ミャンマー・スタディ・プログラム - 参加者紹介「第7回 川口美琴さん」

「真実と出会いたい」

所属:国際基督教大学 教養学部2年

MySP担当班:研究・保健班

写真①

真実と出会いたい。

これは、小学3年生の頃に一冊の伝記を読んだ時から、心のどこかで私がずっと願ってきたことだという気がします。

読書が大好きな子どもだった私のビジョンは、ふと手にした本の中で出会った人物の人生によって方向付けられたと言っても過言ではありません。その人物とは、William Carey、17世紀後半から18世紀前半にかけてインドでサティ(寡婦殉死とも呼ばれる)という慣習の犠牲となる人たちのために働いたイギリス人宣教師です。当時の私の目には、彼の人生は、自分の損得ではなく目の前の一人ひとりの他者のために、そして、その人の上に襲い来る現実に共に立ち向かうことのために、身を挺する人として映り、その生き方には偽りやごまかしが無いと感じたことを今も覚えています。
彼の生き方に出会ってから、私は、誰か自分ひとりでは太刀打ちできないような現実の中にある人のために、共に生きたいと思うようになりました。

しかし、そのようなビジョンを抱いたものの、実際には、現実に起きているさまざまな出来事の凄まじさと、自分の無力さを思わされることばかりです。

その度に、自分がまだ知らないままでいる世界の真実を知らなくては、自分が仕えるべき人たちを知らなくては、自分はまだ大きく動き出せないという気がするのです。

そして、William Careyを突き動かしたような、一度出会ったならばもうそこから踵を返し立ち去ることのできないような人間の真実に、私はまだ身をもって出会っていないのだと思えるのです。

だから今、色々な人と出会いたい。

目の前のその人の、人生という真実と出会いたい。

想像力を奪おうとする何かに負けたくはない。

それが真実ならば、すべてが無力だと思えるような闇とでも向き合いたい。

その闇のなかに飛び込んでいって、ちいさな希望の灯となりたい。

すべてはできなくても、なにか、はできるはず。

悲しみを取り除くことはできなくても、共に悲しむことはできるはず。

いつか、共に喜ぶことができる日の来ることを信じて。

輝けるものは何も持たない私ですが、歩みを進めるその先で穏やかな影響力を持つ人間へと成長するため、今日もまた目の前のことに忠実に、学び続ける者でありたいと思います。

このプログラムでの活動の中に、未知なる真実との出会いが秘められていることに期待して。