スリランカ・スタディ・プログラム - 報告書「第3部 第2章 第1節 渡航前班の活動内容・反省点」

第1節 渡航前班の活動内容・反省点

第1項 会計班

  • 班名:会計班
  • 構成人数:5名

実施体制

実施月活動概要主要成果物
6月第1回オンライン会議、作業の洗い出し
7月(1) 仕事の洗い出し
(2) 渡航までの作業予定表作成
(3) 会計規則作り(渡航前・渡航中の2つ)
(4) 第2回集金のための見積もりと集金作業
・渡航前・渡航中会計規則
8月(1)詳細な会計見積り(企画班との連携)
(2) 海外送金方法の調査と実際の送金
(3)スリランカ現地へ持参する際に必要なお金の計算
・会計処理帳票
9月渡航中:
(1)SSP代表としての支払い作業
(2)毎晩棚卸により帳票と所持金の整合性があるかを検証
(3)領収書管理
渡航後:
(1)USD→JPY両替
(2)帳票の完成
(3)個人立て替え分の領収書回収(写真により)
(4)個人最終支払額の確定
(5)振り返りと引き継ぎ事項の整理
表①会計班

次年度への申し送り事項

良かった点

  • 当チームで作成した会計処理帳票が、金額を入力するだけで個人負担額まで自動で計算される仕組みになっており、非常に使いやすかった。
  • 渡航中は、毎日棚卸し確認を行い、帳票と所持金の整合がとれているかを確認した。1日でも日を空けると支払内容を思い出せなくなるため、日次で確認を行ったのは良い判断であったと考える。

改善点

  • 予定管理の重要性。予定から逆算し、適宜他班(特にロジ関係)に作業を進めるよう依頼するべきであった。予定の遅れから、外貨両替用のFX口座を開設したにもかかわらず、手続を完了させる時間を渡航前に確保できず結局使えなかったり、海外送金ができなかったり、悪い為替で外貨両替せざるをえないことがあった。
  • 海外送金時は、口座所有者の名義で先方に請求書を送ってもらう必要がある。口座所有者名と請求書名が異なっていたため、海外送金ができないことがあった。

第2項 企画班

  • 班名:企画班
  • 構成人数:20名

実施体制

  1. リーダーズチーム(6月下旬~)
    • リーダー1名、副リーダー2名でリーダーズチームを結成し、企画班の組織・業務の進捗管理、他班との調整、決定事項の共有といった全体の統括を務めた。
  2. 前半:国際機関折衝体制(7月上旬~8月上旬)
    • 全9機関の国際機関(国際NGOも含む)との交渉担当者・副担当者を決め、計15名が現地での国際機関による説明や、事業地訪問受入れに係る折衝にあたった。上記に加え、一部の班員はマッピング班、ロジ業務(航空券、ビザ、ホテル調査等)に携わった。さらに、この国際機関との交渉の過程では、英文チェックチームによる確認体制を敷いた。
  3. 後半:首都コロンボ班・地方北部地域班(8月上旬~9月前半渡航前)
    • 国際機関との折衝が進み、訪問地候補がスリランカ北部に絞られたため、北部事業地訪問先の交渉担当者・副担当者を「北部同盟」としてチーム化し、主に首都コロンボからの移動手段、北部地域での宿泊先、レストランの決定等に従事した。一方、北部事業地訪問担当以外の交渉担当者・副担当者、交渉担当以外の班員で「コロンボ同盟」を結成し、首都コロンボ(北部地域移動前・移動後)での企画・移動手段・レストランの決定等を担当した。
図①渡航準備における工程表

活動概要

実施月活動概要主要成果物
6月・企画班・リーダーズ発足
・役割分担(国際機関折衝担当、マッピング担当等)
・渡航までの工程全体像の把握
・企画班メンバーリスト
・企画班タスク
・スケジュール洗い出し表
7月・国際機関との折衝開始
・大枠の渡航スケジュールの決議
・航空券・ビザの取得依頼
・コンタクト機関進捗管理表
・航空券
・ビザ管理表
8月・国際機関の訪問事業地での行程詳細決定
・首都コロンボ、北部地域における訪問機関折衝
・首都コロンボ、北部地域における訪問事業地との企画詳細検討および、宿泊先、移動手段などの検討
・訪問事業について全体への情報提供
・全日程一覧表
・企画ロジ進捗詳細
・参加者渡航
・宿泊予定表
・ロジ支払管理表
・地方チーム分け一覧
9月・北部地域・首都コロンボでの食事手配
・現地での行程管理、時間管理、誘導、事業地・事務所訪問での取りまとめ
・現地暫定スケジュール
・交流・お土産表
・部屋割り一覧
表②企画班

