検証したい仮説がたくさん生まれました。それぞれが目的を持って、渡航を迎えられるように、準備を頑張っていきましょう。

(広報班 きょうこ)

4.メンバーの感想 <FBでもご覧いただけます>

第4回勉強会のテーマはジェンダー。ジェノサイドによって多くの男性が殺されたことから、男女平等の意識が高まった一方で、女性の就業率86%はジェノサイド前に比べると下がっており、その多くが一次産業に携わっているという事実がありました。ルワンダでの女性のポジションや役割などについて、主要産業である農業と教育の観点から、多角的に議論し学べたため、大変有意義な時間でした。

FAO(国連食糧農業機関)は、「女性の能力向上が農業生産性を20~30%高め、国内農業生産を2.5~4.0%増加させ、最終的には1~1.5億人を飢餓から救える」と推定しています。また、ルワンダの労働力の約7割が農業に従事しており、そのうち女性は6割と言われています。実際に女性が担う農業の仕事は、お茶摘みなど生産性が高いとは言えない仕事だと学びました。ここから、男女平等の意識が広まりつつあるのはエリート層や政府系人材の間であり、その他の国民の間には潜在的に男女の社会的役割が存在しているのではないか、と考えました。つまり、ジェンダーに対する意識にも格差が存在しているのではないかという仮説です。また、勉強会で一緒にディスカッションを行ったメンバーから、「ルワンダの女性が考える社会進出とは何なのか。農村社会であれば、農業に従事することだけでも社会進出とされるのではないか。」と興味深い疑問が挙がりました。渡航中は、私は最初の訪問先としてFAOを希望しています。これらの仮説や疑問をぶつけ、さらに自分の目で見て学んできたいと思っています。勉強会では、政府系機関などリーダーシップをとるポジションにいる女性と、農村社会で働く人々が交流したりワークショップを行ったりすることによって、視野を広げる機会や固定観念を取り払うようなチャンスが生まれると理想的だろう、とアイデアが浮かんだりもしました。ルワンダで行われていると学んだ「ワークショップ」についても、現地でお話を伺いたいです。

ジェンダーは、多くの人が未だ答えを模索している分野であると感じています。ジェンダーと仕事を考えたとき、そこには体力や脳の特性の差が関係する場合も考えられます。その上で、SDGsでは男女の平等が「機会の平等」のみならず「結果の平等」として実現することが理想である、とされていることを学び、目が開いたような心地です。その一方で、男女の平等のみならず、人として日々や人生の幸福度や満足度を上げていくことを私はゴールとしたいと考えており、その点でルワンダと日本を比較しながら、この恵まれた機会を実りあるものにしていきたいという抱負で、今回の投稿を締めたいと思います。

(広報班 くみこ)