コロンビア・スタディ・プログラム - 報告書「渡航中:COAPAZ - Ajizal」

要約

Ajizalはベネズエラ難民や国内避難民が多く住む地域であり、COAPAZというNGOが教育と生活支援に取り組んでいる。COAPAZは、子どもたちが学びと成長の機会を得られる場として「おもちゃ図書館」を運営しており、利用にはリサイクルゴミの持参が求められている。この仕組みにより、図書館の運営費が賄われるとともに、リサイクル教育を通じて地域住民の環境意識の向上が図られている。また、戦争犯罪者の社会復帰支援として、彼らをボランティアに受け入れ、施設整備や和解のワークショップを行っている。特に和解のワークショップでは、心理的支援を重視し、加害者と被害者が対話を通じて相互理解を深める場を提供している。一方で、地域の生活環境は依然として厳しく、水道や下水の整備が不十分であり、電力も非公式に利用されている。交通費の負担から徒歩通勤を余儀なくされる住民も多く、医療サービスへのアクセスにも課題がある。このような状況下で、COAPAZの草の根活動は持続可能で実践的な支援を実現しており、市民活動の力強さを示している。

1.機関の組織概要 

Ajizalはベネズエラ難民、国内避難民の居住区であり、その中で生活向上のための取り組みを行うNGOであるCOAPAZを訪問した。COAPAZでは学校に通えない子どもたちへのコミュニティスクールとしておもちゃ図書館の運営を行っている。図書館を利用するには家庭で出たリサイクルゴミを持参する必要がある。これらをリサイクル業者に売って建築材料とすることで図書館の維持費にあてたり、子どもたちに分別やリサイクルを教えたりすることにもつながっている。

2.機関が取り組んでいるコロンビアの課題

Ajizalにはベネズエラ難民や国内避難民が多く居住しており、貧困に窮している。子どもたちが学校に通うための交通費が捻出できず必要な教育を受けられなかったり、物資がなく仕事を始められなかったりと、最低限度の生活を送ることも難しい。COAPAZではこうした貧困問題に対し、図書館の運営や物資の供給を行っている。

また、NGOの運営にあたっては元戦闘員のボランティアの受け入れも行っている。元戦闘員はその経歴から社会に受け入れられず就業できなかったり、再び武装勢力に戻ってしまうこともあることから、元戦闘員の社会復帰もコロンビアの重要な課題とされている。コロンビアでは戦争犯罪を犯した者が刑務所に収容されるかわりに、地域社会でボランティア活動を行う仕組みがある。COAPAZは彼らにコミュニティに奉仕する場を提供することで、和解のプロセスにおいても重要な役割を果たしている。

3.機関が取り組んでいるプロジェクトの内容

(1)おもちゃ図書館の取り組み 

COAPAZが運営する「おもちゃ図書館」は、紛争の影響を受けた子どもたちが学びと成長の機会を得られる場所として設立された。現在、改修中の施設は学校に通えない子どもたちのための学びの場としての役割を果たすことを目指しており、市役所から派遣された教師と元戦闘員のボランティアが協力して運営している。学びの場の提供をはじめとして、それ以外に行われている活動としては主に以下2点である。

リサイクル教育の推進

リサイクル教育は、地域住民の生活改善と環境保護を目指した取り組みとして注目されている。この活動では、リサイクル可能な資材を持ち込むとその重量に応じて食料が提供される仕組みが導入されている。国内避難民が一方的に援助を受けるのではなく、学びの機会を得ることを目的としている。現在は40世帯が活動に参加しており、将来的にはリサイクルショップの設立を目指している。一方でゴミの仕分け作業やスペースの確保が必要であり、さらなる土地の確保や資金支援が課題である。

戦争犯罪者のボランティア活動

階段や橋の整備、塗装、ワークショップの開催、被害者への謝罪などが行われている。特に印象的だったのは、元戦闘員が施設の壁に描いたメッセージで、子どもたちや地域住民に平和の重要性を訴えている。

和解のワークショップ

和解のワークショップでは、心理学の専門家やソーシャルワーカーのサポートを受け、加害者と被害者が対話を通じて互いを理解するプロセスを重視している。

赦せない、謝罪が欲しくないという思いも十分に尊重されながらも、参加者は責任や赦しについての説明を受けたり自分の経験を共有したりする中で、心のケアが十分になされて謝罪を受け入れる準備ができて初めて謝罪の場が設けられる。

(2)地域の様子・生活

訪問時はAjizalの地域を実際に歩いて回り、街の様子や生活についても説明を受けた。

インフラ

おもちゃ図書館のある場所より山の斜面を登った地域では上下水道が整備されていないため、山の泉から水を引くチューブが使われている。また、電気は非公式ではあるが、近隣の電線から電力を引いて生活している。

仕事と経済

多くの住民が煉瓦造りや市場で働いているが、交通費が負担となり徒歩通勤を余儀なくされているため、深夜帯や早朝から働かなければならない。また、資材の供給に申請や選考が必要なため、すべての人が支援を受けられず、商売を続けられる家族は少ない。

医療

シスベンと呼ばれる低所得者向けの政府の支援制度による保険に加入していない移民・難民が多く、医療サービスを受ける際に長時間待たされる問題がある。

4.参加者所感

リサイクル教育など、一時的・一方的ではない、より実践的で持続可能な支援がなされていることが印象に残った。草の根的な活動であっても、コミュニティの人々に対して教育や意識づけを行う取り組みが仕組み化されており、政府や国連の施策から漏れてしまう人々に対しても細やかにリーチできていると感じた。

また、和解のワークショップがローカルコミュニティでこれほど丁寧に行われていることにも感銘を受けた。ブリーフィングの中では「親世代の悲劇を繰り返さず自分たちの人生を作れるようになって欲しい」と子どもたちの教育にかける思いも聞かれ、市民活動の力強さを感じた。

引用文献

写真①