コロンビア・スタディ・プログラム - 報告書「渡航中:UN-Habitat」

要約

The United Nations Human Settlements Programme (国連人間居住計画、以下UN-Habitat)は、都市と人間居住の課題に取り組む国連の専門機関である。持続可能な都市開発を目指し、特に持続可能な開発目標(SDGs)の目標11(住み続けられる持続可能な都市)に基づく活動を行っている。具体的には、都市の持続可能性に関するデータ収集と政策提言を通じて、各国政府を支援したり、都市開発の課題を国際的に訴え、支援を動員したりしている。持続可能な都市開発は、気候変動、不平等、移住問題といった現代の主要課題と深く結びついており、UN-Habitatはこれらに対する解決策を提供する中心的な役割を果たしている。

1.機関の組織概要 

UNHabitatは、「都市化する世界において、すべての人に、より良い生活を」のビジョンのもと都市化と住居の問題に取り組む国際機関である。(1)国連システム内のあらゆる都市化と人間の居住問題に取り組んでいる。

持続可能な人間居住開発を促進するため、周知活動、政策策定、人材育成、知識の啓発、政府と市民社会とのパートナーシップの強化を図っている。

ボゴタオフィスはアンデス地域(コロンビア、エクアドル、ペルー、ベネズエラ、ボリビア)を管轄しており、コロンビアでは21年活動し、14人のスタッフが在籍している。

2.機関が取り組んでいるコロンビアの課題

(1) 地域間格差

ボゴタやメデジンが発展している一方で、他の都市はそこまで発展していない。そのため、地方自治体やコミュニティと連携して、都市と農村部との連携を強化しなければならない。

特に小規模都市や中規模都市では開発が遅れている。

(2) インフラ設備の未発達

水資源が豊富であるにもかかわらず、水の利用や管理が十分に計画されておらず、持続可能性が損なわれている。水道が全ての地域に行き届いていない。

(3) 都市内格差

同じ都市内でも、地区ごとにサービスやインフラの質が大きく異なる。たとえば、ボゴタの富裕層地域と貧困層地域では、生活環境が全く異なる状況にある。

(4) 移民の増加

ベネズエラからの移民の流入が都市のインフラや社会サービスに大きな負担をかけている。特に、正式なビザや居住許可を持たない移民は就労や医療・教育に制限がかかってしまう点があり、問題を複雑化させている。

(5) 内部移住者と紛争の影響

和平条約が結ばれたものの、完全には履行されず、国内の紛争が再燃しているため、国内避難民が増加している。これにより、都市の過密化がおきている。

(6) 古い計画が使われている

土地利用計画やインフラ計画が時代遅れになっている。時代が急激に変わる中で、多くの都市が2005年の計画を使用しており、都市の急速な変化に対応できていない。

3.機関が取り組んでいるプロジェクトの内容

(1) ヤング・ゲームチェンジャーズ・イニシアティブ (Young Game Changers Initiative)

コロンビアのアルメニア市で行われたプロジェクト。

若者の参加を通じ、公共空間の質を改善し、都市環境の向上を目指している。彼らは、データ収集、公共空間のデザイン、新しいデジタルスキルの習得、そのようなトピックや都市の健康と持続可能な開発について深く掘り下げる訓練を受ける。具体的な活動としては、若者がマインクラフトを使って、公共空間のデザインに参加するワークショップを開催したり、デザインに基づき、実際の公共空間での改修を実施したりしている。

(2) 気候変動に対する都市の回復力プロジェクト

コロンビアとボリビアで行われている。洪水や干ばつといった気候変動の影響を受けやすい地域社会での回復力強化を目的とし、リスク評価を通じたデータ収集と、地方自治体向けの改善計画の作成している。例えば、パスト市(コロンビア)では主要市場で洪水リスクにさらされており、リスク軽減策を講じるためのデータ収集や計画立案が行われている。これらによって、長期的な持続可能性を目指している。(2)

(3) 国内避難民への持続可能な解決プロジェクト

コロンビアの7都市で行われており、UN-Habitatを中心に、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)、UNDP(国連開発計画)などの国連機関が共同でプロジェクトを実施している。国内移住者の統合を支援するための長期的な解決策を提供することを目的とし、政策支援、パイロットプロジェクトの実施、人口規模、分布、社会経済状況などといった移住者のデータ収集と分析を行っている。リスク軽減策を講じるためのデータ収集や計画立案が行われている。これらによって、避難民が安定して生活できる環境を整え、都市社会に溶け込められることが期待されている。

(4) インクルーシブ・シティーズ・プロジェクト 

移民や避難民が都市でより良い条件で生活し、地元住民と共存できる社会的・経済的な環境を作ることを目的としている。インクルージョン・マーカーという移民や避難民が住む地域の状況を評価するためのツールを開発したり、都市内で移民が集中して住む地域や社会資源の分布を視覚化できる地図を作ったりして、データ収集と分析を行っている。地元住民と移民が共同で計画を立てる活動を実施したり、起業支援をすることで、移民や避難民が都市環境で安全かつ安定した生活を送れるよう支援されることが期待されている。

4.参加者所感

UN-Habitatは他の国際機関(UNHCR、UNICEFなど)と比べ、なかなか支援をもらいにくいとのことだった。確かにほかの機関と比べて、何をやっているのかを想像しにくいところがある。一方で、地道にインクルージョン・マーカーを作り上げたり、都市内で移民が集中して住む地域や社会資源の分布を視覚化できる地図を作ったりするなど、UN-Habitatは少数ながらも、団結力があり、それぞれの目標に向かって全力で立ち向かっており、力強さを感じた。

引用文献

写真①