次年度への申し送り事項

良かった点

  • 国際機関折衝担当を置いたことにより、担当者が責任感を持って取り組むことができ、また現地での事業地・事務所訪問での進行がスムーズに運営された。
  • 英文チェック制度を設けることにより、国際機関へ送信するメールの質が担保できた。
  • 企画班での決定事項のレビュー・承認プロセスと、会計ルールの設置により、班員20名という大所帯の中、運営の透明性を確保することができた。
  • To-doリストによる業務進捗管理により、混乱なく業務を遂行することができた。
  • マッピング班の創設により、最適ルートの検討や訪問順序の決定が可能となった。

改善点

  • 事前準備時および渡航時の役割が曖昧にならないよう、また各班員に責任感を持たせるために、業務を細分化および明確化する方がよい。
  • 班員数が多い場合は、組織管理の効率化を図るため、進捗共有会議(Google Hangoutを使用)の開催前に協議録を用意し、事前に担当者に進捗を記載してもらう形にできるとよい。
  • スタディ・プログラムで訪問する国際機関の事業地は、奥地であることが想定されるため、移動手段については、四輪駆動車を前提に検討したほうがよい。
  • 業務範囲が非常に広大であるため、必要に応じ、企画班人員に加えて他班の人的資源を活用することを、視野に入れたほうがよい。
  • 渡航時(現地)での役割については未決定な項目が多かったため、事前に渡航中における役割分担を検討・決定できるとよい。

第3項 危機管理班

  • 班名:危機管理班
  • 構成人数:6名

実施体制

危機管理に関して多くの経験を持つ班員が中心となり、懸念事項や各組織での対応方法について意見を出し合った。スリランカにおいて予想される危機管理に関する必要事項を洗い出し、緊急性と頻発性を縦と横の軸で段階分けし、各事項の対応策を検討した。渡航可能な保健班メンバーが少なかったため、現地では保健班と統合した。

活動概要

実施月活動概要主要成果物
6月・スリランカの政情や治安についての調査(在スリランカ日本大使館ウェブページやインターネットなどを利用)
7月・スリランカ現地の危機管理情報について、現地職員の方々に確認(国際機関への連絡係(企画班)を通じて実施)
8月・地雷の危険性があり、外務省が提供する危険情報のレベルが上がった北部への渡航について、SSP内での方針を検討し全体へ説明
・より詳しい治安状況や政情について、各種ウェブページ(在スリランカ日本大使館、アメリカ総務省の在スリランカ米国人向け危機管理情報、国連安全保安局(UNDSS)のスリランカに関するまとめ等)の更新内容を週次で確認
・狂犬病と地雷に焦点をあて、各事項に対する予防策や危機回避対応策をまとめ、渡航参加者に周知徹底
・危機回避のための「危機管理マニュアル」を作り、勉強会の場で配布、周知徹底
・地雷及び爆発性残存物(ERW)対応マニュアル ・convoy移動時心構え
・SSP危機管理マニュアル
・危機管理班、保健班合同シナリオ
9月・在スリランカ日本大使館を訪問し危機管理情報の収集
・スリランカにて、携帯電話を持つ担当者を各車両に配置 (最低1名)し、円滑な連絡手段を確保
・危機管理マニュアルに則った行動
表③危機管理班

第4項 広報班

  • 班名:広報班
  • 構成人数:9名

実施体制

SNSガイドライン策定後、以下の活動に従事した。(※掛け持ちの担当者も存在)

  • 勉強会宣伝(3名):勉強会の様子をTwitterやFacebookで随時更新
  • SSP参加者紹介(3名):SNSを用いて、参加者の多様性を伝える
  • SSP活動全般を宣伝(3名):Twitterで渡航前カウントダウンや参加者の一言コメントを企画
  • 報告会準備 (4名):勉強会班と連携し、報告会(オフ会)の準備を実施
  • 広報動画作成(4名):渡航後報告会に備えて、SSPの活動の様子を撮影し、編集(具体的な動画作成は、渡航後広報班へ引継ぎ)

