コロンビア・スタディ・プログラム - 報告書「渡航中:COTEPAZ」

要約

COTEPAZは元戦闘員による組合で、収入創出や社会統合を目的としたプロジェクトを運営している。その一例であるWomen's Marketでは、元戦闘員の女性が製造した製品を販売し、経済的自立を支援している。また、施設内の壁画を通じて歴史を共有し、対話や和解を促進する取り組みも行われている。コロンビアでは、元戦闘員が偏見や失業に直面し、一部が再び武装勢力に戻る深刻な問題が存在する。特に、元戦闘員である女性たちが社会復帰を果たすためには、経済的支援だけでなく、社会全体の意識改革が必要である。COTEPAZは能力開発や就労支援を通じ、地域社会との信頼構築を図りながら、元戦闘員が新たな生活を築けるよう支援を行っている。また、戦時中に学んだ医療スキルが、資格取得を通じて社会復帰の足掛かりとなる一例も見られる。コロンビアで平和を実現するには、政治的、経済的、社会的アプローチが必要であり、特にジェンダー平等や土地改革、故郷を追われた人々の支援といった課題に取り組むことが求められている。

1.機関の組織概要 

COTEPAZは元戦闘員によって結成された組合で、元戦闘員の収入創出のための様々なプロジェクトを統括している。また、Women's MarketはCOTEPAZの統括するプロジェクトの一つで、元戦闘員の女性が製造した製品や食品などを販売しており、女性の経済的な再統合を目指している。

また、敷地内にはFARCの変遷や暮らしを描いた壁画があり、歴史を絵で伝えることで和解を促進する取り組みも行っている。

2.機関が取り組んでいるコロンビアの課題

コロンビアでは、元戦闘員が社会復帰する中で偏見や失業といった深刻な課題に直面している。戦闘員であった経歴が知られると就業を拒否されることが多く、失業率が非常に高い。その結果、一部の元戦闘員が武装勢力に戻る事例もあり、社会的安定に大きな影響を与えている。このような状況に対応するため、COTEPAZは元戦闘員が収入を得て社会に統合されるための多様な支援を行っている。特に女性など、社会復帰がより困難な立場にある人々への支援を重視している。

COTEPAZは能力開発や就労機会の提供を通じて、元戦闘員が新たな生活を築くことを支援している。特に敷地内のWomen's Marketでは、元戦闘員の女性たちが製造した製品や食品を販売しており、これにより経済的自立を支援するとともに、地域社会での受け入れを促進している。また、ソーシャルハウスでの就労支援プロジェクトや芸術活動にも取り組み、収入の創出だけでなく、元戦闘員が自己表現や地域との関わりを深める場を提供している。さらに、これらの活動を通じて地域全体の経済活性化や信頼構築にも貢献しており、平和的な共存を目指した取り組みとして注目されている。

3.機関が取り組んでいるプロジェクトの内容

ブリーフィングでは壁画の解説の中で戦闘員らの歴史や暮らしについての説明がされた後、ゲリラ組織の内情やコロンビアの平和構築における課題が指摘された。

女性の役割とジェンダー平等

ゲリラ組織内においては男女が同等の役割を担っていた点が強調された。女性は戦闘員として銃を持ち、一部は指導的役割も果たしていた。そのため、戦時中は家庭的な役割を押し付けられることや差別はなく、規則や罰則も存在していた。しかし、現在ではそのような規則は存在せず、女性のエンパワーメントを推進するために、男性も含めた意識改革が求められている。

医療アクセスと教育

戦時中、ゲリラ組織は医療アクセスが限定されていたため、内部で応急処置や注射の技術を学ぶ仕組みを整えていた。戦闘員の中には、紛争後の現在も看護師や医師として活動する者がいる。コロンビアでは、実務経験を基に資格を取得することが可能であり、この仕組みが元戦闘員の社会統合を支えている。

平和を実現するためのアプローチ

平和の実現には、政治的、経済的、社会的、地域的なアプローチが必要であるとされた。例えば、メデジンでは市民と元戦闘員が協力してプロジェクトを実施し、和解を促進している。また、土地を追われた人々が故郷に戻れるよう支援すること、ジェンダー平等を促進すること、農地改革や子どもの引き渡し問題に対応することが重要な課題である。

戦争とその影響

戦争は何も残さないという明確なメッセージが共有された。また、和平合意の履行が不十分であったことにより、元戦闘員が迫害や貧困に直面し、再び武装勢力に戻るケースがあることが課題として挙げられた。平和の維持には、社会全体で元戦闘員を包摂する取り組みが不可欠であるという指摘がなされた。

4.参加者所感

FARCの中では、ある意味男女は平等であるという話は興味深かったが、軍の強制力がない現在においてどのように女性のエンパワーメントを推進していくかという部分に様々な課題があることがわかった。しかし、地域社会での偏見や制度整備の遅れが壁となり、公的支援のスピードが追いついていない現状もある。その中で、COTEPAZのような機関が能力開発や就労機会の提供などを通じて元戦闘員の受け皿となり、社会統合を支えている点は非常に意義深いと感じた。

引用文献

写真①