コロンビア・スタディ・プログラム - 報告書「渡航中:世界銀行」

要約

世界銀行は1944年に設立され、極度の貧困撲滅と繁栄の共有促進を目標に途上国への資金提供や政策助言、能力開発支援を行っている。特にコロンビアでは、所得格差や気候変動への脆弱性が大きな課題であり、2024-2027年の国別パートナーシップ枠組み(CPF)を通じて、教育、移民支援、災害リスク管理などを重点的に支援している。ラ・グアヒラ県では最貧地域における教育プロジェクトを展開し、移民支援では労働市場や医療へのアクセス向上を目指している。また、レジリエントな低炭素インフラ整備などを通じ、災害リスク管理能力の強化に取り組んでいる。これらは課題の特定から評価まで6つの段階的プロセスを通じて実施されている。今回の訪問を通じて、世界銀行の包括的な活動と各国の課題解決への貢献が改めて印象付けられた。

1.機関の組織概要 

世界銀行は1944年に設立され、加盟国は189カ国で130以上の拠点を世界に持つ。極度の貧困の撲滅および繁栄の共有の促進を2大目標としており、現在に至るまで途上国に対して低利貸付、無利子融資、贈与を提供しており、教育、保険、行政、インフラ、金融・民間セクター開発、農業、環境・天然資源管理など幅広い分野への投資支援を行っている。また、政策面での助言、研究、分析、技術支援を通じた支援も途上国に提供しており、支援対象国の能力開発にも力を入れている。(1) 

2.機関が取り組んでいるコロンビアの課題

コロンビアは世界で最も所得格差の大きい国の一つで、2021年におけるジニ係数は0.52で、OECD諸国の中で最も高い。(2)最富裕層10%の所得は、最貧困層10%の11倍以上となっており、格差解消が大きな課題となっている。(2)また、気候変動の影響に対しても脆弱で、人口の約25%が洪水リスクに直面し、約4%が高リスクの地すべり地域に居住している。(3)気候変動の経済的影響により、2050年までに実質GDPが年間1.5~2.5%減少すると予測されており、改善への取り組みが必要となっている。(3)

3.機関が取り組んでいるプロジェクトの内容

2024年から2027年の「国別パートナーシップ枠組み(CPF)」を通じて、公平な地域開発と社会的包摂、持続可能で包括的な経済変革、気候変動対策への支援をしている。(4)数多くのプロジェクトがあるが、今回の訪問では以下のような3つのプロジェクトを主に紹介された。

  1. ラ・グアヒラ県での教育プロジェクト:ラ・グアヒラ県はコロンビア最貧県である。降雨量の少ない砂漠地帯であり、先住民、アフロコロンビア人、武装勢力、ベネズエラからの移民問題が絡み合う複雑な地域であり、多数のプロジェクトを展開している。
  2. ベネズエラ移民に対する支援:移民の正規化プロセスを支援し、移民が労働市場や医療サービスにアクセスできるよう支援。
  3. 災害リスク管理と気候変動への対応:レジリエントな低炭素インフラの整備を含む災害リスク管理能力の強化。

また、これらのプロジェクトは以下のような1-6の詳細なプロセスを繰り返すことによって実施されている。

  1. Identification:具体的な課題やニーズが検討され、プロジェクトの概要が定められる。
  2. Preparation:プロジェクトの詳細な設計を進め、必要な情報を収集する。
  3. Appraisal:世界銀行と政府がプロジェクト準備段階で作成された計画やデザインを評価する。
  4. Negotiations and Board Approval:政府と世界銀行の間でプロジェクトの法的枠組みが確立され、正式な交渉が行われる。
  5. Implementation and Support:実行主体がプロジェクトを実施し、進捗状況は世界銀行によってモニタリングされる。
  6. Completion and Evaluation:プロジェクトが完了したあと、世界銀行と政府は結果を評価し、学んだ教訓や成果をまとめる。

4.参加者所感

今回の訪問を通じて、世界銀行の役割とその活動が非常に包括的で多岐にわたっていることを改めて実感した。1944年の設立から始まり、途上国への資金提供や技術支援を通じて、経済発展と貧困撲滅に貢献していることが印象的だった。特に、コロンビアへの具体的な取り組みやプロジェクトのサイクルにおける段階ごとのプロセスは、持続可能な発展に向けた細やかな計画と実行が仕組みとして出来上がっており、日本に対する過去の支援が経済成長に大きな役割を果たしたように、各国の課題解決に貢献している姿が世界銀行の使命を体現していると感じた。(256文字)

引用文献

写真①