活動概要

実施月活動概要主要成果物
6月・広報班のチーム構成や今後の流れを決定
・SNSガイドラインを策定
・各チーム発足以降、SSP参加者紹介、活動全般の宣伝、各勉強会の内容報告をFacebook、twitter上で実施
・SNSガイドライン
7月・動画作成チームは、大まかなストーリーライン決定
・報告会チームは、オフ会にむけて国連フォーラムや勉強会各リーダー(平和構築、経済、教育)と連携開始

8月・勉強会宣伝チームは、勉強会班と連携し、一般公開勉強会の広報や参加希望者の情報を管理
・報告会チームは、勉強会各リーダーや国連フォーラムと連携しオフ会発表
9月・勉強会宣伝チームは、現地でもTwitterを更新
表④広報班

次年度への申し送り事項

良かった点

  • 他班との連携をしっかりとることができた。
  • SNSを積極的に活用し、いいね!やフォロワーの数を増やすことができた。
  • 早めに広報班内のチーム構成を決定したことで、夏のオフ会までの準備期間を長く とることができた。

改善点

  • 国連フォーラムウェブページを利用することができなかった。(移転作業中のため)もしウェブページを使えていたら、広報の幅がもっと広がったのではと考える。
  • 渡航前から広報用の動画を積極的にとっておくべきであった。動画素材は余るくらいがちょうど良いのではと考える。
  • 広報班は、渡航前・渡航後にかかわらず、プログラム期間を通じ同じメンバーで構成されている方が、情報共有の手間が省けて良いのではと考える。
  • 広報班は他班に比べて負担が少ないため、他班との兼任も可能だと考える。

第5項 勉強会班

  • 班名:勉強会班
  • 構成人数:4名→6名

実施体制

勉強会班は、勉強会の円滑な運営というSSPにおける縁の下の力持ちのような役割であった。SSP内部で開催した勉強会では、勉強会の企画立案、発表チームの勉強内容のフォローアップを行うとともに、当日の運営を担った。また、一般公開の勉強会では、講師の方への連絡、 勉強会内容の立案、当日の運営を行った。

活動概要

実施月活動概要主要成果物
6月・第2回勉強会(06/21) 運営(テーマ:紛争予防と平和構築の実現/講師:佐藤安信先生(東京大学教授))・マルチハングアウトのマニュアル
・勉強会運営ロジ表
7月・第3回勉強会(07/12) 運営(テーマ:教育の切り口から捉えるスリランカ、後発開発地域に配慮した経済成長の促進)
8月・第4回勉強会(08/02) 運営(テーマ:環境から考える持続可能性、社会的弱者の保護と支援や格差の是正/講師:橋本直子先生(国際移住機関職員(当時))
・第5回勉強会(08/23) 運営(テーマ:渡航に備えた質問事項および仮説の設定)
・一般公開勉強会(08/30) 運営(テーマ:食糧安全保障と人道支援、国際的に活躍する上で必要なリーダーシップとは/講師:忍足謙朗先生(元国連世界食糧計画職員))
・第5回勉強会勉強会内容案
・質問・仮説まとめ表
・外部講師勉強会内容案
9月・コロンボ大学セッション(9/6:渡航中)運営(テーマ:今後のスリランカを考える)
・振り返りセッション(9/12:渡航中)運営(テーマ:渡航結果の振り返り、さらに学びたい内容検討)
表⑤勉強会班

次年度への申し送り事項

良かった点

  • 班員全員が各勉強会チームに所属し、チームベースで勉強会を運営した点 :
    • 勉強会でカバーできる内容の幅、議論の深さに加えて、勉強会当日以外にも参加者同士が議論する場を提供できた。
  • 勉強会班がロジ関係を主に担当した点 :
    • 各勉強会チームは、運営の心配をすることなく、内容の深堀に注力できた。
  • 質問事項・仮説をあらかじめ整理して、渡航に臨めた点:
    • 渡航前に参加者の問題意識をある程度共有することで、漫然と事業地を訪問したりするのではない、実りある渡航期間とすることができた。
  • 外部講師および外部公開勉強会を開催できた点 :
    • SSP参加者だけでは議論が難しい内容について考察でき、さらにSSP参加者・外部の参加者の双方ともに高い満足度を達成できた。

