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モンゴル・スタディ・プログラム(MSP)
活動報告書:2.1. ブリーフィング
2.1.1. UN Habitat officeブリーフィング
国際連合人間居住計画(UN Habitat)が2009年からウランバートルで行っている「ゲル地区生活環境改善」事業の説明を受けました。ウランバートルは急速な人口増加に直面しており、その結果、生活環境が整っていないゲル地区が急激に広がっていることが問題になっています。これに対し、コミュニティが主体となりこの課題に取り組むことを、UN Habitatは支援しています。具体的には、コミュニティの中に地域協議会を形成し、この組織が問題解決に向けて中心的な役割を担います。またサポートの中には、地域の人々のキャパシティビルディングも含まれています。事業は一定の成功を収めていますが、一方で遊牧民という歴史から、モンゴルの人々の間では地域で協力するという概念があまり浸透しておらず、人々を集めることの難しさという課題も挙げられていました。
この説明を受けて一番感じたのが、「人々のニーズを理解すること」の難しさです。例えば、地域の協議会に誰が選ばれるのか、地域の中で力関係があるのなら、もしかしたら本当に貧しくて力がない人の声は、反映できていないかもしれません。また、このシステムが機能するためには、人々が自分達に地域を変える力があることを信じる、つまりエンパワーメントが必要です。簡単なように聞こえますが、これは実際は非常に難しいプロセスだと思います。これらの難しさを認識しているかどうか、これは援助をする側として非常に大切な視点だと思います。
<文責:西村幸子>
国際連合食糧農業機関(Food and Agriculture Organization :FAO)のモンゴルオフィスにおけるブリーフィングでは、ビデオ鑑賞等を通し、FAOにより実施されている森林保全プロジェクトや、農業生産性を高める為のプロジェクトについて紹介された。特に森林保護については、違法伐採に備えて、気候変動に対する持続可能な対策を講じていると述べられた。具体的には、森林保護を目的とし、林業で生計を立てる人々の中でコミュニティーを形成し、共同で活動を行おうとする取り組みが存在する。
FAOオフィスにおけるブリーフィングを通して強く感じたことは、現代技術の導入と伝統的土地利用との両立の難しさである。モンゴルはロシア、中国といった諸外国、国際機関より多くの援助を受け、それによって得た新技術で森林保護、農業生産拡大を図っている。一方でモンゴルは遊牧民という民族構成故に、先祖代々受け継いできた土地に対する意識が高く、過度に土地を開拓し開発を行うころを嫌う国民性も存在する。こうした新しい技術導入や開発促進と、伝統的価値観とをどのように両立させていくのかが、FAOがモンゴルで活動を行う上での大きな課題であると言えそうだ。
<文責:向井敏之>
モンゴルのユニセフ事務所で、モンゴルの子どもの現状について話して頂いた。モンゴルではMillennium Development Goalsの70%は既に達成していて、教育の基盤もしっかりとしているとの話だった。その一方でモンゴルの厳しい環境や都市部と地方の格差が問題とのことも話されていた。特に印象に残ったのはモンゴルのユニセフが取り組んでいる「One Voice One Message」という企画だ。Save the ChildrenやWorld VisionなどのNGOと手を組んで、モンゴル政府に対して最も大きいインパクトを与えようとする動きだそうだ。NGO同士と国連が協力するのは理想的である一方で難しいこともあるだろうが、このようなモデルが定着すれば強力なメッセージを打ち出すことができるだろうと思う。お話をして下さった代表のモハメドさんは私が想像していたユニセフ職員そのもので、とても話し上手でフレンドリーで、どんな質問にも快く答えて下さった。広報に力を入れているユニセフらしくプレゼンテーションもしっかりしていて、FacebookページをLikeしてくれと念を押されたところもさすが抜かりないなあ、と思った。代表のモハメドさんも様々な事柄について詳しく話して下さっていて、彼のように組織の代表として現場の状況とデータを両方知っていることが大事だと感じた。
<文責:吉崎あかね>