改善点

  • 勉強会班所属の人数の増員 :
    • 4人という人数で、ロジ関連全般および各チームの内容の質管理を行うのは困難を極めた。
  • 1回の勉強会では1テーマ : 
    • 1回の勉強会に2テーマ扱った回もあったが、議論が消化不良のような印象を受けた。渡航前に参加者が集まる貴重な機会なので、議論の時間を十分にとった方がよい。
  • 複数のGoogle Hangoutを繋ぐ接続方法(マルチHO)の技術移転 : 
    • 技術および機材の管理を特定の人に頼ってしまったため。国内地方および海外からの参加者の増加に伴いマルチHOの重要性は増加するため、技術移転は必要不可欠であると考える。
  • 議事録の共有: 
    • 勉強会では議事録係を設けていたものの、勉強会後の共有が徹底できていなかったため。
  • 渡航中・後を見据えた準備:
    • 事前に仮説をもって渡航できたことはよかったが、渡航中にどのように検証するのか、渡航後にどう総括するのか、詰め切れていない部分があったため。

第6項 保健班

  • 班名:保健班
  • 構成人数:3名

実施体制

リーダー1名、班員2名で構成。話し合いは実行委員長、副委員長を含めた5名で行い、実際のタスク(具体的には下記活動概要を参照のこと)は保健班の3名で分担して進めた。

活動概要

実施月活動概要主要成果物
6月・渡航者の保健に関わるリスク要因の抽出および、各要因に対する危険度、発生確率の評価、発生予防策、発生時対応の検討
・予防接種に関する取り決めの確定、全体への告知
・保健対応マニュアル
・予防接種に関して
7月・海外旅行保険加入に関するルール検討、全体への告知、 および加入状況の管理
・保健に関わるリスク要因についての文書作成
・渡航中の保健に関して全体への注意喚起
・保健周知文書
8月・昨年度保健担当者からの情報引継、物資引渡、および追加での物資購入
・渡航中の体制や活動についての検討、保健班サポーター募集
・現地保健班対応
9月・昨年度の保健班の方から反省点などのフィードバックを頂き、必要な薬剤など(虫除けスプレーを大量に使用した等の情報)を今年度に反映することができた。
・企画班内の国際機関への連絡係を通し、渡航先の実情に詳しい方から病院に関する情報を頂くことができた。
・実際に渡航した保健班員は1名であったが、サポーターを4名募ったため、各班ごとの健康管理責任者を明確にすることができ、また、電話で状況共有ができた。
・コロンボ病院MAP
・緊急時病院一覧
・緊急時対応マニュアル
表⑥保健班

次年度への申し送り事項

良かった点

  • 班員全員が各勉強会チームに所属し、チームベースで勉強会を運営した点 :
    • 勉強会でカバーできる内容の幅、議論の深さに加えて、勉強会当日以外にも参加者同士が議論する場を提供できた。
  • 勉強会班がロジ関係を主に担当した点 :
    • 各勉強会チームは、運営の心配をすることなく、内容の深堀に注力できた。
  • 質問事項・仮説をあらかじめ整理して、渡航に臨めた点:
    • 渡航前に参加者の問題意識をある程度共有することで、漫然と事業地を訪問したりするのではない、実りある渡航期間とすることができた。
  • 外部講師および外部公開勉強会を開催できた点 :
    • SSP参加者だけでは議論が難しい内容について考察でき、さらにSSP参加者・外部の参加者の双方ともに高い満足度を達成できた。

改善点

  • 保健班結成時に、前年度の活動概要について教えて頂けるとより良い。渡航2週間前に、昨年度の緊急時マニュアルや参加者から集めるべき情報などを頂いたため、余裕を持った対応ができなかった。
  • 医療関係者でなくとも、「旅慣れた人」が班員にいるとより良い。
  • 急病発生時の車の配置等を考慮する必要があるため、危機管理班との連携が不可欠。渡航中の複数グループに分かれての移動を考慮すると、保健班員は多めにいた方が良いのではないか。(他班との掛け持ちは可能)
  • 渡航時のチーム編成にあわせた薬剤の調達をするため、保健箱の引き渡しを早め(渡航1ヶ月前まで)にできると良い。